更新日:2024年10月8日

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ネイチャートレッキング

神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻

人里近くにある低山(里山)を歩くと、四季折々の美しい自然に出会えます。萌葱色の里山

春は芽吹きの季節。木々の葉が開く前に、林床にはシュンランやヒトリシズカなどの野草の花が咲き、昆虫たちも動き始め、やがて新緑が訪れます。南から渡ってきたキビタキやサンコウチョウなどの夏鳥がさえずり、子育てに忙しくなります。

夏は深緑の季節。暑い日向から樹林に入るとホッとします。親から餌をもらっていた野鳥の雛も大きくなり、やがて親から別れ独り立ちしていきます。

秋は紅葉の季節。落葉前に燃えるような紅色や黄色に染まります。北から渡ってきたツグミやジョウビタキなどの冬鳥たちが目につくようになります。

冬は氷の季節。早朝に霜が降りた地面を歩くとざくっざくっと音がします。落葉した木々の間から林床にあふれる陽が届き、霜が解けていきます。

そんな低山(里山)で四季を通して、五感を使って自然に触れる体験をしてみましょう。

目的

自然物の名前を覚えたり、知識を得たりするために実施するのではなく、五感を使って身近な自然に触れることで、自然物を発見する喜びや自然を感じることから、自然に興味を持ちその仕組みを理解するきっかけとすることが目的です。

アクティビティ

各アクティビティの答えを記入する記録用紙を作成し、出発前に配布します。

番号 アクティビティ名 五感 活動単位 季節 対象
1 フラワーネーミングコンテスト グループ活動 春秋 小学1年生以上
2 聞きなし 個人活動 小学1年生以上
3 フィールドウォッチング グループ活動 春夏秋冬 小学4年生以上
4 おもしろ自然物を見つけよう 個人活動 春夏秋冬 小学1年生以上
5 樹皮にほおずりして、樹と語ろう 個人活動 春夏秋冬 小学4年生以上
6 いい香りのするものを見つけよう 個人活動 春夏秋 小学1年生以上
7 におい当てクイズ 個人活動 春夏秋 小学1年生以上

 (1)フラワーネーミングコンテスト

目的

名前を知らなくても、名前をつける楽しさを知り、自ずと自然と花を観る(観察する)ことになる。

内容

花を指定して(名前を知らせないで)、子どもたちにグループで話し合わせ、花に名前をつけさせる。下山後、グループで決めた名前を発表する。指導者は写真を撮っておくとふりかえりのときに役に立つ。花の名前を知らなくても、楽しめるアクティビティである。
例)種名:ヒトリシズカ⇒ホワイトブラシ、種名:ウグイスカグラ⇒モモイロツリガネ

 

ヒトリシズカ

ヒトリシズカ

 

ウグイスカズラ

ウグイスカズラ

※登山中は開けた場所に花があるとは限らないので、愛川ふれあいの村などの施設内で実施する方が安全で現実的でしょう。

 (2)聞きなし

目的

鳴き声を日本語に置き換えることで、鳥が身近な存在になるのと自然の中にはさえずりだけでなく、いろいろな音があることに気づく。

内容

鳥のさえずりを日本語に置き換える。昔からバードウォッチャーの間では、この聞きなしというものが知られていて、例えばセンダイムシクイのさえずりは、「焼酎一杯ぐい⤴」、イカルのさえずりは「お菊二十四(おきくにじゅうし)」などと聞きなしている。野鳥がさえずっているところで、皆に聞きなしを考えてもらい、下山後発表する。指導者は鳴き声を録音しておくかスマホで検索するとよい。人それぞれでおもしろい。

※さえずりがたくさん聞けるようになる5月には最適のプログラムである。

 

センダイムシクイ

センダイムシクイ

 

イカル

イカル

 (3)フィールドウォッチング

目的

ほ乳類は昼間ほとんど見られないが、その痕跡はたくさんあるので、発見する楽しさがある。また、動物が自然の中でどんな生活をしているのかを想像し、動物が自然を棲みかにしていることを意識することができる。

内容

動物の痕跡を見つけて、どんな動物が何をしているかをグループで推定し、下山後発表する。指導者は写真を撮っておくとよい。

出題例

設問1)現場で見つけた松ぼっくりを見ながら質問します。
左の4個はエビフライに見えますね。一番右の松ぼっくりは誰か(動物)が食べた後です。さて誰でしょうか?

設問2)現場で見つけた場所を見ながら質問します。
これはシカが何かをした跡です。さて何をしたのでしょうか?

 

松ぼっくり

松ぼっくり

 

ぬた場

シカの跡

出題例の解答

設問1の解答)二ホンリスが松ぼっくりをかじって、松の実を食べた跡です。

設問2の解答)ニホンジカが泥あびをした跡で、ぬた場といいます。体に泥を付けて、木にもこすりつけています。これはダニや寄生虫を体から取り除くためです。また繁殖期(9~11月)には、雄は泥に尿を混ぜ、それを体にすり込み、体臭を強くして雌にアピールします。
※指導者は痕跡を見つけたら、危険がない場所で実施する。

 (4)おもしろ自然物を見つけよう

目的

自然物に目を向けることで、自然に興味を向けるきっかけとなる。

内容

子どもたちが面白い形の自然物を見つけたら、何に似ているか想像してもらう。指導者は写真を撮ってくとよい。

※子どもの視点で見るとたくさん見つかるはずである。

木のこぶ

木のこぶ

地衣類

地衣類

タマネギ石

タマネギ石

 (5)樹皮にほおずりして、樹と語ろう

目的

樹木は、大木になれば人間よりも長く生きているものもあり、それだけで畏敬の念を抱くことができる。実際にその樹に触れ、自分の思いを伝えることで、樹も応えてくれるような気がしてくる。

内容

個人で自分が気に入った樹を見つけて、ほおずりしながら樹と語り合ってみる。無理にほおずりしないで、手のひらを樹皮にあて目をつぶるだけでもよい。

※開けていて足場が悪くない安全な場所で実施する。また、時間に余裕があるときがよい。

ヤマザクラ

ヤマザクラ
(クマの爪痕あり)

オニグルミ

オニグルミ

コナラ

コナラ(コゲラが
餌を探している)

 (6)いい香りのするものを見つけよう

目的

自然物にはそれぞれ異なる香りがある事に気づく。人によっていい匂いなのか臭いのかと、感じ方が異なることに気づく。

内容

比較的開けていて安全なフィールドで、いい香りのする自然物を各自探してくる。その香りを他の人と共有する。

ジンチョウゲ

ジンチョウゲ(春)

クチナシ

クチナシ(夏)

キンモクセイ

キンモクセイ(秋)

※上記3つは三大香木と言われ、庭木によく使われている。
※ウルシなどの有毒植物がないかあらかじめ確認しておく。採取は最低限にする。(花、葉などは一つのみ)

 (7)におい当てクイズ

目的

自然物にはそれぞれ異なる香りがある事に気づく。

内容

においのする自然物を3つ用意して、目をつぶってそのにおいを嗅ぎ、どれなのかを当てる。

サンショウ

サンショウ

ヘクソカズラ

ヘクソカズラ

ヒノキの葉

ヒノキの葉

他にドクダミ、ジンチョウゲ、ヤブガラシでもよい。

※ウルシなどの有毒植物がないかあらかじめ確認しておく。採取は最低限にする。(花、葉などは一つのみ)

アクティビティ実施上の留意点

山歩きの途中でアクティビティを実施するには、時間に余裕があり、実施場所として開けていて安全なフィールドが必要です。したがって、実施する直前の時期に必ず下見をして、安全なフィールドと、対象となる自然物を探しておくとよいでしょう。また少人数でないと難しいので、指導者1人につき子どもは5~10人で、グループ活動は2~4人程度がよいでしょう。
開けていて危険のない、愛川ふれあいの村のような施設で実施する場合は、20~30人でも実施できます。
(1)を実施する際は、春秋で咲いている花が異なるため、事前に下見での確認が重要です。
(3)~(5)は比較的季節に左右されないで実施できます。

自然体験活動実施の手順

準備

自然体験活動をしながら山歩きをするには、十分に余裕を持った行程を選ぶ必要があります。参加者の体力やアクティビティの実施時間を加味した行程表を作る必要があります。

  1. 下見・コース選択
    3ヶ月前から1年前の計画段階でいくつかのコースの下見ができるのが理想です。その中からコースを1つ選びます。その条件は、「アプローチの良さ」「コースの安全性」「自然体験プログラムを実施可能なフィールドがある」「自然素材が多い」等です。
    季節によって、実施できるアクティビティが異なるので、1~2週間前に直前の現地踏査と下見をして、実施アクティビティを選ぶとよいでしょう。
  2. 実施計画作成
    地図上にアクティビティ実施ポイントを落とし、各アクティビティの所要時間と登山時間を合計して、全体の時間を設定します。子どもたちの足では大人の1.5倍程度の時間を見ておくとよいでしょう。アクティビティに必要な物品とスタッフの持参物品のチェック表を作成し、物品の準備をします。
    参加者に集合時間と場所、持ち物や服装等の留意点を書いた通知を、事前に送ります。

実施

当日の参加者の健康状態をチェックし、スタッフ紹介をします。事前にグループ分けをしておき、各グループに担当スタッフが付きます。アイスブレイキングを通して、グループごとに自己紹介をします。
各グループに山歩きの留意点を伝え、持ち物を点検して時間差(10分程度、グループ数による)で順番にスタートします。

アクティビティふりかえり

下山後は各グループでアクティビティのふりかえりをします。スタッフは各アクティビティの記録用紙の記入漏れがないかを確認します。子どもグループ内で発表し、その後気がついたことや感想を述べ述べあいます。
時間があれば、全体で発表し共有します。

山歩きの服装・持ち物

長袖・長ズボン(※1)、軽登山靴(※2)(運動靴でもよい)、軍手、帽子、タオル、厚手の靴下、雨具(折りたたみ傘、レインウェア)、水筒(ペットボトル)、ザック、行動食(スポーツゼリー飲料、携行ようかん、栄養バランス食品等)

※1服装は可能であれば肌着は速乾性、その上に着るシャツや上着は保温性、レインウェアは防水透湿性のあるものが望ましいです。

※2不整地の登山道で安定して歩きやすいのは靴底の硬い靴です。また足首を保護するためにはカットの高い(履き口が高い)靴がよいです。

スタッフの持ち物

地図、GPS(スマホでもよい)、スマホ(予備バッテリー)、コンパス、アルミブランケット、予備の水分(ミネラルウォーター、スポーツドリンク)、救急セット、ビニール袋(過呼吸用)

 

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