農産物の上手な利用法(麦味噌の作り方)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
(1)大豆を良く洗う。
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(2)大豆を4倍量以上の水に浸ける。
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(3)(2)の大豆の水を切り、水を入れた鍋に入れて加熱する。
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(4)(3)が沸騰したら、火力を弱め、軽く沸騰させながら30分間加熱する。
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(5)(4)の大豆の水を切り、加圧蒸煮する。
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(6)1気圧で15分間加熱し、常圧になるまでゆっくり冷却する。
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(7)(6)の加圧釜が常圧になったら、蒸煮大豆を釜から出し、冷却する。
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(8)塩の分量から、200gをフタ塩用に取り分ける。
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(9)(7)の蒸煮大豆が40℃くらいまで冷えたら、混合用の大きな容器に蒸煮大豆、麦麹、塩を入れる。
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(10)混合用の容器に入れた蒸煮大豆、麦麹、塩を攪拌・混合する。
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(11)(10)で攪拌した原料をミンチにかける。
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(12)ミンチにかけながら、発酵・熟成用の容器に詰め込む。
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(13)容器に詰め終わったら、表面を平らにし、フタ塩をふる。
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(14)(13)の上面をプラスチックシートを敷き、押し蓋をし、重石をのせる。
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天地返し
(16)土用前になったら、容器の中の味噌を切り返す。 |
(17)切り返し終えたら、表面を平らにし、上面にプラスチックシートを敷き、押し蓋をし、重石をのせる。 |
★大豆の水洗
大豆はきれいなようでも、表面は泥土で汚れています。大きな容器に大豆を入れ、水を少し入れ、擦りあわすようにして下さい。まな板を大豆の中に差し入れて、グリグリと攪拌すると大豆に不要な力がかからずに擦れるので、豆が割れることなく、きれいになります。良く擦ったら水がきれいになるまで、水を交換しながらサッと洗ってください。
★大豆の水浸け
大豆は水を吸って、2.2~2.3倍の重量になります。また、カサも増えてきます。大豆を浸ける容器は大きめなものを使い、水は大豆の4倍量くらい入れて下さい。
大豆は大豆の大きさと水温によって水を吸う早さが違ってきます。温度が1~5℃と低いなら12時間以上浸けて下さい。浸けすぎにはなりません。10℃なら12時間程度、15℃なら8時間程度の水浸け時間が必要です。また、粒の大きな大豆は粒の小さい大豆に比べて水浸け時間が長くなります。
大豆の最適の水浸け時間は水浸け大豆の胚乳の内側のくぼみが無くなり、1本筋から平たくなったばかりの状態がベストです。
★大豆の水煮・蒸煮
大豆を水煮することで水溶性成分が煮出されます。水溶性成分には味噌を褐変させる成分も含まれています。大豆を煮る時の水の量が多ければ多いほど味噌を褐変させる成分が煮汁に移る量が多くなるので、味噌の色はつきません。水煮をせずに蒸煮しただけの大豆を使って味噌を仕込むと、褐変を引き起こす成分が大豆の中に残るので、味噌は赤身が強くなります。
★種味噌
味噌の発酵には乳酸菌と酵母が関与しますが、自家醸造味噌では乳酸菌と酵母を添加していません。高濃度の食塩が含まれた環境でも生育が活発で、良好な風味を醸成する乳酸菌と酵母を添加するため、風味良好に熟成された味噌を種味噌として入れます。種味噌は(9)(10)の蒸煮大豆、麦麹、塩を攪拌混合するときに、100~200g程度入れて下さい。
★味噌の置き場所
仕込んだばかりの味噌は少し涼しいところにおいて下さい。仕込んだばかりの味噌には雑多な微生物が入っています。少し涼しいところにおいて、雑多な微生物の増殖を抑制し、麹菌の持つアミラーゼによって原料のデンプンや多糖類を甘味の強い単糖類に分解するとともに、好塩性の乳酸菌を徐々に活動させなければなりません。乳酸菌の活動により、味噌の中に乳酸が生成され、全体のpHが下がっていきます。pHが下がることによって雑多な微生物の活動はおさえられてしまいます。
★天地返し
夏の土用前に味噌の切り返しを行います。味噌を均一にするとともに、味噌の中に空気がわずかに入ります。空気がわずかに入ることによって、酵母の活動が促進されます。酵母はアルコール発酵をし、糖分と酸素から炭酸ガスとアルコール、水、そして香気成分をつくります。また酵母は温度が高いと活発に増殖・活動します。
夏の土用前の天地返しでの酸素を補給と土用の高温期の経過は天然・自然を利用した酵母のアルコール発酵の促進となるわけです。
また、天地返しによって空気にふれるため、味噌の着色が進みます。
★熟成・保存
夏の高温期を過ぎたばかりの味噌は酵母の活動で生成した呈未・香気成分がなじんでいないので、風味をなじませるため、秋に口切りとなります。
また、熟成した味噌でも微生物は活動しており、また酸素の影響による品質変化もあります。仕上がった味噌は品質変化を防ぐため、低温において下さい。
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