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更新日:2024年1月11日
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シンガポール政府機関等と日本企業とのオンライン・ミーティングを開催しました。
本県と覚書を締結しているシンガポール政府機関等と、現地への進出や共同研究に関心を持つ日本企業とのオンライン・ミーティングを2021年2月22日(月曜日)~23日(火曜日・祝)に開催し、本県からは14社が参加しました。
今年で第5回となる今回は、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行するなか、「感染症対策に資するデバイス及び医薬品、サービス」をテーマとして、2003年のSARS流行を契機として、これまで強力な感染症対策を推し進めてきたシンガポールとの協働に向けたミーティングを、初めてオンラインで開催しました。
シンガポールは面積720平方キロメートル(東京23区と同程度)、人口約569万人のコンパクトな都市型国家です。
民族的には中華系76%、マレー系15%、インド系7.5%で構成され、国民の多くは英語、中国語、マレー語などのバイリンガル教育を受けています。一人当たりのGDPは65,641ドル(2019)と、日本(40,009ドル)をはるかにしのぐ富裕国です。
政府主導の経済政策のもと、安定した政治経済と高い教育水準を背景に、インフラ、人材、法規制、税制などのビジネス環境が戦略的かつ合理的に整備され、外国からの資本流入が盛んな国です。
ライフサイエンス・ヘルスケア分野においては、A*STAR(シンガポール科学技術研究庁)の所管するライフサイエンス拠点「バイオポリス」を中心に、研究開発段階から上市・販売、海外展開に至るまで政府機関による支援が整備されるなど、共同研究も盛んで、メガファーマも多く進出しています。またASEAN進出の玄関口として、多数のグローバル企業が同国に拠点を置き、アジア戦略を展開しています。
シンガポールにおける医療・保健政策の所轄官庁。Health Sciences Authority(HSA)は日本のPMDAにあたる薬事当局。ミッションでは、シンガポールにおける医療・保健に関する法律、制度、政策動向、薬事審査に係る情報をご提供いただきました。
医療・保健分野を含むシンガポールにおける研究開発を促進する、通商産業省傘下の科学技術振興機関。今回のテーマである感染症分野については、ゲノミクス、分子生物学、免疫学、バイオインフォマティクス、データ解析など、幅広い分野の研究を行っています。
シンガポールでは、保健省傘下の医療施設持ち株会社MOHホールディングの下で3つの公的医療機関グループが運営されており、そのうちの1つがシンガポール国立大学保健機構(NUHS)です。
NUHSは、中心となるシンガポール国立病院(NUH)などの急性期機能から、プライマリケアを担う診療所まで幅広く傘下に置いており、シンガポール国立大学(NUS)(別ウィンドウで開きます)との共同研究開発なども実施されています。
シンガポールへの投資促進と産業開発を支援する貿易産業省下の政府機関。東京に日本事務所がある。
シンガポール国立大学保健機構の一部で、医療従事者、エンジニア、企業などのパートナーシップを構築し、健康と医療提供におけるイノベーションを促進する機関。新しい機器や技術など、新たなソリューションを大規模にテストするためのワンストップのエコシステムを提供しています。
「シンガポールにおけるライフサイエンス市場動向と各種支援策について」
講師:シンガポール経済開発庁(EDB)日本事務所所長 メリッサ・グアン氏
EDB日本事務所のグアン所長より、シンガポールのライフサイエンス・ヘルスケア市場の概況についてお話いただきました。製薬、再生医療、ヘルステックなど多岐にわたるシンガポール政府の手厚い支援、A*STAR・製薬会社・大学・病院で構成されるエコシステム、シンガポールを拠点としたアジア展開のメリットなど、技術、人材、インフラ、ビジネス環境の整ったシンガポールならではのライフサイエンス・ヘルスケア振興の取組みは、今後のシンガポール進出を考える企業にとって有益な機会となりました。
また、グアン所長とミッション参加予定企業による活発な意見交換や、ミッション参加予定企業によるショートプレゼンが行われました。
<第1日>
シンガポール保健省(MOH)、健康科学庁(HSA)
MOHとのセッションでは、2003年のSARS流行をきっかけに始まったシンガポールの感染症対策において、重点化されている感染症について学び、日本の医療機器・医薬品等が貢献できる領域、具体策等について検討を行ううえで役立つ情報を得ました。
HSAとのセッションは、HSAから事前に送付いただいた資料をもとに、企業からあらかじめ寄せられた質問を中心に、HSAがそれに回答するQ&Aセッション形式で実施されました。薬事申請がすべてオンライン化されていることや、他国で薬事承認を受けている製品については迅速審査が可能となることや、ASEAN域内での薬事規制のハーモナイゼーションについて共有されました。
シンガポール国立大学保健機構(NUHS)
新型コロナウイルスの感染拡大を背景として、シンガポールで現在、医療現場においてどのような感染対策が行われ、また、機器やサービスを使い、課題認識をしているのかといった各種最新動向に関する情報を得ました。
<第2日>
シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)
現在、どのような感染症対策に係る医療機器・医薬品・サービスの研究開発が行われているのかといった各種最新動向に関する情報をご提供いただきました。また、A*STARとの共同研究の可能性に関する質疑応答が行われました。
中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)
中外製薬グループのシンガポール研究拠点である中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)(別ウィンドウで開きます)さまから、A*STARとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体医薬品の共同研究を開始されるに至った経緯や支援策、また現地での事業活動について、これから進出する企業に役立つ情報をご共有いただきました。
ローレンス・ホー代表によるご挨拶とCIHの活動紹介に続き、シンガポールで展開している日本のスタートアップ企業(AIを活用した診療診断を行うUbie株式会社(別ウィンドウで開きます)、モバイル型投薬・点滴デバイスを提供するアットドウス株式会社(別ウィンドウで開きます))のCIHと連携した取組みについてご紹介いただきました。
また、リバネス・シンガポール(別ウィンドウで開きます)もご参加され、日本とシンガポールの医療・ヘルスケア領域のベンチャーを支援するため、この場でCIHとリバネスの連携協定が結ばれました。
ミッション開催後には、参加企業とシンガポール機関や研究者との個別ミーティングを実施しました。また、神奈川県ではJETRO Singaporeに県職員を駐在員として派遣しており、コロナ禍で渡航が困難な現状においても、現地でのサポートを引き続き行っております。
今回は初めてのオンライン実施となりましたが、参加者からは
といった感想をいただきました。
引き続き、本県のライフサイエンス・ヘルスケア産業の振興に向け、シンガポールとの覚書に基づく連携を進めてまいります。
このページの所管所属は政策局 いのち・未来戦略本部室です。