更新日:2024年1月4日
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このページでは、第40回神奈川県地方税制等研究会の審議結果を掲載しています。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
第40回神奈川県地方税制等研究会
平成20年7月31日(木曜日)15時30分~17時30分
かながわ県民センター 特別会議室
(座長)神野直彦、堀場勇夫、金澤史男、中里実、青木宗明、半谷俊彦、吉村政穂、高井正
未定
政策局 財政部 税制企画課 調査グループ
電話番号 045(210)2308
事務局 定刻になりましたので、これより第40回神奈川県地方税制等研究会を開催いたします。
本日は、傍聴者として5名の方を許可しておりますのでご了承ください。傍聴される方は、お手元の注意事項を遵守されるようお願いいたします。
それでは、次第に沿いまして進めさせていただきます。議事の進行は座長にお願いいたします。座長、よろしくお願いいたします。
座長 第40回目になるのですね。神奈川県地方税制等研究会を開催したいと思います。委員の皆様方には、蒸し暑い中をご参集いただきまして誠にありがとうございます。御礼を申し上げます。
本日は、研究会とワーキンググループとの合同開催という形で進めさせていただきます。本日の議題は皆さんのお手元にございます議事次第にあると思いますが、一つは神奈川の地球温暖化対策における炭素税等導入の検討についてで、もう一つは今後の地方税財政制度のあり方についてという議題があります。
まず、第1番目の神奈川県の地球温暖化対策における炭素税等導入の検討についてですけれども、前回3月28日に開催いたしました研究会で、松沢知事から検討を付託されたものでございます。これまでワーキンググループで論点整理を中心に検討を進めていただいたと伺っております。これについて事務局から説明をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
担当課長 では、私からご説明させていただきたいと思います。資料1からご説明をさせていただきたいと思います。
資料1につきましては、ワーキンググループにおきまして炭素税等についての検討を行う上で、必要な背景とか考え方、各界でどのような意見が出されているかについて、議論する上で参考になるということで私どもで整理させていただいた資料でございまして、まず簡単にこれについてご説明申し上げたいと思います。
まず、1として「二酸化炭素排出削減の目標」ということで、「京都議定書の削減目標」というのがございます。ご承知のとおり、ここにございますように、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力がある数値を各国ごとに設定するということで、対象ガスについては、二酸化炭素等6種類のガスについて対象となっており、吸収源対策として、森林等の吸収源による二酸化炭素排出量の算入をしており、1990年を基準年として、本年2008年から5年間の目標期間で数値目標を達成するというものでございまして、日本におきましては6%の削減目標ということでございます。アメリカが7%の削減目標ということになってございますけれども、アメリカは国内事情で、これについては批准をしていないという現状がございます。
また、2番目の○では、国際的に協調して約束を達成するための仕組みとして、いわゆる京都メカニズムを導入するということで、排出量取引とか共同実施、クリーン開発メカニズム等についていって、京都メカニズムについても削減目標の中の数値としてカウントができるという様な仕組みになってございます。
これについて「各界、学識者等の意見」ということで整理させていただいてございますが、一番上の○が、平成15年当時、日本鉄鋼連盟から環境税に対する見解ということを一つの例示として出させていただきましたけれども、アメリカが入っていないとか、中国やインドといった大きなところが削減義務を負っていないことから、真に実効性ある国際的枠組みが必要でしょうと。アメリカと途上国を含む共通のルールづくりが強く求められる、この様な意見が出されております。
また次、経済同友会は非常に前向きでございまして、平成18年に独自の環境税の構想を発表した際に、こういった京都議定書も地球温暖化防止に向けた第一歩である、目標達成は必達事項であるという見解を出してございます。
もっとも最近の話としては、政府が出した「経済財政改革基本方針2008」、いわゆる本年度の骨太方針でございますけれども、6月27日に出したものでございまして、京都議定書約束期間に入っていますので、毎年度、強化・追加が必要な施策の検討を行いつつ、京都議定書目標達成計画に基づく取り組みを加速していくのだということで、政府としては真剣に取り組んでいくという位置づけになってございます。
次に2ページでございますが、もう一つ目標のこととして、「京都議定書約束期間終了後の削減目標」ということで、これにつきましては長い歴史がございますけれども、ここに記載させていただいたのは、昨年のハイリゲンダムサミットにおきまして、当時の安倍総理が「美しい星50」を紹介し、2050年まで二酸化炭素排出ガスの半減をすることを世界共通の目的とすべきだというような提言をして、それについては真剣に検討していくということで、当時話題になりました。
その後、1つ飛ばしまして、6月9日に福田ビジョンが示されまして、2050年までに、我が国の長期目標として温暖化排出ガスを現状比60~80%削減していくんだということを発表されて、まさにこの秋から国内で排出量取引を試験的に実施していくと。また、環境税について、環境税を含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直していくということを出してございます。
そういったことを受けまして、6月27日、同じく骨太の方針2008によって、京都議定書の達成はもとより、2050年半減という世界の目標の実現に向けて、我が国の長期目標として、2050年までに60~80%の削減を掲げ、世界に先駆けて低炭素化社会に転換するという形で、骨太方針も明確にこういった記載がされているところでございます。
また、直近の洞爺湖サミット、正式な採択まではいかなかったということでございますけれども、2050年までに世界全体で50%の削減を達成する目標というビジョンを今後検討、採択していくことを求める等々の合意がされたという状況でございます。
これに対して下段に、「各界、学識者等の意見」がございまして、2050年の世界全体で半減というのは非常に大変な目標なので、かなり大胆なところも必要だというようなことは各界意見で言われてございまして、3ページの一番最後の○でございますけれども、『「学」としての地方財政論』ということで、5月31日に行われた地方財政学会の特別講演において宮本憲一教授が講演された内容にございました。アンダーラインを引いているとおり、2050年までに世界の排出量を50%以上でいけば、先進国は80%以上削減せねばならないと。2020年までに先進国は20%~40%以上削減せねばならない。こういうものを達成していくためには、直接規制、環境税や排出量取引などの経済的手法をすべて使わねばならないだろうという講演がされたところでございます。
次に4ページでございますが、「我が国における二酸化炭素排出の現状と分析」ということでございます。前回申し上げたことと重複いたしますけれども、一応直近のものに置きかえてございます。
一番最初は、まず2006年度全国確定値ということで、これは本年の5月16日に環境省が公表したデータでございます。全国温室効果ガスの総排気量が134,000万トン、基準年度対比6.2%増えていると。京都議定書削減約束達成のためには、6.8%の排出削減が必要であると発表をしてございます。
下の方にCO2の部門別排出量ということで、それぞれの部門ごとの基準年比に対する増減を記載してございますけれども、一番右の欄で、2006年度確定値(基準年比)というところをご覧いただきますと、合計では基準年対比で12%増えているということでございまして、ただ内訳でいくと、その全体で、産業部門はマイナス4.6%減っているということでございますが、運輸部門はプラス16.7%、さらに業務その他部門が39.5%、家庭部門は30%ということで、かなりばらつきが出てきている状況でございます。
また、神奈川の状況ですけれど、これにつきましては、2006年の速報値ということでございまして、全国の速報値で基準年対比106.4に対して、神奈川は104.4%ということでございます。
あと、部門別につきましては表が下にございまして、左側の表で「神奈川県(2006年速報値)」というのがございますが、太い枠でくくられた「1990年度増減」というところがございまして、これとの比較でいきますと、産業部門が全体の構成比45.6%を占める割合ですが、8.0%増えているということでございまして、全国産業部門がマイナス4.6%に対して、我が県の産業部門は8.0%増えているというデータになってございます。
また、民生・家庭部門につきましては20.7%、業務部門につきましては32.8%、運輸部門はマイナス1.2%と、こういったような状況で、トレンドとしては全国と同じですが、若干違う傾向も出てございまして、それの説明、環境農政部で出した資料におきましては下の方の説明になってございます。
次、ちょっと飛びまして、6ページをお開きいただきたいと思いますけれども、こういった実態の中で、「我が国において炭素税導入の意義」ということでございまして、まず平成17年10月の環境省の案を簡単に記載させてございます。特に今後の議論に参考となると思いまして、1の「課税対象・段階」というところだけ少しご説明したいと思いますが、「課税対象・段階」というところで、まず[1]としては、主に家庭・オフィスにおいて使用される化石燃料に対する課税を一つ予定しているということで、これはガソリン、LPG、灯油ということで上流課税を想定していまして、石油精製会社から移出された段階または製品として輸入された段階で課税する。上流のほうで課税するというようなイメージになってございます。
次の[2]、これは事業活動において使用される化石燃料に対する課税ということで、石炭、天然ガス、重油、軽油、ジェット燃料で、これにつきましては大口排出者による申告納税ということで想定されてございます。この大口排出者の具体的な内容は、環境税の具体案の中に記載されていないのですが、これにつきまして、環境省の担当者に確認したところ、イメージとしては、温対法による温室効果ガスの算定・公表制度がございますけれども、算定・公表制度における特定事業者をイメージしているということでして、特定事業者も幾つかありますが、一番大きな要素としては、省エネ法における第一種及び第二種のエネルギー管理指定工場ということで、原油換算で1,500キロリットル以上の工場を対象としていると。後で出てきますけれども、東京都が導入しようとした排出権取引でイメージしたのも、原油換算で1,500キロリットル以上ということですので、大口排出者ということで見ている様でございます。
あと3番目としては、電気事業者等、等にはガス事業者が入っているようですけれども、ここで使用される化石燃料に対する課税ということで、発電用燃料、ガス製造用原料につきまして、電気事業者、都市ガス製造業者について申告納税という形を想定しているということで、国における環境税のイメージということはこういった対象・段階というものをイメージしているということでございます。
環境省につきましても、今年に入って、事務レベルで意見交換等を行ってまいりましたけれども、非常に動きが急なものですので、独自に新しいものをつくっていかなければいけないのではないかという認識を持って、今作業をしているということでございました。
こういった6ページの環境税の案に対して、各界の意見ということで、色々なものを出させていただいたのでございますけれども、早い段階のものとしては、一番上の2006年11月のもので、日本経団連の環境税の反対というような趣旨での意見が出されてございますし、また同じように、日本鉄鋼連盟からも反対意見が出ているということです。
3番目の○、経済同友会というのは、逆により積極的な環境税案を出してございます。
あと、具体的に最近の動きとして、一番下の○でございますけれども、環境省が「低炭素社会に向けた12の方策」ということでプロジェクトをつくって、そこの報告書が5月22日に出てございまして、そこでは、2050年に日本のCO2排出量を1990年に比べて70%削減するためにとるべき12の方策を提案していまして、その中の一つで、5の中で「人と地球に責任を持つ産業・ビジネス」ということで、導入期においては「企業活動におけるCO2排出に対して炭素税を課す一方で、CO2削減目標に政府と合意し」云々ということで、炭素税を課すという前提で議論をしてございます。ただ、経過措置としては国際競争力の観点ということで、ある程度の経過措置が必要ということもこの中にあえて書いているということをここに記載させてございます。
また、次の○でございますが、これは同じく環境省の国内排出量取引制度検討会というところから5月20日に中間取りまとめが出ていまして、これは排出量取引の議論でございますけれども、アンダーラインを引かせていただきましたけれども、国内排出量取引制度のほかに課税措置(環境税)、税の減免措置等々、こういったものも導入して、これらのポリシーミックスにより、確実かつ効率的な排出削減を実現することが求められるということになってございます。
また、本年度の骨太方針におきまして、道路特定財源の一般財源化というところの記載において、2番目のポツですけれど、暫定税率分を含めた税率は、環境問題への国際的な取り組み、そういった視点で平成20年の税制抜本改革時に検討するということで、ただ、環境問題の視点ということで暫定税率分について見直しをするという様なことは骨太の方針にも掲げておりますし、また別項目で低炭素化促進の観点からの税制全般の見直しということで、道路特定財源の一般財源化の問題にとどまらず、環境税の取扱いを含め、低炭素化促進の観点から税制全般を横断的に見直すという様な整理がされてございます。
4として、次に9ページでございまして、「既存税制の見直しによる全国一律の炭素税の導入」ということで、ここに記載されているのは京都大学の諸富先生が公表しているペーパーを引用させていただいておりますが、事務局で資料1-2という資料を用意しております。
少し細かくこれを整理させていただきまして、石油・エネルギー関係税制ということで、左から右に輸入原油、国産原油、また関税とございまして、原油とか石油製品を保税地域から引き取った段階等で、四角で囲っていますが、石油石炭税がかかっています。石炭税については最近導入されたということですけれども、石油石炭税で原油、国産天然ガス、輸入LPG・LNG、石炭に対して課税がされて、さらにそれが右の方にいきますと、まずガソリンから軽油、LPG、ジェット燃料については、それぞれ税が課税されているのはご承知のとおりでございますが、上の3つは道路特定財源としてこういった課税がされています。
さらに下、重油、灯油以下につきましては、特段課税がされていない。一番下、電気につきましては、電源開発促進税という税金が、薄い税ですけれども、こういった税が課税されているという状況でございます。
さらに次のページですけれども、今ご説明したのを上流から下流にかけて上から下に整理しておりまして、上流でまず石油石炭税が課税されています。次の製品段階で、ガソリン、軽油、LPG、ジェット燃料が課税されているということで、一番下に、それぞれの燃料ごとに、炭素トン当たりどれだけ税金がかかっているかということを事務局で整理をしたものでございます。これでいきますと、ガソリン、軽油、LPガスにつきましては道路特定財源として税が課税されていますので、ガソリンというのは炭素トン当たり88,190円という形でして、軽油も47,792円、LPガスが22,707円という形になってございます。これに対して、灯油と重油につきましては、石油石炭税しかかかっていませんので、炭素トン当たり3,005円とか2,761円、天然ガス、石炭もかなり低い税率になってございます。
電力につきましては2,477円というのは、これは先ほどの電源開発促進税だけ計算していましたので、実際は石油とか石炭を火力発電で燃やしておりますので、その計算というのは本来しなくてはいけないということで、ここは少しまだ不十分な計算になったものもございまして、実はそういった数字等を記載させていただいてございます。
あと、3枚目は参考で、環境省の環境税と東京都税制調査会で提案されているそれぞれの課税につきまして、課税対象と課税方法を簡単に整理したものでございますので、後ほどご覧いただければと存じます。
また資料1の9ページでございますが、一応こういったような整理の中で、ここの段は既存税制の見直しによるということでして、「各界、学識者等の意見」ということで、かなり前から、例えば石先生は、アンダーラインを引かせていただきましたけれども、既存税制の中に、既に環境税の性格を備えた税が幾つか含まれていると。そういったものの見直しによる環境税を導入しようという枠があるということを指摘されていますし、また、次の諸富先生のもアンダーラインを引いていますけれども、現在従量割としてかけられているこういった税について、これを燃料ごとの炭素含有量に課税標準を移しかえて、それに応じた税率設定を行うことによって炭素税を導入することができるという様なことを指摘されています。
また、次に東京大学の井堀先生、これは新聞に報道されたものですけれども、やはり同じように、道路特定税率を廃止して、環境税としてどのくらいの税率が妥当かを議論すべきであると。だから、現在の税率より高い税率になることだってあるんですよというような指摘をされてございます。ワーキンググループでもこういったご意見が当然出ておりました。
最後に、地方税として炭素税を導入する場合のあり方ということで、これも諸富先生のレジュメでございますけれども、マスグレイブの税源配分論でいけば、★印がついている応益性とか税源の移動性、移動性のないものは地方税としてふさわしいとか、税源の偏在性がないものが望ましいと。さらに、地方税原則との関係で、より下流課税のほうが望ましいのではないかという様なご指摘がございます。
こういった資料等を踏まえまして、資料1-3でございます。ワーキンググループを4回ほど開催していただきまして、そのうち1回は諸富先生に来ていただいてお話を伺うという形で、最終的にこういった形でワーキンググループ委員長のご指示を受けてまとめさせていただきました。あくまでも途中段階ですので、たたき台ということでございます。
1枚目につきましては、具体的な内容に入る前の前段の問題でございまして、全国共通の炭素税の導入の必要性等ということで、最初の○ですが、CO2の排出量に応じて、化石燃料に対して、網羅的に課税する炭素税を、効果的な税制として構築するために、全国共通の税制として設けることが必要ですよと。これは、今までの資料の背景を含めて、今後CO2削減の目標を達成していくためには全国共通の税制が必要ですねということでございます。
ただ、2番目の○ですが、全国共通の炭素税のイメージとしては、既存税制の見直しと新税の創設が考えられますということでございます。
3番目の○で、国において道路特定財源の一般財源化の方向性が明確化されている中、まず既存税制の見直し(道路特定財源の暫定税率の水準を基本的に引き下げないで、化石燃料ごとのCO2排出量に応じた見直しを行うなど)、こういった例示ですけれども、こういったことの議論が最優先になろうということでございまして、最後の○が、今後のCO2排出削減目標を達成するためには、国レベルで炭素税の導入と、併せて国内排出権取引の導入も進めていくことが必要という整理をしています。
また、神奈川独自の炭素税等ということで、最初の○で、神奈川独自の課税を行う趣旨としては、全国レベルの炭素税導入までの経過的な税制措置という意味合いと、2番目の、神奈川独自のCO2削減のために継続的に必要な税制措置の2つの視点が考えられるということでして、2番目の○で、神奈川独自の税制の方式としては、(1)で、基本的には化石燃料に対してCO2の排出量に応じた課税を行うことが望ましいと考えられるということでございます。
それから、(2)として、二次的な方法として、CO2排出削減に対してマイナスとなるものに対して課税し、促進するものに対しては税を軽減する方法、最後は、財源確保のみの場合もあるのではないかということで整理させていただいています。
次、2ページ、3ページでございますけれども、業務の中で具体的なイメージということで出てきたものを整理しておりまして、大きく3つで整理させていただいています。
まず一番最初ですが、神奈川において網羅的な炭素税を導入した場合のイメージということで、化石燃料の消費に伴うCO2の排出に対して、その排出量に応じて網羅的に課税を行うことが考えられますということで、これは国の環境税にほぼオーバーラップしていくものでして、課税対象としては揮発油、軽油、LPG、灯油、重油等々が考えられる。それぞれの部門につきまして、民生、運輸、産業部門と整理していますけれども、地方の課税ですので、課税方法については基本的に下流での課税ということで、小売販売の場合とか、そういった場合には特別徴収していくということで整理してございます。
ただ、下の方に3点ほど記載していますけれども、まず税収につきましては、この研究会から、かつてご提言いただきました生活環境税制の考え方に立っていくと、地球温暖化対策に充てることになりますけれども、他の税の減税等に充てるということも、炭素税の場合は検討課題として挙げられるという議論がございます。
また、この場合は国レベルの炭素税が導入されるまでの措置としての位置付けがされるのかなということと、最後の○で、これだけ幅広いと、県の徴収体制の中で効率的で、公平な課税が行い得るかとか、また総務大臣の同意要件に合致していくのか、さまざまな議論を今後整理していかなければならないということでございます。
次の3ページでございます。2番目の国と地方の役割分担とか既存税制の関連等から対象分野を限定していくということも議論されるということで、四角で括ってありますとおり、民生(家庭・業務)部門における化石燃料の消費に伴うCO2排出に対して課税を行ってはどうかということで、その課税対象の理由ですけれども、(1)では、国内排出権取引が秋に施行されていくということですので、産業部門については国内排出権取引の導入を視野に入れて、当面そこの部分については税を保留していくという様なことです。
かつ2番目は、既に自動車燃料につきましては、揮発油とか軽油、LPGは道路特定財源として高い税率がかかっていて、他が非常に薄くなっているので、他の部分について課税をしてはどうかと。こうしたことを踏まえて、民生部門における化石燃料の消費を課税対象とするということで整理してございます。左の表で、部門で民生部門、運輸部門、産業部門とございますので、ここの民生部門という部分が大体イメージとして浮かんでくるということになります。
あと3番目として、炭素税以外の税制の活用ということで、四角で括った部分は、自動車税について、CO2の排出量が多い自動車に対して超過課税して、排出量が少ない自動車に対して軽減税率を適用する。これは要するに自動車税という税を言っていますので、この様な仕組みを講じることによって、排出を抑えていくという効果が出てくるのではないかというようなことでして、まだワーキンググループでは議論がなかったのでございますけれども、例えば法人二税の超過課税も、こういった視点で検討をしていく余地もあるのではないかと、我々事務方では考えているところでございます。
あと、その他の案として、地球温暖化対策の、単に財源確保のための既存税の超過課税も今後議論としてあるのかと。もう一点としては、ヨーロッパで導入されているデポジット方式による課税というのも検討の対象としてもあるということと、自動車の県内走行に対する課税というのも議論としてあるということで整理してございます。
あと、資料としてご用意いたしました資料1-4は、これまで1月以降、県民の方からいろいろ賛成意見、反対意見が寄せられてございますので、それにつきまして整理させていただきましたので、後ほどご覧いただければと思います。
別に後ろの方に参考1ということで、新聞記事を用意させていただいてございます。これは、最近において全国でめぼしい動きがありましたので、参考でご用意させていただいて、まず一番上が、埼玉県で24時間営業のコンビニ店に対して営業自粛を要請する方針を固めたということで、そういったものを条例に盛り込んでいくというような記事がございまして、それを受けて、その裏ですけれども、神奈川県においても、今、地球温暖化対策推進条例で検討しているということですが、同じくコンビニについても議論をしていく対象として検討していくんだということで、知事が記者会見の中で発表したという記事でございます。
次の6月26日の神奈川新聞ですけれども、これは都が全国初で排出量取引を都独自で導入していくという新聞記事でして、都の条例で事業主体に、先ほど申し上げました、下から3段目の段にありますけれども、年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500キロリットル以上のビル等については、大体東京に1,300事業所ぐらいある。これに対して義務を課していく。その義務量を超えて削減した場合は、排出量取引を通じて購入することができるという様な仕組みを導入するということで報道がされていまして、東京都のホームページから私どもは十分理解できなかったものですので、その資料を一応打ち出して、こちらのほうに付けさせていただいてございます。
ちょっと長くなって恐縮でございましたが、私からの説明は以上でございます。
座長 どうもありがとうございました。
すみません。以前、生活環境税制の関係で、少しだけ環境税制としてここでまとめたときに、時間税は入れませんでしたか。僕は時間税を大阪市で入れようとして、時間税というのは、つまりここは6時から8時までしか営業してはいけない地域とかという区分けをしている。このエリアを越えて、つまり規制されているエリアで営業したものについては、その時間当たりに税金をかけるのです。
担当課長 それは、報告書の中には入っていないですね。
座長 ああ、そうですか。大阪で今やろうかと思っているのですけれども、つまりこれは時間を規制してしまうわけですよね。規制するときに税を使うという手はないわけではないので、そのことは言っていませんでしたか。
担当課長 当時、4つの税、都市環境税の中に、実は深夜営業店舗に対する課税というのは入っています。それは時間税といいますか、要するに深夜営業店舗に対して都市環境税を……
座長 それはエリアを決めてという様に、売り買いできていいエリアもあればね。
担当課長 少なくとも深夜営業店舗が検討対象として報告書の中に盛り込まれているのは、その通りでございます。
座長 わかりました。
委員から補足して何かありますか。
委員 まず、必要性ということですけれども、日本が対外的に国として約束すると。そのことに対してどう責任を負っていくのかという国の責任がまずありますが、その中で、神奈川県のレベルでどれだけできるのかということで目標を持って取り組んでいるわけですよね。しかし、実際にはその目標どおり、県のレベルで見てもやられていないということなので、県としてその目標を実際に達成するぞと、そのために何ができるかという観点から議論しなければいけないというのがまず前提にあると思うんですね。
残念ながら、この間、日本が全体として排出量が増えてしまっていて、基準年を変えろというようなことをこの前の洞爺湖サミットでも言ったという、ある意味見苦しいことをしているわけですけれども、これは例の原発の問題があるわけですよね。原発が増えれば、電気の元になる原エネルギーのところが原発になればCO2が減るというような形が、かなり日本政府としては期待しているところなのだけれども、地方としては、原発頼みではいけないのではないかと私は思っていて、そのために地方ができることをやる、そのために税がどれだけ活用できるかという、そういうスタンスで、私としてはこの間、議論してきたというのが一つです。
それからもう一つは、ワーキングの中でかなり議論というか悩ましいところなのですが、地方で提言していくときに、国の取り組みとの関係というのかな、国の制度設計とどういうふうに関連づけていくのかというのが大きなテーマとしてあるのです。一つは、環境税を全体として国がまずは入れることを想定して、しかし、国の導入するものでは、先ほど少し出てきたけれども、例えば大口の排出者についてはカバーできるけれども、そうでない部分、漏れているところを下流で捕まえていくという様な制度設計が一つあると。
それから、特に民生部門と運輸部門ですよね。ここのところが地方の担当になるという考え方をして、そこの部分でロードプライシングみたいなものも含めて考えていくというようなやり方がある。
それからもう一つは、排出許可証の取引制度が一番今の時点で通る、国レベルで具体化する可能性が高い。そうすると、それと関係して制度設計すべきなのか、それともそれとは関係なくやっていくべきなのかという話になって、一つの案として、大口の排出者については許可証の取引制度でカバーして、そこで漏れる部分について地方で制度設計していくというやり方が、一つ具体案としては出てきている。それがいいか悪いか、その考え方がどうかというような論点を今議論している、そんなところです。
座長 ありがとうございます。
ちょっと確認ですけれども、僕が知事から受け取ったときに、知事からの諮問では、炭素税に割と収斂して導入を検討せよという指示だったように記憶しているんですけれども、つまり京都議定書なりを達成するということを睨んで、神奈川としてできることは何かということを、かなり広めに解釈して、課税が事実上困難な場合には、別な税、例えばアメリカでやった産業廃棄物税などは石油に課税しようとしたわけです。石油に課税しようとしたんだけれども、石油では無理なので、法人税の課税によってそれを産業廃棄物の使用目的に使うという税金として設定したという経緯もあるのですが、そういうことを考慮して、例えばここに書いてあるように、地球温暖化、つまりCO2を削減するという対策の財源として、こういう増税や既存の税を含めて、こういう税が考えられるのではないかということまで含むのですか。
担当課長 含んでということで考えてございます。
座長 事実的に困難というのは、含んでいいわけね。
担当課長 はい。ただ、諮問内容は座長がおっしゃったとおりなので、コア部分に関しては炭素、CO2を上下に課税標準にしていくのかということを軸にした税を中核に据えて、今おっしゃったように、そこでカバーし切れないようなところをどうするかという話はつけ加えていくということだと思うのですね。例えば、道路特定財源を細分するということを考えたときに、下流のところで拘束されていない部分をやるという様に考えたとしても、やっぱり従量税じゃなくて、単位当たりのCO2排出量をできるだけ課税標準にしていけるような……
座長 従量税の単位を変えるということ。
担当課長 そのターゲットを変えるというような再編ということで、理論的にしっかりとサポートしていくという様なことは考えてございます。
座長 わかりました。
ご意見をどうぞということになるのですが、ここは基本的にワーキンググループとの合同会議なので、当面それを基盤にしながら、今日の会議の目的は、それに対して今現在でのコメントなりを全体で出し合えばいいと、そういう趣旨でいいですね。中間点、検討経過までをね。
担当課長 そうですね。
委員 特に、親委員会の委員の方々にご意見をいただきたいんですけれども。
座長 そうすると、●●委員からというよりも、例えば東京都の税制調査会のほうでも長年この炭素税は検討してきて、かつ地方税として入れていこうと検討してきて、これはいろいろな問題点があって、潰せないでいることもあるので、それを責任者にもなっております●●委員に、何か追加でコメントや何かあれば。
委員 東京都では平成13年ですから、もう7年前からずっとこの問題をやってきているのですけれども、今、お話がありましたように、どこをターゲットにして狙っていくのかによって区分けが必要で、やはり排出炭素課税ベースといいますか、課税標準にできるだけしていくとなると、狙うところはやっぱり化石燃料しかない。化石燃料ということになった場合に、主としてエネルギーなのか電気なのかというような区別ができて、それに応じて納税者の範囲が変わってきて、また今度対象が変わってくるわけですね。
結局、そういう動きをずっとやってきたのですけれども、どうしても乗り越えられないのが、全国ベースでの導入を前提とせざるを得ないというところをどう乗り越えるのか。国に任せておいても、ワーキンググループのほうで毎回言っているように、環境省が非力なものですから、多分できないだろうなということをどう考えるのか。できないんだからやるぞといって、脅しをかけるのはいいのですけれども、脅しで終わってしまいますので、そこの部分をどうするのか。
最近もう一つ、排出権取引の話が出てきて、国との関係で言うと、排出権取引、今まではなかったのですが、最近の話で言うと、排出権取引を例えば産業部門にかけるぞと、あるいは東京都で事業所レベルでかけるぞということになってきますと、そちらと環境税を併課していいものなのかということが今度課題になってきます。
こちらについても国の動きを見ていると、いわゆるキャッピングなしの排出権取引ですから、果たしてこれを排出権取引として認めていいのか、効果はあるのかという話になりますから、もしそれを前提とすれば、環境税をやってもいいという話になるのかなと思います。
この二つをどう考えるのかが、現時点でというか、前から引き続き問題になってきているところで、さっきも途中で申し上げたように、やはり一番の課題は、その先の二つの問題、国との関係等も出てくるのですが、地方税として持ってくる根拠を、神奈川県では何で打ち出すのかというところですね。東京都のほうでは以前から五つか六つぐらい出しているのですが、一つは先ほどのマスグレイブなどを引用して、地方でやることは税の歴史からいっても成り立つということや、あるいは地球環境の行政というのは、もちろんどんどん広がって、国レベルでも小さいし、あるいはアジアでやるのか世界でやるのかという話になるぐらいなのですが、どこでやるのかは別にしても、実際にやっぱり仕事をするのは、日本の様な行政の区分から言うと地方が主体でしょう。なので、地方が主体である以上は、やはり税としても地方でやる理由がありますよという様なことを、いろいろ言ってきているのですが、このあたりの説得力がどうなのかも、やはりもう一回考えないといけないと思います。どうしてもいろいろ議論をしていると、やはり国レベルの税なのではないですかということになります。
それとここの点ではもう一つ整理すると、これが一番大きいかもしれませんが、徴税技術的な問題としてよろしいのでしょうかということが出てきますので、大きく分けると。今お話ししたところを整理すると、一つは国との関係、国の政策との関係、もう一つが地方税として持ってくる税の理屈としての課題、もう一つ最後のが、地方税として実施することの技術的な課題、この三つがやはりずっと問われていて、なかなか答えが出しにくいところなのかと思います。
座長 ありがとうございます。
委員、基本的には環境税とは広い環境税ではなくて、CO2税と狭く考えた上で、CO2税そのものを課税する場合の問題点と、それからもう一つが、地方税として課税する問題点と分けて、まず最初のCO2税の方は、この間、政府税調では去年はなかったのですが、その前までは、一応は環境省から出てきたわけですよね。
委員 ここでコメントするんですか。
座長 いや、それについてはコメントしなくていいです。それを踏まえて、これについて何かありますか。
委員 既存税制との関連でどういう説明をつけるかということは、●●先生がおっしゃっていることは、既存税制との関係が相当シビアだと思いますね。
それからもう一つは、地方で課税することは、これも相当厳しいと思いますよね。特に、地方がCO2で課税してもいいのですが、効果がないじゃないですか。要するに、何のために課税するのかというところが、特に厳しくなってしまう。ただ、物は程度問題ですから、松沢知事のように、ある種、県民に対して環境問題に対するアピールというのですかね、そういう視点からということである程度割り切って、薄いものをということはありかなと思っているのですけれども、余り本気になられて税とやってしまうと、相当厳しいかなというのがあるのですね。
それから、排出権取引は課税されますよ。法人税とかそれを全く考えずに環境の人はやっているから、何考えているんだろうというのが正直な感想なんですよね。結構面倒な問題なんですね。だから、余り足を引っ張ってもしょうがないのですけれども、クリアすべき課題がすごく多いですから、最初は小さな一歩からというところで何か一石を投じるというところがとりあえず重要ではないか。それが国の方針とも協力することになりますので、という感じです。
座長 これまで環境税というか、特にCO2税を巡る議論を振り返ってみると、まず一つの考え方は、炭素、CO2を削減しなくてはいけない。その手段として税を使うのだとか、ポリシーミックスにしろ何にしろという考え方と、もう一つは、既存あるいは新しい税を含めて、税全体の中にこれから環境という軸を入れてこなくてはいけないのではないかという将来の税制のあり方を含めて、例えば間接従量税というか、価格にかけるものではない個別間接税が今後の税体系の中でどう位置づけるかといったときに、従量税として存在するのであれば、環境関係で従量税を利用するという体系が一つ考えられるだろうという様な議論と、これだけ削減をするのにCO2税を使うという提案の仕方と二つあって、これまで環境省は、割とこれをやるとこれまで削減できるという、私もその委員長を、環境省でやったことがあるけれども、議論は結局モデルをつくって、削減するときに、どこまで削減できるかできないかとか、増えてしまうとかいろいろ議論があって、まずそこで揉めてしまうのですよね。
だから、今回もまず手段として利用するときに、ここである数値目標を決めて減らすというような指標にこだわるかどうかというのは、これは一つ、これまでの議論から見ると、国が行った時も色々な人が色々な試算を出してきて、環境研究所を含めて色々な試算があるので、これをどうするか。つまり今、●●委員が言ったような意味で、シンボリックに環境に心を砕きましょうという様なこととか、あるいは税体系全体の中の公平性の中に、CO2を出すような行為をするような場合にはうんと負担してもらいましょうとかということで導入していくのか、これを既存で入れることもできるし、別に新たに付加税なり課税ベースを広げるなり、別の税金をつくるなり、如何様にもできるのだけれども、そういう方向でいくのかと、今かなり大きな問題になりますよね。それが一つある気がします。
委員 ワーキンググループとしては積極的に実現の道を探ろうということで私はやっているつもりです。
委員のお話は、私も賛成ですが、環境、CO2の削減の問題というのは、ある意味国際問題になってきていて、日本が京都議定書をまとめて、洞爺湖サミットでたんか切ってやっている話だから、そこで通常の国の平均値以上の努力をしないというような状況になったときに、世界の国、それから環境に関心がある人のいろいろな他国民、NGO等に決定的に信頼を失っていくという状況が出てくるのではないかと私は心配しているのです。だから、国際的な色々それ以外の話をしていっても信用されないという、そういう状況というのは、ほかのテーマとちょっとひとつ違うのではないかなという状況を私は感じています。
座長 それはわかりますが……
委員 暫定税率の関係ですけれど、一つは暫定税率自身が大体OECDの平均の3分の2ぐらいの水準ですよね。だから、これは一つの理由としてOECDの平均以上には持っていかないと、それこそ色々な揚げ足を取られる。だから、それが政策としてどこまで必要かという議論じゃないんだけれども、まず第一歩として平均値ぐらいまで上げないといけない。
それから、税制のグリーン化をしていくという方向が一つあると思いますが、これだけ赤字を抱えていて、潜在的な国民負担率というのをできるだけゼロに近づけて財政再建していかなくてはいけないという状況にあるときに、どこで潜在的な負担率を埋めていくのか。そういう時に、OECDの平均にもいっていない環境税というのが一つあるのではないかと私は思っているので、そういう方向性で1歩でも2歩でも進んでいくということが必要なのかなと。
座長 今言ったのは、●●委員の議論というか二つの議論があって、一つは環境政策として削減しなくてはいけないんだと。そのときに直接規制で行くのか、それとも税を使うのか、あるいは排出権取引でいくのか、あるいは別の様々な手段が考えられて、その中で税を使う、これは有効な手段だと、こういう打ち出し方の仕方と、それからもう一つは税の体系の問題があるわけですよ。だから、そこをうまく融合させるということが重要で、両方の観点があるだろうということですね。
委員 しかも、地方だけでそれを完結させるということはやっぱり無理なんですよね。だから、少しでも前進するという、そういう意味では漸進主義でいいと思うのですけれども、前に進まなくてもいいという話はちょっと国際的に無理なのではないかなと。
座長 それから、今日の資料にはないけれども、経済財政諮問会議というか、今度の骨太方針の中には税のグリーン化というのが入っているんです。ここを明確にうたっているので、ここで読めというふうに私は言われている。つまり税制全体の中に、環境において公平か公平じゃないかという税制を税体系の中で考えていきましょうというのは、これはグリーン化と読むのだという様に言われていて、骨太の中にちゃんと税制のグリーン化と入っているので、そういう方向というのは打ち出しているということですね。
すみません、●●委員、何かありましたらどうぞ。
委員 まだ恐らくキャッチアップしていない部分があると思うのですけれども、地方税を組むというときの理屈が相当厳しいかなと。そこをどういう様に組むのだろうなというのがまず最初に聞いた印象です。 特に、ちょっと理解しているかどうか分からないのですが、神奈川県の炭素税の資料1-3ですと、むしろ民生の自動車関連のところに炭素税、地方税という理解でよろしいのですか。
委員 それは丸ごと全部ですね。
委員 3ページの上のほうを読むと、何となくそういう印象を受けるのですが、そうでもないのですか。
委員 そうではないですね。例えば今、国税、地方税で、エネルギー関連で現にあるものが例えば1-2でありますよね。その課税されていない部分に着目するとか、それから現にかかっている部分でも、少しそれに薄く課税してその課税標準をCO2の排出量にしていくとか、いろいろなやり方はあるのではないかと。ただ、それは1県だけで意味があるかと言われればそれは完結しないし、少なくとも関東圏でやりましょうという様なことがあるかもしれないし、最終的には地方全体でやるとか、その部分の一部分を国がやるようになる、そういう様なことですよね。
例えば、産業廃棄物の埋立税にしたって、出入りが県境を越えて行われているのに、1県で入れて完結しないじゃないかという話があったけれども、今30県近く広まっているわけですよね。だから、そういうような形で最終的に地方の連合としてできるという形もあるし、そこまでやるのだったら、国が国税として整理しましょうという方向に次のステップとしていくかもしれないし、そういう過渡期のパイロット的なものという形で位置づけることもできるのではないかと。
委員 そこは理解しているつもりなのですが……
委員 そうはいっても、どの部分に整合性のあるものを入れられるのか、どの程度形のいいものというのかな、国税と地方税の基本的な仕分けの議論にも耐え得るような相対的にエレガントなものがあり得るかどうかということだと思うのですが。
委員 余計なことなのですけれども、中央環境審とかそちらの議論とか、要するに環境のご専門の方の指導なさる環境税とか排出権取引の議論というのはお気持ちが先に出ますから、とにかく制度を入れればいい、この制度が欲しいというそれだけですよね。
でも、神奈川のこの議論は財政や税の専門家がやっていますから、その点、危なっかしさがないです。問題点を全部わかっていて、●●委員が中心になさっていますから、その点が私は救いだと思っていまして、とにかく環境税を入れよう、とにかく排出権取引を入れよう、入れた後は新司法試験の問題に出そうという、そういうのでは話にならないわけですよね。それが一番怖いので、環境の方の純粋なお気持ちというのは当然酌まなければいけません。あくまでこれは財政の問題ですから、そこを仕切っていらっしゃる限りは、あまり問題ないのではないかなと思います。でも●●委員のご心配はもっともなのですけれども。
座長 いつも●●委員が心配している価格の問題がかなり上がって、いつもそれを心配して、毎年というか毎回、この上がりが激しい、以前、前々回から心配されていましたよね。
委員 また余計な話ですが、原油価格というのはスポット価格が先々決済される価格より高いのが通常なんです。ところが、今年の初めぐらいかな、それが逆転して、決済が早い価格よりも将来決済されるほうが上がって、コンタンゴという状態になったのです。このコンタンゴの状態になったときは暴落する。恐らく80ドルか90ドルくらいになるという話をある偉い方から聞いたのですけれども、本当にそのとおりになりそうなので、中国やインドが使い始めても、もともと30ドルぐらいの基調だったものが140、150ドル、場合によっては200ドルというのは幾ら何でも行き過ぎなので、行っても80、90ドル、100ドルとか、そんな常識的なところにいく、つまり永遠には上がり続けないのではないか。調整はもしかすると、今年から始まっているのではないかという考え方もあると思いますので、それは様子を見ながらだと思いますね。変に上がり続けないと思いますけど。
委員 10ページのマスグレイブ云々ですけれども、これはやっぱり無理でしょうね。応益説で説明するのはきついだろうな。先ほど申し上げたのは、税源の移動性ということで下流という話にはならないですよね。だから、ここは少し厳しいなというのが一つ。
それからもう一つは、資料の1-2の問題ですけれども、ここではエネルギー関係税制についてとありますけれども、皆さんご承知のように、これは自動車関連税ですよね。自動車関連税の税の根拠と環境税の根拠は別ですよね。
座長 いや、それは先ほどおっしゃったんですよ。既存の税制との関係、そういう意味じゃなくて。
委員 そう。
座長 そういうものですよ。
委員 だから、空いているから課税すればいいという話ではないだろうというのが二つ。
座長 僕は地方税として課税していくということに関して言えば、技術的にクリアはできると思うのだけれども、ただ、一つの道府県だけで課税した場合に割り切れるか。アメリカみたいにニューヨーク市だけ売り値にかけているのだけれども、別にニューヨーク市だけかかって、他のところに買い物に行っても余り気にしないという腹の括り方ができるんであれば、技術的にやれない話ではないと思うのですよ。
委員 ですから、私、後ろ向きというよりも、相当厳しい理屈の詰め方をしないと、少し厳しいかなと。10ページのこれでは厳しいかなと。
そう申し上げているのは、例えば先ほど●●委員がおっしゃったように、関東圏でやりましょうとかという話になればまた違う話でしょうけれども、神奈川独自でという話になると、どうやって理屈をつけるかということは、やはり考えなくてはいけない。反対しているわけじゃないですけれども。
座長 ここの概念では、流通税という概念を入れるような要素ではないので、普通、軽油引取税って流通税で説明するのだけれども、そういう概念が入ってくるようなフェーズではない、もっと高い段階で正当化しようとしているから、応益性とか。
委員 だから、応益性とは何に対する応益性なのかとまず聞かれますね。
委員 これは理解不能ですね。
委員 これはかなり一般的な話で、これを直接適用してやりましょうということではなくて、●●さんは、こういうところをチェックポイントの一つにした時にどういう議論になるかという提起をされているだけだと思います。
委員 例えば、今日の事務局から説明があったように、東京都がオフィスビルからの排出量の削減義務を課すというようなやり方にしても、そうやって捕まえるとオフィスビル自身はそこにあるから、土地に固着しているから捕まえやすいという点で、地方税としては一つのポイントだけれども、しかし中長期的に見ると、そんなことをされるのは嫌だから、他にオフィスをつくりましょうという形になったときにどうするかという話だけれども、東京都の場合は、放っておいても集中する圧力、そこに立地したいという圧力がすごくあるわけだから、そういうところであったらできるというものだと思います。神奈川は、今どんどんオフィスが支店すらもなくて、営業所レベルが神奈川県だったのが、営業所も電車で30分、25分ですから、みんな東京に引き揚げちゃっているわけですよね、営業所レベルも。そういう中で、オフィスに東京都と同じことをやったときに、中長期的には移動していってしまう。それが神奈川県の経済は、神奈川県だけやればそこで損害を被る。それをどう考えるか。そういうようなことも、それでもやるのだと言うのか、そういう影響が最も少ない形で考えるのかというような色々な論点があると思いますね。
座長 東京都の場合には、単にCO2を削減するということだけではなくて、環境問題全体を考えているので、追い出し効果があったほうがいいという、それを含んでいるので……
委員 それは持てる地域の話であって、本社が欲しくてしようがないという地域から見ると、むかっときますよね。
座長 ●●委員、何かありますか。ドイツはもう完全に、共同税でもないし、州税ですよね。
委員 州税です。
委員 ●●委員はワーキングの中で、やって本当に政策効果があるのかということが説得していく上でも重要じゃないかという、そういうご発言されていましたよね。その辺どうですか。
委員 税の理屈という話をすると、やはり税収目的でなくて課税する場合には、二重配当とかという議論もありますけれども、基本的に従来の税の理論というのは、基本的に税収目的で課税するという前提で議論がなされており、応益課税とかも結局上がった税収で特定の分野の支出と税収とのバランスをとるというのが応益ということだと思うので、もしこれが税収目的でなくて抑制目的でかけるということであれば、従来の税の理論から離れても、抑止効果があればそれなりの説得力があるのではないかという様に思います。
それから、既存税制との絡みの話、先ほどの資料1-2の空いているところに課税すればいいという、そういう単純なものじゃないというお話のことですけれども、これは、全部に対して炭素あたりで炭素税をかけるのですが、例え他の目的にしても既存税制で課税しているところには税が重くなってしまうので、それを免除するというか減免する、あるいは免税するというような形にすれば、違う目的の税ではありますけれども、理屈としてさほど混乱しないのではないかと。だから、結果的には空いているところだけに課税することになるけれども、全部に課税するという前提で、ただ一部だけ免税するということで、それなりの折り合いをつけることが可能なのではないかなという様に思っているのですけれども。
座長 ●●委員、どうぞ発言して。
委員 私はワーキングでも割と弱気な発言を毎回しておりまして、今日の事務局の資料1-3でいうと、炭素税以外の税制の活用で、さっき●●委員は自動車税と理屈が違うんじゃないかという様におっしゃっておられましたけれども、既存の税にグリーン化というような物差しを新たに入れたときに、例えば不均一超過課税とか軽減税率の適用みたいな形で、CO2の排出量に準じて自動車税のかけ方を変えていくというようなやり方が、私のほうとしては妥当なのではないかというような発言をしていたわけでございます。
座長 ●●委員、何かありましたら。
委員 私が付け加えるとすれば、もちろん政治過程においては非常に既存の税制との整合性というのは、考えていかなければならないのでしょうけれども、一方で地方税として、特に法定外税としてやろうとした場合には、総務大臣の不同意要件との関係とかがありますので、むしろ、そうすると趣旨として違うという話のほうが不同意要件との関係では通りやすいという側面もあるのかなと。
座長 どうぞ。
委員 ●●委員が、抑制目的だけで税収目的ではないというかけ方なら課税できるとおっしゃったのですけれども、税じゃないものを地方税として課税することは地方税法に違反するのではないですか。それは大丈夫なのですか。地方税法は税をかけるのを許す法律で、税以外の罰金とかそういうものをかける法律ではないのですよ。法定外税というのは税でなくてはいけないので、税じゃないものを法定外税としてかけられますか。地方税法の縛りを取ってしまえば課税できますよ。だけれども、そういう根拠法令はないのだから。
座長 つまり、負担金とか何とかでかけた場合に迫力がなくなるということか。負担金は別に構わないですよね。
委員 それはいいですよ、そっちはあるから。だけれども、税と名乗る以上、税でなくてはいけないのですよ。
委員 それは税収目的でなければいけないと……
委員 地方税法は多分、それを前提としていますからね。罰金とか負担金のようなものを税と名乗ることまで地方税法が認めているかどうかはちょっと分からないですけれども、そういう解釈もあるかもしれませんが……
座長 ただ、最近の裁判所はよくわからないけれども、僕はこの法人税関係の分権推進委員会の勧告で、明確に協議事項というか─協議じゃなくて、前の許可事項のときの税収というか税源が存在するというのをわざわざ外したのですよね。けれども、それを踏まえて裁判をやってくれるかどうかは、この間のケースも危ないから。つまりわざわざ外しているということは、税収は上がることは上がるにしても、言ったほうがいいというのは認められ……
委員 最高裁の判決がありまして、税でないものについても法律の縛りを及ぼすというのがあるのですよ。それは、法律でなければできないという意味のコントロールを広げるという意味ではあるのですけれども、地方税法で課税することを許している税目は、税ではないものを地方税法で課税されるかどうかというのはそれとは別問題ですよね。だから、そこは結構シビアではないかなと思います。分かりませんけれども、独自にやるという手はあるのかもしれませんが。
座長 あと、ロードプライシングとかそういう手段でいくと、東京都の場合にはむしろ低公害に、低炭素よりも公害という問題、つまり地域的に発生する公害問題をどうクリアするかという視点を入れているので、環境問題というのはいつも全体性を持っているから、それと地域で課税する場合に、地域全体としての、神奈川県で言えば生活環境を確保するのはどうしたらいいかという視点は出てくるだろうと思います。
それから、排出権取引について言うと、この間も事務局の人が来たとき言ったけれども、東京都の税制調査会で議論したときにも、いわゆるここで言う産業部門を排出権取引でいって、ポリシーミックス論と結びつけて家計部門に炭素税をかけることが目的なんだという議論を展開するし、そういう議論がかなり広まっているのですが、そもそもCO2税を入れるときに気をつけなければならないことの一つとして、負担がともすれば逆進的になるというのはみんな意識していたんですよね。それをどうやってクリアするかという問題を意識していたのですが、これが少し最近忘れられて、つまり限りなく家計にかける税だということで、これだと割とかけやすいことはかけやすいですよね。下流でかけるとか、限りなく電気、ガス税での復活になる可能性もありますが、地方税として課税技術上も産業部門のほうが排出権取引でいきますからという、ポリシーミックス論を掲げて正当化するのだけれども、それはいかがなものかという気がして、委員長の印象ですけれど、あそこの委員会では否定的な観点の人が多かったです。つまり、やるのだったら、みんな引取り段階でも何でもいいから課税してもらって、それとセットで排出権取引をやるのならばやってもらってもいいけれども、それはそれ、これはこれで両方やったらいいのではないかという様な感じで、特に排出権取引導入のポリシーミックスを有機的に考えて、ここだけ限定するという議論ではなかった。ここはここで構いませんがという様な理解でいいですよね。
委員 はい、間違いなく。
委員 排出権と課税の話だけしましたが、ここにいる全員に、排出権を例えば100万円分渡すとしますよね。足りない人は買うという様にしたときに、最初に渡したときに法人税をかければ税収は上がるのです。買う人は、もちろんその分費用控除すればということになりますから、100万円よりも余計買うと、もちろんそれよりも低くはなりますけれども、全体としては国なり地方なりに税収が行くので、排出権取引について、毎年幾らの排出権をあげますというそこに課税をすれば、自然にそれは課税になるのですね。ただ、排出権に課税すると環境の人が怒るかもしれないので、それはちょっと分からないのですが、だからある種環境税になり得る話。だって、ある権利が天井から落ちてくる、タダじゃないでしょうと。入ってくる以上は収益だろうという・・・
座長 取引のためには消費税はかかるの。
委員 消費税も本当はね。
座長 いや、今のは法人税の話ですよね。
委員 だから、消費税をどう考えるかと。どこから排出権がやってくるんだろうとかいろいろあるんですけれども、法人税は少なくとも今の感じであれば、排出権取引自体が環境税とリンク、要するにCO2税ではない環境税という形にはなると思うのですよね。結構僕はそれでいいかなと思ったのですけれども、要するに企業に増税できる。だけれども、企業は反対するでしょうね。
座長 負の財とサービスみたいなものを取引しているだけですからね。
あと、排出権取引の場合には、問題なのは取引というか総量をどこで設定するかという話で、金さえ払ってどんどん出したほうが得だという話になってしまうので、総量規制を著しく低くしないといけない。それから、必ずしも排出権取引が万能というか、かなり効果が出てくるというわけでもなくて、どのぐらい低く設定できるかという政治的な条件に関わってきますよね。
委員 ですから、現実には、国レベルのものも東京都レベルのものも効果は期待できないので、私は逆に産業、事業所も含めて環境税を入れた方がいいというのが結論なんですけれども、どうも東京都の排出権取引を見ても、あれだけ大口だと限られたところしか効果ないので、国は強制でもありませんし、ですから、これがあるからということで環境税が遠慮するのはよくないことだと思います。
座長 あと、●●委員のほうから、何かこういう論点は、とりあえず今日は途中経過ですよね。だから、こういう議論はやっておいてもらいたいというもののアジェンダはありますか。
委員 いや、もう大分していただいたので。ただ、これはこの委員会といいますか、神奈川県の事務局との関係で、どのタイミングで出していくのかという話で、知事さんがこれを諮問されて、その後色々な県が具体的に出来るところから色々なものをやり始めていますよね。そういう中で、こちらも何か国の動き待ちみたいなことでいいのかどうかという、そういう判断もあるのかなということなので、議論だけしていても温暖化がどんどん進んでいるようなので、出来るところからやった方が良いというようなご判断をこの親委員会でしていただくのか、それともあまりガタガタしないで、あと半年ぐらいにいいものをつくれということなのか、今の議論の状況からどういう様に考えたらいいのか、事務局の方のお考えもあるでしょうけれども、その辺のところをワーキンググループとしては方向付けをしていただくとありがたいなと思います。
座長 私は、いつ打ち出すかということは別として、国がどういうスタンスをとるかということについては、気にしないで進めてもらって構わないと思います。いつ打ち出すのかという判断とは別ですよね。つまり国がこういう政策を入れそうだから、それに遠慮してとか、それを見定めてから入れようという様なことはしなくてもいいのではないか。前の自動車のグリーン化の時も、東京都が走れば、それに後押しされたような形で国は入れてくるので、それは気にしなくてもいいと。
ただ、むしろこういう間接税を1都道府県で入れるということは、東京都の自動車税のグリーン化の時には、既に入っている税の従量の基準を変えていくということであったわけですよね。道路損傷負担金みたいなことで正当化しているけれども、環境損傷負担金みたいな観点を入れて、基準をつくり直したらいかがですかという様なことで入れていっているわけだから、少し新しい税金をつくるという話と違うので、地方税として、どの課税のインパクトでつかまえるかというようなことを含めて、そこは慎重に検討してもらった方がいいと思いますが、だからといって、国がこういう税金を考えているのでということは、余りこれまでの経過から言っても、どこまで環境省が良い税制をつくって出してくるかというのはよく分からないから、むしろ先導すると。私たちが先導的に入れるのだという気持ちでいいと思いますが、1県だけで入れていくということの難しさは慎重に検討して頂いた方がいいと。国との関係ではタイミングを気にする必要はないと思うけれども、だからといって、潰さなければいけない論点というのは多くあるわけだから、それは慎重に潰してもらったほうがいいと私個人としては思います。
あと、皆さん方。
委員 知事さんからの諮問で、いつまでに答申というのはありましたか。
担当課長 知事の希望としては、1年ぐらいで答申してもらったらありがたいという気持ちでお願いをしてございます。
委員 じゃ、3月ぐらいまででいいわけですね。
部長 難しい議論であるというのは、知事もよく承知ですので。
委員 わかりました。
座長 特に電気、ガス税みたいなのをつくってしまうと、電気、ガスはただでさえ値上がりしていくわけですよね。そこに追い打ちをかけて、大企業は排出権取引ですからといって、電気、ガスみたいな税金は少し慎重に考えないとやりづらいよね。
というようなことでいいですか。あとは、何か特に今の論点ぐらいでよろしければいいですか。
座長 それでは、次の2番目の議題で、今後の地方財政制度のあり方について、これも事務局からまずご説明をお願いします。
担当課長 お時間も余りございませんので、資料2の系統で用意させていただいてございます。最後に、参考2という形で新聞記事を用意させていただいていますけれども、先般、7月18日に全国知事会議が開催されまして、そこで幾つかの税に係る報告がございまして、その時の資料を用意させていただいております。参考2の新聞記事にございますように、一番メインになったのは消費税上げ、消費税の充実についてどういうふうに切りかえていくかという各地の非常に大きな課題となってございます。
この新聞記事は「消費税上げ実質提言」とございますけれども、実際は充実という提言になっていまして、次のページを見ていただきますと、松沢知事の顔写真がございまして、ちょうど真ん中あたり下に、知事が、引き上げというのを明確にしていかないと地方は今後成り立っていかない。だから、ここで明確に引き上げということを言っていくべきだという発言をしたのでございますけれども、全体としてはそこまで踏み込んだ議論にはならなくて、知事が会議のあり方について否定するというような新聞記事になっているということです。
一応こういった知事会の状況で、この関係での資料を少しご紹介していきたいということで、まず資料2ですけれども、資料2は、ここに記載のとおり、全国知事会の中に「地方財政の展望と地方消費税特別委員会」というのが設けられて、これは今後の地方の抜本的な税制の見直しということで、この中で地方消費税が核になっているということで、全国知事会としても主体的に提言をしていこうということで、知事会に設けられたということでございます。
この会議の中でも、座長に来ていただいて講演をいただいたという様な背景もございますけれども、そこで取りまとめた内容で非常に細かい内容ですので、4ページをちょっとお開きいただきたいのですけれども、この提言の特色としては、全国の都道府県また市町村も併せて、今後の財政見通しについて照会をかけて、今後どうなっていくのかということを一定の要件のもとにシミュレーションしたということが今までなかったわけでありまして、まして全国の市町村が入ってきますので、それでいきますとケース1とケース2がございますけれども、ケース1をご覧頂くと、平成23年までのシミュレーションをしていまして、今後の歳出と歳入をそれぞれ出して、大きくは社会保障関係の経費の中にございます義務的経費の中では、社会保障の義務分が今後伸びていく。また義務的経費以外の経費についても、社会保障等生活関連経費、ここら辺が伸びていく。それ以外のことにつきましては、行革等で努力していくと。歳入につきましては目立った増減がないということで、財源不足額として括っていますけれども、平成23年には△2.9兆円になってきますということです。これは色々と工夫はしていきますけれども、結局、財源不足額が解消できないと。基金も底を打ってしまって、平成21年には都道府県の一部が破綻していくと。平成23年には市町村も含めて多くのところが破綻していくと。このままではどうしようもないというようなシミュレーションが今言ったところでございます。
恐縮ですが、22ページをちょっとお開きいただきたいんですけれども、行革は当然進めていくという前提のシミュレーションの中で、22ページに、結局こういった財源不足に対応して行政サービスが大分低下していくと、どういうことをやらなきゃいけないかというシミュレーションをしていまして、例えば教育分野において、学級編成基準、これは法改正も必要になってくると思うのですが、例えば公立学校の小学校の1クラスを40人から60人、それから中学も高校もそういう様にしていくと、そうすると、2兆500億円カットできる。また、県単独私学助成の廃止ということで、県が私学助成していますけれども、こういったものもカットしていく。
さらに、警察の交番も統廃合していって人員削減していく。交番を4,000カ所廃止していくと、2,500億円の減になっていく。諸々ございますけれども、こういった行政サービスの低下をしていって4.8兆円削減されるけれども、結局7.8兆円は埋められない。実際、県民の方にこういうのを見せれば、こんなことはとんでもないという話になってくると思うのですけれども、こういったようなことも研究会の中で議論していきたいということでございます。
33ページでございますけれども、結局、最終的には地方消費税の充実をしていかなければいけないということで、今後身近な地域福祉等のサービスを安定的に提供していくためには、税収の偏在性が小さく、安定的な地方消費税の充実が不可欠ですという様な結論になっているということでして、この内容につきましては、全国知事会の中でもその通りだという様に、皆さん各知事がおっしゃっていたのですけれども、かたち的にそれをどういうふうにアピールしていくかということは、今の経済情勢等を踏まえると、なかなか地方消費税を上げていくと中身は言っているのですけれども、そういった文言を使うというところまでは行かなかったというのが、この知事会の状況でございます。
具体的な提案とされたのは資料2-2でございまして、「地方財政の展望を踏まえた地方消費税の充実に関する提言」ということでして、ただいま申し上げたような、3番目ぐらいの段落の真ん中ですか、「今回、全国知事会として試算を行った結果、地方の財源不足は、平成23年度には7.8兆円から8.3兆円」、こういったような巨額に上ると、「事実上破綻に追い込まれると言っても過言ではない」ということで、下のほうの(1)ですけれども、結局地方消費税を充実すべきであるということでまとまっています。いろいろ書いていますが、こういう様な幾つかの課題、地方消費税の充実だとインパクトがないので、地方消費税の税率を引き上げるべきだというような、松沢知事をはじめ幾人かの知事も賛成されたんですけれども、そこまでの提言には至っていないというのがこの報告書で記されています。
あともう一つ、資料2-3ということで、全国知事会の中に「地方税制小委員会」が設けられていまして、この中でもそういった地方消費税の充実の必要性、議論していますけれども、ここで触れさせていただいたのは、2ページの下段にある道路、自動車関係税制でして、暫定税率分が一般財源として道路特定財源を一般財源にしていくというような流れがございますけれども、2ページの下のほうに、ご承知のとおり、4行目くらいに「極めて厳しい地方財政の状況」とございますけれども、現行の道路特定財源収入というのは、結局国においてはだぶついているかもしれませんけれども、地方においては、こういった道路特定財源は4割を賄うにすぎないというような状況ですので、これが減らされてしまいますと、地方はもう破綻してしまうという様な整理がされています。
3ページの下にもございますように、3の「国の道路特定財源」ということで、(1)で「道路に係る需要の約4割を賄うにすぎない」と。国の道路特定財源は、地方道路税の全額、自動車従量税の一部が譲与税として地方に譲与されているほか、交付金とか補助金で、こういった地方枠を確保していくということで、4ページでございますけれども、じゃあ、こういった地方枠をどういう形で確保し地方の自主性を高める仕組みが必要かということで、地方枠の確保に当たってはということで、そのための方策として、国から地方への税源移譲、譲与税化、新型交付金制度の創設が考えられるという整理をして、今後それぞれについても、さらにこの委員会の中で検討していくというようなことですけれども、松沢知事からは、やはり分権を考える場合には、税源移譲というのをメインに考えるべきじゃないかということで、ただ、非常に偏在性の高い道路財源の偏在性もございますので、例えば地方消費税みたいな指向を持って税源移譲をしていくのが一つの方策として考えられるのではないかというような提言を松沢知事からしています。それに対して何か譲与税っぽいという意見もあったのですが、それについては今後検討していくということでして、ただ感触としては、新型交付金制度の創設にかなり皆さん意識がシフトしているのかなというのがございました。そうすると、また従前の繰り返しみたいなところもあるので、そこら辺の議論は、やはり神奈川県としては、税源移譲をはじめとして自主性の高いものに切りかえていくべきではないかというような意見を持ってございますけれども、これについて全国知事会では引き続き議論をしていくということでございます。
一応こういったような議論、ご報告が全国知事会でなされたということで、今後の税制改正の中に大きく出てくる部分ではないかと考えてございます。
以上、報告でございます。
座長 どうもありがとうございました。何かありますか。
委員 ちょっと一つ、知事会で安定した税源というときに地方消費税というのがすぐに出てくるわけですけれども、国のほうも消費税に期待し、経済界のほうも年金の基礎年金部分の財源として期待するという、全部の要求が消費税に集中しているような状況ですよね。それで安定ということを考えると、もともと事業税の外形標準化ということをやって、法令が4分の1ですよね。その後、例えば外形標準部分を増やしていくとか、私賛成しているという意味ではないのですが、広げて、そこの部分を充実させていくとか、そういう議論というのは知事会に全く出ないのですか。
担当課長 今、知事会で一番議論されているのは、地方法人特別税として国税となった部分、それを譲与税化していくということですけれども、これにつきまして、ただ神奈川県はとにかく元に戻すべきだと。東京都や愛知県もそういう主張をしておるのですけれども、それが必ずしも地方によってスタンスが違っており、今後、固定化すればいいのではないかという意見を持っているところもかなり多いという状況です。
ただ、あくまでも暫定措置であって、抜本改革のときにそれを見直す必要性は当然あるということで、その際に例えば外形標準課税の割合を高めていくべきじゃないかというような意見は、特別委員会の中での議論として、例えば福岡県なんかもそういうことを言っていますし、松沢知事も同じ指摘をしてございまして、我々としても、本来に戻したときに、外形標準課税の割合を高めるという方向で戻すということは必要じゃないかという様に考えております。
座長 割合を高めるというのはどこかに書いてありましたよね。将来に向かって外形標準課税の割合を高めていくべきだと。何かに書いていなかった?知事会の要望ではなかった?何か別のもので見たのかな。
担当課長 知事会では、外形標準課税の割合を高めるということはまだ言っていないですね。ただ、地方法人特別税が外形の部分は地方に丸々残しておいて、所得課税の部分だけ地方法人特別税と言っていますので、そこでは少なくとも外形の割合を高めるといいますか、戻ってこないと外形の割合が高まってしまうということにはなってしまうのですけれども、そうではなくて、戻した上で外形の割合を高めるというのが本来の目的ではないかと思っております。
座長 いいですか。どうぞ。
委員 この前の知事会のことで、確認したいのですが、今日の参考資料である神奈川新聞の記事にもあるように、どの新聞も「消費税率引き上げで意見が対立」という内容になっているんですけれども、地方消費税は国の消費税と一体になっているから合意できなかったのか、それとも地方消費税のウエイトを増やしてくださいということも、合意できなかったのか、その辺を教えてください。
課長 地方消費税の充実ということは言えています。
委員 合意できていると。
部長 やはりそこが一番議論になったのですね。やはり消費税全体を上げないと、地方消費税のアップはあり得ないだろうという認識は各知事さん持っていらっしゃる。それで、ここで所謂5%の中の1%を2%にしてと、そういうのならいいんだけれども、やっぱり現実的にそれはあり得ないだろう。そうなると、5%をそのまま引き上げをせざるを得ない。そこで知事会として、今そこまで申し上げることに対しては少し躊躇すべきじゃないかという声も非常に強かったということで、ちょっと玉虫色的に「充実」という言葉になってしまった。最初の案は引き上げだったのですね。
委員 やはり国税としての消費税と地方消費税の全体の話の中で、国でもまだ揉めていますから、国のこともおもんぱかって知事さんたちはそこまで踏み込んでは言えないだろうということですね。
部長 そうですね。
委員 わかりました。
座長 そういう解釈なのね。私は前のときに「移譲」と書いたら「充実」に直されたんですよ。「移譲」と「充実」はどう違うのと聞いたら、充実というのは税率を引き上げたときに地方税も増やすというのを充実というのだという様に教わったのだけれども、そうじゃないのですね、この「充実」というのは。
担当課長 私なんかはそう思っていますけれども。
座長 なければ、事務局の方で何か連絡事項、その他あれば。
事務局 どうもありがとうございました。
次回は各委員に日程調整させていただきまして、概ね3カ月後、10月下旬から11月にかけてもう一度開催できたらと考えております。
以上でございます。
座長 それでは、これで40回目の税制等研究会を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。
-以上-
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