8. 影響と適応策の事例【健康、産業・経済、都市】蚊媒介感染症
蚊が媒介する感染症リスクの拡大
デング熱やチクングニア熱を媒介する蚊であるヒトスジシマカの分布域は、気候変動による気温の上昇により、徐々に北上しています。さらに、気温が上昇することにより、蚊の発生時期が明らかに早期化・長期化することが想定され、人が蚊に接触する期間が長くなることで感染症リスクが増加することが予測されます。(ただし、分布可能域や発生時期の早期化・長期化が直ちに感染症の発生数の拡大につながるわけではありません)
出典・リンク
蚊が媒介する感染症の対策
気候変動により感染症リスクが増加することが予測される蚊が媒介する感染症に関して、地域適応コンソーシアム事業(2017~2019)において、神奈川県を対象としたリスク評価を行いました。この事業では、気候変動に伴う蚊の成虫の生息期間がどれだけ長期化するかを示したマップと、対策の優先度が高い地域を把握するためのマップを作成し、適応策を整理しています。
神奈川県内のヒトスジシマカの成虫の生息期間は、現在では、多くの場所で4か月半~5か月ですが、有効な気候変動対策をとらなかった場合、21世紀末には6か月以上生息する地域が生じる可能性があります。
神奈川県では、デング熱やジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症対策の一環として、毎年、蚊の種類別の生息数やウイルス保有の有無を調査しています。