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初期公開日:2023年8月25日更新日:2024年11月19日
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キーワード:断水、水の確保
※地理院タイルに遺構の位置を追記して掲載
現在の箱根町を構成する足柄下郡の旧湯本村、旧温泉村などでは、旧箱根町を除き、建物全潰率は1~2割程度でしたが、旧箱根町は約4割と高い全潰率が記録されています91。一方で死者数を見ると、底倉や宮ノ下、大平台などを含む旧温泉村が60名を超え、土砂災害による死者が多く発生したとされています92。
多くの温泉宿も被害を受けた中で、日本のリゾートホテルの草分け的存在の一つである「富士屋ホテル」も被害を受けました。箱根登山線「宮ノ下駅」から北西に約400mにあるこのホテルには「ホテル・ミュージアム」があり、ホテルの歴史が紹介されています。
富士屋ホテルは1878(明治11)年創業で、1891(明治24)年に本館、1906(明治39)年に西洋館1、2号館が竣工されました。また、1923(大正12)年には芦ノ湖畔で箱根ホテルの営業を始めましたが、こちらは震災で全壊しました。富士屋ホテル自体も被害を受けて、翌年夏頃まで営業を休止しています93,94。
本館と西洋館(図3.28-1)は、敷地内の多くの建物が倒壊する中、倒壊を免れて、現存する貴重な建物で、国の登録有形文化財となっています。
また、本館の後ろにある庭園の一角に木造鳥居と共に泉があり(図3.28-2)、その説明板には、断水が発生したものの、当時あった井戸がホテルのお客様の食事や洗面に役立ち、水道工事が復旧するまで利用されたことが記されています(図3.28-3)。
現在もこの古井戸跡は、「ホテルの守り神」として大切に祀られています。
91 諸井孝文・武村雅之, 「関東地震(1923年9月1日)による木造住家被害データの整理と震度分布の推定」, 日本地震工学会論文集, 2(3), 2002年
92 諸井孝文・武村雅之, 「関東地震(1923年9月1日)による被害要因別死者数の推定」, 日本地震工学会論文集, 4(4), 2004年
93 富士屋ホテル 歴史(2023年8月17日閲覧), https://www.fujiyahotel.jp/brand/history/
94 富士屋ホテル, 「富士屋ホテル八十年史」, 1958年
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