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更新日:2024年9月17日

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丈夫な子牛を育てるために~糖度計を用いた初乳の品質評価技術~

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 酪農情勢が厳しい中、副収入の増加のため受精卵移植により、黒毛和種子牛を生産する酪農家が増えています。しかし、黒毛和種子牛は疾病等に弱い傾向があるため、より手厚い哺育・育成を行う必要があります。対策のひとつとして、より品質のよい初乳を給与するための初乳の品質評価を現場で簡易に行う方法がありますので、今回ご紹介します。  

 ①初乳の品質の確認

 当所では、調査協力農場において、初乳の品質を確認するために、初乳の糖度(Brix値)を屈折式糖度計で測定し、分娩からの経過時間及び哺乳量を併せて調査しました。初乳中の移行抗体であるIgGは糖度に比例するとされており、分娩後の経過時間と共に低下し、3産以上で高くなるとされています。今回調査した結果でも、初乳のBrix値は3産以上で高くなり、分娩後の経過時間と共に低下することが確認されました(図1)。

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   図1 分娩後の初乳のBrix値の推移産次別

 

 ②子牛への初乳給与効果の確認

 子牛への抗体(IgG)必要摂取量は、150g以上と言われています。初乳からのIgG摂取量を確保する目安とするために、今回の調査では、測定したBrix値から初乳の必要量を判定する早見表(表1)を作成し、早見表を参考に分娩後6時間以内に初乳を給与しました。その結果、初乳のBrix値は22~32%、給与量は0.3~3.5Lであり個体毎に大きく異なりました(表2)。給与量が少ない個体ではBrix値が高い初乳を用いても十分なIgG量を摂取できないことがあり、市販の初乳製剤を用いた場合にも給与量が少ない場合には摂取IgG量は少なくなりました。

 

 

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表1 Brix値から200g又は300g IgG量を確保するために必要な量を判定する早見表

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表2 子牛のIgG摂取量

 

   今回の調査では、初乳の必要量を把握して給与することで、150g以上のIgGを摂取できた個体は増えており、子牛の下痢等の疾病が発生していないことからも、初乳の品質を把握し適正量を給与することで、子牛の疾病予防に一定の効果がありました。また、糖度計を用いて初乳の品質評価を行うことにより、高価な初乳製剤の適切な使用に対する効果も期待されます。

 もし、糖度計を用いた初乳の品質評価技術に興味があるようでしたら、個別の相談も承りますので、いつでも普及指導課までご連絡ください。

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