更新日:2024年4月19日

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自然体験プログラム1-草木と-

神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻

自然とふれあうプログラムには様々なものがあります。森林や水辺、あるいは屋内や夜間といったフィールドではなく、ここでは昼間の一般的な都市の環境(身近な自然のある公園・校庭等)で、五感を用い、大人をリーダーとして子ども達と比較的短時間で体験できるものを紹介します。

目的

  1. 自然に触れて生活し、その大きさや美しさ、不思議さなどに気づき、その性質や仕組みに興味や関心をもつ。
  2. 季節により自然や人間の生活に変化があることに気づく。
  3. 身近な動植物に親しみをもって接し、生命の尊さに気づいて、いたわったり、大切にしたりする。
  4. 自分と地域の様々な場所、公共物などとのかかわりに関心をもち、地域のよさに気づいて、愛着をもつことができるようにする。
  5. 自分と身近な動物や植物などの自然とのかかわりに関心をもち、自然のすばらしさに気づいて、自然を大切にしたり、自分たちの遊びや生活を工夫したりすることができるようにする。

体験プログラム

番号 アクティビティ名 使う五感 体験時間 大人1人
でも

家族、または
小グループで

10人以上で

1 自然からの借りもの 約1時間  
2 自然の鉄人

視・聴・嗅
触・味

約1時間  
3 におい当て 約30分  
4 色いろ探検隊 約1時間  
5 森のレストラン 視・触 約1時間  
6 外来野草の前菜 嗅・味 約1時間
7 葉っぱじゃんけん 視・触 約30分  
8 落ち葉のグラデーション 約30分  
9 植物怪獣図鑑 視・触 約30分

 (1)自然からの借りもの

さまざまな年齢で実施できる、公園や校庭がフィールドの宝探しです。

用意するもの

「借り物リスト」、ジッパー付き保存用プラスチック袋やビニール袋、ピクニックシート

手順

  1. リーダーは、あらかじめグループの数だけ「借り物リスト」を作っておきます。参加者は5人程度までのグループに分かれておきます。
  2. 各グループはリストを読み、質問があればリーダーが受け付けます。
  3. 制限時間と行動範囲を決め、自然からの借り物に出かけます。ジッパー付き保存用プラスチック袋などを活用して収集しましょう。あくまでも借りものなので、木の枝を折ったり、虫を殺して持ってきたりしてはいけません。
  4. 時間がきたら再集合します。ピクニックシートを広げ、各グループが持ってきたものを並べ、見つけた場所や感想を交換し合いましょう。

自然からの借りものリスト(例)

ⅰ 秋を感じるもの ⅱ 昆虫のグルメ ⅲ 天ぷらにできそうなもの ⅳ 自然物ではないもの ⅴ 自然の中でつながりをもっていないもの

※リストを作る際には、見てすぐにわかるもの、科学的に考えるべきもの、感覚的に選ぶべきものを組み合わせると変化が生まれます。
※ⅳはそのまま持ち帰り、所定の場所に廃棄しましょう。
※ⅴはそんなものはない、というのも正解です。
※早さや優劣を競うのではなく、その場所の自然や、それぞれの感覚の違いを楽しみましょう。

 (2)自然の鉄人

「自然の鉄人」の称号をかけたビンゴ大会!工夫のしがいがあるアクティビティです。

用意するもの

ビンゴカード作成用の紙、筆記用具、クリップボード

手順

  1. リーダーは、あらかじめビンゴカードにする用紙に3×3=9マスの枠を作り、その時期、その場所にちなんだ自然物を9つ決めておきます。見つけやすいものから難しいものまで、難易度を散らしておきましょう。
  2. 参加者にビンゴカードと筆記用具、クリップボードを配ります。リーダーが9つの自然物の名前を公表し、参加者はそれらを任意に枠の中へ書き入れていきます。
  3. 制限時間と行動範囲を決め、参加者は実際に探しに行きます。発見できたものについてはマス目に○をし、ビンゴを目指しましょう。
  4. 時間がきたら再集合し、ビンゴの数を競います。全て発見できた人には「自然の鉄人」の称号が与えられます。
  5. お題となっていた9つの自然物を探しに、全員で出発しましょう。

出題例

ⅰ 平らな石 ⅱ アリの巣 ⅲ 外来の植物 ⅳ 羽のある虫 ⅴ 新鮮な桜の花びら ⅵ 青いもの ⅶ 人間以外の足跡 ⅷ 木の新芽 ⅸ 鳥の鳴き声

 (3)におい当て

嗅覚に着目した珍しいプログラムです。挑戦してみる価値ありです!

用意するもの

身近な場所のにおいの強い植物の葉や花、不透明なプラスチックケースまたはジッパー付き保存用プラスチック袋を5つ、ナンバリング用のマジックまたはシール

手順

  1. リーダーは、4つのプラスチックケースまたはプラスチック袋にナンバリングをしておきます。残りの1つには付けません。
  2. ゲーム開始直前に、4種類の葉や花を細かくちぎり、ナンバリングされたフィルムケースに別々に入れます。そのうちどれか1種類は無地のケースにも入れます。それぞれ1枚は、ちぎらず原形のままにし、保管しておきます。
  3. 参加者に、無地のケースのにおいを嗅いでもらいます。このにおいが基準です。
  4. 次に、基準と同じ植物を当てるため、ナンバリングされたケースのにおいを順に嗅いでいきます。色が異なる場合には、中が見えないように気をつけてもらいましょう。全員が嗅ぎ終わるまで、各自の感想を話してはいけません。
  5. 全員が終了したら、答え合わせを行います。リーダーは原形のまま保管している1枚を示しながら、解説を行いましょう。

※葉や花は、なるべく使用直前に採集しましょう。
※採集する植物に関しては、希少性や人の手が加わっているものでないか、充分に注意しましょう。
※草や花だけではなく、カメムシなどの昆虫を用いることもできます。その場合は生きたままにおいを嗅ぎ、終わったら元の場所に返しましょう。

 (4)色いろ探検隊

色に注目したアクティビティです。春から秋の実施がやりやすいですが、冬だからこそ、の楽しみ方もあります。

用意するもの色いろ

B5~A3サイズ程度の画用紙などの厚紙、厚紙より一回り小さい色画用紙または柄の無い折り紙、のり、ビニール袋、昆虫などを入れられる容器など

手順

  1. リーダーはあらかじめ、厚紙と色画用紙をのりで貼り合わせたカードをグループの数だけ作っておきます。参加者は5人程度までのグループに分かれておきます。グループ名などを考えてもいいでしょう。
  2. リーダーは全ての画用紙を、グループに色が分からないように裏返して置き、グループの代表に各1枚選んでもらいます。画用紙の色が各グループの色になります。
  3. 自分たちの色に近い自然物を、できるだけ多くの種類見つけるゲームです。制限時間と行動範囲を決め、探索に出発します。
  4. 発見した自然物は、ビニール袋や容器に入れて運べるものは運び、大きなものや自然保護の視点で運べないものはその場所を覚えておきます。
  5. 時間がきたら再集合し、1次審査をします。集めてきた自然物の数を競い、リーダーによる品評会も行います。色が違うと判断された場合は、集めた数から取り消しましょう。判定は緩めに、よほど色がかけ離れていなければ良しとします。
  6. 次に2次審査です。各グループが運べなかった自然物を全員で巡ります。意外なところで意外な色に遭遇する楽しさを全員で味わいましょう。1次審査と2次審査の数の合計がグループの得点となります。

※自然界には茶色または緑色に近い色が多いため、色画用紙と折り紙にこれらの色を選ぶと判定が難しくなるので注意しましょう。

 (5)森のレストラン

木々に恵まれた環境で行いたいアクティビティです。グループでも、個人でも実施できます。森のレストラン

用意するもの

紙皿人数分、テーブルクロスなど

手順

  1. リーダーは参加者に対し、紙皿を1枚配付します。
  2. 制限時間と場所を設定し、自然物を集めてワンプレートランチをつくるように伝えます。
  3. 時間がきたら再集合し、テーブルクロスにそれぞれのお皿を並べ、鑑賞し合いましょう。シェフとしてメニューを発表し合ったり、プレートに名前をつけたり、みんなでコース料理を作ったりしても楽しいです。ランチの値段もつけると盛り上がります。

※グループで行う場合は、1グループ5名程度までがおすすめです。

 (6)外来野草の前菜

近年話題の外来種ですが、実は植物の中には食用として親しまれているものも多いことをご存知でしょうか。
実施する際は他の草が枯れているところや、花壇、農地の周辺は農薬が使われている可能性があるので注意しましょう。野草は状態の良いものを選び、よく洗って調理しましょう。また、多食は避けましょう。

タンポポのサラダ

用意するもの

野草を摘むためのビニール袋、一般的な調理器具、タンポポの葉5~10枚、クルミ、お好みのドレッシングなど

手順

  1. 新鮮で花が咲く前の若い葉を選び、しならない程度によく水洗いし、水気をとります。
  2. 食べやすい大きさに切り、クルミは粗く刻みます。
  3. 皿に盛り、お好みのドレッシングなどで味付けします。シーザーサラダドレッシングや、オリーブオイルと塩、さらにごま油とニンニク、豆板醤(辛いので注意)などがおすすめです。

※現在、町でみられるタンポポの多くは、ヨーロッパから移入したセイヨウタンポポ、または在来種との雑種と言われています。セイヨウタンポポは別名、食用タンポポとも呼ばれており、意外にも食用として明治期に移入したものが広まったとされています。天ぷらなどで苦味を抜く食べ方もありますが、生でも苦味を生かし、ハーブ類と同じように食べることができます。

猫じゃらしポップコーン

用意するもの

野草を摘むためのビニール袋、ライター、エノコログサ(猫じゃらし)の穂を適量

手順

  1. 新鮮でよく実ったエノコログサの穂を、よく水洗いし、水気をとります。
  2. ライターを弱火で点火し、穂の毛の部分を燃え尽きるまで炙ります。
  3. 残った粒にお好みで少量の醤油をつけ、再び弱火で炙ると、ポップコーンのように弾けます。
  4. そのまま、歯でしごいて食べましょう。

※猫じゃらしとして知られるエノコログサは、五穀の一つ、粟(アワ)の原種です。稲作文化とともに大陸から渡ってきたものとされ、実は歴史の長い「外来種」でもあります(法的に外来種とは、明治期以降の移入生物を指します)。
※割り箸でしごいて種を集めてフライパンで炒ると、ゴマのような香ばしさが立ち上ります。ふくよかに、よく実っているものを選ぶのがポイントです。
※虫の付着には注意しましょう。

クズの塩茹で

用意するもの

野草を摘むためのビニール袋、一般的な調理器具、クズのツルの先端適量、塩適量、調味料など

手順

  1. ツルの先端の新芽を収穫します。指で簡単に曲げられる部分が食べるのに適した部分です。
  2. よく水洗いします。虫が気になる場合は、流水で洗うとよいでしょう。
  3. 鍋に小さじ1くらいの塩を加え、沸騰させます。
  4. 新芽を5分ほど茹で、アクを抜きます。茹でたら水洗いし、アクを流します。
  5. 皮をむき、ツルの中身を食べます。味はお好みで付けましょう。豆のような風味、うまみが感じられ、感動するほどのおいしさです。

※茎が太くなる夏から秋がより適していますが、春も食べられます。
※秋の七草として古くから知られるクズ(葛)は、葉は家畜の飼料に、つるは籠や布の材料に、根はくず粉にとされてきた生活に近しい植物です。生命力が強く、神奈川県でも高速道路脇や河川敷、空き地など様々な場所でみられます。このクズ、実は日本では外来種ではありませんが、IUCN(国際自然保護連合)が「世界の侵略的外来種ワースト100」に認定する植物です。
例えばアメリカでは、1876年のフィラデルフィア万国博覧会で日本産のクズが展示されたことをきっかけに様々な用途で利用されるようになりましたが、現在では管理不可能なレベルにまで拡大しており、駆除の対象とされています。外来種による生態系の破壊は、日本だけの問題ではないのです。

 (7)葉っぱじゃんけん

身近にある落ち葉を用いて、少人数から手軽に遊べるゲームです。

用意するもの

特になし葉っぱじゃんけん

手順

  1. リーダーは参加者に対し、制限時間と場所を設定し、いろいろな落ち葉を3枚拾ってくるように伝えます。
  2. 参加者は落ち葉を持って、見せ合わないようにして再集合します。
  3. ペアを作り、背中合わせで落ち葉を体の陰に隠します。
  4. リーダーは、「これから葉っぱを使ってじゃんけんをします。グー、チョキ、パーではなく、これから伝えるテーマに合った葉っぱを出してください。」と伝えます。
  5. テーマを示したら、リーダーの「葉っぱじゃんけん、じゃんけんぽん!」を合図に、始めます。
  6. 勝ち負けはペアの話し合いで決めます。よりテーマに合っている方を選びましょう。
  7. ペアを変えたり、テーマを変えたりしながら何回か行います。

葉っぱじゃんけんのテーマ(例)

大きな葉っぱ、ギザギザしている葉っぱ、カラフルな葉っぱ、瑞々しい葉っぱ、味のある葉っぱなど

※勝ち負けではなく、葉の多様さ、おもしろさを楽しむアクティビティです。

 (8)落ち葉のグラデーション

秋に行いたいプログラムです。クラスなどでどうぞ。

用意するもの

特になし

手順

  1. リーダーは参加者たちに、各自1枚の気に入った落ち葉を拾ってくるように伝えます。参加者が落ち葉を拾っている間に、リーダーも緑、黄色、赤、茶色の落ち葉を1枚ずつ拾います(事前に用意しておくのも可)。
  2. リーダーはベンチの上に、落ち葉を緑→黄色→赤→茶色の順番で間隔を空けて配置します。
  3. 再集合し、参加者にそれぞれの持ち寄った落ち葉をグラデーションになるように置いてもらいます。全員の落ち葉で美しいグラデーションが作られていきます。
  4. リーダーは、落ち葉に様々な種類があること、集まった葉の中で知っている樹木、昆虫の食べた痕跡などについて解説を行いましょう。

※できれば、様々な種類の落ち葉が拾えるフィールドで行いましょう。

 (9)植物怪獣図鑑

特撮ファンとしても楽しいプログラムです。ぜひ親子で一緒に!

用意するもの

ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズなど、特撮ヒーローの怪獣、怪人がたくさん載っているもの(タブレットなどでもよい)、植物図鑑や昆虫図鑑など(タブレットなどでもよい)、虫めがね(虫捕り網)

手順

  1. 大人と子どもで、怪獣や怪人の姿や機能を改めて確認し、似た生き物を探しましょう。植物だけでもいいですが、虫や甲殻類を含めて探すとヒーローも含めて格段に選択肢が増えます。
  2. 生き物を見つけたら、一緒によく見て気づいたことを共有しましょう。虫めがねでアップにしたり、向きを変えたり、方法を変えれば発見も増えるかもしれません。

※怪獣、怪人にはモチーフになっている生き物がいることが多いですが、その生き物でなくても似た部分が見つかることがあります。どの部分を似ていると思ったのかを大切にし、否定せず話をよく聞きましょう。

※子どもが活動中に絵を描きたくなったり、図鑑を読みたくなったりしたら、できる限りそのようにしてあげましょう。湧き上がった感性や集中力はその時だけのものです。

 

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