更新日:2024年1月22日
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このページでは、財政健全化のための税制改革グランドデザイン(案)(平成12年10月)を掲載しています。
本県では、21世紀に向けて「活力ある神奈川、心豊かなふるさと」を築くため、「かながわ新総合計画21」に掲げる施策を着実に推進するとともに、3つの10%目標を掲げ、組織数、職員数、県債発行額を削減・抑制するなど、行財政改革に計画的に取り組んできたが、こうした努力をもってしても平成10年度には、23年ぶりの赤字決算という危機的な事態に直面し、平成11年度も引き続き赤字になるなど、依然として、財政収支の不均衡という財政体質から脱却していない。
さらに、平成12年度以降、何も対策を講じなければ、今後5年間で1兆円を超える巨額の財源不足が見込まれている。このため、引き続き、施策・事業の見直しや人件費の抑制、自主財源の確保等の取組を進めているが、こうした県自らの努力だけでは歳出入のギャップを埋めることは極めて困難であり、国と地方の税源配分の見直しなど、地方税財政制度の構造的な要因を改革しなければ根本的には解決しない深刻な課題となっている。
一方、今日、国・地方を通じて地方分権の大きな流れが形成されつつあり、自治体の自主・自立を基本とした税財政運営が一層強く求められている。税制面では、先般、課税自主権の拡大に向けた制度的な基盤整備が行われた。
このような状況の中で、本県では、平成10年12月、大都市圏自治体にふさわしい地方税財政制度のあり方や、県独自の税源充実策の検討を「神奈川県地方税制等研究会」に諮問したが、平成12年5月、同研究会から、中間報告書が知事に提出された。
本県としては、同研究会から提言された「神奈川らしい税制」の方向性をもとに、広範な県民各層の意見を踏まえた検討を行ってきた。こうした中で、分権時代の地方財政を自立的なものとし、地域ニーズに対応した施策を継続的・安定的に展開するためには、安定的基幹税源の確保や国・地方の税源配分の枠組みの適正化が不可欠であることから、今後とも、地方税財政制度の抜本的な改革を国に提言する。
また、現在の危機的な状況において、行財政改革のさらなる徹底を図ることはもとより、当面の税収不足を補う方策の具体化を速やかに図り、本県が早急に取り組まなければならない緊要な課題に一層充実した対応を行うとともに、税制上の優遇措置による政策誘導や豊かな暮らし、健全な地域、地球環境の維持・向上に向けた、これからの時代にふさわしい税制の検討を行い、その実現を図っていくこととする。
法人事業税は、県税の基幹税でありながら、その課税標準が法人税に依拠していることから、その課税方法に、外形標準課税方式を導入することにより、法人事業税の独立性を高めるとともに、法人事業税の応益性からみた税負担の不公平さを改善し、安定的な基幹税源を確保する必要がある。
この外形標準課税について、政府税制調査会の中期答申では、「すべての都道府県において幅広い業種を対象に、薄く広く負担を求める外形標準課税について、景気の状況等を踏まえつつ、早期に導入を図ることが必要」(「わが国の税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-平成12年7月14日)と位置づけられたところであり、本県としても、外形標準課税が可及的速やかに導入されるよう、国に強く働き掛ける。
区分 | 内容 |
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本県として望ましい外形基準 | 全国一律、全業種に広く薄く課する方式で、事業活動価値(給与総額、支払利子、賃借料、利潤)を原則とするが、中小法人への配慮等から、次に掲げる措置を講ずることが必要である。
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地方税源の充実確保策について、地方分権一括法に係る参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会の附帯決議(平成11年7月8日)では、「地方における歳出規模と地方税収との乖離を縮小する観点から、国・地方を通じる税体系のあり方について抜本的な検討を行うこと」とされており、本県としても、地方団体における個人所得課税及び消費課税の位置づけを高め、財源確保を図る観点から、現行の税源配分を抜本的に改革し、安定的な地方税体系を構築するよう国に提言する。
なお、個人所得課税及び消費課税における望ましい制度については、「神奈川県地方税制等研究会」の今後の検討結果を踏まえ、より具体的な提言を行う。
区分 | 内容 |
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個人所得課税 | 負担分任の性格が強く、税源の地域偏在が少ない個人所得課税の充実について、個人住民税の税源配分の割合を高めること等の検討を早急に進める。 |
消費課税 | 地域の経済活動の規模を反映し、税源の地域偏在が少ない消費課税については、例えば、現行の税源配分割合(国4%、地方1%)を見直すこと等により、地方消費税源の充実を図ることの検討を早急に進める。 |
本県が取り組まなければならない、喫緊な重要課題に対処するため、現行の法人二税の超過課税措置を延長する。この場合、中小法人の厳しい経営状況に配慮し、超過課税の対象から除かれる中小法人の範囲を拡大する。
区分 | 内容 |
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税率 |
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中小法人に対する配慮 不均一課税の基準額の引上げ |
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中小法人に対する配慮 不均一課税の資本金の引上げ |
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実施期間 | 5年間 |
特別な財政需要 |
(1) 地震防災対策の強化 (2) 産業振興対策の強化 |
法人事業税は、行政サービスに対する応益原則の考え方に立って、すべての法人が応分の税負担をすべきであるが、当期利益がある法人であっても欠損金の繰越控除の制度の適用により、税負担が生じないこととなっているため、外形標準課税が導入されるまでの間の臨時特例措置として、一定規模以上の法人にあっては相応の負担をしていただく措置としての法定外普通税の創設について検討する。
(1)本県における自動車の保有台数は、極めて狭い県土の中にあって、全国で3位の状況にあり、(2)さらに自動車利用の拡大に伴って、大気汚染については、二酸化窒素の環境基準達成率が全国でも最悪(全国で1位ないし2位)であり、また、(3)交通事故の発生件数(ここ数年、全国で1位ないし2位)も増加の一途をたどるなど、深刻な状況となっている。
こうした喫緊の行政課題への対応は、現在の厳しい財政環境の下では、十分措置しがたい状況にある。そこで、こうした自動車によってもたらされる様々な行政需要に的確に対応するために、自動車の利用者に広く薄く応分の負担を求める考え方に立って、自動車税の超過課税を実施する。
一方、環境政策の観点から低公害車に対する不均一課税措置を講じるとともに、福祉政策・公共交通政策の観点から軽減措置について配慮する。
区分 | 内容 |
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税率 | 1案 標準税率の1.2倍 2案 標準税率の1.15倍 3案 標準税率の1.1倍 |
実施時期 | 平成13年度 |
実施期間 | 5年間 |
特別な財政需要 | (1) 自動車による環境負荷低減化対策の推進 自動車に起因する環境汚染に対応するため、特に緊急な対策が必要なディーゼル自動車の黒煙対策、低公害車導入、沿道緑化対策等の促進により環境負荷の低減に取り組むとともに、交通管理システムの導入の拡大、交通需要の抑制に向けたマネジメントの推進、公共交通機関としてのバス利用の促進策への支援等交通需要の低減、平準化を図ることにより、総体としての環境負荷増大に対応する必要がある。 (2) 県民が安心して安全に暮らせる交通対策の推進 多発する交通事故に対応するため、生活道路における交通信号機の設置、交差点の改良等交通安全施設の整備、交通環境の維持管理水準の一層の向上による安全性・快適性の確保、さらには、交通指導、啓発事業等により事故の抑制・未然防止を推進する必要がある。 |
大気汚染の環境改善及び地球温暖化の防止の実現に向けて、環境にやさしい自動車の普及促進を図る観点から、クリーンエネルギー車や本県が定める低公害車などに対して不均一課税措置を講ずる。
区分 | 内容 |
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税率 |
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実施時期 | 平成13年度 |
実施期間 | 5年間 |
(1) 「本県が定める低公害車のうち上記以外のもの」とは、次に掲げる低排出ガス基準の「移行期低排出ガスレベル」又は燃費基準の「目標基準値」のいずれかを達成している自動車とする。
低排出ガス基準
「低公害車等排出ガス技術指針」の中で定めた「移行期低排出ガスレベル」の技術指針値以下のもの
移行期低排出ガスレベル(窒素酸化物、炭化水素等の最新規制値の4分の3相当(25%低減)のレベル)
燃費基準
ガソリン乗用車
車両重量 (kg) |
703未満 | 703以上 2,266未満 |
2,266以上 |
目標基準値 目標基準値 |
21.2 | 18.8~7.8 | 6.4 |
ガソリン貨物自動車(車両重量2.5t以下)
車両重量 (kg) |
703未満 | 703以上 1,516未満 |
1,516以上 |
目標基準値 (km/l)AT車 |
18.9~16.2 | 16.5~10.3 | 10.3 |
目標基準値 (km/l)MT車 |
20.2~17.0 | 18.0~10.7 | 9.3 |
(2) 「最新の七都県市指定低公害車のうち本県が定める低公害車以外のもの」とは、次の自動車で、(1)に該当する以外のものとする。
区分 | 対象となる自動車 |
車両総重量3.5トン以下の自動車(中量車以下) | 平成11年4月1日以降七都県市が低公害車として指定した自動車 |
車両総重量3.5トン超の自動車(重量車) | 平成8年3月29日以降七都県市が低公害車として指定した自動車 |
これまでの減免措置は、障害者や社会福祉法人等が所有する自動車で、一定の用途に専ら使用するものを対象としている。
これに加えて、高齢者や障害者等の社会参加や自立的な生活づくりが進むこれからの社会の方向性に鑑み、自動車税の減免措置の対象とする所有者及び用途等を見直すとともに、減免額について、これまでの全額減免に加えて、一部減免方式を導入するなど、弾力的な取扱いを講じる。
区分 | 内容 |
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減免対象 | (1) 現在、社会福祉法人が所有する自動車で、高齢者及び障害者等の通院、通所の用に専ら供するものについては全額減免としているが、社会福祉法人のほか、民法第34条の規定により設立された公益法人 及び特定非営利活動法人(NPO法人)を加えるとともに、その用途についても在宅福祉サービスを加え、減免の対象を拡大する。 (2) 障害者の施設に入所している障害者の親族が所有する自動車で、その施設が実施している帰宅援助プログラムに基づき、その入所者が一定期間帰宅する場合に供する自動車について、新たに減免の対象とする。 (3) 一般旅客自動車のうち、構造上、福祉的配慮がされていると認められる自動車について減免の対象を拡大する。 (4) 障害者又はその者と生計を一にする者が所有し、当該障害者のために専ら使用する自動車については、福祉政策の観点からこれを減免することとしているが、一定の総排気量以上の自家用乗用車については、その減免額に限度を設定する。 |
減免割合 | その用途等によって、全額減免又は一部減免とする。 |
実施時期 | 平成13年度 |
国の運輸政策により、その運賃・料金が、運輸大臣の認可制又は届出制になっている一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業並びに貨物自動車運送事業の用に供される自動車については、自動車税の超過課税を行った場合、利用者への負担転嫁が容易にできないこと等から、超過課税の負担を求めないことが適当であり、また、走行用エンジンがない被けん引車については、排出ガスを出さないことから、低公害車と同様な取扱いをすることが適当であるため、それぞれ不均一課税措置を講ずる。
区分 | 内容 |
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軽減対象及び税率 | (1) 一般乗合旅客自動車運送事業及び一般乗用旅客自動車運送事業並びに貨物自動車運送事業の用に供する自動車 一般乗合旅客自動車運送事業(道路運送法第3条第1号イ、第9条)及び一般乗用旅客自動車運送事業(道路運送法第3条第1号ハ、第9条)並びに貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法第2条第1項、第11条第1項等)の用に供される自動車については、その運賃・料金が、運輸大臣の認可制又は届出制となっており利用者への負担転嫁が容易にできないこと等から、標準税率の1.0倍の税率とする。 (2) 被けん引車 被けん引車は、走行用のエンジンはなく、排出ガスを全く出さないため、低公害車について不均一課税を講じる施策との均衡上、標準税率の1.0倍の税率とする。 |
実施時期 | 平成13年度 |
実施期間 | 5年間 |
中古商品自動車及びクラシックカー等については、超過税率と標準税率との差額について、自動車税の減免措置を講じる。
区分 | 内容 |
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減免対象 | (1) 中古商品自動車 中古商品自動車は、中古自動車販売業者が商品として所有している自動車で、財団法人日本自動車査定協会が商品自動車として証明したものについて、減免措置を講じる。 (2) クラシックカー等 歴史的価値を有する一定のクラシックカー(通常車歴25年以上の自動車)等について、減免措置を講じる。 |
減免割合 | 標準税率と超過税率との差額について減免 |
実施時期 | 平成13年度 |
実施期間 | 5年間 |
工場等の立地が制限される工業等制限区域から除外された京浜臨海部等について、企業誘致と土地の有効利用を促進し、当該地域における産業の活性化と雇用の創出を一層推進するため、当該地域における一定の不動産の取得に係る不動産取得税について、不均一課税措置を講ずる。
区分 | 内容 |
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対象不動産 | 対象地域において、工場及び事業所等を新設又は増設した場合における当該工場及び事業所等並びにその敷地である土地 |
対象地域 | 平成11年3月の「工業等制限法」の見直しにより、工業等制限区域から除外された地域 |
軽減税率 (標準税率4%) |
標準税率より低い税率を設定し、軽減策を講じる。(3%以内) |
実施時期 | 平成13年度 |
実施期間 | 5年間 |
神奈川の豊かな自然環境を守り、かつ、県民の良好な生活環境を確保し、アメニティーの高い生活空間づくりをするため、自然環境や生活環境に対して考えられる負荷全般を規制・抑制するとともに、その税収を都市的な防災対策を含む幅広い生活環境対策の費用に充てる「生活環境税制(アメニティー税制)」を検討する必要がある。具体的な個別税目の構築に当たっては、行政課題や課税対象に加えて、県税と市町村税のいずれがふさわしいのか、また、市町村行政との整合性などを見極めつつ検討することとする。
【平成13~17年度までの所要見込額】
主な事業
主な事業
【平成13~17年度までの所要見込額】
主な事業
主な事業
主な事業
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