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更新日:2024年8月1日
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取組説明
堂平周辺は、地質やシカの採食圧による林床植生の減少したため、山崩れや森林土壌の流失をおこし、急速に荒廃地が拡大している。写真の看板のように堂平では治山堰堤を用いた土石流対策などにより、土砂移動現象の発生や移動そのものを防ぐ対策を行っている。現在では、対策によりヤマハンノキの様なパイオニア種を中心とする森林の再生、林床植生の回復が見られる。
土壌流失防止対策の一つに金網や木材など用い、物理的に土壌を止める方法も実施されている。金網筋工は金属製網の中および上部に落葉や落枝を捕捉し堆積させることにより土壌侵食を軽減するものである。そのほか、丸太筋工や丸太柵工などが用いられる。
防護ネットは、シカの樹皮食いから防護するために巻いている。
堂平においてウラジロモミやモミはシカに樹皮を食べられる個体が多くみられた。シカが樹皮食いを行うのは樹木が光合成により生成した栄養を摂取するためではないかとも考えられている。その際、栄養を運ぶ役割を持つ管を傷つけるため、樹勢の減退を招いたり、ひどくなると枯死を引き起こす。そのためにこのような対策が必要である。
植生保護柵は、登山道を歩いている上で最も遭遇する自然再生の取組ではないでしょうか。
シカが増え続けることで林床植生の大部分が食べられ、衰退していく。しかし、植生保護柵は、物理的にシカを排除し林床植生の回復を見込めるほか、後継樹や希少種の保護もできる。また、植生が回復することで土壌流失の抑制にも役立っている。植生モニタリングにおいてシカの採食が減少要因とされる希少植物が発見されている。
登山者が多く通る登山道は踏み固められ、草も生えなくなり荒れていく。地面が露出した場所は雨水により土が流され、道が掘れ、ぬかるみがひどくなる。そのぬかるみを避けて歩くため、踏み跡が横に広がり、荒れた場所がさらに増える。このように土壌流出を防ぐための一つとして構造階段や木道が設置されている。これらの施設により登山者が直接地面や草木を踏まずに歩くことができ、写真のように植生が回復している。
植生保護や土壌流失防止のためにこれらの上を歩くことにご協力ください。
ブナハバチは幼虫の時にブナの葉を食べるハバチの仲間である。幼虫が葉を食べること自体は問題とはならない。しかし、丹沢ではこのブナハバチが何度も大量に発生することでブナの樹勢の衰退が起こる。そのため、卵を産む成虫を捕まえる誘因トラップや木の幹に粘着シートを巻いて幼虫を捕まえるトラップなどを仕掛けている。
ブナ林衰退機構解明のための基礎調査として気象モニタリングやオゾンモニタリングが行われている。これらの調査により丹沢山地全体における樹木へのオゾンの影響が明らかとなり、ブナ林の衰退機構の一要因となっていることが明らかとなった。衰退機構解明後の現在は、各種自然再生事業の効果測定のためにモニタリングは継続されている。
林道は、基本的には林業作業を行う車両のための道路であり、幅も狭くすれ違いにくい。一般車が入れないようゲートをしているところも多い。ただし、登山者は通れるように脇を開けていることもある。自転車や自動二輪車も車両のため通行はご遠慮ください。また、頻度は高くありませんが、車が通ったり落石もあるので通行の際は注意が必要です。緊急車両や工事関係車両も通るため、ゲートの前や一般道につながるまでの間に駐車するのはやめてください。
県民と協働して、自然環境の大切さについて普及啓発を行うことと、自然環境の保全・自然公園などの適正な利用を促進することを目的として設置された。陣馬と丹沢地域の自然公園歩道を一年と少しかけて巡視している。指導標識や登山道の簡易的な補修も行う。
この周辺では桜や紅葉など季節の気配を堪能することができる。
二ホンシカは本来平野部に広く生息していたが都市化に伴い、山地や山奥へ移動した。一時狩猟などの影響を受け頭数が激減したが、現在では山地や奥山で高密度化している。そのため、強い採食圧による後継樹や林床植生の減少、さらには草地化や土壌流失の原因にもなっている。今後は森林再生の目標によるゾーニングを基にシカを安定的に管理・存続させていく必要がある。
ヤマビルに血を吸われると、しばらく血が止まらなくなる。夏の丹沢では、ディートという成分を多く含む虫よけスプレーなどで対策をしてから登るほうが被害にあう確率がかなり低くなる。振動や二酸化炭素などに反応するので最初を歩く人よりも2番目、3番目を歩く人は特に注意が必要。
基本的になんでも食べるシカがあまり好んで食べない植物のこと。そのため、シカが多い林床の大部分はこれらの植物に占められている。堂平では、テンニンソウやオオバイケイソウがあげられる。
テンニンソウ:花は白く、雄蕊の1つが花の外につきだしており、ブラシのような形をしている。
オオバイケイソウ:形が梅に似た白い花を咲かせる多年草。有毒植物。
崩壊地の様子をかなり近くで見ることができる。樹木などの植生が疎であるが、それゆえに景色が良い。しかし、足元には注意が必要である。浮石などを誤って落としてしまったら、下を歩いている人に注意を促すため、「らく!!」などのように大声で知らせる。
標高1567メートル。山小屋、野外卓があります。
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