海遊び
神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻
近年、マイクロプラスチックなど人間が出した海洋ごみが生態系に悪影響をもたらすと、度々、議論の対象になっています。私たちの生活と密接な関係をもつ海の、本来の美しさを守るためにはどうしたら良いのでしょうか。特に神奈川県は海に面する県ですので、こういった問題に関心をもつことは重要です。
このページでは、少しでも子どもたちが海に関心を抱くきっかけになれたらという思いから、海洋ゴミを含む漂着物を使ったアクティビティに焦点を当てて紹介しています。漂着物は元々、誰のもので、どこからきたのでしょうか。そんなことを想像しながらの遊びは、ロマンでいっぱいです。
海遊びのねらい
大きく分けて2種類(「自然物」と「人工物」)の漂着物があり、落ちている場所などに違いがあることに気づかせる。
漂着物を探す間にゴミなどが落ちていることに気づかせ、環境について考えるきっかけにする。
海遊びの際の注意点
海特有の危険もあるため、事前の安全指導(セーフティトーク)が重要となる。
- 大人の目の届く範囲を活動範囲とし、子どもにも明確に伝える。
- 漂着物には、毒を持った生き物やルアーのような危険な漂着物もあるので、素手で触らない。注射器、注射針、未開封の瓶、缶などの医療用品も大変危険なため、絶対に触らない、開けない。
- 日差しを遮るものが少ないため、帽子を被り、日焼けや熱中症に注意する。日焼け止めは顔全体だけでなく、耳の上と鼻の頭にもしっかりと塗る。水分や塩分等をこまめに補給する。
- 濡れた岩の上は滑りやすいため足下に注意する。
服装について
服装は季節によって異なるが、春、秋は半袖短パンに化繊系の服を重ね着する。薄手の服を重ね着すると脱ぎ着しやすく便利。夏は半袖短パンでよい。冬は春秋の服装に重ね着をする。ベストは体の中心を温め、腕が動かしやすいので便利。
持ち物について
子ども |
□帽子 □軍手 □足を覆えるすべりにくい靴 □日焼け止め(耳の上と鼻の頭にも塗る)
□水筒 □バックパック(フロントストラップがついているもの)
|
大人 |
□真水 □緊急連絡先 □携帯電話、充電器 □トイレットペーパー
□ジップロック(大小あると便利) □手ぬぐい
□エマージェンシーシート(保温シート)
□救急セット(消毒・脱脂綿・清浄綿・包帯・ガーゼ・サージカルテープ・絆創膏・ポイズンリムーバー) |
海遊びのプログラム
ビーチコーミングで宝物探し
ビーチコーミングとは(漂着物学会ホームページ)(別ウィンドウで開きます)
ねらい
普段、見落としてしまうようなものに目を向けることによって、視野を広げるとともに、海そのものや環境に対する興味関心を高める。
対象
5歳以上
準備するもの
ざるや容器(拾った漂着物を入れておく用)人数分
手順
- 指導者が宝物となるお題を出す。
例)赤くて光っているもの、小さくて綺麗なものなど
- 子どもたちは漂着物を集める。(個人、複数どちらでも可能)
- 集めた漂着物を集めてそれぞれどんな場所で拾ったのか、アピールポイントなどを説明する。
- みんなでどれが一番お題に近いか挙手をして、多かったものが勝ち。自分が拾った物には挙手はしない。
※ワンポイント
- 活動後に複数の漂着物を使って、クラフトをしても楽しい。
- 満潮干潮の時間を調べる流木は台風が去った後、貝は季節の変わり目がねらい目。荒い波より静かな波のほうが上がりやすい。
- シーグラスは小石が集まっているところに落ちていることが多い。
漂着物ハウス(お店)をつくろう
ねらい
- 仲間と一緒に作業することで、協力することの喜び、達成感を学ぶ。
- 想像力、発想力を養いながら、自然とふれあう楽しさを知る。
対象
5歳以上
準備するもの
麻ヒモ(立体のものを子どもたちに作成させたい場合は麻ヒモがあると便利。麻ヒモは落ちてしまっても朽ちてなくなるので環境に優しい。)
手順
- 2~3人のグループに分かれ、どんな家にしたいかコンセプト(平面型や立体型など)について話し合う。
- 話し合ったコンセプトに沿った漂着物を集めてくる。
- 具体的に生活に何が必要か(玄関、お風呂、キッチンなど)、話し合いながら、家を作っていく。
- 完成したら、各グループが自分たちの家のアピールポイントを発表する。
※ワンポイント
- 発表が終わったら自分たちの家でお弁当を食べるのもよい。
- 対象となる子どもの年齢に合わせて、指導者は声かけをしたり、重い物を運ぶなどの手伝いをしたりしてもよい。
- 家ができたら、「何人くらい入れるかな?」など大きさに気づくような声かけをすると、改善するために足りないものを補う子どもが出てくる。
- 大きな石を運ぶ時は、持ち上げると落としてけがをする危険があるため、転がすなどの方法を伝える。
砂浜で障害物競争
ねらい
- 広い砂浜で走ることの楽しさを味わいながら、いつも走っている場所と違い、砂に足が取られて走りづらい困難さを体感する。
- コースを確認する中で、ゴミ拾いをすることにより、短い距離でも多くのゴミが落ちていることに気づかせ、環境に興味をもつきっかけとする。
対象
5歳以上
手順
- 走るコースを決め、スタートとゴールに線を引く。
- コースに海藻の山や飛び越えられる程度の流木を置いたり、砂浜に穴を掘ったりするなどして障害物を用意する。
対象の年齢によって障害物の難易度を変える。
- 子どもたちと一緒に歩きながらコースの確認をする。この時、踏んだら危険なもの(尖った石など)は避け、ゴミなどは拾う。
- コースが確認できたら、スタートラインに戻り、スタートライン上のどの位置から走るかじゃんけんで勝った順に選ばせる。
- 指導者はゴールラインに立ち、スタートの合図をする。
※ワンポイント
- 波打ち際で実施しても、違う雰囲気が楽しめて良い。
- 大人も一緒に参加しても良い。その際は本気で参加する。
漂着物語
ねらい
- 自らストーリーを作ることにより、想像力、発想力を養うとともに、自らのアイデアを他者へ伝えることによって、表現力を身に付ける。
- 漂着物がどこからきたのか地図(日本地図や世界地図)を使って考えさせることによって、地理に興味関心をもつきっかけとする。
対象
小学校低学年以上
手順
- それぞれお気に入りの漂着物を1つ拾ってくる。
- 拾ってきた漂着物がどこで生み出され、自分に拾われる瞬間までのストーリーを想像して作る。(5W1Hを意識して作らせる。)
- 作ったストーリーを発表する。
※ワンポイント
- 4コマ漫画にして発表するなど、発表の仕方を工夫しても面白い。
- グループでストーリーを作って演劇風にすると、より表現力も養われる。
タイドプール(潮だまり)を観察しよう
ねらい
潮の満ち引きや、そこに生息する生態に興味関心をもつ。
対象
5歳以上
準備するもの
網、水槽や虫かご、虫メガネ、箱メガネ
手順
- タイドプールとはどんなところなのか、みんなで見てみる。
- グループに分かれて、観察したいタイドプールを選ぶ。
- 自分たちが選んだタイドプールを囲んで、中で動いているものをじっと観察する。
- 動く生き物を発見したときは、グループのみんなに伝えて共有する。
- 生き物を水槽に入れてもっとよく観察する。
- 観察し終わった生き物は、元の環境にそっと戻す。
参考文献
「生き物としての力を取り戻す50の自然体験-身近な野あそびから森で生きる方法まで」
カシオ計算機株式会社 監修、株式会社Surface&Architecture 編
「子どもと海へ行こう-幼児教育者のための海辺の自然体験教本」
NPO法人オーシャンファミリー海洋自然体験センター
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