審議速報
次の審議会等を下記のとおり開催した。
審議会等名称
第45回神奈川県地方税制等研究会
開催日時
平成22年5月27日(木曜日)18時00分~20時00分
開催場所
神奈川県庁新庁舎5階 新庁応接室
(役職名)出席者
(座長)堀場勇夫、中里実、青木宗明、沼尾波子、諸富徹
次回開催予定日
未定
問い合わせ先
政策局財政部税制企画課 石黒、伊藤
電話番号 045-210-1111 内線2310
ファックス番号 045-210-8806
フォームメール(以下をクリックすると、問い合わせフォームがご利用いただけます。)
会議の議題及び結果
【会議の議題】
中間報告(案)について
【会議の概要】
議題について、事務局より「環境税及び自動車関係諸税のあり方に関する中間報告(案)」について資料に基づき説明を行った後、討議を行った。
【討議の概要】
事務局からの説明
(環境税の具体案)
「地方環境税」は、CO2排出量の削減・抑制効果が最も期待できる川下課税であることや、全ての化石燃料を対象として、地方自治体が課税することが大きな特徴として挙げられるが、現実に導入する場合には、徴収コストなどの問題が発生するものと思われる。
「化石燃料別の環境税」は、国税の賦課徴収システムの活用を視野に入れた税制案であり、徴収コストを抑えつつ、事務執行の効率化を図った実現可能性の高い税制案であるが、「地方環境税」と比較し、地方自治体の財源が減少し、CO2排出量の削減・抑制効果も低下するという面がある。
「国と地方の環境共同税」は、現行の賦課徴収システムを活用しつつ、地球温暖化対策における国と地方自治体の役割を踏まえた、柔軟な税源配分や都道府県間の財政調整などを考慮した税制案であるが、導入には国のあり方を含む様々な課題がある。
(車体課税)
自動車重量税を主体として統合した上で、地球温暖化対策としてCO2排出量を削減・抑制する観点から、環境損傷負担金的性格を組み込むとともに地方税として仕組む案を提案する。
税の性格としては、(1)環境損傷負担金的性格、(2)道路損傷負担金的性格、(3)税収目的があげられる。
現行の自動車税は、賦課徴収事務における徴収コストが問題になっているが、自動車重量税の賦課徴収システム(車検時徴収)を継承することにより、大幅なコストダウンを図ることができ、税率の軽減も検討する余地がある。
(環境税の具体案について)
討議
(共同税については)国が徴税を行う国税に地方税を組み込んでしまえば、それは地方税になるという前例(地方消費税の例)がある。法的な意味で共同税でないのであれば、地方消費税と同じやり方はとれる。分権を否定するという意味ではなく、執行が難しい、要するに現場が混乱するような執行が無理な制度を仕組んでも仕方がない。そうすると、今の執行制度を前提とした場合には、地方消費税方式に近づけるやり方で、地方税と言いながら税収をきちんととるという方法しかない。
5頁の一番下、「自治体は着実に地球温暖化対策を推進しているから、こうした財政需要に見合った財源は、税制措置により保障されなければならない。」とあるが、一定の税を保障したのだから、交付税を削っても、あとは地方の方で、超過でも何でもやりなさいという話になる恐れがある。税制措置をやることの意味を財源確保だけとすることは危険である。
国も地方も地球温暖化対策における財政需要はあるが、根底としては、今の税源配分そのものが地方が少ないのではという議論があったので、こうした状況を踏まえ、案の1では、地方が全ての化石燃料について課税を行い、全て地方の税収とした。その上で、執行上の問題等もあるので、実現可能性を踏まえて、案の2・案の3を提案している。
地方税の難しさは、執行コストを取り上げた場合に、多くの場合において国税一本の方が執行コストが低いため、執行コストを議論した瞬間に地方税は非効率的だということになりかねない。しかしながら、住民税や地方消費税などは国税準拠で、執行コストを抑えるように仕組んでいる。そうすると妥協を図って、案の2や案の3は非常に現実的。
(川下課税を行うインセンティブ効果について)付加価値税でも同様なのだが、経済の状況によっては、実は(税相当額が)転嫁されていない。したがって、上流で課税しても、流通機構が何段階も入って、需給関係によっては、それが必ずしも転嫁されていかない。しかし、末端の販売業者でやれば確実に納税義務者が税負担を行うことになる。もう1点は、経済学的に言うならば、税率が一定か、それとも部分的にでも変えられるかということ。つまり、個別の課税をするときに物が動かないものに限っては、個別に免税等を決定することができるが、一律課税の場合、環境税としての国税であるならば非常に困難であると思う。なお、徴税コストと課税客体が移動可能かどうかによって、国税・地方税を分ける方法も考えられる。
徴収コストの面では、第3案が最も良いが、一方で、地方はそれだけ徴収努力をしないということになるため、国税の付加税的なものになりかねない。それを共同税という位置付けにして、国と地方が両方課税権を有しながら、税率決定ないし税収配分を対等な立場で協議していくという分権的な視点も入れ、なおかつ、徴収コストの極力削減を図って、現行の課税システムのみを活用していくということ。
共同税の具体的な仕組みにもよるが、共同税と言っても、執行機関は一つであり、税収を分配しているだけで、日本の消費税も国税で徴収している。地方消費税と全く同じである必要はないが、地方消費税をイメージしながら、具体化させていくことも一つの考え方。
(国と地方の税収配分を「国と地方の協議の場」で議論することについて)誰に幾ら配分されるかが決まらないと難しい。税額が確定していないと難しい。
案の2では、都道府県サイドは軽油と重油とLPガス(自動車燃料)で徴収できるが、電気ガスについては、市町村税であった電気・ガス税を復活させることを前提としているので、徴収コストや執行体制等の観点から、これが案の2では一番のネックになってくる懸念がある。
案の1ではCO2排出量ベースで課税することができるが、案の3のように最上流(輸入段階)で課税した場合には、原油のCO2排出量は税率に反映できるが、精製後の石油製品にはCO2排出量ベースで転嫁されていかないため、CO2税としては機能しない。したがって、インセンティブ効果ではなく、むしろ、柔軟な税収配分を行うシステムと位置付けるべき。
(車体課税について)
討議
自動車税と自動車重量税を合わせた税収総額の8割(譲与税を含む。)は地方の財源となっている。そのことを踏まえても、残りの2割を地方の財源としてよいのか、という考えはある。
自動車税は徴収コストが非常にかかる税目なので、昭和40年代前半から車検時徴収制度導入の要望を行ってきたが実現に至っていない。今回、民主党のマニフェストに自動車重量税と自動車税を一本化するという案があることを受け、地方税として仕組み、なおかつ、徴収コストを抑えられる車検時徴収制度を導入すれば、地方サイドとしては非常に効率的な仕組みとなる。こういった背景が整わないと車検時徴収といった徴収コストの大幅な削減が期待できる執行体制の変革はできない。
市町村には固定資産税があるが、都道府県が自ら調査を行っていくという税目がなくなってしまったときに、独自の課税権の行使という意味では厳しい。
個人住民税の滞納が非常に増加しており、市町村の執行体制も整備されていないため、現在、本県の職員30名弱を市町村に派遣している。そうすると、自動車税を含めた通常の県が徴収すべき部分が非常に手薄になっているという実体もあり、各都道府県においても徴収事務の合理化・効率化を求めているという実情がある。
この中間報告(案)については座長預かりとさせていただき、本日の議論を踏まえ、修文した上で知事に答申させていただく。
議事録の全文又は要約を掲載した「審議結果」の公開予定時期
未定
本文ここで終了