更新日:2024年1月4日
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このページでは、第48回神奈川県地方税制等研究会の審議結果を掲載しています。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
第48回神奈川県地方税制等研究会
平成24年7月19日(木曜日)16時00分~17時45分
神奈川県庁新庁舎5階 第5会議室
(座長)堀場勇夫、望月正光、諸富徹、田頭直人
未定
政策局財政部税制企画課調査グループ 木野、中村
電話番号 045(210)1111 内線2310
議事録全文
1 開会
2 政策局長あいさつ
3 議事
(議題)
再生可能エネルギー普及促進のための税制措置について(中間報告)案
4 討議
5 閉会
事務局:お待たせいたしました。これより第48回神奈川県地方税制等研究会を開催いたします。まず、委員の出席状況でございますが、本日は、青木委員、中里委員、沼尾委員より欠席とのご連絡をいただいております。まず、開催に当たりまして、政策局長からご挨拶申し上げます。
政策局長:本日は、大変お忙しい中、研究会にお集まりいただき感謝申し上げます。また、日頃から、本県の税務行政の推進につきまして、ご理解とご協力を賜り、重ねてお礼申し上げます。本来であれば、知事が出席し、ご挨拶を申し上げるべきところでございますが、本日は所用がありまして、出席することができませんので、大変恐縮ではございますが、知事に代わりまして、ご挨拶申し上げます。本日の研究会に提出された中間報告案は、前回の研究会でのご指摘を受けまして、再度、ワーキンググループでご検討いただき、短期間で取りまとめていただいたものでございます。ワーキンググループ委員長の諸富委員をはじめ、田頭委員には大変ご尽力いただき、改めてお礼申し上げます。内容につきましても、前回の研究会でのご指摘を反映させるとともに、「安全・安心な電力の安定供給」を実現するため、「分散型・地域密着型のエネルギーシステム」の構築を前面に打ち出して、より地方の役割を強調した内容となっていると伺っております。本日は、この中間報告案に基づきまして、様々な角度からご議論いただきたいと考えておりますので、委員の皆様には、忌憚のないご意見をよろしくお願いいたします。一方、再生可能エネルギーをめぐる国の動向でございますが、この7月から、固定価格買取制度がスタートし、本県の「かながわスマートエネルギー構想」の実現に向けても、追い風となるよう期待しているところでございます。また、現在、国では、エネルギー政策の抜本的な見直しに着手しており、来月には、「革新的エネルギー・環境戦略」が策定されると聞いておりますので、エネルギー政策に関して、大きな方向性が示されるものと考えております。本日、取りまとめていただく中間報告でございますが、「再生可能エネルギー普及促進のための税制措置」について、最終報告に向けての方向性をお示しいただくものと思っておりますが、今後、最終報告に向けて、具体的な制度設計や課税自主権を活用する場合の課題などが浮き彫りになってくると考えております。研究会委員の皆様におかれましては、引き続き、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。私の挨拶は以上でございます。
事務局:それでは、早速議事に入らさせていただきます。議事の進行は座長にお願いいたします。座長、よろしくお願いします。
座長:本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。本日の議題は、「再生可能エネルギー普及促進のための税制措置」ということで、中間報告について、5月2日に研究会でご議論いただきまして、その中間報告について、改めてワーキンググループでご検討いただきました。それで、改めて中間報告案として提出されましたので、その内容についてご検討いただければと思います。ワーキンググループの先生方には、大変ご努力をいただきまして、改めてお礼を申し上げます。本日は、特に内容が、専門的なことに踏み込まざるを得ないということですので、税の専門的な視点のみならず、エネルギー政策の視点からもご議論・ご説明を賜りたいと思いますので、ワーキンググループから特にお願いしまして、電力中央研究所の田頭委員にオブザーバーということで、ご参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。田頭委員には大変ご尽力いただきまして、どうもありがとうございました。最初に、研究会としていろいろご議論してまいりますが、中間報告につきまして、「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」がなかなか分かりにくいものですから、その概要について、○○委員にご説明いただいた上で、中間報告の内容について事務局からご説明いただきたいと思います。それでは、「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」と今回の中間報告案について、○○委員、よろしくお願いします。
委員:それでは、この資料を用いて説明させていただきます。まさにイメージとあるように、「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」といった場合に、明確な定義というものがあるわけではございません。例えば、名前も、最近では「スマートエネルギーネットワーク」と呼ばれたり、あるいは「地域の次世代エネルギーネットワーク」とか、「ホロニックエネルギーシステム」と呼ばれたり、いろいろな名前がありまして、それによって少しずつイメージが違ってくるのですが、ある程度ここに網羅されているものは、エネルギーの専門家から見ても、「地域における需給システム」と言った場合に、ある程度入っているかと思いますので、少し構成要素なども含めて説明させていただきます。「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」と言った場合に、まず不可欠なものとして、先ほどご説明がありましたFITが7月から入っておりますが、左側の上にあります「再生可能エネルギー」、これをまず入れていくと。これが必要かつ不可欠な構成要素としてあります。それから更に、右下の方にありますけれども、「情報通信技術」ですね。以前はICTを使って何かするということはなかったのですが、ここ4・5年、この「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」と言った場合に、不可欠なものとして、この情報通信技術があらゆるネットワークをつないでいくという役割を果たします。どのような役割を果たすのかは、後ほど詳しい説明をいたします。それから3番目に、括弧で囲まれてはいないのですが、右側に「スマート化されたエネルギー利用者」というのがありますね。この「スマート化された」というのがポイントで、単なる住宅やビルではなく、スマート化されたというのが非常に重要なポイントとなっております。スマート化というのがどういうことかと申しますと、住宅やビルがきちんと断熱化されていること。エネルギー機器に関してもできるだけ高効率のものが入っていること。更には、先ほど言いました太陽光をはじめとした、都市部ではイメージしやすいと思いますけれども、太陽エネルギーを使った再生可能エネルギーがビルとか建物の上に入っていること。そういったものがきちんと導入されているものを「スマート化された」と一般的に呼んでいます。逆に絵から言うと、ハードのイメージが少し強いんですけれども、ソフト的な政策も「エネルギーの需給システム」を実現する上で非常に重要となってきますので、どういうふうに断熱化を進めていくかや、どういうふうに高効率機器を入れていくか、自治体におけるソフト的な政策が非常に重要になってくると言われております。その右上に、「大規模発電」がありますけれども、「エネルギーの需給システム」を入れていく場合に、以前は、かなり独立したイメージが強かったのですが、最近は、そうすると非常にコストが高くなりますし、ここだけで閉じているというメリットもそれ程ないということで、大規模発電だけでなく、当然ガスもそうですね。ガスネットワーク、電力ネットワークが、ちょうど緑と黒が外とつないでありますけれども、外の大きなガスや電力のネットワークときちんとつながっているということも、一つのポイントとなっております。ですから、過度にエネルギー設備などを地域だけで持つというよりは、協調して動かすと。かつ、大規模発電やネットワークの方に、逆にこちら側からエネルギー的にも貢献できるような需給バランスをとっていくということも、最近は言われております。その四点が最低限満たすべき要件ではありますが、更に3.11の震災以降注目され、以前より重要視されるようになったものとして、熱電併給システムというものがございます。コージェネレーションという言い方もするのですが、ガス・石油系のエネルギーを使いますが、発電と同時に出てくる廃熱を地域で有効利用する。熱需要ですね。給湯だとか、暖房・冷房に使っていくということで、今は「エネルギーの需給システム」では必須のものと言われるようになってきました。今、廃熱だとか熱需要の話をしましたけれども、そういう意味では、再生可能エネルギーと言っても、今、発電だけが注目されがちですが、ここに太陽熱とありますように、あるいは、バイオマス熱といった再生可能エネルギー熱というものも最近は注目されてきました。それも当然、地域でネットワーク化する。更に左の下にあります「未利用熱」とありますけれども、廃熱利用とあるのは、都市でイメージしやすいのは清掃工場の熱ですね。農村部にいくとバイオマス系の熱も有効利用できるかと思います。都市部では、工場や清掃工場の廃熱だとか、あるいは地下鉄の廃熱などを未利用エネルギーと呼んで、出来るだけ有効利用しようということになっています。電力、ガス、熱がネットワーク化されていて、更に重要なのが情報ネットワークですね。物理的、あるいは無線できちんとつながっていて、「エネルギー融通インフラ」と真ん中にありますが、エネルギーの融通を行って、出来るだけ需給の両面から最適制御して省エネ・省CO2を達成していくというのが「地域におけるエネルギーの効率的な需給システム」のイメージです。あと、何で融通するといいのかということをご説明しておきますと、例えば、熱電併給システムの場合で言うと、発電したときに廃熱が出ますが、熱を使う場所がなければ、結局熱を捨てるだけになってしまうので、あまり省エネ・省CO2にならない。ただ、オフィスビル単体で熱電併給システムを入れても、なかなか熱を利用する需要がないんです。隣に例えばホテルやマンションがあると、需要があるので使えると。更にネットワーク化していくと、遠くのホテルだとか熱需要があるところに使っていただけるということで、エネルギー融通というのが、非常に有効利用するためには必要だと言えます。あるいは、再生可能エネルギーもたくさん入れるのはいいのですが、どうしても余剰が出てくる可能性があります。そうすると、建物単体では使い切れなかったものが、ネットワークでつないでいることにより、遠くのところへもある程度運んでいって、そこで電力や熱を使ってもらう。更に細かいことを言うと、ネットワーク化したときのメリットとして、需要が大きくなってくれると、スケールメリットも達成できて、部分負荷運転というと専門的ですが、熱源機器というのは、ある程度定格で動かした方がいいんですね。それを小さい単位で入れていくと、部分負荷といって、定格に達しない状況で動かさないといけないシチュエーションが多いと。そうすると、効率が非常に悪いのですが、ネットワークでつないでいると、できるだけ定格で動かすように需要側をコントロールすることも出来ます。例えば、5台の熱源機で動かしていて、今普通に動かすと5.2台くらいかかると、その0.2台分の需要をカットしてもらうということを、まさにICTを使って、情報を送って、例えば夜にずらせるものはないですかということをやって、需要を動かしてもらうということも、このシステムの中では考えられています。ネットワークでつながることで、いろいろといい面があるので、最近はこういうシステムが注目されていると。ただ、都市でいうと、全部をネットワークでつなげられる訳ではありません。この左下にありますように、電力とガスと情報ネットワークをつないで、熱まではつなげないのですが、地域、地域である程度離れたところをつないで、その地域の中では熱もきちんとつないで、ある地域とこの地域で、熱以外は一定のやりとりをして、全体として地域の効率的な需給をやっていく。こういう単位がいくつもたくさん集まって、全体として大きな協調システムとしてやるというのが、より大きな需給システムのイメージです。更には、農村部などでは、なかなかネットワークに参加できない場合もあるのですが、そうすると、一番右にあります、スマート化されたエネルギー利用者というのが非常に重要になってくると。とりあえずネットワークには参加できなくても、最低限単体ではスマート化していくということが重要になります。それも含めて、地域の効率的な需給というのが達成できるのかなと個人的には思っております。この説明としては以上です。何かご質問がありましたら。
座長:○委員からも中間報告の内容と今のお話との結びつきや、関連性をご説明いただければと思います。どちらからでも。
委員:こういうシステムは、こういうシステムが今あるという訳ではないのですが、今後地域において重要視されていくことは間違いないというふうに考えております。そのときに問題となってくるのは費用ですね。主体もそうなのですが。どういう主体がどういう役割を担ってやっていくかということと、費用という点で誰が負担していくかということが重要になってくると思います。今回の中間報告では、こういうシステムを整備していくことは、いろいろな公益性があるということが一つのキーポイントです。そうであれば、税金で負担していくという方向性もあるのではないかということで、いろいろな提案がなされていると理解しております。この辺りは、○○委員の方からも。
委員:今ご説明いただいたことは、今後のことですので、今すぐこういう形で神奈川県がネットワークを作っていく具体的な構想を持っているわけではないですが、将来的にやはりこういう方向に向かわざるを得なくなっていくだろうと。たまたまですけれども、一昨日、ドイツ在住のジャーナリストに来ていただいて、現状を説明してもらったんですけれども、再生可能エネルギー固定価格買取制度が動き出しますと、分散型電源が全土で出てくるわけですね。経済的に割に合うので、特に農山村部では100%以上再生可能エネルギーで賄ってしまえるようになると。そこで、こういう形でネットワークに流れてくるわけですね。それを制御していくようなシステムがどうしても必要になってくるということだと思います。それをどういう形でやるのか、電力事業・ガス事業は民間事業としてやっているので、基本的にはカラーがやるべきだというのが一つなんですけれども、なかなかそれでは難しいということであれば、公的なものということで、特に配電網は地域に関わる低圧に関しての設備増強だとか、逆潮流対策だとかについて、ある程度公的関与のもとに、ネットワークを強化するような投資が必要になってくる場合があります。それは、民間事業者がやるのを待っていては、例えば神奈川県が考えるスピードで、考えている絵ですることが難しいということになった場合には、公的関与をしていくということが必要になってくるかもしれません。電気だけでなくて、今、○○委員から説明があった熱利用も含めてトータルで地域の熱需要や電力使用、それらを結びつける新技術といったものに関して、神奈川県が将来的にどういうコンセプトを描くかということがまずは重要になってくると思いますけれども、描いた場合に、民間事業者では十分に出来ない場合に、公的関与が必要になってくると思います。そのために必要な財源について、神奈川県として何らかの形で調達し、投資を行っていくということになると思いますね。もちろん政府の方でも広域的な送電網投資については、既に検討が行われていて、私が知っている限りでは、民主党でも提言がまとめられ、要望が出されていて、広域の系統についてはおそらく国費が投入されると思われますけれども、このような地域の新しいネットワークの姿については、おそらく都道府県レベルが何らかの形で権限・責任を持ってやっていくのがよいのではないかと。もちろん、更に市町村との役割分担が必要になってくる訳ですが、そうなった場合の財源が問題となってきますね。その財源は、報告書案の中で整理されているように、何も新税という形である必要はないかもしれません。財源の組替えとか検討されなければなりませんし、それでもなお足りないものについて、新税も考えていくというような考え方です。
座長:ありがとうございます。それでは次に、税制企画課長より中間報告の内容と今のお話をまとめていただいて、その上で議論に入りたいと思います。
税制企画課長:中間報告の案とそれの概要というものがございます。報告書案を見ていただきますと、「再生可能エネルギー普及促進のための税制措置」とございますが、その下にサブタイトルとして「分散型・地域密着型のエネルギーシステムの構築に向けて」というものを盛り込まさせていただきました。これは今、○○委員と○○委員からお話しいただいた中で、ワーキングでも再生可能エネルギーについて検討を進めていくと、どうしてもたどり着くところが、エネルギー需給システム全体になってくるということがございますので、このサブタイトルを入れさせていただいております。内容につきましては、恐れ入りますが概要版でご説明させていただきたいと思います。前回の研究会で様々なご指摘をいただいた部分がございますので、その部分を中心にご説明させていただきたいと思っております。まず、「第1 エネルギー政策の動向」は、1として「国の動向」、2として「神奈川県の動向」、これは前回お示ししました内容と基本的に変わっていません。「第2 再生可能エネルギー普及促進のための税制措置」が、かなり幅広になっている部分がございます。一つが「公益性の検討」ということでございますが、前回は「再生可能エネルギーの必要性」という見出しでしたが、今回、「エネルギーの効率的な需給システム」、これはネットワーク化を図っていくことで公益性が出てくるので、大きく分けますと上の三つの丸、従前では、「安全・安心な電力の安定供給」が当面の課題だとして、エネルギー供給の安定化、地球温暖化防止、安全・安心な電力の安定供給のために、再生可能エネルギー等の普及を促進することは、広く社会一般の利益、公益を増進させるということで、まず、再生可能エネルギーの公益性を当面の課題として落としてございます。その下の四つ目と五つ目の丸のところでございますが、こうした当面の取組に加え、「将来的には」という形で公益性を検討させていただいておりまして、地域における廃熱等の有効活用や情報ネットワークの推進についても視野に入れて、「地域における効率的な需給システム」を実現するためには、街づくりと一体となったエネルギーインフラを整備していくことが必要となるということを新たに加えさせていただいております。この需給システムは、地域におけるエネルギーの安定供給に加え、電力設備への過剰投資の抑制などによる利用者の負担軽減に寄与するものであり、この実現に向けた取組についても公益性が認められるということでございまして、先ほど○○委員からご説明がございました、過剰な投資が抑えられ、それによって、利用者の負担も軽減されますということで、この二つの丸が新たに付け加えられております。「2 税制措置の位置付け」につきましては、税の軽減措置と財源確保のための税制措置の2本立て、検討の範囲といたしましては、国全体で取り組むべきものでございますので、国税及び地方税を通じた全体の中で行うというのは前回から変更はございません。2ページをお開きいただきまして、「第3 政策税制」とございます。こちらにつきましては、前回の研究会の中で、もう少し具体の効果等が必要ではないかというご指摘がございましたが、基本的には前回の内容と一緒でございまして、「1 政策上の視点からの検討」で施策の絞込みをやって、「2 税制上の視点からの検討」で、考え方といたしましては、現行措置されております政策優遇措置、リフォーム減税や認定省エネ住宅などをベースに検討していこうという方向性は変えてございません。3が具体の「政策税制の素案」で、法改正を求めていくものということでございまして、その下に書いてございます(1)から(3)までの施策でございまして、具体の素案といたしましては、その下の表の内容で整理してございます。ここは前回と変更はございません。3ページの「4 財源確保のための税制措置」でございますが、ここが書きぶりが大きく変わってございまして、前回までは、電気あるいはガスに課税していくという具体なメニューが示されておりましたけれども、今回その具体なものは外して、かなり幅広にエネルギー全般という整理をさせていただいております。「1 財政需要」でございますが、第1として、当面の財政需要、これも(1)の三丸目でございますが、地域の実情に応じた取組は、「安全・安心な電力の安定供給」を実現するための分散型・地域密着型のエネルギーシステムの構築に寄与するものであり、これを担う地域の役割は更に重要になるということでございます。(2)としまして、将来的な財政需要という形で、2段構えで財政需要を書かせていただいております。一丸目が中期的にはということで、配電網と電力系統の安定化対策、二丸目が長期的にはということで、現在の集中型ネットワークから再生可能エネルギーを導入した分散型ネットワークへ転換することが予想されます。三丸目が今回の目玉になりますけれども、こうした分散型ネットワークの転換に当たり、地域における廃熱の有効活用等の取組、情報ネットワークの推進についても視野に入れていく必要があり、こうした「地域における効率的なエネルギー需給システム」を実現するためには、エネルギーインフラの整備が求められるなど、将来的な地方の財政需要が高まるものと予想されますという書きぶりに変えてございます。前回になかった部分として、廃熱の熱の部分が要素として盛り込まれています。もう一つがエネルギーインフラの整備という整理をさせていただいております。「2 基本的な考え方」ですけれども、「(1)地方財源の確保」という点では、「1 財政需要」で定義しておりますとおり、地方の役割を明確にしていくとしております。「(2)財源の負担者」、受益者負担という考え方は、維持している訳でございますけれども、ここも二つ目の丸で、当面は、「安全・安心な電力の安定供給」という受益に着目すべきであり、将来的には、「地域における効率的なエネルギー需給システム」の実現により、エネルギーの効率的な利用、適正規模の設備が設置されることから、費用負担の軽減という受益、こういう整理をさせていただいております。最後の三丸目でございますけれども、この施策に係る費用は直接的な利益を受けるエネルギーの利用者が負担することが適当ということでございまして、前回のように、電気・ガスという形ではなく、エネルギーの利用者という形で整理させていただいております。「(3)税制措置の検討」につきましても、当面の財政需要と将来的な財政需要の2段構えにさせていただいておりまして、4ページになります「(4)税制措置の検討に当たっての留意点」でございますが、○○委員からもご指摘がございましたけれども、まずは、更なる税負担が生じないように既存税の使途の組替えで対応していくことが考えられるということで、もう一つは、新たな税負担を求めるという方策でございますが、その場合も税負担の水準を抑えるか優遇措置を設けるなど、納税者の理解を得られるような制度設計を行う必要があるとしております。「3 税制措置の方向性」、これも法改正を求めるものでございますけれども、一つが「(1)既存税制の組替え」でございまして、これは前回と同様でございます。二つございまして、(1)が電源開発促進税の税収を地方の再生可能エネルギー施策の財源に組み替えるというもの、(2)が地球温暖化対策のための税、これは今年度税制改正で措置されたものでございますけれども、これを一部譲与税化して地方の再生可能エネルギー施策の財源に充てるというものでございます。「(2)新税の創設」ということでございますけれども、あくまでも「将来的に」という出だしで、○○委員にご紹介いただいたイメージ図に将来的にはなっていくだろうということでございまして、一丸目のエネルギーから享受する受益に応じて、その利用者に負担を求めていくことが適当であるということの整理でございまして、ここでも、幅広にエネルギー全体に書き加えさせていただいております。最後に「第5 今後の検討課題」でございますが、「1 国の動向を踏まえた見直し」は従前どおりでございますけれども、「2 減収影響と政策税制の効果」は、前回ご指摘いただいた部分でございまして、「第3 政策税制」の中には今回入れられませんでしたけれども、今後の検討課題として、更に軽減割合など詳細な制度設計を検討していくとともに、税の軽減に伴う減収影響や政策税制の効果などについても検討を行うという形で、今後の検討課題に入れさせていただいております。「3 課税自主権の活用」は前回と同様でございます。「4 市町村との調整」も、前回の研究会の中で、市町村との調整が一番大事になってくるのではないかというご提言がございましたので、盛り込まさせていただきまして、内容としては、市町村税において政策税制を仕組む場合には、市町村の減収影響を十分配慮する必要があり、減収相当については、交付税で確実に補填するなど財政措置を講じる必要があるとのことでございます。二つ目が神奈川県独自で新税等の財源確保策を講じる場合は、県と市町村の協議を通じてそれぞれの役割分担や財政需要を精査した上で、財源の帰属、いわゆる都道府県税にするのか市町村税にするのかということも含めて制度設計を行う必要があるということでございます。最後でございますが、こうした県と市町村の役割分担や市町村の減収を伴う政策税制の決定は、市町村の行財政運営に大きく関わる事柄であり、合意形成に向けた調整が不可欠であるという整理をしてございます。以上でございます。
座長:どうもありがとうございました。○○委員、○○委員、何か補足がありましたら。特に、前回の中間報告案から、今回、改めて再提出していただきましたけれども、中間報告案に変更が加わった部分、あるいは、考え方が大分変わっている部分があると思いますので、その辺りのご説明があれば。
委員:1ページの「公益性の検討」のところ、丸で言うと四番目と五番目が加わっているのですが、ここにおいて一つのポイントになるのは、システムを実現していくためには、街づくりと一体となってエネルギーインフラ整備をする必要がある。その「街づくりと一体となった」というのが一つのポイントかなと思っております。そこで、行政の役割が非常に重要になるというのが、公益性と言った場合の一つのポイントかなと考えております。ですから、税金でという話がこういうところも絡めて出てくるのではないかと考えております。
座長:○委員、何かございますか。
委員:考え方そのものが変わった訳ではないので、特に税制優遇の方はほぼ変わらないですが、新税を考える場合の根拠となる考え方については、この図も含めて、丁寧に、具体的にどういうことなのかということをかなり詳しく書いたということです。その中から、エネルギーの利用に応じた負担という前に、こういったシステムの構築というものがあって、将来的な財政負担が必要になってきて、これを利用することによって、広い意味でエネルギーの安全保障が地域レベルで獲得されるということと比例的になるだろうという考え方です。これからこの考え方で行くとなった場合に、具体的にどのようなことをやっていかなくてはならないのか、ここでは、ある程度具体的に説明したとはいえ、まだ抽象的な部分もありますので、熱電併給の問題であるとか、具体的に熱導管をどのように引くのかなど、具体的なプランを落とし込んでいくといくらでも具体的になりますので、将来的に県としてどのような姿を描いていくのかということが問われてくるのだと思います。とりあえず、根拠論としては、なるべく丁寧に論じるようにしたというのが今回のところでしょうか。
座長:○委員、何か。
委員:1ページの公益性の検討という部分で広げられたというところが大きな特徴だと思いますが、安定的に電力が供給されるということは、社会インフラとして必要だということは分かるのですが、そのことといわゆる公益性と言った場合に、どういう意味でつながっているのかが分かりにくい。せっかく加えた訳ですから、もっと踏み込んだ方がいいんじゃないかなという気がしております。○○委員に説明してもらったとおり、「地域における効率的なエネルギー需給システム」は、街づくりそのものだから、明らかに公益そのものをデザインする訳ですよね。そういうことを考えると、従来のように電力を供給するというのは、社会的インフラとして必要ですよということを、更に、もっと広い範囲に広げて、公益性というところを。何が言いたいかというと、従来の電力供給は、産業、あるいはそこで事業活動をするための電力の必要性ということが第一に考えられてきましたが、今回の「地域における効率的なエネルギー需要システム」は、生産だけでなく、消費も含めた住民生活と一体的なシステムとなる訳ですから、生産だけでなく消費の側面も重視されて、そうすると公益性という概念が、より生産の公益性と消費の公益性という両面が備わってきて、しかもそれが共同体としての公益性って話になるので、もっと公益性の概念が広い範囲を把握しているのではないかという気がします。この部分をもう少し積極的に考えられると、地域全体で利用するということがより具体化する気がします。そうすると、○○委員が議論されてきた税制措置でという根拠がより明確になるのではないかと思います。生産という側面の公益性と利用する消費の面の公益性が二つ重なって、地域全体の公共性につながっていくという理解にすると、もう少し広い範囲での公共性の定義が明確になるのではないかという気がします。
委員:ご指摘の点は、あまり議論されていなかったというか。消費の公共性と言った場合、説明がいるかなと思いますけれども。消費の公共性と言った場合にもう少し委員のお考えを。
委員:地域間でお互いに影響を与え合いますから、両方で調整する。情報通信を使って廃熱利用というのは、生産された廃物利用そのものなので、生産として捉えますと、お互いに重複するものを相殺し合って地域に貢献するということになる。
委員:消費の部分を大分触るとなると大変になりますよね。廃熱が典型ですけれども。熱の需要をどのようにするかを考えないと。廃熱は非常にもったいないということは分かるけれども、熱をどうやって利用するのかは、すぐには答えが出てこない。そこをこういう形で利用出来るのではないかということで、日本の場合、ドイツと違って難しいのは、冬の暖房需要があまりないので、かつてオイルで暖房をしている建物を見たことがありますが、最近はほとんどなくなってしまって、むしろ集合的にお湯で回して、熱導管で熱を伝えてという形のものがなくなりつつある。全部電気でやってしまおうという形になりつつある。熱需要を見出して、捨てられていた熱を利用することで、エネルギーの全体最適を構築するというアプローチは確かに必要で、そのためには、需要側を発見して、捨てられたエネルギーを最適利用するというところまで設計をする必要があって、そういう意味では、エネルギー消費のあり方を変えていくことになるのでしょう。生産された熱を上手く生活の側で利用することによって、電気依存を減らしていくということもできますし、電気だけでなく熱も含めた全体のエネルギー消費を減らすことが出来るということにつながっていく訳ですので、それをコミュニティとして解決するということですかね。
委員:生産で言うと、鉄を作るときに出てくるコークスは、副次生産になる訳です。実際には、作られたものが原材料として使われてしまう訳で、使えないくずとかになるのですが、実際は次の生産のステップに使えるという考え方になりますので、出てくる廃熱を再利用するということは、まさにそういうシステムを構築するということになります。ですから、そういう視点をもう少し入れていくと、どういう意味で公益性というのかが具体的になり、使った熱をそのままにすると失われていって、困ったものになる。熱をエネルギーに変換すると次に使えるので、それはまさに地域全体でエネルギーを利用するというシステムを構築するということになるのではないか。それをもっと明確に言った方が、面白い考え方ができるのではないかと思います。
委員:キーワードとしてもっと強めに出す。一つは消費側の公益性として、より住民に直結している部分を前面に出して、より公益性を高めるというのが一つと、もう一つが廃物利用。一つは廃熱の利用と、もう一つは余剰分、要するに余剰分ではなくさせるということですね。廃物利用というのは、まさに廃物と余剰副次生産物があって、これを上手く利用すると公益性ではないか。それを強調して書いた方が、公益性が分かりやすく出ますね。
座長:おそらく前回の中間報告では、1ページの第2の「公益性の検討」の後段二つの部分というのは、底流として流れていたんですけれど、本日○○委員にお持ちいただいた参考資料のとおり、もう少し明示的に全体像を打ち出した方がいいだろうということですよね。そこの切り分けをこの文言で言うと、当面という言葉と将来的という言葉で切り分けて、前三つと後ろ二つで、全体で書きぶりを二分している話。まず当面の問題は、参考資料の太陽光発電を中心とした、あるいはスマート化されたエネルギーの利用者の部分の住宅における断熱の部分、あと個別にパーツの部分部分を取っていき、一般的に国及び地方で行われていることをもう少し、拡張あるいは強化したらどうかという税制を持ってきているんですよね。ただここからは新しく、新しくと言っても今までも流れていたのですが、○○委員おっしゃったことと、○○委員に準備いただいた参考資料に書かれているような大きい枠で将来を見据えた書きぶりにしてはどうかと。○○委員の意見は、そこの部分をもう少し分かりやすく書いたらどうかと。だからキーワードを副題に入れた。後で伺ったら○○委員や○○委員は全体像が分かっていたので、私をはじめ他の方は、後でそうだったのって言う。確かにそれは面白いよねという感じで、ここで書きぶりを変えようかという話であります。まず、この書きぶりがいいかどうかがありますけれど、ワーキンググループではこれは面白い、神奈川県らしいよねと。他の都道府県でこれをやっていますか。
政策局長:地方自治体レベルでやっているところはないと思いますね。エネルギー政策そのものが国の政策ですから。地方自治体でエネルギー政策をここまで踏み込んだのは、そんなにないと思います。
座長:それでは逆に、神奈川県の方として、税制の方はいいよ面白いよという話になったのですが、神奈川県のその他エネルギー関係の部局は、大丈夫ですか。
太陽光発電推進課長:スマートエネルギー構想の中でも、集中型のエネルギー体系から、分散型のエネルギー体系を目指すという大きな方向性と理念は示しています。それを具体的な形にすると、○○委員が描いて下さったイメージというのは、一つ具体的な方向性ではあります。県の政策的には、まだそこまでコストの問題と主体の問題をどうするのかというところまで議論がいっていませんが、方向性としては同じものを目指している。それを税制の面からサポートしていくとした、関わり方や位置付けは構わないと思います。
座長:「将来的な」というところは、具体的なことは書いていない。書いていないということは、この紙1枚の方向で、どういう税制をあるいは政策をという話になる。税制について、ワーキンググループでは中間報告を出した後に、スマートエネルギーの構想をどう税制で作り込むかという話になってくると思いますが、その直前で止めてある。前よりは一歩踏み出していますが。
科学技術政策課長:今、国の動向を拝見させていただいていまして、電力システム改革専門委員会が資源エネルギー調査会の中に入っていますよね。そこでまさに議論している最中と認識しておりまして、まだ結論は出ていないようです。基本的には、今の話でコジェネや熱は別として、電力だけに限りますと、基本的に送配電部門は広域化、要するに九つの電力会社を広域化して、中立化させ独立させるという構想。それによって電力を安定化させていくという議論が進められている。そこでインフラ系のところは、しっかりと広域化させて中立化させ、小売や発電の方は全面自由化。後はそこでどうやって競争を起こしていくかというのが、今の国の議論の方向性ですね。その中で、今度は集中から分散というのが、大きな流れですので、方向性としては私もそう思います。そういった大きな系統は、インフラの大きなものは全国レベルのものにして、そこでコントロールをしていくという話と、それから個別の地域での需給調整をするという話をどう接合していくのかということになると、国の方がまずはっきり方向を示されて、その後、検討する話になってしまうのかなと。まだちょっと具体的な、地域における調整をどうするのかというのは、中々具体的なイメージというのが、検討しきれないなというのが、実感です。その辺りでご示唆いただけることがあれば、教えていただきたい。
委員:最後の部分で少しだけコメントです。まさに国は、広域的な運用、大規模発電がそれに該当します。確かに決まったものは何もないのですが、一つは、ベース電力、電力に関して言うと、需給の変化に対応するのはこちら側でやる。その代わりベース電力として一定の電力だけをここからもらうと。逆に言うと系統側に、再生可能エネルギーを送るということは一切せずに、迷惑はかけない。むしろ、系統側で供給不足になりました、そうであれば、こちら側でコージェネレーションを炊増し出来ますと。出来るのなら、その部分、例えば2時間分だけ炊増しして出してくださいと。その情報を受けたら逆に貢献してあげる。もちろんそれは料金に跳ね返るというメリットがある。そういうことをやっていくという提案はされています。ただ、まだ提案レベルなので、実際にこの関係性が決まっている訳ではないですが、こういうシステムを入れていった場合には、再生可能エネルギーだとか、廃熱の利用だとかをやって、ある程度系統に迷惑をかけないとか。あるいは、貢献するようなシステムをこちらで入れていく、それが一つのストーリー。そうすることによってコストの安い、かつ効率の良い、大規模発電はずっとベースで、原子力はどうなるか分かりませんが、定格でずっと動かし、余計なピークは持たない。こちら側も出来るだけピークカットするように融通をここの中でする訳ですから、設備として全体として抑えていく。協調して、どちら側にも余計なコストをかけないでいこうというのが全体的な思想としてある。そこで、問題になってくるのが、大規模発電が、広域的で中立的な運用、これは公共的。一方こちらの負担を誰が負うかというのは、まだ議論途中。一つ挙げるとしたら行政的な、新しい公共という言葉もありますが、公共サービスとしてやっていく。それを実際やるのは難しいので、例えばエネルギーサービス会社に委託して、運用として行う。一つのアイディアですけれど。もちろん最初からどこかのエネルギーサービスが最初から責任を持ってやるという場合もありますし、その辺はこれからどうなるか議論途中です。
座長:こちら側に関しては、税制上で言うならば応益性でいけるだろうと。安心・安全、ここで言う当面の問題を越えたところに、本質的な問題があって、地域における効率的なエネルギー需給云々というところで、○○委員がおっしゃったようなある種の外部性の議論が成り立っているのではないだろうかと。だから、応益性が発生しているから、応益的課税もできる。ならば地方だよねと。こういう論理体系が作れると。電気税、ガス税の話のところで、悩んだのですが、もう一歩広い議論をすれば何の問題もないよね、ということでこれで理論的には十分いけるだろうと。むしろ逆に国がどうのこうのという話ではなくて、地域、特に県レベルでオーガナイズをすべき問題であって、最近の地方財政は供給と企画を分離していい訳ですから、供給者を民間に任せるということはあり得るでしょうね。ただそれを、組織的にソフトを含めてインフラ整備をする公益性を作り出すということは、やはり大きな仕事ではないでしょうか。こういう論点ですよね。ただ具体的な話は今後、○○委員や○○委員ともお知恵を借りて、ワーキングでおそらく次の段階での話になる。今回の中間報告は国税を中心としてやりますが、一歩踏み込んで次のがメインですよと。そこは地方税も含めてやるという構造に作り変えました。それで応益性だとか、応益的課税だとかいうことと、○○委員のご専門のところが結び付けられるということだったと思いますが。どうでしょうか。
委員:国と地方の役割分担、こういう議論が始まったばかりで、今、議論を進めている途中なので、最終的な内容はまだ分からないのですが、いわゆる現在の発送電分離の議論については、基本的には東日本大震災直後の状況というのがすごく大きくて、50ヘルツと60ヘルツの間が融通出来なかった問題。それから、再生可能エネルギーでこれから東北地域の風況が良くて風力発電がこれから建っていくというような状況がある場合に、そこで電力を全部消費できないとなると、流してくると。首都圏で消費する場合に、電力会社を超えた融通を常時、でも今電力需給がああいう形で逼迫しているので、結構融通しているらしいです。この前、関電が言っていたのは、自分達がここまで電力融通というものをするメリットがあるということが分かったと、自分達のところは全部自分達で責任を取るというイメージで、他から融通していただくのはダメなことだという意識があったのですが、融通すれば過剰設備を持たなくて済む訳で、そういう大胆な融通が行われる世界になっていく。更に、再生可能エネルギーの発電事業者、発電事業に入ってくる人達がいるはずで、普段非常に熱を使うようなボイラーを持っていて、そこで発電を起こして系統につなげて流していくということが現れてくると思う。かつての電信事業で、NTTを民営化した際に、ソフトバンクをはじめ新規事業者をNTTと公平に取り扱って、電話のネットワークを安い託送料で公平に使わせる。公共インフラの役割を持たせたのと同じことを、これからやろうとしている訳ですよね。ですから、その辺りは、全国融通させるようないわゆる特別高圧、かなり大規模に広域間連携させるような系統の運用というのはドイツで言えば規制庁がある。電力系統の規制庁がドイツの経産省のすぐ下にありまして、ここが公平・中立な機関として差別をしないように監視をして、やりとりのデータを全部公開している訳ですよね。託送料というものが、新規参入に対する障害にならないように、適正な水準に抑えられているかどうかという点の監視も実はしています。そういうような形で、おそらくかなり広域の北海道から九州に至るまで、広域の系統については、きちっと国が見ていくし、そこに対して都道府県レベルが何かを言っていくということは多分ないと思うんですね。問題は、むしろ地域でこれから起きてくる、ドイツでの事態を挙げると、単純にいうと儲かるようになる、非常に高い値段が付いていますし、ソフトバンクのような大企業だけではなくて、理想的にはいろいろな地域でいろいろな人達が発電を始めるということになってきますと、この絵のようにつながってくるという時に、系統の問題がある。もう少し低圧のエリアのところでキャパシティがもうないとか、だから受け入れられないとか、周波数の問題とかですね。そうした時に民間事業者としてコストがかかり過ぎて、自分達の利潤の確保ということを考えると新規としてやりたくないと。だけど地域の観点から見ると、エネルギーの安全保障とか低炭素化だとか、全体エリアとしてのエネルギー量の全体最適を考えると、ネットワークをこういうふうに作り変えていきたいと、そこに衝突が起こる訳ですよね。今までは電力需要者さんへのお任せで、自治体は触らないということで終わっていたのを、これからは自治体が絵を描いて将来的には熱と電気の利用、地域における全体最適を考えたいということになった時に、系統利用をさせてもらわないといけない。そこを今まで電力会社さんの私的財産で、それをどう利用するか、電力会社が受け入れるか受け入れないかを含めて決定できると。こちらはお願いするしかないという関係だったのを、これからは公益性を持つ公共インフラということで、彼らが自分では出来ないし、やりたくないというのであれば、県が公的な資金、場合によっては必要な資金を支援するという協議をしていくイメージですかね。そういう形でネットワークの絵をむしろ地域の中で描いて、実現に向けて協議をしていく。必要な財源については、場合によっては地域にメリットが発生していくのだから負担してもらうという意味ですかね。そうすると、いろいろなビジネスを地域で起こさせて雇用にもつながっていくという話がドイツでは少なくとも起きているし、売電事業によってはかなり膨大な収入が入っている。これからはそういったものに入っていかないと損になっていく訳ですよね。
科学技術政策課長:そうしますと全国的・広域的な系統、中立的なインフラができますよね。その一部分を地方公共団体が、肩代わりというか自分がやるという提案をして、交渉してその部分は神奈川県が管理するだとか、そういうことが出来るのでしょうか。
委員:今の時点ではなかなか難しいところですが、ドイツの場合では地域のエネルギー公社というのが現実的に持っています。昔から持っていたケースもありますし、EU指令で一旦自由化が行われて、手放してしまったところも、今買い戻して、再公有化が行われていましてね、やっぱりいろいろな意味での公益性があるとなると、グリットを握っているとなると物凄い力で、そこは儲かります。ドイツでも発電事業は競争が激しくなり過ぎてあまり儲からない事業になりつつありまして、グリットを持っていることで、政策を打てるんですね。今まで自治体はグリットを持っていないので、啓蒙普及しか出来なかった。政策が打てるようになったのがドイツの姿ですね。
科学技術政策課長:インフラを持たずに、エネルギーマネージメントの部分だけでコントロールするのは無理ですか。
委員:所有の話ですけれど、所有までとなるといろいろ問題がある。所有は置いといて、運用とか使用、使う権利の方でそれも今は規制上ちょっと難しいでしょうけど、実際に所有権まで移転させるのは難しい。運用レベルで使わせてもらうとか、また熱導管の話はそもそもない状態なので、それを作る時に自治体がどういう形で関与していくか。そうであれば所有という形もできますし。ネットワークによって自治体の関与の仕方が変わってくると思います。
座長:国の議論としては、公的部門が扱うとか扱わないとか、あるいは扱う場合には、国が基準を決めるかあるいは手法を決めるのか、そういう議論はたくさんあるという訳ですか。
委員:いや、されていないですね。議論が全くされていない訳ではないですが、公的にここを誰が持とうとか、何が主体なのかという議論はしていないですね。実はまだ広域の方が決まっていない。今のところISOタイプか、分社化になるかとか議論中ですので、まずそちらを決めて、実際にどこまで区分けするか。要するに、低圧の6,600未満だけは別途見るのか、広域と言った場合、どこまでが広域なのか。送電線の話などは、これから決めていかなくてはいけないのですが、それがまず議論になって、それが決まってまず、配電網、どこまでの配電なのか6,600未満なのか上なのか。もうちょっと上になると送電と呼ばれるので、送電もどこまでを広域的な運用主体が見ていくのか、実は広域の運用主体というのがどういうものかさえも決まっていない。広域の運用主体を誰がやるのか。電力さんが加わって独立な人となった場合、誰が独立な人なのか。そういうことからまだ議論しているので、なかなかまず地域における需給システムを誰がというところの具体的議論は、もう少し先です。それが決まってその次の段階で公共の役割を含めて議論が始まる。ですから、国の方で決めるというよりは、むしろやっぱり地域の方から上げていく。あるいはビジネスベースとしてどう考えていくか、地域のエネルギーサービス事業者の方が、まさにFITをきっかけに出てくるというのもあると思います。
座長:神奈川県が関与するとすれば、例えばみなとみらい地区で神奈川県が主導して税制措置をして、企業を誘致して、こういうグリットを作りますと。その立案、財政的な措置、税制上の措置をいたしますと。こういうことが一つ考えられる。
委員:考えられますね。その時に同時にソフト的な政策な方は、県の方で打っていく、ビル自体がスマート化されていることが最低限必要ですので、今の規制だと、それ程省エネ性を備えていないビルも建っていますので、国の方で議論を進めていますが、神奈川県ではもう少し踏み込んで、例えば、規制でなくてもいいですが、何かしら厳しめの断熱性を、その分補助は出しますよと。そこで財政需要が発生していますし、そこら辺が県の関与の仕方、ソフト的なものも含めて、ハード的なインフラの計画も含めていろいろなところで出てくると思う。そこでどこまで踏み込むかどうかは、まさに担当者がどれくらい踏み込むかにかかる。
太陽光発電推進課長:県としてはまずパーツの部分なんです。スマート化されたエネルギー利用者であれば、スマートハウスあるいはスマートファクトリーとかオフィス。単体でのスマート化をどうやって実現していくか。それに対して、行政としての、サポートをどうやるか。再生可能エネルギー導入に対する支援。それをやりつつ、国の議論も見ながら地域でのエネルギーのあり方が出来た時に、パーツが備わっていれば、電力であれば物理的なインフラはある訳ですから、どういう利用形態を整理するかという問題です。熱は導管を新しく引かなくてはならないというのがありますが、そういう部分でパーツのところを、しっかりと作り上げてその密度を上げていくことで、エネルギーマネジメントシステムのインフラ構築に結びつけていく。ある程度そういう段階的な取組があって、最初の一歩のところに今取り組んでいて、それを税制的な視点から、更に後押しできると。それが今回の大きな目的の一つだと思います。
委員:ただ、太陽光発電のパーツ、その他小水力発電だとか、熱電併給システム。それ自体を含むことで、必然的に外部性が起きてくる。その外部性をどう地域全体で調整するか。やはり私達の頭には、全体最適をいかに実現させるか、地域としてそれを考えなくてはならない。そうすると座長がおっしゃったように、公益で考えていかなければいけないという話にすぐなりますけど。
委員:そうですね。先ほど申しましたとおり、かなり需要と供給にギャップがあって、遠くに大量に風力が建つというケースでは、需要と供給は地域でマッチング出来なくなるので広域網で流すということになりますが、神奈川ですとこれだけの需要がある訳ですから、むしろ消費がかなりある訳ですよね。地域の新しい供給主体が出てくると、需要とマッチングしてくることが可能になる訳で、何も広域系統を使って外に流さなくても、低圧のレベルで融通しながら地域で地産地消していくことが可能。飯田の場合はメガソーラーを造りましたが、地域で消費したいということで、わざわざ低圧をつないで地域で使っているんです。そのことに関して中部電力は痛くないらしいですけれども、それでもかなりやり取りをしたそうです。ですから、地域で造ったこういうものを、地域で消費するため低圧の系統使って、地域で相互に融通するようなものをやるということであれば、おそらくそういった交渉をしなければならないでしょうし、今の段階ではそういう権限は東京電力にある。お願いベースでやっていかなくてはならない。もっと議論が進めば、そういう既成権限を持つ、そこまでいかなくても送電網というのは、公共的なものなので、それをどういうふうに使っていくかという点については、公的にチェックをしていくという議論が起きてもおかしくない。それでどういう電気のやり取りをしていくか、その情報を公開してもらうと。そこまでいくと外部性の問題も、地域で作った電気を、エリアとして需給が最適化するようにマネジメントしていくような姿を描いていくというのが将来的な姿でしょうね。なかなか今すぐ、飛躍することはできませんが。
太陽光発電推進課長:県内で多くはないですが、メガソーラーについては、今、系統での調整が非常に大きな問題となっています。2メガワットを超えると、特別高圧につなげなくてはいけない。中には鉄塔を自分で設置して、そこで東京電力の配電網につなげなくてはいけない。そのためのコストは場合によっては数億円かかる。メガソーラー全体の事業費は10億円足らずなので、全体の大半を系統の経費に費やさないといけない。しかもそれは、東京電力がうんと言わなくてはいけなくて、お金だけの問題でもない。調整もあるしコストもかかるし、メガソーラー自体なかなか難しいものがありますが、用地があったとしても、それを目一杯使って、例えば4メガ、5メガ付けようと思っても、実際の設置は2メガに抑えるとか、そういった現実的な問題も県の中では発生している。
委員:これからそういう問題がいろいろ出てくると思います。まだこの姿についてぼわっとしたイメージ図しか出せないのですが、分散型電源が増えてきますと、多分個々に問題が出てくると思います。伸ばしたいのに伸ばせない壁がいくつか出てくる。これから間違いなくそれをどう解決していくかに直面する。解決する場合には、個々にお願いベースで補助金でクリアするとかもありますが、体系的に解決するにはどうすればいいのかという問題にいつかはぶつかるような気がします。
座長:国としてはそれでいいかも知れませんが、神奈川県としては将来的にとは一応書いてはいますけれども、何をイメージすればいいのかな。税の方は、住民の方々がそれは面白いよねということであるのなら、水源環境保全税のように明確な何かがあれば。
委員:今すぐという訳ではないですね。将来的な財政需要も、そういう意味では、今単体のものをいかにして伸ばしていくかという。折角FITというものができた訳ですから、これを使って、どうやって分散型の電源なり、熱源も含めてですね、整備を進めていくかにまず注目をする。そこで起きてくる具体的な問題の解決を図っていく中で、将来的な構想を考えていかなくてはいけない。個々の問題がたくさん起きてくるでしょうけど、県として進めたい姿があるのに中々そこに進めない、障害が明らかになってくるでしょうし、それを解決する中で、エリア地域の方から電力システム、エネルギーシステムをこういう姿であるべきではないのか、問題解決の手法を国に言っていくべき時期があるのではないかと思う。それは2、3年先とかもっと盛り上がってこないとダメですね。
太陽光発電推進課長:後は具体的に、広さをどれぐらい取るかという話はありますが、先ほど委員からお話があったようにモデル的なエリアというのは県内でもいくつか、横浜や藤沢でのパナソニックさんの計画とかがあります。ああいったもので地域の需給バランスをとって、理想的には自給自足的なマネジメントができると、それがどれだけ利用者にとってメリットがあるのか、外に向けて発信していくことが非常に重要だと思っていますので、そういうことで利用者にとっての便益がどれだけ高まるのかも明らかになってくる。まずは形をしっかり造って見せていく。それが我々としては出来るところなのかなと思います。そういうところも実際は、いろいろな機器を入れるとコストが上がってしまって、実際商売でやっていますから、分譲した時の価格が跳ね上がってしまうとそれを負担してまでお客様が購入されるのかというハードルがある訳で、いかにそれを下げていくか。そこも今、大きな課題の一つとなっている。実験ではなくビジネスで展開していこうという段階にきています。そういったものをいかにハードルを下げて、あとはランニングコストでいかに回収できるかが非常に重要だと思います。
座長:今後の議論というところでしょうね。財政需要はある。税としても、少なくとも理屈の世界では、ここでいう公益性とか応益性で作れるということまで分かってきた訳ですので、もう少し時間をかけて、将来のことを考えるということでしょうね。中間報告の具体的な内容としましては、将来的なことを打ち出すことは打ち出すのですが、実際の制度的な提案としては、当面の財政需要で絞った形でということですね。
委員:将来的な財政需要額みたいなものを今出すのは、難しいのではと思います。まずそのためには神奈川県が今起きている問題を踏まえた上で、地域のエネルギーシステムのあり方を具体的に提案して、そのためにこういうインフラ投資を検討しなくてはいけないとか、それが具体的になった段階で初めて具体的な全額が上がってきますので、将来的な財政需要は将来課題として中間報告で置いて、その財源のオプションとして電気、ガスに課税するということでしょうかね。それから具体案としては、今回は政策税制の優遇措置の方を具体案的な内容としてまず押し出す。将来的な検討課題としては、こういうオプションがあり得るし、根拠論としてこういうエネルギー消費に応じた応益課税というものが、成り立ち得るのではないかという問題提起を今しておく。それが中間報告の趣旨になると思います。
座長:今までの安全・安心な太陽光発電を中心とした財政需要とそれに対する税制措置ということから話が始まったんですけれど、そのピンポイントの話ではなくて、むしろ全体を睨んだ上で今回はここを提言させてくれと。検討自体は、今後広域に及んでいくけれども、具体的な検討に関してはもう少し時間をかけなくては、そういう形になったんですよね。全体を睨んだ上での今回の提案という認識をしておりますが。それでよろしいでしょうか。これは、話が少し変わったので、今日おいでになっていない委員に、説明をしていただいて。
事務局:事前に、本日欠席されている先生方にはご意見を伺って、反映させているものになっております。
座長:特段強い反対はございました?
事務局:いえ、ありません。○○委員からも一部意見をいただいておりまして、既に反映したものを送っておりますので、了承を得たものと考えております。
座長:後は○○委員の了解かな。
事務局:それも事務方の方で。
座長:お諮りしたいのは、本日のご議論を受けて、○○委員のご意見もありますので、それと「てにをは」の修正等を含めて、できましたら私に預からせていただいて、ご欠席の先生方がご了解になられたらという所存です。
財政部長:ご欠席の方にはもう一度ご確認させていただいて、その結果も踏まえて座長にご相談させていただきます。
座長:そうしていただければ。それでは、預からせていただくということで。今後ワーキングはどうすればいいでしょうか。
事務局:これから日程を押さえさせていただいて、大体9月ぐらいから。今回検討課題とされているものや具体な制度設計も含めて、やらせていただければと思っております。
座長:ワーキングは継続するということでよろしいですか。
委員:前段としては、税制優遇の具体化に向けて。
事務局:財源確保も併せて、9月ぐらいになれば国の動向も若干見えてくるかなと思っていますのでお願いできれば。
財政部長:この分野は政策が主導する分野だと思います。その中で主体がどこにあるのか。特に国がいろいろ検討しておりますので、見えてきた時に前に進めることもあるかもしれないということと、地域でということになっても民間なのか、あるいは行政なのか。それも範囲がありますから。その時に公共の役割があるとして、政策をどう打っていくかという時には、税だけではなくて、規制の強化や緩和、補助の問題もありますし、そういう中で仮に行政が、県なり市町村なりが何らかの役割を果たすべきだと言った時に、税でインセンティブを与えられるか、あるいは独自の税制が仕組めるか、あらかじめ今の段階から理論的に整理をいただいて準備をしておくというような位置付け。そこで国の議論進んだ際に、ご協力いただくという形だと思います。9月ぐらいになってお願いをする形でいいのかなと。
座長:そういうことでしたら、今後も関係部局からもご出席いただいてワーキングで議論していきたい。研究会からも引き続きの研究をお願いしたい。それでは、司会をお返しします。
事務局:熱心なご議論をいただき、ありがとうございました。本日、ご議論いただいた中間報告の案でございますが、先ほどお話がありましたとおり、ご欠席の委員の先生方に改めてご了解をいただきました上で、座長にご指示をいただき、中間報告書としてまとめることができましたら、7月30日月曜日に、座長から副知事にご報告いただく予定といたします。座長には、引き続きお手数おかけしますが、よろしくお願いします。それでは、これをもちまして、第48回神奈川県地方税制等研究会を閉会します。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
このページの所管所属は総務局 財政部税制企画課です。