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5. 影響と適応策の事例【農林水産業】ウンシュウミカン

ウンシュウミカンの栽培適地の変化

 稲や野菜などの一年生作物に比べて、永年性作物である果樹は、気候に対する適応性の幅が狭く、気候変動に弱い作物とされています。すでに、果実肥大期の高温・多雨によるカンキツでの浮皮、成熟期のリンゴでの着色不良や着色遅延などの高温による生育障害が見られます。

 また、気温上昇により果樹の開花が早まることで、春の急な低温で花やつぼみなどが凍る霜害のリスクが増大します。

例えば、「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」(環境省環境研究総合推進費S-8(2010~2014年))によると、有効な気候変動対策がとられなかった場合、温暖化の影響でウンシュウミカン栽培適地が減少する予測が示されています。

ウンシュウミカンの栽培適地の予測(2081年~2100年)の図表

出典・リンク

ウンシュウミカンの浮皮軽減技術

 温暖化の影響により、ウンシュウミカンは、果皮と果肉が分離した浮皮症状が発生しやすくなっており、腐敗や食味の低下につながっています。

 神奈川県農業技術センターでは、植物ホルモンと同様の働きをする植物成長調節剤を組み合わせた薬剤を散布することで、浮皮の少ない高品質な果実を生産できることを確認しました。さらに、無処理のものに比べ長期間貯蔵できることが判明し、流通量が減少する2月末以降の出荷が可能となります。

ウンシュウミカン(大津4号)の浮皮の様子の図表

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