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更新日:2019年1月11日

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神奈川県水産技術センターコラムno.23

神奈川県水産技術センターコラム23号 2019年1月11日号

研究員コラム

1 船酔いなんて怖くない!…でも、たまに怖いかも?(企画資源部 草野朱音)

2 東京湾のナマコ漁業(栽培推進部 秋元清治)

1 船酔いなんて怖くない!…でも、たまに怖いかも?(企画資源部 草野朱音)

 早くもコラム2ターン目、東京湾貧酸素水塊対策研究担当の草野です。突然ですが、皆さんは船酔いした経験がありますか?私は数え切れないほどあります。子どもの頃に乗ったホエールウォッチングの船で、小笠原に向かう大学の実習船で、サンプリングでお世話になった漁船で、もちろん水産技術センターの漁業調査指導船でも酔ったことのある、いわば船酔いのスペシャリストです。それでも少しずつ慣れてきて、今では船酔いを心配することも少なくなりました。その話をしたいと思います。
 そもそもどうして船酔いは起こるのでしょう。船は波によって上下左右に揺れるため、陸にいる時にはあまり経験しない動きを体が感じます。この揺れが体の平衡感覚を混乱させて船酔いを引き起こすのです。さらに、目から入ってくる情報と自分の体が感じている動きにズレが生じると、これまた脳が混乱し船酔いの原因となります。
 船酔い状態になると、気持ち悪くなったり、頭が痛くなったり、とにかく辛いものです。すぐに船から降りられるのなら良いのですが、状況によってはそうもいきません。私の経験から言えば、一度船酔いするとそのまま船上で回復するのは至難の業です。いかに船酔いを防ぐか、というところが重要なポイントとなります。私が実践している船酔い対策を以下に挙げてみました。あくまで私個人の意見ですので、参考程度に見ていただければと思います。

◎船酔いしないためにやっていること
 ・ご飯を必ず食べて、水分をたくさんとる。空腹状態で船に乗らない。
 ・乗船前日にしっかり睡眠をとる。
 ・爽やか系のガムや飴、梅干しを食べる。
 ・動く。じっとしていると余計に船の揺れを感じる気がします。
 ・できるだけ船の中心にいる(写真の赤丸)。
 ・「自分は酔わない!」と心の底から強く信じる。
×船酔いするので避けていること
 ・乗船前日に深酒する。二日酔いと船酔いのダブルパンチは地獄です。
 ・スマホやパソコンの画面をじっと見る、文字を読む。下を向いたままだと酔いやすい気がします。
 ・すぐそばの波を目で追う。

と、ここまで得意げに対策を紹介しましたが、それでもやっぱり船酔いする日はあります。そんな時はもう無駄な抵抗はせず、なすがままされるがまま、物言わぬヒトの抜け殻となって陸に戻るのをひたすら待つだけです…。
 はじめから船に酔わない超人もいれば、何度乗っても何をしても酔ってしまう超人もいます。その人の体質、その日の体調によって酔いやすさは異なりますし、対処の仕方も様々です。「これや!」っていう解決策はなかなか見出せませんが、今回ご紹介したことが船酔いに苦しむスペシャリストの皆さまにとって少しでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!

江の島丸 ほうじょう

2 東京湾のナマコ漁業(栽培推進部 秋元清治)

 神奈川県の沿岸で獲れるナマコには赤色のアカナマコ、黒色のクロナマコ、青色のアオナマコと呼ばれる3種類のナマコがあります。見た目には3つともかなり違う感じがしますが、近年の形態的な特徴や遺伝子を分析した研究ではクロナマコとアオナマコは同種で、アカナマコだけ別種とされています。両種は住んでいる場所も異なり、アカナマコは岩礁域に多いのに対し、クロナマコやアオナマコは主に砂泥域に生息しています。砂泥域が多い東京湾ではクロナマコやアオナマコがたくさん漁獲されていますが、我々の食卓に上るものは少なく、業者によって干しナマコに加工されたのち、もっぱら中国に輸出されています。
 ナマコは漢字で「海参」と書くとおり、朝鮮人参のように滋養強壮、不老長寿、癌や風邪の予防などに効能があるとされ、中国では大変に人気があります。日本から中国への輸出は江戸時代から行われていたようで当センターコラムVol.389でも「エーッ ナマコが杉田名物だったって・・・」http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/ f450011/p582320.html でも紹介していますが、当初、宮廷料理の食材として使われていたナマコも1990年代に入って中国が経済成長するに従い、多くの方が食べるようになって、価格が急騰したため、日本各地で中国の輸出向けにナマコ漁が盛んに行われるようになりました。
 東京湾でも、1990年代の半ばから北は横浜市の京浜運河から南は横須賀市北下浦までの沿岸域で、ナマコ漁が本格的に行われるようになりました。特にクロナマコはそれまでは漁獲対象ではなかったことから、漁業者の貴重な収入源となってきました。しかし、獲り過ぎによって近年は漁獲量が減少しています。また、ナマコは漁業上重要なだけでなく、海の中の懸濁物や堆積物を食べることで海底をきれいにしてくれています。現在、本県の東京湾の漁業者はナマコ資源の回復をめざして、漁獲量の制限、漁期の短縮、禁漁、種苗放流などに取り組んでいますが、当センターでもその成果が上がるように研究面から支援しているところです。

ナマコ3タイプ

クロナマコ

クロナマコ

アオナマコ

アオナマコ

アカナマコ

アカナマコ

ナマコ種苗

当センターで生産したアオナマコ種苗(放流前)

このページに関するお問い合わせ先

水産技術センター

企画研究部企画指導課

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