更新日:2024年1月4日
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このページでは、第41回神奈川県地方税制等研究会の審議結果を掲載しています。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
第41回神奈川県地方税制等研究会
平成20年11月19日(水曜日)10時00分~12時00分
神奈川県庁 新庁舎5階 新庁応接室
(座長)神野直彦、堀場勇夫、金澤史男、中里実、半谷俊彦、吉村政穂、高井正
未定
政策局 財政部 税制企画課 調査グループ
電話番号 045(210)2308
事務局 お待たせしました。定刻になりましたので、これより第41回神奈川地方税制等研究会を開催いたします。
また、本日は、△△委員、△△委員より欠席との連絡をいただいております。
傍聴者として、2名の方を許可しておりますので、ご了承ください。傍聴される方は、お手元の注意事項を厳守されるよう、お願いします。
それでは、次第に沿いまして進めさせていただきますので、議事の進行は座長にお願いいたします。
座長、よろしくお願いします。
座長 委員の皆様方にはご多用の折、ご参集いただきまして、ありがとうございます。
本日は、議事次第にございますように、神奈川の地球温暖化対策における炭素税等の導入の検討についてという議題でご討議をいただければと思っております。会議の形態は、研究会とワーキンググループの合同開催という形で進めたいと思っております。
まず、炭素税の導入の検討につきましては、前回7月31日に開催した研究会において、各委員からご意見を頂戴いたしました。これを踏まえて、ワーキンググループでさらに論点整理を行っていただいております。
それでは、この点に関しまして、事務局からご説明をいただきたいと思います。
担当課長 お手元、資料を3つ用意させていただいております。資料1としまして「神奈川県独自の炭素税等の導入に当たっての課題等の検討(たたき台)」でございまして、これはワーキンググループで議論していただいたものを整理したものでございます。また、資料2につきましては、この検討したものを受けまして、具体的な課税の仕組みについて整理したものでございます。また、資料3につきましては、現行の化石燃料に対する課税について記したものでございまして、これも後ほど、併せてご説明したいと思います。
まず、資料1をご覧いただきたいのですが、前回、この研究会でご議論いただいて、ご指摘いただいた点を中心に、論点、検討課題ということで整理をしてございます。
まず、1番目の検討課題といたしまして、神奈川県独自の炭素税の目的ということで、課題等の内容の最初の○でございますが、CO2削減を目的とする炭素税等は、国の導入意義はあるにしても、単独の県で地方税、法定外税として導入することに意義はあるのかという点でございます。
これにつきましては、右のほうで考え方を整理いたしましたが、最初の○のところで、最初のこの「経済活動やライフサイクルを低炭素社会に向けて変革していくには、地域の力をいかすことが求められており」と、ここの文については、今年度の骨太方針、※の1で記載してありますけれども、要は国だけではなくて、国全体、社会全体で地域の力を活かしてこれに対応していこうという位置づけになっております。
これらを受けまして、神奈川県においても、県内のCO2排出削減につきましては重要な政策課題として、今取り組んでいるところでございます。従いまして、CO2排出削減を目指す、このような税制につきましては、CO2排出削減効果と、今後増加すると予想されます、地球温暖化対策の財源としての意義が期待されると考えております。
また、2番目の○でございますけれども、下のほうにアンダーラインを引いておりますが、神奈川県の炭素税導入につきましては、国における炭素税の導入に向けた先導的な位置付けも出来るのではないかと整理しております。
次に、下の○でございまして、神奈川県独自の炭素税の目的をCO2削減とした場合、その効果は本当に期待することが出来るのかということです。
これにつきましては、右で、まず最初の○ですが、神奈川に限り適用される炭素税を導入しようとする場合は、単独ですので、流通への影響や産業活動の他地域への流出を踏まえると、税率の水準を抑えざるを得ないでしょう。そうすると、CO2排出の抑制効果が高い税制を講ずることには一定の限界があるのは確かであります。
しかしながら、ただ税負担が小さいものであっても、効果的な税制を仕組むことによって、神奈川県の姿勢をアピールするとともに、それだけではなく、県民や企業にCO2削減に向けた行為を選択するような、一定のインセンティブが働く税制を構築することは可能ではないかということで、整理をしております。
2ページでございます。この論点につきましては、この前の研究会でも議論がございましたが、地方税として炭素税、この場合は法定外税を想定しておりますが、炭素税を導入する場合、税収確保を目的としないで、CO2削減のみを目的とすることは有り得るのかという論点です。
まず、右の一番上の○でございますが、経済的手法としての炭素税につきましては、CO2排出の抑制が目的であって、その抑制効果があるのであれば、政策手段としては十分存在意義があると考えられますが、アンダーラインを引いている所で、租税、地方税として、通常求められる税収目的を具備していなくても良いのかという論点が考えられます。特に、神奈川で独自に炭素税を導入するのであれば、法定外税ということが想定されますので、法定外税として具備すべき要件が求められてくるのではないかと思います。
3番目の○、これは総務大臣の同意要件でございますが、法定外税の創設に当たっては、総務大臣の同意要件から、分権改革の中で、税源の有無及び財政需要の存在について、総務大臣の同意から外されましたので、総務大臣の同意においては特段の問題にはならないと考えられますが、創設に当たっては、その存在は前提ではないかという考え方が、国等にございまして、税収を目的としない法定外税はあり得ないのではないかということで整理しております。
4番目の○において、そこで神奈川県独自の炭素税の税収目的について考えた場合は、炭素税の導入によって、CO2排出量が抑制、削減されたとしても、税収がなくなるというところまではいきませんので、税収は必ず存在して、その税収によって財政需要を賄う役割を果たすことになるでしょう。従いまして、その意味において、炭素税の目的は抑制だけではなく、税収目的も併せて存在しているという整理ができるのではないかということで、ワーキンググループで議論がございました。
次に、3ページでございます。2の担税力・課税客体、併せて議論してございます。 中段の中で、税を課税するに当たっては、担税力の存在が当然必要と言えますけれども、化石燃料からのCO2の排出に担税力が見出せるのでしょうかという論点と、併せて、神奈川独自の炭素税の課税客体をどのように捉えていったら良いかという論点でございます。
右の担税力・課税客体でございますが、化石燃料からのCO2排出そのものに普遍的に担税力を見出して、課税客体とすることは難しいのではないかと思います。その場合、CO2排出の原因となる行為に、消費とか購入とか、そういうものに担税力を見出し、その行為を課税客体として従量で課税することで、制度上は問題がないのではないかという整理をしてございます。
また、次の○、炭素税によるCO2排出の削減効果をより高めていくためには、これは一般的な炭素税という意味での議論でございますけれども、化石燃料が最終消費される段階で課税する、いわゆる川下課税が本来的に最もふさわしいのではないかということでございます。したがって、炭素税の制度構築に当たっては、最終消費段階における課税を原則としつつ、課税技術上の理由等で、最終消費の段階で課税することが困難な場合には、その前段階で課税することが選択肢として採り得るのではないかと思われます。基本的なスタンスはこうなるのではないかという整理でございます。
次の○でございまして、化石燃料の最終消費を地方税の課税客体として捉える場合には、化石燃料の最終消費段階、最終消費段階は一体何かという議論をいたしまして、購入または消費・使用がふさわしいのではないかと整理しております。
その下に、製造段階、卸・小売、最終消費という、大雑把な流れを記載しておりますが、輸入・製造段階では、化石燃料を輸入もしくは精製して、それを蔵出しをしていきます。それが卸・小売段階、蔵出ししたものを仕入れして、もしくは引き取りをしていく、それを販売していくのが卸・小売段階として捉えられるでしょう。最終消費としては、販売したものを購入して、かつそれを消費・使用していく段階があるのではということで、ここでは整理しております。
あと、次に電気の取り扱いを、少し別で取り上げましたが、電気につきましては、発電時に化石燃料の燃焼によってCO2が排出されますので、炭素税の概念でいくと、電気を使用する段階ではCO2の排出がありません。そこで、電気に対して炭素税を課税するのであれば、本来CO2排出がされる発電時に課税することが考えられます。しかし、地方団体がCO2削減のために川下課税するのであれば、電気の使用段階で課税することが効果的と考えられますので、電気につきましては、CO2の排出量に応じて課税する炭素税を非課税として、使用段階でCO2排出の換算量に応じて課税する仕組みを考える必要があります。電気はとりあえずこういう整理が必要なのではないかということで、整理をしてございます。
次に、3の国の政策、特に排出権取引との関連でございまして、これにつきましては前回の研究会で議論がされまして、最後、座長のほうで整理をしていただいた内容を記載してございます。
排出権取引をどのように考えていくかでございまして、2番目の○で整理してございます。2行目の「また」からでございますが、国において試行として導入される排出権取引制度は、目標・参加が自主性であって、キャップもないものでありまして、罰則もない模様でございます。現段階においては、経済的誘導策としての効果は十分と言えないこともございますので、神奈川県独自の炭素税の検討に当たっては、排出権取引制度の導入とは切り離して検討すべきであると、前提で整理しております。
3番目の○で、ただその議論につきましては十分見極めつつ、神奈川独自の炭素税の検討を進めていく必要があるということで、十分それも視野に入れてということで整理しております。
4でございます。一つの県で行うことへの課題ということで、まず1点目として、流通への影響及び事業所の流出ということです。一番右の欄でございますけれども、まず流通への影響として、特に自動車燃料につきましては、既に一定の税率水準がある既存税が課税されておりますので、新税により目に見えるCO2排出効果を期待するのは、ある程度の税率水準が本来必要であると考えられます。しかし、税率水準の程度の如何で流通に影響を及ぼすという声や、手紙等をいただいておりますけれども、また総務大臣の同意に当たってそこが議論になる可能性も出てくるということがあるでしょう。つまり、流通への影響はこういう形で出てくるのではないかと思われます。
灯油の部分は除きまして、5ページでございますけれども、また事業所の流出という面でございますが、これにつきましても、2番目の○で、神奈川県における事業所立地の有利性は、東京都と比較すると相対的に低いということもございますので、神奈川県独自の炭素税を導入することによって、企業が中長期的に地域外に流出することも十分考えられます。こういったことを踏まえて、制度設計の方向性を整理しておりますが、その解決の方向性としては、(1)として、炭素税の税率を低く設定し、負担をできるだけ抑えるということが挙げられます。(2)として、自動車燃料につきましては、他の課税対象よりさらに低い税率設定をするか、既存の税負担を考慮して、新税の課税対象としない方法も考えられます。(3)の灯油につきましては、軽減税率を採用するという方法も考えられます。さらに、(4)として、法定税、自動車税とか法人事業税などについてグリーン化を図っていくことで、そういったものが解決していくのもあるのではないかということで、整理しております。
次に、(2)の課税権の及ぶ範囲ということで、徴税上の課題でございます。これは、最終消費を適当と捉えることで考えておりますが、最終消費のどの段階で課税していくかという議論でございまして、右の一番上の○、自動車の燃料の消費・使用を最終消費と考えた場合、通常で考えれば、燃料の消費または使用を課税客体として、消費者または使用者を納税者、販売業者を特別徴収義務者とすることが考えられます。
ただ、自動車については、消費を課税客体として捉えますと、県外における消費も当然考えられますので、県外における消費そのものを課税客体とすると、その県外における消費というのは、果たして課税権が及ぶのかという議論があるのではないかということが最初の○でございます。
そうした点を踏まえたときに、課税客体については、消費・使用ではなく、その微妙な前段階ですけれども、自動車等の燃料の購入を課税客体として捉えて、販売業者を特別徴収義務者とすることが税制上、適当であると考えます。軽油引取税も、引取りということになっておりますが、結局その引取りというのは、この同じ段階の購入ということで、軽油引取の税制は構築されておりますので、このような税制の構築があるのではないかということで、整理してございます。
恐縮でございますが、6ページをお願いいたします。
6ページは、負担の逆進性の問題です。当然、家庭に対しても、電気・ガス、灯油に対して課税していくと、家庭への負担も大きくなってくるので、これにつきまして逆進性を緩和する必要があるのではないかということです。3番目の○のところで、電気・ガスについては免税点や基礎控除方式を導入することも考えられ、また灯油につきましても軽減税率の導入も考えられます。※6は、これはかつて消費税導入前にあった市町村税の電気税・ガス税についても免税点制度があったことを紹介したものでございます。
6の既存税制との調整につきまして、既存税制で化石燃料が道路特定財源等で課税されておりますので、それとの調整をどうするのかということで、右の一番上の○でございます。その調整方法としては、まず(1)の環境省の平成17年環境税構想のように、CO2の排出量に応じて網羅的、一律に課税する、もう単純に上乗せをしていくという方法と、(2)として、既存税の税負担と合わせて、一定の税率設定となる新税を導入する手法ということで、要は括弧にありましたように、既存税の税率水準が高い部分は新税の税率を低くするか、もしくは課税をしないという、2通りを想定しております。
また、法定外税として考えると、先ほども申し上げましたが、総務大臣の同意が必要になってきますので、その中の不同意要件の1、「国税又は他の地方税と課税標準が同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること」も考えていかなければいけないということで、一番下のアンダーラインでございますが、「揮発油税・軽油取引税等が課税されてる自動車燃料に対しては、その負担水準を踏まえ、課税対象外とすること等も検討課題である。」ということで提示しております。
7ページの税制のグリーン化につきまして、これは骨太方針に盛り込まれているということで、前回も座長からご指摘がございました。これにつきましては、税制のグリーン化も併せて検討していく必要があるということで、ここで整理をしてございます。
最後、8の徴税技術上の問題ということで、これは最後のまとめという意味合いでございますが、一番上の○は、まず最終消費段階で課税することが最も効果的であることを前提で考えた場合に、まず電気・ガスの化石燃料の消費につきましては、先ほど申し上げましたように、化石燃料の消費もしくは使用者を納税者として、販売業者を特別徴収義務者とすることがまず考えられます。これは、かつての市町村電気・ガス税と、仕組み的には、基本的には同じでございます。
また、2番目の自動車等の燃料の消費につきましては、先ほど申し上げましたように、購入者を納税者として、販売者を特別徴収義務者とする方法が考えられます。
また、最後の○でございますが、重油、石炭、その他の化石燃料につきましては、県内の販売事業者からの入手以外にも、多くの流通経路や使用形態が想定されますので、これは消費者による申告納付を選択せざるを得ないだろうということで整理しております。この場合には大口の利用を考えられますので、一定規模以上の事業者または一定量以上の消費者による申告納付の方法が考えられるのではないかということで、最後、8ページですが、この「以上のことから」につきましては繰り返しになります、今の3つの課税客体について整理しています。
最後の○で、ただこの場合に、かなり税金としては重いものですから、徴税機関の負担が予測されます。よって、このようなことも今後少し分析していく必要があるということで、整理しております。
一応、こういう論点整理をいたしまして、資料2でございますが、資料2は、今整理した内容で、課税客体の区分に応じて課税標準をどのようにとるか、課税方法をどうするかという、今申し上げたことを整理したものがこれでございますので、一番網羅的な炭素税を導入するのであればこうしたものが考えられるのかなということで、整理してございます。
この2枚目でございますが、これはそれぞれの課税客体について、製造の段階から最終消費の段階まで、理論上、技術上、抑制の観点から、一応検討して、それぞれ、最適の分は網かけにした部分ということで、この網かけにした部分を抜粋したら、結局1枚目の表になっているという形になってございます。
3枚目でございますけれども、この3枚目はグリーン化も含めて整理したものでございまして、前回、ワーキンググループで報告した時も、このような要素も報告に含まれていたわけですが、まず案の1につきましては、今1枚目の内容を整理したもので、最も網羅的に課税した場合の新税をイメージしたものです。
案の2につきましては、既存税が非常に高くなっているもの、それは自動車燃料の部分と、あとジェット燃料が、実はかなり高くなっておりますので、自動車燃料とジェット燃料について、課税客体から既存税の調整のみで外した場合のものです。ですが、案の1に準じた整理になっております。
案の3につきましては、自動車税のグリーン化ということでございまして、排出量の少ない自動車について軽減税率を適用し、それ以外は超過課税を適用するという方法が考えられます。かつて東京都、神奈川県でも平成10年に議論したことがございますが、大体その内容を整理しております。
また、案の4につきましては、これは法人事業税のグリーン化ということで、CO2排出量の少ない、もしくは削減をしている法人や事業所について軽減税率を適用し、それ以外に超過課税を適用していく方法も考えられます。超過課税、不均一課税の組み合わせということで、同じ繰り返しでございますが、(1)ですべての法人に対して超過課税、場合によっては、現行の超過課税を維持するのであれば、その上に上乗せをして、かつ(2)として、CO2排出量が一定規模以下の法人もしくは排出削減努力が顕著なことが客観的に明らかな法人については不均一課税により軽減していきます。このような課税自主権を活用したグリーン化も考えられるのではないかということで、整理をしております。
最後、資料3ですが、これはご承知の資料でございまして、既存の税が、上流・下流で、上流では石油石炭税、下流では製品段階で、記載のとおりの税がかかっています。これに対して、太枠で括った所に、販売単位当たりのエネルギー税の炭素トン当たりのエネルギー税が課税されていることを記載しております。
その下に二重線で記載してあるのは、環境省の炭素税案、これは炭素トン当たり2,400円という案ですので、その水準を整理したものです。例えば、ガソリンでいきますと、既存税では、下から3行目の欄で55.84円、リッター当たりかかっていますが、炭素税の欄ですと1.52円負担になってくるということになります。ただ、これは既存税が高いわけですので、例えば灯油ですと、既存税は2.04円しかかかっていないということにもなり、石炭につきましては0.7円、キログラム当たりという形で、既存税の負担が薄くなっておりますが、炭素税をかけますと、逆に石炭の場合は新たにかける炭素税のほうが高くなってくるという、一応今後の税率水準を議論する上のたたき台として、こういうものを用意させていただきました。
私からの報告は以上でございます。
座長 どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様方からのご発言に移りたいと思いますが、ワーキング委員長から何かコメントがあればお願いします。
委員 前回、ここの研究会でご議論いただいて、その後、事務局が精力的にたたき台のたたき台というのをつくっていただきまして、ワーキングで、ほぼ月1回ぐらいのペースでたたき台のたたき台を議論しまして、今日のたたき台になったという経緯でございます。
私がポイントと思われるところを、3つほど述べさせていただくと、一つは、パイロット的なものであるということですが、空想的なものではなく、一県のレベルでも具体的に出来る仕組みを詰めて考えたことが一つの特徴であると思います。
具体的には、徴税技術上の問題をクリアするために、川下での課税、具体的には最終消費段階での課税ということで、消費に対してかけるのですが、徴収は販売者を特別徴収義務者にしていくことで、ほぼ徴税技術上の問題はクリアできるのではないかということです。また、消費者の行動をコスト的に変えることで、その環境問題に資するような仕組みという点でも、効果はあるのではないかというのが第1点です。
それから、第2点は、法定外税としてつくることを考えているわけですから、これはまた色々な協議の対象になり、様々なハードルを超えていくことを実際に考えることです。そう考えたときに、税率は低く設定せざるを得ないだろうということ、それから既存税との関係でも、既にかなりの程度かけられている所については非課税扱いにするというのが有力な選択肢になるということです。それから、グリーン化と言われているのは、要するに環境に良いものは軽課にして、悪いものは重課にして、部分的にはレベニューニュートラルという仕組みも組込んでいくということ。それと、できるだけその負担が過重にならないように、不同意要件に引っかからないような配慮もしたことが2点目です。
それから、3点目は、排出権取引制度との関係ですが、前回のときは、まだ政府案が明確ではなかったということがありました。私、個人的にも、ポリシーミックスの可能性の検討ができるので、検討に値するのではないかと思っていたんですが、実際に出てきたものが、要するに総量の規制がない、そのキャッピングがないということで、これに大きな期待はできないということがはっきりとしましたので、この問題とは切り離すということで全体の制度を考えました。
その辺のところで、私からは以上でございます。
座長 どうもありがとうございました。
ご議論いただければと思いますが、僕は全体的に良いと思うのですが、少し気になるのは、最初の目的のときに、環境省などで環境税を構想する時には、環境政策として行っているわけですよね。だから、もうCO2を如何に削減するか、その手段として行っているので、どのぐらい効果があるか等が重要な論点になります。しかし地方税で、かつ神奈川県でやる時に、これは少し書き方が微妙なのですが、それを主要な目的とするのか。それとも、むしろそれを副次目的ぐらいにして、地方税を負担するのに、環境に良いほうに、特に、神奈川県の公共サービスを共同負担する時に、炭素を多く排出する人々に多くの負担を求めるという税があっても良いのでは、その方が公正なのではないか。結果として、それが炭素税の減少にもつながり、環境政策にもなるんだというように言っていくか。もっと言えば、これをやると、これは炭素を減らす目的だと言うと、減らすのをどうするかという、どのぐらい効果があるかとかという議論になるわけですよね。これはどっちでいくのでしょうか。
委員 両方あると思うんですよ。それはやっぱり減らしていく、つまり日本全体で減らしていかなくてはいけないという縛りが国際公約でもある中で、神奈川県で如何に減らしていくのかという時に、少しでも先駆的に貢献しようというのが一つ。それから今のお話は凄く面白いと思うのですが、それも、要するに環境に良い税制づくりを自治体でやっていく、そういう一つの試みなんだという、その話と、受益と負担の関係を、従来の関係からグリーン化した受益と負担の関係にしていこうという、そういう話だと思うんです。それと3つ目には環境意識の啓発という、その3つが共存しているのではないか。
座長 あと、何かございますか。
あと、その地方税で考えて良いと思うのは、国税と違って、地方税の場合には割という概念がありますよね。それで、これは新税になるのかどうかは分かりませんが、既存の税の中に割をつくる、つまり、炭素割をつくる。割をつくるという考え方はないわけではないですよね。
というのは、もともと炭素税といっても、課税標準はリットルなんです。リットルなんというか、従量つまり使用量なんですよ。それはあくまでも課税標準で。ただ、例えば石炭の場合には、これに課税指数というのかな、それを何トン使うというのがあって、それに税率をかけるのですが、それに課税指数が入っていて、それで炭素量を計算するということになっています。財務省や税制委員会の見解等でいくと、あくまでも課税標準は、もともとのリットルやトンであって、これが課税標準なのですよと言うのですが、それにいわば含有量を示すような課税指数をかけておいて、それに税率をかけるという方法になっているので、今までの様に、既存の税収と同じようにリットルでも出来ます。ただ、炭素割の部分については、課税標準に指数をかけるという方法がないわけでもない。これは新税かどうかではないのですが、国税にはあまり割という概念はないですが、地方税には均等割や所得割など、割を使っているわけですよね。
委員 社会保険料も、割がありますね。
座長 割があります。
委員 健康保険の資産割とか。
座長 これは、着地点というか、一足飛びに行くのが困難であるときのセカンドベストの手段として、ここに出ているいろんな案のうち、あるところについては割を使ってもいいと。既存の税制が必要という案が出ていますよね。そのときには使っても良いという気がしますね。
あと、どうですか。
委員 大変ご苦労さまでしたというのが、まずあるのですけれども、質問をさせてください。
重複部分に関しては非課税とすることも検討するということでしたが、具体的には資料3でいくと、免税……
座長 これをどうするんですかね。日本全体でこの間の速報を見ていただいても、凄いCO2を出してしまうことになっていますが、その原因は石炭の使用量がものすごく増えているからです。石炭は炭素の含有量が非常に多い割には、課税されていませんね。
今のお話は、例えばどこかで一網打尽かけておいてということですよね。後の調整で、前の段階をどうやるのですか。
委員 それをどうするのかなと思います。要するに、道路特定財源になっている種々の租税に関してとの調整の免税というお話でしたけれども、具体的に何を考えていらっしゃるのかということですが、それはどうでしょうか。
委員 揮発油税と軽油引取税ですよね。
座長 担当課長から。
担当課長 こちらの税率水準をどの程度にするかという問題もあると思うのですが、一応今、案の2で想定しているのは、揮発油税、軽油引取税です。
座長 それだけですか。石油・石炭税は想定していないのですか。
担当課長 それが高いものですから、それにさらに上乗せというのは負担が大きいですので。
委員 そのときに、税の目的が違いますよね。責任分担的な、要するに損傷分に関する税ですから、そことの理屈をどうするのかというのが一つ。今すぐお答えいただかなくても構いませんが。
それから、もう一つ少し気になったのは、CO2排出の抑制効果が高いと、流通に対して、歪みが生じると、税源が逃げるということですよね。だから、税率を低くすると。税率を低くしたら、この税の目的は達成されないのではないか。だから、自己矛盾になっているのではないか。
座長 だから、それを逃れる手というのは、さっき僕が言いましたように、別に減らすか減らさないかということではないんですよ。地方税の中に、一つ、その……。
委員 話し中ごめんなさい、それが2番目ですね。まず質問を全部言います。
これは相当、詰めなきゃいけないので、今の話を聞いた限りでは、中に矛盾、税制自体の目的と税率を下げる等々の間に自己矛盾的なことがあるかもしれない。
それから、3番目は、ここに税収を上げるという、これは多分、△△委員が前回おっしゃったことに対する答えでしょうが、その税収を上げるとなると、今度地方税原則上の何かの理屈が要りますよね。政策、インセンティブ課税だと言ってしまえば、その税収云々の話とは若干違いますが、税収を上げるんだと言った時に、地方税原則上、例えば応益性だとか応能性だとか、様々な原則がありますけれども、例えば応益性の原則をどうやって説明するのか、そこの議論はしなくて良いのでしょうか。
委員 最初のご質問は、従来ある所をよけた場合に、税収としては同じかもしれないですが、課税の根拠が違うと。そういうものがモザイク状にはまって、非常にきれいではない税になるのではないかと。本来はCO2を排出する原因になる行為で、その担税力を見るということで一貫しなければいけないのではないかというお話だと思うのですが、おっしゃるとおりだと思うのですが、それは自治体の側から見れば、既存の税制を前提にしなければいけないので、ざっくり言ってしまえば仕方がない。ただ、私の考えとしては、その暫定税率も含めて、既存の、その石油・ガソリン関係の、この化石燃料への課税は、国税の場合でも環境税的な位置付けに変えると、読み換えることを前提にして、それに網のかかっていない部分なり、さらにかけたほうがいいと思う部分に対して対処をしていくという理念ですね。実態が違うというのは分かりますが、それが1つ。
委員 そうすると、従来の地方での石油の関連税はある程度なくして、その代わりにCO2のための税を新しく起こすと、こういう考えということか。
委員 新しくというか、今の現実的な話では、経済界も、今の道路特定財源をそのまま環境税にするのならば良いという議論がありますよね。ですから、それを前提に。
委員 そういう方向で考えているということですね。
委員 そうです。それが1点目です。
それから、2点目の問題というのも、やはりここでやろうとしていること自身に内在している、その困難ということだと思います。それは元々、CO2の排出の、自然科学から出てくる、ここまで削減しなきゃいけないという目標があって、では神奈川県自身でそれを全部背負えるかといったら、当然出来ないわけですし、京都議定書の中で言われていることも、神奈川県が達成しなくてはいけない部分というのも、この税だけでそれを請け負うということは出来ないということが前提です。
ですが、先ほど少し議論がありましたように、それに対して良い効果が少しでも出るようにというのはありますが、それだけでやるという位置付けではないというのが、2つ目ですね。
それから、3つ目のお話は、座長のアイデアというのか、それがお答えになるのではないかと思います。つまり、インセンティブ課税か税収目的かというお話でしょうが、どっちでもないのではないかと思います。地方税自身を出来るだけ、あえて目的税としては設定しないで、先ほど言ったように、地方税自身をその受益と負担かインセンティブかではなくて、より環境に悪い影響を与えた人から負担してもらう仕組みというのを、自治体としてつくっていこうという、ある意味新しい負担の原則というのかな。
座長 たばこ消費税とか酒消費税等をつくるのと同じような意味になりますよね。
委員 特に反対はないんですが、答えないと……。
委員 いや、ですから、非常に1つの原理できれいに設計、元々出来ないものなのです。
委員 今のお答えだと、多分理論的に支え切れない、厳しいなという印象です。つまり、地方税で組む時に、地方税原則は置いておきましょう、では新しい地方税原則ではなくて、新しい経済効率性の議論をやりましょうと言った場合に、車は動くものですから、地方税としては中々組みにくいと思います。
委員 ですから、そこはもう販売のところで見ていきます。
座長 いや、それは、ですから揮発油税等と同じだろうと思いますが、地域の環境の悪化を防ぐという目的になるわけですよね。
委員 いえ、私が申し上げているのはそういうことではなくて、インセンティブ、つまりCO2抑制のために課税をする、その課税客体が移動性が非常に強いので、ここに書いてあるように、隣の県、東京都……
座長 そういう意味ね。つまり、たばこ税とかお酒の税金は根拠が良いですよね。ただ、それを地方に持っていく時に、通常たばこ消費税とか酒消費税とか、消費をした所でかけましょうということにならざるを得ないわけです。製造段階で課税するということではなく、消費税の部分でやらなくてはいけないわけですよね。
ただ、このときに消費といっても、実質に排出している所ではなくて、販売している所で課税するので、ということですよね。課税客体がまるで違う。
委員 たばこ税の場合には、隣の市町村に行っても、税率を一定にさせてあるので、結局租税の客体自体というか、どこで購入するかというのはあまり大きな意味にならないのですが、神奈川県独自でこの課税をすると、当然……。
座長 流通に影響を及ぼすということ。
委員 及ぼしますね。なおかつ、流通に及ぼさないように低税率にすると、今度その課税目的がなくなりますよね。そこの理屈をどうやってつけるのか。
委員 目的がなくなると言っても、ゼロにはならないでしょう。
委員 そうですね。つまり、CO2を削減したい課税にも関わらず、税率を低くするのですよね。ですから、ある意味でアナウンス効果はあるのでしょうけれども。
座長 良くするというよりも、多分ね、環境に悪い行為を神奈川県で行った場合には税を負担していただきますという税金になるわけですね。その時に、1つは、負担していただくので、それは、他の所で行っていただく場合には仕方がないわけですよ。ホテル税等と同じ考え方ですよね。
だから、それは仕方がないと思うのですが、ただ問題になるのは、販売している所で課税せざるを得ないので、実際に排出している所ではないわけですよね。ですから、そこは1つの論点には成り得ます。
委員 ですから、それも勿論ワーキングで散々議論させていただいたんですけれども、実際に、ですからそこが非常に整合的ではないからやめるのか、ある程度ずれたとしても、出来る所で、販売所で捕まえようとするのか、その選択だと思うのですが。
座長 大口というか、神奈川県に火力発電所はありましたか。
担当課長 ございます。そこから見えますよ、あそこに建っています。
座長 あるのですね。それが問題です。火力発電所は石炭を使い始めているから、排出が大物なんですよね。そこで使用したのに、課税されるようになる。つまり、火力発電所の石炭には、ここで発掘した石炭を使っているのか、それともとんでもなく遠くから持ってきているのか。
担当課長 さきほど、電気の整理があったのですが、電気については発電段階ではなく、消費の段階で課税することを考えています。
座長 ですからそこを、さきほど少し問題ではないかと思ったのは、これだと発電などは、工場や排出所等に課税されなくなってしまう。
担当課長 電気だけは。
座長 ですよね。神奈川県で大きくCO2を排出しているのに、それは電気を使った人でやってくださいねという話になってしまいますよね。そうすると、発電したのは、神奈川県民よりも東京都民の方が使っているのではないかという話になってしまう。
委員 それは、やはり製造段階で捕まえる。
座長 製造段階というよりも、排出段階で出来たら捕まえたいですよね。
委員 もちろん。ですから、排出段階で捕まえるというのは、やっぱり国でやらざるを得ないでしょう。
座長 課税技術上、かなり難しいけれども、やろうと思えば、排出段階は出来ます。排出している所で捕まえるというのは、下流です。これは取引の下流を言っているので、むしろ汚染物質の上流か下流かということで考えれば、汚染物質を出した所で課税する。地方自治体の活動効果から、出した所ですよ、電気・ガス税も使った所でやりますよということであれば、石炭を燃やしても、使った所で課税しないと駄目ですよね。つまり、工場であろうと家庭であろうと、石炭を使った所に課税するというと、それは神奈川県の環境を悪化しているという部分に課税するということです。それは無理ですか。
委員 かなり狙い撃ち税的になる感じですよね。ですから、結局、その他の所から来ている電気を使っていても、その他の所にあるのですから、それは他県が捕まえれば良いという話になります。
座長 ただ、石炭の販売には課税するのでしょう。課税しないのですか。つまり、石炭の販売に課税すれば捕捉できるわけです。つまり、神奈川の発電所が神奈川のここの港から石炭を揚げている限りは、購入段階でかけるのであれば、そこは捉えられるわけですよね。
委員 とりあえず、電気は4ページのフィンランドの事例を参考にして制度設計しています。電気の場合は消費者、家庭に負担していただいて、今言った発電所の段階は非課税になっていますよね。
委員 県内に課税するのね、そうすると電気についてはどうなるのか。
委員 県内です。
委員 これは国税か、地方税か。
委員 これは国税です。
委員 ならばこれだと、他の都道府県で発電されて、そこでCO2を出したのは、神奈川県民が負担するのでしょう。例えば、長野県で発電したものを持ってきて、そこを神奈川県民が負担する、その理屈はどうなるのかという話ですよね。
フィンランドは国税ですから良いですが、地方税として組むときには問題や説明しなくてはいけないことが多く出てくると思います。
座長 ですから、神奈川県のとにかく環境を、これは神奈川県民共有の財産ですから、大事にしましょうと、これは悪いことをしている人に負担してもらい、神奈川県民の共通の社会資本を冒すことには税をかけましょうと、こういうことを言っているので、石炭なども、その販売所でとにかく捕まえるというのはセカンドベストでやっていますよということです。ただ、これは神奈川県で使うことを想定して行うのならば、まだ理屈は合うと思うのですが、電気・ガス税だと、福島県で排出していて、福島県の環境が悪化しているのに、そこで電気そのものはCO2を出しているのではないわけですよね。ただ、結果として、それは福島県の環境を悪化するからという理屈は成り立つか疑問です。
委員 それは虫が良いのではないですか。福島県の税収ちょろまかして、良いんですか。
座長 ですから、この電気・ガス税よりも、もう販売所で割り切ってしまうのは手ですよね。ちょっと誤解はあるかもしれませんが、とにかくここで石炭や石油を取り引きしたら全部課税してしまうと。
委員 産廃税でも同じですね。
座長 いえ、産廃は、どこで出そうと埋め込まれる段階でやるので。しかし、その時に流通段階で、その悪いものの上流か下流かでやっているわけですよね。バッズを生産というのは変だけれども、バッズを排出したところで課税するのか、流通したところで課税するのか、その最終処分の段階で課税するのかということでやっているわけですよ。ここも、バッズというか、それで下流か上流かって判断すると、使ってしまうかということであれば、製造段階でも下流は下流であり、課税が難しい。つまり、ここでもう最終的には、本当に使い尽くしたところで課税するのがベストなのですが、それは無理なので、石炭であろうと石油であろうと、そのCO2を出す物質を販売したところでやりますよというものではないのか。
委員 それはまずいのではないかという感じで考えています。といいますのも、法定外税創設の際の3要件の中の2番目である、物流を阻害しないことという要件に牴触する可能性も考えられますので。ただ、電気が果たして物流と言えるのかという議論もありますが。
委員 あれは、税率が低ければ大丈夫ですよ。
委員 そう言ってしまうとお終いなので、議論しましたということを示さなくてはいけないでしょう。
委員 消費の段階で捕まえることの意味は、もちろん経済活動自身が完結しているわけではないので、それは幾らでも矛盾はあるのですが、ただ納税者が消費の段階で、自分達はそこにCO2の排出を含むものを使った場合に、自分達は他の人達よりも負担しても良いという合意が、そのタックスペイヤーの所で出来れば、認められる税なのではないかということです。例えば、ここに工場があって、そこでCO2が排出されているから、そこの所にバーンと課税しましょう、つまり本当にCO2の削減に大きく貢献しましょうという税を、いきなり自治体が高い税率でボーンと導入したら、京浜工業地帯がありますから、それはやはり不同意要件に引っかかるのではないかと思います。消費者の段階で自分達が消費行動を、ある意味グリーン化していきましょうという合意が仮にできれば、それは自治体独自でも良いのではないですかという、フィージビリティの話になると思うんですけれども。
委員 いや、特別徴収の話も出ているし、現実にも妥当だし、ものすごくよく出来ていると思いますね。気になったのは電気だけですが、考えたら、消費を神奈川県で抑制すれば、福島県は減るのですね。それでいいのだ、遠隔操作で。
委員 積極的に他の所に貢献しているのですよ。
委員 だから、少し税収を取ってしまうという話ではないのですね。
委員 そうです。むしろ、神奈川県の消費行動は、他の所にも良い影響を及ぼすのですよと。
委員 だから、それはいいのです。引っかかるのは、それを地方税で組むのに様々な理屈が要るだろうなというだけで、国税なら問題ないのですよ。そこを地方税で組もうとしているから、色々な理屈が必要になりますね。
委員 △△委員が、今、最初からおっしゃっているのは、元々オープンな制度である地方でこういうことにインセンティブを効かそうと思っても、それは元々無理でしょうということですか。
座長 いや、そうではなくて、インセンティブ課税であれば、神奈川県は日本国の国民の幸福のために、なるべくその排出の少ないことを真っ先に行って、日本国全体の環境のために貢献するというインセンティブを働かせる、県民の行為を奨励するということで課税するのならば良いですよと、言っているのです。
ただ、神奈川県の環境ということを皆で守りましょうという、応益的な環境をやるのであれば、ここは関係ないのではないかということです。つまり、神奈川県は一生懸命、極端に言えば、電気等を使わずにして、福島県や発電している所でやりますよ、消費はやめますと。しかし、うちのところで出していただく分には構わないので、出していただくならこちらに来ていただいて、と成りかねないのではないかと彼は言っているのですよ。
委員 基本的に、神奈川県民がこの税を認める時にそこがクリアできるのかということです。つまり、東京都民が車を持ってきて排出したのはまあ良いですよと。神奈川県民が東京へ行って走っても、それは東京の空気をきれいにするのだから良いのではないかと、税の世界で皆納得しますかね。
座長 ですから、憲法の前文みたく、神奈川県民は日本国民がすべて環境を重視するという信義を信じてとかと入れればいいじゃないかなと。
委員 それに、統計があれば出せば良いけれども、要するに他県で使うというのはありますが、県内で買ったものの、その何%ぐらいなのかといえば、半分以上を東京で使っているとはとても思えないし、かなりの程度は県内で消費していますよ。
委員 私が申し上げているのはそういうことではなくて、それを県民が納得して、導入しようという話になるためには、もう少し議論が必要かと思います。
委員 ですから、移動の問題はありますよね。ですから自動車の話と、それからその電気のところは、おっしゃるとおり、その元の電気を使うことによって、それ自身ではCO2が出ないという話がありますので、どう整理するかというのは、今日いただいた課題として整理をしていきます。
委員 地方税原則というのは法原則ではないから、もういいですよ。それは気持ちの問題ですから、もう忘れて良いのですが、あとは納税者が納得するかだけですよ。
委員 納得させるためにも、その論理を整理しておいた方が良いと思います。
座長 特に、やはり発電所があるのであれば、そこの石炭は少し気になりますね。環境省の資料を見ると、原発を止めてから排出が驚くほど非常に大きいのですよ。
座長 鉄鋼もまだありましたか。
委員 ワーキングでもお話ししていたことでは、その税収の一定割合をグリーン化するというか、今の応益とか応能ではなくて、環境に悪影響を与えることをした時に税金が発生する形に変えていくことを議論しました。先ほど座長がおっしゃった、炭素割とかそういう負担割というか、まさにそれだと思います。現在の均等割とか所得割は、もう集団的な応益ですよね。基本的に、神奈川県で使うお金を、神奈川県の住民が皆で負担を分け合うのが良いのではないか。その割る時の基準として、応益であった応能であったりする。均等割だったら応益だと思うのですが、応能で割ると。応能で割るときには、全体では、集団的な応益が問題になっているが、個々の個人個人の応益は全く切り離されていて、だけれども全体の応益は残っていると。
その全体の、今集めなければいけない税収の一部をグリーン化する時には、その一部を、環境に負荷をかける度合いによって分けようとすれば、必ずしも神奈川県で、神奈川県の環境を悪くすることだけに留まらず、環境は元々不可分ですから、その環境全体に悪影響を与える人により多く負担をしてもらう、その全体的な税収を何らかの形で皆で分けてもらう時に、グリーン化の負担を基準にすることで説明できないかと考えました。
委員 △△委員のおっしゃることに対して、日本だけ排出量減らしたって、中国で出しているからだめなのです。だから、国レベルでも同じことが起こるのでというまやかしでごまかすしかないではないですか。
委員 でも、中国の例ではなくても、ヨーロッパでも、電気のエネルギー源というのは、例えばパイプでロシアから来ているわけですよね。だけれども、オランダやデンマークは個別で環境税をやり、フランスはやらない。では、フランスやロシアがやらないから意味ないかと言ったら、そういうことはないと思います。広まっていくことというのを前提にして。
委員 フロントランナー課税ですね。
委員 ただ、△△委員がおっしゃったように、県民の非常に高い環境意識が前提にならざるを得ない。
委員 それが一つね。 それから、もう一つはやはり、ならば国税でやれば良いということがすぐに出てくると思います。
委員 ですから、そこの説明をどうするのか。
委員 外形標準の時と一緒で、呼び水としてまず導入して、臨時特例企業税と違って、国に入ったら、今度はやめるということにしていただければ、訴訟にならないのではないかと思います。
座長 それから、この軽油引取税のような税の中に、徴税時にさっきの炭素割みたいに、一部入れるということは不可能ですか。
座長 そのことは軽減と関わります。つまり、ここで見てもらっても、一番問題なのは、天然ガスはともかくとして、天然ガス、石炭に何にも課税していないわけです。ここの所に炭素を課税標準とする税金をつくるという、そういうのもあるんですね。例えば、イギリスの気候変動税という環境税は、課税していない部分だけをとって炭素税、つまり気候変動税という税金にしているわけです。ですから炭素税をつくって、既存の部分を軽減するんでしょう。さっきの話だと、軽油引取税は軽減するわけですよね。軽減した部分を巻き込んで、これは炭素税です、ここを一律にする。
委員 軽油引取税は税法上一定税率とされていますので、軽減はできないですよね。
座長 違います。引くわけでしょう。
担当課長 いえ、非課税です。
座長 非課税にするの。引かないのか。そうすると、どこに課税するのか分からない。
委員 もう既にかかっているところには課税しないのです。
座長 課税をしないけれども、そこはどこの段階で。販売段階で。そうすると、どこをかけるということなのか。資料の2には入っていますよ。自動車、ここの燃料というのは、揮発油、軽油と書いてあるでしょう。最終消費段階の購入者と書いてあるわけですよね。これはかけないのか。
担当課長 案の2でいきますと、自動車燃料用以外の軽油とかガソリンに対して課税するということです。軽油は、あくまでも道路を走行する自動車燃料だけに対して課税されていますので。
座長 案の1とは関係ないのか。
委員 これが、要するに座長がおっしゃるように全部課税する方法です。案の2の方が現実的ではないかというイメージです。
委員 それならば、これはよく出来ているわ。
座長 案の2でいけばということですね。では、案の1でいくと全部かけるのですよね。ですから、全部かけておいて、ここを引くのでしょう、控除するというか。
委員 ただ、そのやり方だと、国税の付加税であるというように、その控除してもやはり付加税であって……
座長 いや、控除しておいて、今度は控除のところの部分について炭素で。だから、新しくこのように炭素を課税標準にする炭素税で括って、ここの部分で、バッティングする所の部分だけは、控除とか何かというテクニックを使うのだから。そうして、ここは炭素税ですよという手はありますね。
委員 それは理想だけれども、国から見るとかなり生意気だと思います。
座長 実質的には、石炭を押さえないと駄目なのですよ、現実問題は。天然ガスは、まだ含有量少ないから、見逃してもね。
委員 △△委員、これはまだ検討が続きますね。
委員 もちろん、今日は1回目のたたき、原案ではなくて、たたき台というように書かせていただいているので、そういう位置付けです。今日のご議論は、また反映させていただきます。
委員 よく出来ている。通るかどうかは分からないけれども、よく出来ている。
座長 つまり、実質的に炭素を本当に排出量を抑えるということであるとすれば、神奈川県で炭素を、石炭を使わせないということが一番重要なのではないかと思います。
何かありますか。
委員 そうですね。地方税制との整合性を考えると、多分選択肢が狭まってしまうので、あとは多分広めに議論をして、その先に落とし込んでいくしかないのかなと思いますけれど、先ほどの、まず一括でかけておいて控除すれば良いのではないかという話もありましたが、そうすると国税と同じ目的で、同じ客体に課税しているということを自ら宣言することになりますので、そうするとますます整合性は少し難しいですね。
あと、こちらのグリーン化で出ているものも、先ほど新しい負担原則を出さないと難しいのではないかという話があったのですが、例えば自動車税にしても法人事業税にしても、その事業、その課税根拠の中にCO2排出量と対応するものが含まれていない税目について、CO2排出量に対応する形で軽減税率を適用するというのはどうなのか。地方税法を詰めた上でどうかということですが、総務省が従来とっている解釈からすると、多分難しいですよね。でも、そう考え出すと、もう多分出来ることはなくなってしまうという感じなのですが、また今後の課題だろうと私は思っています。
委員 それは説明の仕方であって、CO2の排出に課税するなんて大見栄を切らないで、結果としてCO2排出に貢献しますと言えばいいのでしょう。他の税金などは、CO2の削減、特定財源になったものも全部貢献しているわけで、あれも広い意味で環境税です、炭素税ですと、気持ちを入れかえれば、炭素の排出量に比例して課税しなければ炭素税ではないというヤボなことを言わずに、もう少し。
委員 だけれども、一般財源化してくれればいいのですよ。
座長 一般財源化はなりますよね。
委員 炭素税という言葉に固執しない方が良いと思います。
委員 結果としてであって、必ずしもその税金を入れること自体が目的ではないですから。
座長 というか、炭素税をやりたいのでしょう。やらなくても、同じ効果がありますから、こっちの方が良いと言って良いのか。そう言っていいのと、その炭素税やるのとは、少し話が違うわけですよ。
委員 これは地方税法の枠内でしか出来ないわけですから。
座長 ただ、あれは何年でしたっけ。水源税とか……
委員 水源税は税目の名称ではなくて、住民税の超過課税ですから、通称として水源税と言っているだけで。
座長 というように言えば良いわけね、そうするとこれも。ネーミングで。
委員 ですが、やはり炭素税と言うかどうかは別にして、化石燃料をターゲットにしているというところは外せないですね。
委員 しかも、隙間をという。この隙間をというところは、うちらしい感じがする。国がやらないので、うちがやるということは。要は、通る通らないはともかくとしても、それだけでも意味がある。
委員 意気込みはね。地方でできることを最大限追求してみましたというスタンス。
委員 本当の炭素税って、国税とバッティングするのではないか。
委員 だからかもしれないのですが、この環境省の案も中身は炭素税なのですけれども、環境税という名称を使っています。
座長 環境税という言葉が、元々炭素税という言葉だから。
委員 環境省が環境税イコール炭素税という、勝手に定義してしまったのです。財務省はそうは思っていないから、環境関連税という。
委員 ですから、神奈川県地方環境税とか。
座長 財務省の見解も、炭素税で、炭素を課税標準と言ったとしても、世界で炭素を課税標準としている国はなく、皆ガソリンや何かのリッターをかけているのと、同じことだと。そうすると、課税指数も問題です。 そうすると、係数の問題なのですよ。係数かけているというだけの話であって、別に法に違反していないのではないということです。それを、別に名前、通称炭素税を付ければ良いわけですよね。
委員 今回のこれは法定外税を想定していますので、既存の法定外税である、○○県産業廃棄物対策税のように、法定外税であれば税目の固有の名称は条例上、必要になると思われます。
委員 少なくとも、課税客体をまず何にするかというところで、多分特定燃料か何かで定義して、特定燃料の取引行為等を課税客体にするのでしょうけれど。
委員 目的を言えば、二酸化炭素、CO2削減促進税ですか、そういう目的を言えば。
座長 そういうように言うか、イギリスは凄く良い名前を付けていると思うのだけれども、気候変動税と言っていますよね。税金の名前としては、課税標準や課税客体の名前を付けなくてはいけないので亜流だけれども、ただ国民や人々に訴えるのには、気候変動に対応する税金ですというのが良いよね。
地方で何かそういうような名前がつくれますか。
委員 気候変動でも良いではないですか。
座長 気候変動といっても、神奈川県だけが亜熱帯にならないというわけにいかないだろう。
委員 でも、日本で国税としても同じことであり、世界全体の問題ですので、地球環境変動税とか、何でもいいわけですよね。
委員 その点、ヨーロッパは名前が上手いですよね。航空券にかけて、国際連帯税とか。
委員 少なくとも国レベルでやっているからね。こちらはもう少し大人しくても良いのかなという感じがします。炭素税も、かなりネーミング的に、目的との関係で結構重要かもしれない。
委員 それは大きいかもしれないですよ。環境専門家の方は炭素税に物凄くこだわるから、それでないともう許してくれないような感じですね。ですが、ここは少し広い気持ちで許していただいて、一石を投ずる税金ですから、そう炭素、二酸化炭素にこだわらないで、結果で。結果というのは、もう少し直接的ですよね、ということを理解していただかないと、先に進まないですよね。△△委員は、多分そこを一番念頭に置かれたので、よく出来ていると思います。隙間環境税というわけにはいかないですからね。
座長 実態から言うと、大体2つですよね。今までの税金の中に負荷税的にかけるというやり方と、それからかけていない課税対象に拡大するという、どちらかですよね
委員会のほうは、今の議論でいいですかね。
そうすると、皆さんご議論いただいて、ちょっとまとまりがないかもしれませんが。
委員 事務局のほうでまとめていただきたいのですが、大体今年度中ということがミッションになっていますので、今日のご議論をまた踏まえて、また検討させていただきたいと思います。
座長 検討の参考にしていただきたいということで、一応閉会させていただいてよろしいですか。
座長 それでは閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
事務局 どうもありがとうございました。
これをもちまして、第41回神奈川県地方税制等研究会を閉会いたします。
次回は、各委員とも日程調整をさせていただき、年明けの1月下旬ごろを目処に開催したいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。
座長 では、どうもありがとうございました。
-以上-
このページの所管所属は総務局 財政部税制企画課です。