更新日:2024年9月30日
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配合飼料価格の高騰や輸入乾牧草の入手が困難な状況となっており、酪農経営に大きな影響がでています。このような情勢から、飼料を無駄なく利用するために工夫できることを確認し、影響の長期化に向けた対策の検討が必要となります。
① 飼料設計の適正化
必要以上の飼料給与は無駄につながるので、設計を確認します。また、乾牧草の種類を変更する場合にも対応できるよう、それぞれの飼料の特性について把握し、変更時には調整できるよう準備してください。
② 食べ残し、食べこぼしの低減
TMR等は、泌乳最盛期の牛には十分に給与し、その残飼を乾乳牛や育成牛に給与するなど無駄なく利用します。そのために、泌乳ステージごとの繋ぎ変えを行うなどの飼養管理の一手間も必要となります。丈の長い乾牧草は切断や多回給餌、TMRはこまめな餌押しをすることで、効率よく採食されます。また、飼料は汚れると嗜好性が落ちるため、飼槽を補修することで飼料の変敗を防いだり、飼槽と牛床の間に仕切りを設置することで、飼料の引き込みを減らすなどの対策が可能となります。
③ 良質な自給飼料の確保
飼料用トウモロコシは、収穫期に台風の被害を受けて、収量の減少や、作業集中による刈遅れによる品質低下などが発生する懸念があります。いくつかの作付け体系を組み合わせることで、こうしたリスクの分散が可能となるため、作付け体系の見直しにより安定した収量を確保します。また、圃場への施肥や除草の実施、実入りや倒伏性に影響する採植密度を適正にするため、播種前に種子のサイズや形状に合わせて播種機の調整を十分に行うなど、徹底した栽培管理を行うことが収量の向上につながります。
④ 自給飼料保管時のロスの低減
労力と経費をかけて生産した自給飼料を、品質の低下や廃棄することがないよう、次のような点に注意してください。牧草のロールはラップの巻き数を十分に確保する。コーンサイレージは切断長が長くならないようにハーベスタの刃を手入れする。バンカーサイロやスタックサイロは機械で十分に踏圧し、サイレージの二次発酵を防止します。
こうした取組みは、飼料を無駄なく利用することだけでなく、生乳の生産性向上にもつながります。飼料設計や自給飼料生産に関することなど、対策を検討する際にはお気軽に畜産技術センターにご相談ください。
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