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更新日:2024年3月7日
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令和4年第1回定例会で可決された意見書・決議
現在、国は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下「障害者虐待防止法」という。)において、虐待を未然に防止するために、障害者福祉施設従事者等による虐待を発見した者に対し、市町村等への速やかな通報義務を課している。
一方で、医療機関等における障がい者への虐待は、既存の法令に基づき対応可能な部分があることや、医療機関での治療行為と虐待行為を第三者が判断することは困難であること等の理由から、障害者虐待防止法の通報義務の対象となっていない。
しかし、厚生労働省「令和2年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式調査研究事業報告書」によると、令和元年度の通報義務に該当しない虐待の相談・通報件数は、全国で357件にのぼった。
また、令和2年4月に厚生労働省が行った調査について、新聞報道によると、精神科病院で医療従事者による虐待が疑われる事例が平成27年度から令和元年度までの5年間で72件あったとされている。通報義務に該当しないが、看過できない障がい者虐待事件がいまだに発生していると考えられる。
今後、障がい者への虐待を根絶していくためには、国などで行われている障害者虐待防止・権利擁護研修制度の拡充や取組参考例の周知を更に進めることが重要である。
さらに、精神科病院など医療機関においても、障害者福祉施設などと同様に、虐待発見時の通報義務の対象とするなど、障害者虐待防止法に基づく対応をより一層充実していく必要がある。
よって国会及び政府は、障がい者の虐待防止に向けた取組を更に推進するとともに、障害者虐待防止法に虐待発見時の行政への通報義務等の対象として医療機関等での障がい者への虐待を追加することとし、あわせて、障害者福祉施設の通報者と同様に医療機関の通報者に対する法的保護を規定されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年3月25日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
法務大臣
厚生労働大臣
共生社会担当大臣
神奈川県議会議長
近年の少子高齢化の進展により、介護が必要な高齢者が増加する一方で、介護の現場では人材確保に苦慮している状況がある。また、コロナ禍が長期化する中で、エッセンシャルワーカーとしての介護人材の役割がますます重要となっており、その処遇の改善が求められている。
今般「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)において、「賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提」として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を実施することを決定し、令和4年度予算編成過程において、令和4年10月以降、臨時の報酬改定を行うことになっている。
介護職員の処遇改善については、今回の臨時の報酬改定や原則3年ごとに行う公的価格の改定も含め、制度の簡素化を図るとともに、介護報酬の運用においても事業所ごとの柔軟な対応を認めるべきである。
よって国会及び政府は、地域の介護サービスを持続可能なものとするために、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 臨時の報酬改定(令和4年10月以降)において新設される「介護職員等ベースアップ等支援加算(仮称)」については、現行の二つの加算(「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」)の統合を含めた一本化を検討するなど、事務手続の簡素化に最大限努めること。
2 「介護職員等特定処遇改善加算」の配分方法については、法人や事業所が実情に応じて柔軟な判断を行いながら、加算金の弾力的な運用ができるようにすること。
3 原則3年ごとに行う公的価格の見直しにおいては、現行の加算との整合性を踏まえた上で、各介護職員の人件費を基にした事業所ごとの介護報酬総額を算定する方式に変更するなど、介護報酬申請の手続の簡素化と、人材確保に対する事業者の裁量権の拡大につながる制度に改めるよう検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年3月25日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣 }殿
財務大臣
厚生労働大臣
全世代型社会保障改革担当大臣
神奈川県議会議長
国は、動物の殺処分を減らし、最終的にゼロを目指す取組を推進しているが、様々な形で虐待が行われ、動物の生命が脅かされている現実がある。動物虐待の中でも、多数の動物を抱え、適正な飼養管理ができなくなってしまう多頭飼育問題は、周辺住民の生活環境にも影響を及ぼすことから、社会問題化している。
警察庁発表の動物虐待事犯の検挙件数は、平成23年から令和2年までの10年間で、29件から102件と3倍以上に増加している。令和3年以降においても、ネズミの死骸などが散乱する劣悪な環境で24種のペット58匹を飼育していた事例や、小型犬362匹をふん尿の堆積するケージに拘束して衰弱させるなど、多くの動物が虐待の被害に遭ったとの報道がなされている。
虐待を受けた動物は、地方自治体や動物愛護ボランティア団体などによる適切な保護が必要であるが、ペットなどの動物は、民法上「物」として取り扱われ、飼い主が所有権を有する。所有権は個人の重要な権利であり、制限には慎重な検討が必要との意見もあることから、動物の愛護及び管理に関する法律には、問題のある飼い主の所有権を制限する規定を設けていない。そのため、飼い主が応じない場合は保護ができず、虐待を受けている動物を守れない状況にある。
本県では、多頭飼育問題の発生を防ぐため、保健福祉事務所と市町村等関係機関との協力体制を整えることで、飼い主に対して生活支援につなげるなどの対策を行っているが、動物の飼育状況の改善には、動物を適切な環境で保護することが不可欠で、その根拠となる法規定が必要である。
私たちの生活を豊かにし、時には家族と同じように人間にとってかけがえのない動物たちを虐待等から守る取組を進めなければならない。
よって国会及び政府は、人と動物がともに幸せに暮らせる社会の構築に向け、地方自治体が必要と認めた場合に動物を一時保護できるよう、飼い主の所有権に係る課題を整理した上で、必要な法整備をされるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年3月25日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
法務大臣
環境大臣
神奈川県議会議長
近年、サイバー犯罪は増加傾向にあり、その攻撃手法も多様化し、社会にとって深刻な脅威となっている。医療機関も例外ではない。
警察庁の調査によると、国内の身代金要求型のコンピューターウイルスであるランサムウェアによる被害が昨年だけで146件あり、そのうち医療、福祉の被害は7件あった。昨年10月末には、徳島県西部の中核病院の一つである町立病院においても、約8万5,000人分の電子カルテが閲覧不能となり、救急搬送や新規患者の受入れの原則停止に追い込まれた。同病院のシステム改修費用は、約2億円かかる見通しとなり、診療全面再開までの約2か月の間、患者たちは不安を募らせる深刻な事態に直面したとの報道があった。
本県の地方独立行政法人神奈川県立病院機構においても、不審メールやサイバー攻撃を受けているが、今のところ被害は発生していない。
現在、国は、情報セキュリティの観点から医療機関等が遵守すべき事項等が規定された「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の今年度中の再改定を目指しており、ランサムウェアに関して、バックアップデータまで被害が拡大しないよう対策を記載するほか、新頁を設けることを含め検討している。
また、令和4年度の診療報酬の改定では、適切な診療記録の管理体制を評価する診療録管理体制加算の項目が見直され、許可病床数が400床以上の保険医療機関については、非常時のサイバーセキュリティ対策の整備に係る一定の取組が算定要件に追加された。このことにより、保険医療機関は診療報酬上、新たな対応を求められることになった。
サイバーセキュリティ体制を整備することは喫緊の課題であり、多様化するサイバー攻撃に対しては、医療機関のシステムや規模によって異なるものの、適切な対策を講じることが不可欠である。しかしながら、診療報酬の加算だけでは十分でなく、財政面や人材の育成、確保など病院経営に大きな負担となる。
よって政府は、地域医療を守り、国民の安全安心な生活を保障するために、次の事項について所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 すべての医療機関が万全なサイバーセキュリティ体制を早急に確立できるよう、診療報酬とは別に、財政支援を検討すること。
2 人材の育成や確保など体制を整備するとともに、サイバー攻撃を受けた場合でも、医療機関の診療が継続できるよう、バックアップデータを保管するための整備費用に対し、財政支援を実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年3月25日
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣 }殿
厚生労働大臣
デジタル大臣
神奈川県議会議長
新型コロナウイルス感染症の拡大は、令和2年1月に国内で初めての感染者が確認されて以降、人々の生活に大きな影響を及ぼしている。
全国で新規感染者数が減少傾向にあるものの、感染収束の見通しが立たず、多くの地域で保健医療体制の厳しい状況が続いている。
また、この間の度重なる緊急事態宣言の発出等による経済活動の停滞により、全国の9割を超える中小企業の活動に深刻な影響を及ぼし、雇用にも大きな打撃を与えた。
一方、我が国はその位置、地形、地質などの自然的条件により、台風、豪雨、土砂災害、地震、津波、火山噴火などによる災害が発生しやすい国土であり、近年、地球温暖化の影響により、局地的な大雨のリスクも増加している。今後30年以内に、高い確率で発生が予想される南海トラフ地震や首都直下地震も危惧される。
東日本大震災では、被災した地方自治体の機能低下や深刻な燃料不足により、避難所に救援物資が届かず、救助・救援活動に支障を来した。
また、令和4年3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震では、数日間にわたり広範囲で断水や停電が発生したほか、東北新幹線が脱線し復旧まで相当な期間を要するなど、国民生活に多大な影響が生じている。
いつ、いかなる場所で災害が起きようとも、安全・安心な国土・地域・経済社会を構築することが重要である。
政府はこれまで、感染症の拡大や大規模自然災害に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法や災害対策基本法などによって対処してきたが、今後、より重大な緊急事態が発生した場合は、従来の法体系では対応できなくなるおそれもある。
緊急時に国民の命と暮らしを守るためには、法令等の在り方について、多岐にわたる論点を整理し、国民に分かりやすく提示し、国民との対話によって理解を広め、法令等の整備を促進する取組が必要である。
よって国会及び政府は、緊急時における法令等の整備について、促進されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年3月25日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
法務大臣 }殿
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
防衛大臣
新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣
神奈川県議会議長
2月24日に始まったロシアによるウクライナへの侵略により、女性や子供を含む一般市民に多数の死傷者が出ている。武力の行使により独立国家の主権を侵害し、市民の生命・財産・自由を奪う行為は、国際社会の平和と秩序、安全を脅かし、国際連合憲章に反する行為であり、到底容認できるものではなく、強く抗議する。
また、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用を示唆したことは、唯一の被爆国として断じて許すことはできず、強い憤りを感じる。
ロシアの軍事行動は、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす、極めて深刻な事態であり、我が国の安全保障の観点からも決して看過することはできない。
加えて、ウクライナに拠点を置く日本企業をはじめ、現地在留邦人の生命も危ぶまれる事態である。
ウクライナのオデッサ州と本県とは、1986年の友好交流の発展に関する共同声明に調印以降、友好関係を継続してきた。ウクライナの人々が今この瞬間にも生命の危機にさらされていることを案じている。
日本政府においては、国際社会と連携し、あらゆる外交努力によって、更なる制裁を含めた適切な措置を講じるとともに、エネルギー価格の高騰などによる国内経済への影響、ウクライナに在住する邦人の安全確保や、ウクライナの方々への人道的支援についても万全の対応が求められる。
神奈川県議会は、武力を背景にした一方的な現状変更に強く抗議し、ロシア軍の即時かつ無条件での完全撤退を求め、早期の平和的解決が図られることを希求する。
以上のとおり決議する。
令和4年3月7日
神奈川県議会
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