更新日:2024年11月15日
ここから本文です。
神奈川県労働委員会は、標記の事件について、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しました。
申立人 X(組合)
被申立人 Y(会社)
本件は、会社が、組合員Aに対する令和3年下期評価について不当に低い評価を行ったこと並びにこの評価を理由にAを昇給させなかったこと及びAの賞与額を減額したことが労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号又は第4号に、神労委令和4年(不)第2号不当労働行為救済申立事件(以下「令4(不)2事件」という。)係属中に、令和3年下期評価に係る評価コメントについて、会社の代表取締役社長Y2が令和4年6月29日付けメールでAに送付した回答が同条第3号に該当する不当労働行為であるとして、令和5年6月27日に救済申立て(以下「本件申立て」という。)のあった事件である。
⑴ 主文
本件申立てを棄却する。
⑵ 争点及び判断の要旨
(争点1)
Aに対する令和3年下期評価及びこれに基づく賃金支払いが、労組法第7条第1号又は第4号に定める不利益取扱いに当たるか。
(判断の要旨)
Aの令和3年下期評価が職位に照らして低いのは、同人の対人姿勢に基づくものといえる。したがって、組合が令和4年1月31日付け団体交渉申入書により団体交渉を申し入れたこと及び令4(不)2事件の調査において当委員会に上申書を提出したことを理由として、会社がAを不当に低く評価したとする組合の主張は採用できない。
よって、Aに対する令和3年下期評価及びこれに基づく賃金支払いが不利益取扱いに当たるとは認められない。
(争点2)
令和3年下期評価の令和4年6月6日付け評価コメントについて、Y2が同月29日付けメールでAに送付した回答が、労組法第7条第3号に定める支配介入に当たるか。
(判断の要旨)
Y2は、令和3年下期評価のコメントについて、Aから具体的に指摘するよう求められたことから、Aの認識ないし主張が書面上明らかな直近の例として、令和4年1月31日付け団体交渉申入書や上申書などの記載について、同年6月29日付けメールにおいて触れたものであり、このことは、団体交渉を申し入れたことや当委員会に上申書を提出したことを非難する意図に基づくものとは認められない。
同メールが、Aからの問合わせに対して、Y2自身の認識を回答したものであり、団体交渉の申入れや当委員会への上申書の提出それ自体を理由とする不利益を示唆するものではないことも踏まえると、同メールの送付は、組合活動を弱体化しようとの意図の下になされた組合の組織運営に影響を及ぼす行為とは認められない。
したがって、同メールによるY2の回答は、組合の運営に対する支配介入行為とは認められない。
このページの所管所属は労働委員会事務局 です。