ホーム > くらし・安全・環境 > 人権と協働 > NPO・ボランティア > かにゃさんぽ > かにゃさんぽ(NPO法人湘南DVサポートセンター)

更新日:2024年2月21日

ここから本文です。

かにゃさんぽ(NPO法人湘南DVサポートセンター)

藤沢市の「NPO法人湘南DVサポートセンター」を取材した「かにゃさんぽ」の記事です。

いじめやDV被害を受けた子どもたちの人権を守りたい

2024年1月19日 金曜日

かにゃお
今日は、「NPO法人湘南DVサポートセンター」代表の瀧田さんにお話を聞きに、藤沢市市民活動推進センターに来たよ!
瀧田さん、こんにちは。

瀧田さん
かにゃお、こんにちは。

かにゃお

瀧田さんはDV被害を受けた子どもの支援を行っているけど、活動を始めたきっかけを教えてもらえるかにゃ?

瀧田さん

ボランティアで地域の子どもたちとキャンプに行っていたんですけど、参加する子どもたちのなかには親とのコミュニケーションに問題がある子や普段満足にご飯を食べさせてもらえない子どもがいることを知って、気になっていたんだ。
ある時、ある母子から夫からのDVの被害を受けている話を聞いたんだ。その母子のために行政や警察に相談したけれど、当時はDVについて社会的な理解が乏しく、相手にされなかったんだ。今から25年前のことだよ。

takitasantokanyao1

(瀧田さんにだっこされてるかにゃお)

 

かにゃお

そうなんだ!瀧田さんはそんなに前からDVと子供の関係に関心を持っていたんだね。驚きだにゃ!

瀧田さん

その後、国内で実施されている研修に参加してDVについてもっと勉強しようと思った。でも女性が中心(男子禁制)だったりしてなかなか参加できなかった。それで、研究が進んでいる海外に留学したんだよ。帰国後は法務省や内閣府のお仕事で全国のDV支援者の養成をしていたんだ。
やがて、「DV被害者や加害者を生まないためには教育現場に入っていくしかない」という考えに至り、全国の小学校、中学校に身近な題材である「いじめ防止プログラム」の授業をするようになった。
すると、文科省、内閣府から「デートDV」予防プログラムの実施の依頼も来るようになったんだ。

かにゃお

「子どもたちの支援のためのキャンプ」と「いじめ防止プログラム」はどんな内容なのかにゃ?

瀧田さん

「子どもたちの支援のためのキャンプ」は、DV家庭で育った小学生や中学生を対象にしているんだよ。DV家庭に育っている子どもたちはその不安がいろいろな形で表われることがあって、例えば落ちつきがなくじっとしていられなかったり、攻撃的に親に暴言を言ったりするんだ。

それが2~3日キャンプという自給自足の生活を過ごした後は、お母さんと帰る時に手を繋いで帰るくらいにまで親子関係が改善するんだよ。
「いじめ防止プログラム」は、小・中学校でいじめを題材に子どもたちの気持ちを聞いたり(本心)、心理カウンセリング的な手法を取り入れたワークショップを多用して子どもたちの心の傷に寄り添う支援をするものだよ。年間80校程度訪問しているよ。

かにゃお

いじめ被害やDV被害を受けている子どもの傷は想像がつかないくらい深そうだにゃ…

瀧田さん

例えば学校の先生が、子どもから家庭のことで相談をしたいと声を掛けられた時に、ちゃんと話を聞こうと思って「昼休みに話を聞くね」と言うでしょ。そうすると、DV被害を受けた子どもの場合、「先生がすぐ、即座に対応してくれなかった」と思って諦めて相談しなくなる。先生を信用できなくなってしまうんだ。こんなふうに、DV被害を受けた子どものコミュニケーションの取り方はとても一方的なのが特徴。身近な「DVを学んでしまっている」んだね。

かにゃお

「DVを学んでしまっている」とは?

瀧田さん

思い通りにならないとすぐに「暴力」をふるうことや、自らにお願いが通じないとすぐに「諦めて」しまうことなんだ。 研究によれば、家庭内に何らかの暴力があり苦しんでいる子どもは20世帯に1人と言われていて、40人学級だと、クラスに2人いることになるから、結構身近な問題なんだよ。

かにゃお

クラスに2人も何らかの暴力的な環境に置かれている子どもがいるのは衝撃的だにゃ・・・
DV被害者支援や、「いじめ防止プログラム」を行うにあたって気を付けていることや力を入れていることはあるの?

瀧田さん

暴力を受けた被害者は、心の傷は深い。それなのに行政や警察等にはまだあまりそのことが理解されないことが多くて、相談した時に相手から無意識に言葉で傷つけられることがある。
また、夫婦間でDVの場合、その子どもは直接暴力等を受けていなくてもDVを目撃したことで被害者であるけども、直接暴力等を受けていないことから子どもへの支援が置き去りになってしまいがちだ。
だから、支援する時にはカウンセリングを行い、DV被害者の心の傷を修復して、社会に復帰できるように支援しようとしているんだ。

shonandvsupport10

(湘南DVサポートセンターのいじめ防止プログラムの資料だよ)

 

かにゃお

DV家庭の子どもが社会に復帰できるような支援をすることは大切なことだと思うにゃ。
支援で気を付けていることはあるの?

瀧田さん

先ほど例を上げたように、暴力を受けた子どもたちのコミュニケーションは一方的なことが特徴的と思われるので、コミュニケ―ション能力を引き上げ、将来、暴力を起こさせないようにしたい。
そして、DV被害にあった子どもに起こる事件はパターン化されるけれど、支援はパターン化出来なくて、個別支援が必要なんだ。けれども国のDVやいじめ研修もパターン化されているから、必ず取りこぼされる子どもがいる。
本来の支援は、マンツーマンのカウンセリング的なアプローチで行っていくべきものなんだ。「学業が苦手な子」「人間関係が苦手な子」、それぞれに合ったカウンセリングを行い、個別の支援をしなければならないが、それは大勢の生徒を見ている学校の先生には難しいよね。
だから、私たちは支援をオーダーメイドできる支援者になろうと思っているよ!

かにゃお

DVの被害者がその後加害者化しないためには、個別の支援を、早い段階で、行うことが必要なんだね。そのためにマンツーマンのカウンセリング的なアプローチが必要というのが、瀧田さんの活動の指針になっているということなんだね。
「いじめ防止プログラム」のことをもう少し教えてにゃ。

瀧田さん

いじめの被害を受けた子どもはその記憶を忘れようとして感情を出さないことが多いけれど、「いじめ防止プログラム」ではあえて記憶を思い出させる暴露療法的ワークショップを行っているよ。いじめに関わった時に感じた感情を細かく書いてもらう。とにかく書いてもらう。
研究によれば、いじめに関わった記憶はふとした時にフラッシュバックするといわれていて、フラッシュバックすることで自信を失ったりすることが多いんだ。だから、その時の感情を思い出してもらって、それを私たちで受け止めてあげて、未来へ進めるようにサポートしているんだ。

かにゃお

いじめに関わった記憶はなかなか他人に話しづらいし、話をしても受け止めてくれるか不安もあるだろうけど…、受け止めてくれたら安心すると思うにゃ!

瀧田さん

最近、発達障害やそのグレーゾーンにある子どもが増えていると言われているよね。
でも昔から発達障害やそのグレーゾーンにある子どもは存在していて、単に「変わった子」と呼ばれていたかもしれない。
実は、発達障害やそのグレーゾーンにある子どもといじめの被害を受けた子どもの行動パターンは、多動性だったり、時には感情的で攻撃的だったりする点ではとても似ていると言えるんだ
いじめの被害を受けた子どもが落ち着きのない行動や暴力を振るうのは、本当はトラウマが原因。けれども専門的な知識がない学校の先生は、発達障害によるものかいじめの被害を受けたことによるものかの見極めが難しい。
だから、僕たちは「いじめ防止プログラム」での子どもたち自身の感情を認識・認知やカウンセリングを通じて、その子どもに合わせた支援の仕方を探っているんだよ。

かにゃお

その子どもに合わせた個別の支援をすることが大事なんだにゃ!

瀧田さん

話は変わるけど、私はSDGsの理解促進がいじめ防止の人権教育になると考えているんだ。
以前、環境シンクタンクの会社で働いていた頃から、海の安全や環境問題に関心を持っていたんだ。DVやいじめ防止で実践してきた「人権教育」を活用して子どもたちにSDGsのことを伝えたいと考えた。
日本の社会だとSDGsへの取組みとして環境問題や気候変動への対応ばかりが注目されているけど、本来、SDGsはひとりひとりの人権を守ることも含まれているんだ!

かにゃお

あっそうだよね、確かに、SDGsの17の目標には人権も含まれているね!

瀧田さん

だから、SDGsの促進こそがいじめ防止の人権教育だと考えていて、いじめやDV被害は人権の問題だと考えているよ。

かにゃお

なるほどにゃ!SDGsの理念を広めることが人権を守ることにも繋がるんだね!

瀧田さん

最近は法人の活動として、学校農園プロジェクトを始めたよ。
経緯としては、デートDVの講演をしにいったのがきっかけで、農業高校とのつながりが強くなってきたんだけど、ところで、かにゃおはコーヒーは飲むの?

かにゃお

コーヒーは飲んだことないけど、いつか飲んでみたいかもにゃ。

瀧田さん

コーヒーの産地の農場はいずれも元植民地や紛争地や児童労働もあって、人権問題を無視できない環境にあるんだ。
例えばハワイは観光の島だけど、ハワイのコナコーヒーの生産には明治時代の日系移民が強く関わっている。もともと日系移民はサトウキビの生産を行っていたけれど、他の国の移民達の介入によって下落した時に日系移民はコーヒーの農場で働くようになっていったんだ。ようやく生産が軌道に乗ると今度は第二次世界大戦が始まった。すると兵隊が飲むためのコーヒーを作る一部の者を残して、他は収容所に入れられたりした苦い歴史があるんだよ。
今、学校で子ども達に「コーヒーが飲める人?」と聞くととても少ないけど、「ハワイ旅行に行ったことのある人」と聞くと、50人位手を挙げるような時代になった。
カウンセリング的なアプローチに「修復的対話」という言葉があるが、それを実践したのが今のハワイだと言える。戦争って究極の暴力だと思うんだけど、かつて戦争の象徴だった場所が、観光によって平和で幸せなイメージをもたらす場所になったんだよ!

 

kanyaocoffee

(コーヒーを前に、コーヒーの歴史に思いを馳せるかにゃお)

かにゃお

コーヒーの産地のことは知らなかったから勉強になるにゃ!
最後に、今後の活動の目標を教えてほしいにゃ。

瀧田さん

国内の農業高校の支援として始めた「学校農園プロジェクト」の一環で、農業高校に通う生徒達のためにハワイでコーヒー農園プロジェクトを行う予定だよ。
農業高校に志願する生徒も減っているなかで、農業高校に入学した生徒も卒業後に農業に就くのがなかなか難しいのが現状で、流通や食品、スーパーの仕事に就く子も多いんだ。そういう生徒達にもっと選択肢と夢を広げてあげたいと考えるようになった。
なぜコーヒーが支援プロジェクトのアイテムとしていいかというと、コーヒーのイメージって「おしゃれ」でしょ!?まだ若い子ども達が「コーヒーっておしゃれだな」って嬉しい、わくわくする、夢がある。バリスタとか、商社とか、焙煎士とか・・・コーヒーのことを詳しく知ると、そこからまた新しい職業への道が開けていくんだ。
ハワイにあるコーヒー農園に行って、コーヒー豆を育てる経験や現地の人と交流する。そうした取組が農業高校の宣伝となり、生徒も集まり、そして農業高校の生徒さんも目標が出来て、未来に繋がっていくんだ。

 

かにゃお

「学校農園プロジェクト」が楽しみだにゃ!これからもDVの被害者やいじめの被害にあった子どもたちのための活動を応援しているにゃ。
今日は、お話を聞かせていただいてありがとうございました!

瀧田さん

こちらこそ、ありがとうございました。

shonandvsupport1

(瀧田さんから資料をもらったよ)

 

 

==========================================
<活動や寄附についてのお問合せ先>
NPO法人湘南DVサポートセンター
事務局  〒251-0044 神奈川県藤沢市辻堂大平台2丁目2番3号ファニーヒルズ102

 

 

 

 

 

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は政策局 政策部NPO協働推進課です。