事務局が委員数7名に対し、過半数の出席を確認し、成立する旨を発言。
・委員交代の紹介、子ども家庭課長の挨拶、各委員の紹介の後、審議を行った。
(佐藤部会長)
あらためまして、このたび部会長を仰せつかることになりました佐藤でございます。議事進行に先立ちまして、少しだけごあいさつさせていただきたいと思います。
今回、厚生労働省による5年に1度の全国ひとり親世帯等調査結果も踏まえた形で、神奈川県内のひとり親家庭、そこで暮らしている子どもたちに対して、福祉施策が届いているか、あるいは福祉施策の内容についても、様々な専門性の観点から、福祉や教育、実践の現場にいる皆様方のお考えをいただき、少しでもより良い形で、子どもたち及びご家庭のサポートに繋がるような議論が進められればと思っています。
私の方で不足な点もあることと思いますが、委員の皆様と事務局の皆様のお力をお借りして、進めて参りたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願い申し上げます。
それでは、資料2の「『かながわ子どもみらいプラン』(ひとり親家庭等自立促進計画)の進捗状況」について、事務局から説明をお願いします。
(事務局)
資料2~5により説明
(日下委員)
私は、ここ数年、こども食堂に携わっていますが、特にひとり親家庭、生活困窮の人たちが数多く利用しています。そして、ひとり親家庭の生活支援として、こどもの居場所としての学習支援なども含めて、各地域で増えています。
また、最近の物価高騰などにより、ひとり親家庭の人は、さらに生活が苦しく、日々忙しくしている状況だと感じています。そこで、一食でも食事を提供しているNPOや、食材がもらえるフードドライブなど、行政も含めた各地域のそのような活動を紹介したり、案内したりできればいいのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。
県が作成しているパンフレットには、様々な貸し付けや助成金等の案内はありますが、それ以外の各地域のこども食堂や学習支援、食材配布などの支援サービスなどについて記載がありません。そこで、それらについて、各自治体にパンフレットを配布する際に、何らかの方法で周知に繋がればといいと思っています。
(事務局)
こども食堂や学習支援の周知のために、市町村に何かを配布できるかどうか、またどのような形で配布するのがいいのか、必要に応じて、関係者などと相談し、ご意見を参考にしたいと考えています。
(佐藤部会長)
議論の前に、基本的なことで少し気になることがあります。ひとつは、神奈川県内のひとり親家庭の状況を把握していないと、「かながわ子どもみらいプラン」が現況に応えられるどうかについて考えることは難しいのでないかと思います。
もうひとつは、その状況を踏まえた上で、現在、神奈川県として、ひとり親家庭の支援における課題は、どういったものがあるか、幾つか教えていただきますと議論の助けになるかと思いますが、いかがでしょうか。
(事務局)
現況についてですが、令和2年の国勢調査のデータによりますと、神奈川県内の母子世帯数が3万8079世帯、父子世帯数が5159世帯となっています。
(長谷川課長)
現況あっての課題ではありますが、県としては、ひとり親家庭の経済的な困窮について、他の世帯と比べて、際立っている状況があるというような課題認識を持っています。国の調査でも、養育費の確保の割合が、3割に満たない状況であるということは承知していますので、公的な生活保護手当や貸付給付といった部分以外に、養育費の確保の取組がこれから必要だと考えています。昨年度に、公正証書の作成費補助を始めましたが、来年度以降も、もう少し取組を具体に進められるような方策、予算化について議論しています。
(佐藤部会長)
現況の世帯数に対して、実態としての実績が、どのくらいの割合であるかというところも気になるところであり、今後情報として提供していただけたら大変ありがたいと感じています。
(鶴飼委員)
就業支援の件ですが、数年前に比べると、県による努力もあるのではないかとは思いますが、数字が大きく進歩しているように感じます。それは、LINEやSNSなどによるものでないかと考えていますが、いかがでしょうか。
また、ひとり親家庭の中で、生活保護受給家庭について、高校生のアルバイトの収入が含まれているのかどうか、教えていただきたい。
(事務局)
子どもに収入がある場合、世帯で一番所得が高ければ、子どもの所得を見ることもあります。
また、就業支援について、LINEの相談関係を見てみますと、仕事の関係が一番近いと思いますが、相談の割合としては、令和2年度が10.1%で、令和3年度は11%となります。なお、相談の割合が一番大きいのは子育てで、次いで家計です。また、家族の関係と仕事の関係がほぼ同じ割合となります。
(鶴飼委員)
令和における直近の比較というよりは、平成時代から現在を比較してみると格段の進歩あるのではないかと感じています。
(日下委員)
令和2年度の国勢調査における神奈川県下の母子父子家庭の世帯数の数字について、令和3年、令和4年と増加傾向にあるのか教えていただきたい。
また、もしわかるようであれば、横浜や川崎の都市部の比率が多いのか、教えていただきたい。
(事務局)
国勢調査の結果となりますので、令和3年、令和4年についての数字はありません。令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果によりますと、前回5年前の調査に比べて、母子世帯数、父子世帯数ともに減少しています。
(日下委員)
現状においても、約3万世帯以上のひとり親世帯がいるわけで、県としても、ひとり親世帯に対しての施策を進めていかなければいけないと感じています。
また、コロナ禍以降、子供の貧困も含めて、生活困窮の問題がひとり親家庭に重くのしかかっていると考えていますので、その支援を是非とも強化していただきたいと思っています。先ほど、長谷川課長が経済的支援は重要だと発言されましたが、県も含めた行政は申請主義なので、なかなか難しいかとは思いますが、もっといろいろな施策について、仕事で忙しいひとり親家庭の方へ届くように啓発していだきたい。
(佐藤部会長)
ひとり親家庭の情報提供の方法については、いろいろな施策に繋がる入口でもありますので、時間的に忙しくてなかなか情報にアクセスできない人については、LINE相談やSNSのように、少し時間的に柔軟な資源を活用していただくことに期待したいです。
また、人の理解の方法もそれぞれありますので、窓口での離婚届の提出などの対面の機会に、ひとり親に対する様々な支援についてのパンフレットを単に渡すだけではなく、母子父子自立支援員の紹介や案内をしていただくことなど、検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
(事務局)
貴重なご意見として、参考にさせていただきます。
(鶴飼委員)
館合委員にお伺いしたいのですが、ひとり親家庭を孤立させないためのお仕事をされていると思うのですが、その辺の状況を教えていただきたい。
(館合委員)
ひとり親家庭の人たちは、本当に時間がなく、さらにはダブルワークの家庭も増えてきており、結果的に、子供を置き去りにしてしまっているような状況になっています。
そこで、ひとり親家庭等日常生活支援事業は、ひとり親家庭世帯には、大変助かるのではないかと思います。公的機関をはじめとするひとり親を支援する関係機関が、ひとり親家庭の中に入れることは、ひとり親家庭の情報が入手できる機会でもあります。実際、ひとり親家庭の人が、公的機関などへ相談しに行くことはとても負担になりますので、「訪問する」ことはキーワードになると考えています。これからは、ひとり親世帯の人たちに来てもらうのではなく、例えば、民生委員や自治会の方、社会福祉協議会の方など、何かご縁があり、押し付けではなく、ちょっとしたお裾分けできるような方が、相談などのお話と一緒に、ひとり親の様々な制度を紹介するリーフレットを持っていくことなどが、何か支援に繋がるのではないかと思います。
また、経験上、子供の子育てなどの機会から、いろいろな情報が入ってきます。逆を言えば、多角的にいろいろなことをしていないと、情報が入ってこないとも感じています。
それと、最近の母子世帯の就職先を見ると、安定した収入が得られる看護師や介護の仕事などが増えているように思います。
(佐藤部会長)
つづきまして、資料6および7の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」結果について、事務局から報告をお願いします。
(事務局)
資料6及び7により説明
(日下委員)
令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、ひとり親世帯は減っているということですが、おそらく婚姻減などの影響で、肌感覚では増えているように感じますが、その背景などがわかるようであれば教えていただきたい。
(事務局)
おそらく人口減なども影響しているように思います。
(日下委員)
ひとり親世帯で最も困っていることは、家計に代表されるような経済的な側面だと感じています。それと、ひとり親世帯の相談相手では、親族の占める割合が最も大きく、公的機関の利用が少ないので、もっと公的機関の支援についての周知が必要だと思います。
(事務局)
さらなる周知、広報などのPRに努めていきたいと思っています。
(佐藤部会長)
ひとり親世帯の悩みや困りごとについて、母子世帯と父子世帯とでは、異なる点が見られるのが特徴で、必要とされている施策は、それぞれが少し違っていると思います。神奈川県下のひとり親世帯の悩みや困りごとについて、母子世帯と父子世帯とでは、どういう傾向なのか、また必要な支援施策についてどういう種類のものなのか、分析をする必要があると感じます。
また、ひとり親家庭の相談相手は、親族が中心とありますが、地縁や血縁のないところで子育てをしている人が7割くらいという民間の調査もあり、身近な親族には頼れない方が多いのではないかと考えられます。
そうしたことからも、神奈川県下のひとり親世帯の悩みや困りごとについて、母子世帯と父子世帯とでは、どういう傾向なのか、また必要な支援施策はどのような種類のものなのか、分析をする必要があると感じます。
(佐藤部会長)
神奈川県下の父子世帯の養育費確保の状況について把握していたら、教えていただけますか。
(事務局)
母子家庭等就業自立支援センターでは、父子世帯の養育費の相談を受けていますが、令和5年1月時点では父子家庭からの申請はありませんでした。
(館合委員)
私が携わっている放課後児童クラブの申込は、父子世帯からはほとんどなく、その実態がよくわかりません。逆DVではありませんが、男だから職場には言えないといった世間体などの日本の風土的なものがあり、もう少し父子家庭向けの窓口が開かれているようなところがあってもいいのではないかと思います。また、相談できるところは、血縁があるところでは、なかなか話ができないという現場の声も聞きます。そこで、地域の地縁や知人の知縁などを上手く活用した情報発信や受信などの仕組みが出来ればいいのでないかと思います。
(鶴飼委員)
母子世帯の年間収入の236万円は、正規と非正規とで区別されているのでしょうか。正規と非正規の格差は、結構あるのではないかと思っています。
(事務局)
年間収入状況で、正規と非正規の区別はなく、どちらも含まれていると思います。調査結果をさらに見てみると、令和3年度の母子世帯の正規職員従業員は平均344万円で、パートアルバイト等は150万円となっています。父子世帯の正規の職員従業員は523万円で、パートアルバイト等は192万円となっています。
(鶴飼委員)
非正規で150万だとやはり生活は結構厳しいと感じます。
(佐藤部会長)
ひとり親家庭のサポートが十分に届かないと、そこで暮らしている子どもたちに支援が届かないことを意味することになります。そのことが、貧困や孤立へ繋がり、子どもの進学の選択肢が減ってしまったりと、生まれた場所や世帯の状況で左右されないように、できるだけ配慮しながら今後のひとり親世帯の政策を検討していただきたいと思います。
(事務局)
色々と貴重なご意見をいただきありがとうございました。
今後の計画の推進にあたり、本日委員皆様から頂戴したご意見を参考にさせていただきます。
これをもちまして、神奈川県児童福祉審議会・母子福祉部会を終了とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
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