更新日:2024年4月19日

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キャンプファイヤー/キャンドルファイヤー

神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻

キャンプファイヤーは、仲間たちと火を囲んで、歌やゲームで楽しんだり、静かに語り合ったりすることで、友情等を深めることができるプログラムです。また、普段は目にしない大きな炎を前に、そのダイナミックな躍動感を感じたり、小さい炎を見つめて、これまでをふりかえったり、夜の静けさを感じたりすることができる活動です。

キャンドルファイヤーも同様の活動ではありますが、室内で行うため天候に左右されず、神秘的な雰囲気の中で、一体感のある活動を展開することができます。

活動のフィールド

キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーを実施する場合は、事前に施設のどの場所で実施できるかを確認しておきましょう。キャンプファイヤー場がいくつか用意されている場合は、実施規模(人数)に合わせて適切な場所を選ぶことも必要です。場所を下見する際に、地面の性質(砂利、草、土)や、参加者が座る場所があるのか、電源はとれるのか、注意事項は何か(音量の制限や利用時間帯)等を確認しておきましょう。キャンドルファイヤーの場合は、燭台にロウソクは何本立てられるのか、イスが必要な場合はその数、照明操作盤の位置等を確認しておきましょう。

用意するもの

  • キャンプファイヤー

懐中電灯、軍手、新聞紙、トーチ棒、雑巾、針金、着火用ライター(予備を含め2つ)、皮手袋、なた、薪、灯油、火ばさみ、消火用バケツ、スコップ(燃え残りの灰処理等に使用します)、救急セット(万が一の火傷の応急処置)
必要に応じて:ワイヤレスアンプ&マイク、CDラジカセ等の音響機器、ドラム式延長コード、拡声器、衣装や小物

  • キャンドルファイヤー

ロウソク大(燭台に立てる用)、ロウソク小(点火用)、手燭、着火用ライター(予備を含め2つ)、消火用バケツ
必要に応じて:ワイヤレスアンプ&マイク、CDラジカセ、ドラム式延長コード、衣装や小物
※施設で購入が必要なものや借用できるものもあるので、事前に確認しましょう。

事前準備

キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーをどのような意図で行うのか、プログラムのねらいについて指導者で共通理解をもちましょう。また、スムーズに進行できるよう役割分担が重要です。プログラムの中で参加者がスタンツ等の出し物を行う場合は、事前学習の時間等に内容を決めておくか、当日の日中に内容を考える時間を取ります。

役割分担

プログラムによって役割分担の考え方は異なりますが、一般的には次のような役割分担を決めておきます。

  • ファイヤーチーフ(営火長)

キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーの総責任者です。学校だと校長先生等にお願いします。セレモニーのはじめやおわりに話をします。

  • エールマスター

キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーの司会進行役であり、参加者の盛り上げ役です。参加者の様子をよく観察し、司会進行と同時に安全管理も行います。自分の顔が火の光で参加者に見えるように、炎に向かって立ち、話したり演じたりします。顔の向きに気を付けましょう。

  • ファイヤーキーパー

キャンプファイヤーの薪組みに始まり、点火時は点火役の誘導補助をして、火が付いてからは火の調整係としてプログラムの進行に合わせて薪を補充します。プログラムに合わせた火の管理が必要となるので、エールマスターと十分な打合せが必要です。火に最も近いため、難燃性の長袖長ズボンと帽子、軍手の上に皮手袋、首にはタオルを巻く等服装にも注意します。キャンドルファイヤーの場合、ファイヤーキーパーは不要です。

  • 点火係

トーチ棒を使って点火をする係です。神様の衣装をまとって直接点火したり、複数人に分火してから点火したりしますので、点火の方法によって人数が変わります。

  • 伴奏係

ギターやキーボード等、参加者が歌を歌う時の伴奏を担当します。音響機器で音楽を流して代用することもあります。エールマスターと息を合わせる必要があるので、必ずリハーサルが必要です。
※その他、前後のプログラムへの影響を考慮しながら、準備係・片付け係として参加者に薪組みや後片付けを手伝ってもらうこともあります。

当日準備

当日は明るいうちに施設職員と打合せを行い、使用場所や借用する道具、電源の位置、後片付けの方法等を確認します。地面にぬかるみや凹みが無いかのチェックも行い、大きな石や危険なものが落ちていれば取り除きます。キャンプファイヤーの場合、夏場であれば大体16時頃までには薪組みを開始しましょう。この時一緒にトーチ棒も作成します。季節や天候に応じて、薪組みの時間を早めましょう。
※トーチ棒は事前に作成して持参したり、施設で購入したりして薪組みの時間を短縮することもできます。

  • 薪組みについて

太い薪を2本ずつ交互に積み上げる井桁(いげた)型が一般薪組み的です。積み上げる際は徐々に2本の間隔が狭くなるように内側へ組むことで安定します。上から3段目は、外側の2本の薪の間にも隙間を空けながら薪を数本並べてロストルをつくります。ロストルを作ることで灰が下に落ち、風通りが良くなるため火がよく燃えます。井桁を組み終わったらロストルの上に丸めた新聞紙を3~4個置き、細い薪を立てて詰めます。この時、点火をする位置は細薪を開けて新聞紙を露出させておくことで火が付きやすくなるので、ファイヤーキーパーは点火位置を覚えておきましょう。長い薪がある場合はロストルの四隅に縦に置くと井桁が安定します。

井桁の高さは参加者の人数に合わせて調整できますが、最大でもエールマスターの腰の高さまでにしましょう。大きすぎる火は危険なだけでなく、環境にも優しくありません。ファイヤーの最中に補充する薪は、井桁から少し離して円形に置いておきます。こうすることで薪を補充しやすいだけでなく、並べた薪より中に入らないように指示することで参加者が火に近づきすぎないようにできるため、安全管理にも役立ちます。

天候が心配な場合は開始直前までブルーシートをかけておきましょう。

  • トーチ棒の作り方

直径3~4cmかつ長さ1m~1.2mほどの木の棒、布(雑巾やタオル)、針金をトーチ棒用意します。
木の棒は竹でも代用できますが枯れたものは不可、節は必ず抜いておきます。棒の先に布を
巻き付け、針金を布の少し下、棒の部分から先端に向けて強く巻き付けていきます。最後は
棒の上まで戻り、針金の先端同士をペンチでねじって固定します。針金を棒の部分から巻く
ことで、針金を布の上だけに巻くよりも布が落下しづらくなります。
トーチ棒は点火の方法によって必要な本数が異なるので、必要数用意します。

  • 灯油をかける

灯油はファイヤー開始前30分ぐらいを目安にトーチ棒と井桁にかけます。早すぎると灯油が気化してしまい、直前すぎると灯油臭さが残ります。トーチ棒に灯油をかける時は、井桁の上でトーチ棒の布の3分の1~2分の1程度灯油をかけます。その後布を下にしてトーチ棒を立て掛けておくことで、灯油が布全体に行き渡ります。かけすぎるとトーチ棒を持った時に灯油が流れ落ちてしまい大変危険です。かけすぎた場合は新聞紙で吸い取りましょう。井桁に灯油をかける時は、井桁の中心部分(新聞紙と細い薪)に灯油をかけ、周りの井桁部分にはかけないようにします。灯油を全体にかけたり、かけ過ぎたりすると、勢いよく燃えて早く崩れたりするので注意しましょう。

点火の方法

キャンプファイヤーではトーチを使った点火が一般的です。よくある儀式的な点火の方法は以下のようなものです。

  • ファイヤーチーフが火のついたトーチを持って入場し、言葉を述べたあと井桁に直接点火する。
  • 火の神が火のついたトーチを持って登場し、火のついていないトーチを持ったファイヤーチーフに火を分け、はじまりの言葉を述べたあと点火する。
  • 火のついたトーチを持ったファイヤーチーフが、火のついていないトーチを持った点火係に順番に分火する。この時、「友情の火」「感謝の火」「希望の火」「勇気の火」などの言葉を言いながら分火し、火をもらった点火係は「いつまでも友達を大切にすることを誓います」など誓いの言葉を述べる。点火係全員に分火したら、ファイヤーチーフの合図で同時に点火する。

点火係を子どもが担う場合は特に、トーチ棒の扱い方を事前に指導しましょう。腕を伸ばしてトーチ棒を30度程度に傾けて持ちます。トーチ棒の先端を下に向けてしまうと、手元に火が上がってきてしまい危険です。先端を真上にして持つと、灯油が流れ落ちる可能性があります。点火の際はファイヤーキーパーが補助をしましょう。

キャンドルファイヤーの点火の場合はトーチの代わりに手燭(てしょく)と呼ばれる小さなロウソク台を使います。

この他にも、点火スタンツなどで雰囲気を盛り上げながら点火する方法、火の玉落としやマジック点火のような驚きや意外性を重視した点火方法もあります。ねらいに沿った点火の方法を考えましょう。

スタンツについて

スタンツとは元々「即興劇」のことですが、キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーでは「寸劇」出し物」の意味で使われています。参加者がグループごとにスタンツを披露することで、グループの協力性を高める、自己や他者の新たな一面を発見する機会になる、プログラムへの参加意識が高まる等の効果があります。
スタンツを行う場合は事前の説明が必要です。以下に説明の一例を挙げます。

  • 時間は〇分以内にまとめること(1グループ7分程度の場合、交代時間を見込んで5分と指示しましょう)
  • 一部の人しか分からないクイズなどは避け、全員が楽しめるものを考えること
  • 特定の誰かを攻撃するような内容ではないこと
  • グループの全員が必ず何かの役割で関わること
  • グループの人も観ている人も安全にできる内容とすること
  • 内容が決まったらエールマスターに報告すること

当日、夕食の前に1時間程度時間を設けて、その中でスタンツの相談と練習をしてもらいます。事前学習の時間にスタンツの話し合いをする場合もあります。当日に内容を決める場合は、参加者がスタンツで使いそうな物品をある程度用意しておくことが必要です。(模造紙、画用紙、折り紙、マーカー、のり等)

スタンツを楽しむためには、スタンツを観る人の態度も重要です。参加者には、おしゃべりや下品な言葉、ヤジはしない、意味なく懐中電灯をつけない、スタンツをする人たちが気持ちよくスタンツをできるようにしましょう、と話をします。また、ファイヤーが始まったら自分たちのスタンツの話はせずに他のグループのスタンツをきちんと観る、他のグループのスタンツが終わったら拍手を送ることを前もって伝えておきます。

また、スタンツを披露する時どこにどの向きで立って披露をするのか明確に指示をしましょう。披露している人の表情が見えるように、顔に火の明かりが当たるようにします。火を背にして観客の方を向いてしまうと、顔が影になってしまい表情が見えないので注意しましょう。

プログラムの展開

一般的な展開は、はじめとおわりは静かな雰囲気で、途中は明るく和やかに進めますが、最初から盛り上げていくこともあります。ゲームや歌やスタンツで盛り上がっても、最後は必ずトーンダウンしましょう。盛り上がったまま興奮状態が続くと、終了後の移動中に怪我をしたり、興奮が冷めきらずなかなか寝付けなかったりする場合があります。子どもは「疲れたら寝る」と考えがちですが、キャンプという非日常では大人よりも元気です。

キャンプファイヤー/キャンドルファイヤーの流れに決まりはありません。ねらいに沿ったプログラムを組み立てることが重要です。ここでは、よくある一般的な展開例を紹介します。

1.はじめの言葉
2.歌「遠き山に日はおちて」2番をハミングで歌う
3.ハミングに合わせて火の神・ファイヤーチーフ入場
4.ファイヤーチーフの言葉
5.点火係へ分火、点火係による誓いの言葉
6.点火
7.歌「燃えろよ燃えろ」1番をくりかえす
8.歌「(校歌や団体歌など)」
9.導入のゲーム
10.動きのあるゲーム、歌、ダンス、スタンツ等
※スタンツがたくさんある場合は、冗長になるので間にゲームを挟みましょう。
11.静かなゲーム
12.静かな歌、詩の朗読等
13.歌「今日の日はさようなら」
※キャンドルファイヤーの場合は、歌の最中にエールマスターが中央の一本のロウソクを残し他のロウソクの火を消す
14.ファイヤーチーフの言葉
15.退場

注意点

  • 消火用に水が入ったバケツを必ず設置しておきましょう。
  • キャンプファイヤーの場合は風向きを考慮して参加者の位置を決めましょう。

後片付け

後片付けの方法は施設によって異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。キャンプファイヤーでは、耐火レンガや敷石などの上で火を燃やしていた場合、水をかけるとレンガや石が割れてしまったり高温の蒸気が発生したりして危険なため、水をかけることを禁止している場合があります。薪を燃やし切って灰になってから片付ける場合は、夜のうちに片付けるのか、翌朝片付けるのかも施設によって異なりますので、実施場所のルールに従いましょう。キャンドルファイヤーの場合は燭台とキャンドルを片付けて、実施場所の清掃をすれば終了です。

 

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