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更新日:2020年9月18日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 平成20年度第1回施策調査専門委員会(第4回)
平成20年5月15日(木曜日)10時00分から12時00分
神奈川県庁本庁舎3階 大会議場
田中 充【委員長】、古米 弘明【副委員長】
淺枝 隆、木平 勇吉、原 慶太郎
未定
土地水資源対策課、担当者名 原田
電話番号 045-210-3106
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(田中委員長)
おはようございます。それでは平成20年度の第1回施策調査専門委員会を始めたいと思います今日は、議題が多いので、早速、議題1の前回委員会の意見要旨の説明からお願いしたいと思います。
【土地水資源対策課から、資料1、資料2(1)~(3)に基づき、前回委員会の意見要旨について説明。】
(田中委員長)
ありがとうございました。前回の委員の意見を受けて、資料を修正したとのことですが、先生方何かございますか。
(古米委員)
資料1の中で、「今年度」と記載されているのは、平成19年度のことですか。20年度のことですか。
(星崎課長)
平成20年度のことです。
(田中委員長)
先生方、よろしいでしょうか。それでは、議題2の水環境モニタリングの平成20年度の調査計画について、ご説明をお願いします。
【自然環境Cから、資料3に基づき、森林モニタリング調査(対照流域法等)について、説明。】
【環境科学Cから、資料4(1)(2)に基づき、河川モニタリング調査について、説明。】
(田中委員長)
それでは、最初に、資料3の森林モニタリング調査についていかがでしょうか。
(木平委員)
資料3の1頁の実施スケジュールについて、概ねこれで良いと思います。平成19年度以降、施設設置、事前モニタリング、事後モニタリングと進めることは、間違いではありません。しかし、重要なのは、成果が出始め、分析が始まる24年度以降なので、ここを長く説明する方が良いと思います。そうでなければ、最初の5年は調査するが、以降は調査しないことになると全く意味がありませんので。
(田中委員長)
これは、実行5か年計画に基づく調査であるため、制約があるのかも知れません。例えば、宮ヶ瀬ダム上流域の大洞沢の事後モニタリングは、24年度以降も継続してモニタリングすることになりますよね。
(自然環境C)
はい、そうです。施設設置と事前モニタリングのデータが得られているので、以降はその変化を経年的に調査します。資料にも記載のように、森林整備の効果検証の指標があるので、内容に応じて、調査頻度を調整しながらデータを見ていきます。
補足になりますが、当初は、施設設置の直後に森林を整備する案を考えましたが、専門家の先生方から、初期状態をしっかり記録した方が良いという意見を頂きました。4箇所しか調査できませんので、慎重に事前モニタリングを敢えて3年間調査します。現在、宮ヶ瀬ダム上流域の大洞沢と、津久井ダム上流域の貝沢については、対照流域法を中心に調査する計画ですが、その他の調査方法についても、例えば安定同位体を使う試験を併用するとか、なるべく短期間に定量的なデータを得られるような工夫を検討しています。
(原委員)
先程の木平委員の質問に関連しますが、後の河川モニタリングも同じですが、様々な環境要因に合わせて生物の調査をすることが、トータルな環境を見る上で非常に重要だと思いますが、やはり生物の変化の現れ方は緩慢になります。したがって、その辺の見極めには時間がかかることと、その辺のその扱いをどのような形で、科学的に納得できる形にするのかが大事な点だと思います。
(自然環境C)
「対照流域モニタリング調査会」を設置して、その中でも専門家の方から指摘を受けているので、検討していきたいと思います。
(古米委員)
資料3の中で、斜面ライシメーター法は、設置予定流域が未定ですが、これはどうなるのですか。
(自然環境C)
まだ検討中です。対照流域法は、水や生物など総合的なモニタリングができますが、斜面ライシ法は、土壌と水の流出過程の主な試験になり、それが必要な流域が選定されれば、設定しようと考えています。現在、残りの流域について、どの調査方法が適当か検討しているところです。対照流域法に変更する可能性もあり得ます。
(古米委員)
もう一つ質問です。私自身はそれほど詳しくありませんが、要は、2つの流域を設定し、一方は人工林の整備やシカ対策などの事業を実施するのであり、それが大洞沢の場合、平成23年度に実施する。他方は何もしないでそのままにする。その前段階は、両方の流域において、現在の状況を調査するということですね。
(自然環境C)
そうですね。一方の流域で非常にしっかりとした管理を行い、他方は放置または非常に軽い整備を行います。現在、全体的に山の手入れが遅れていますが、そのような状況を置くということです。
(古米委員)
ということは、人工林整備はどのような整備をするのかによって大きく結果は変わると思います。それは対照流域モニタリング調査会で、最適な整備法が議論されて実施されるのか、あるいは、将来的に神奈川県の森林整備のミニマムラインであるのか、理想的な整備を実施するのかによって全然結果が異なると思います。そのインパクトを与えるレベルはどのように決めるのですか。
(自然環境C)
基本的に、「水源の森林づくり」の施業、管理方針に沿った最大限の整備として、かなり強度な間伐、森林の複層化、下層植生の回復、シカ対策によりますが、これらを組み合わせて理想的に、整備します。
(古米委員)
資料3の2頁目で、「流域モデルによる検証」とありますが、どのようなモデルですか。
(自然環境C)
2つあり、1つは大洞沢を中心としたタンクモデルと呼ばれるもので、水流出と一部土砂の流出を予測するモデルです。もう1つは広域を対象とする、3次元水循環モデルと呼ばれるもので、雨がしみ込んで地下に入っていくというモデルで、それを流域全体の水循環モデルとして採用しています。平成19年に関しては、このモデルに土砂の流出過程を組み込んだモデルに改良し、水の流れと土砂の流れを組み合わせた予測ができるようにしました。簡単に言うと、地表面の立木がなくなって、土壌の水の浸透能や地表表面の粗度が変化したときに、河川への直接流出が増えるか、流出に含まれる土砂量が変化するかを説明できるモデルを事前に検討しました。
(古米委員)
さらに水質を項目として組み込む構想はあるのですか。
(自然環境C)
水質もモデルに組み込むことはできます。渓流の場合、下流と比較して、水質がきれいですので大きな変化は生じないと考えられます。しかし、伐採など大きなインパクトがあると、窒素などの成分の変化は出るようですので、そのような変化も将来的には検討します。今はとりあえず、土砂流出が多くて、河川が濁る状態になっていますので、土砂流出量の変化に着目しております。
(古米委員)
以前、相模湖は大気由来の窒素があるという議論があったので、森林の中で併せて窒素の濃度を測定すれば将来的に役に立つのかなと思いました。
(自然環境C)
そうですね。その点も、検討しているところです。
(田中委員長)
ありがとうございました。これに関して何かありますか。
(木平委員)
対照流域法について、差が出ることを前提にして、話していますが、私の知識では、世界的に対象流域法を実施しても、なかなか差が出にくいです。森林を皆伐など非常に大きな変化を与えると、差が出ますが、森林の施業の効果がなかなか出にくいのが現実の姿だと思います。
この場合には、一方の森林は現状のままに置き、他方の森林は間伐やシカを入れないよう防護柵の設置など、少しよくするというレベルでは、穏やかな変化だと思います。ですから、せっかく対照流域法を実施するならば、もう少し強い、レベルの高いしっかりした変化にした方が良いと思いますが。
(自然環境C)
ご指摘のとおり、かなり強度の間伐をする必要があるだろうということは指摘されています。非常に長期の流出を考えると、対照流域法の結果が出るのは20年、30年とかかりますが、専門家の意見やモデルによる検証・予測によると、流出のパターンは短期的にも変化するだろうと言われています。
それから、丹沢の場合は堂平において、植生の有無による土壌の流出量の違いが、1年間で1cm以上削られるデータが出ておりまして、地表流と土壌流出の関係は短期的な値が得られるという試験があります。
結果的にはある程度流出パターンや土壌の流出量は変化が見られるだろうという予測がありますので、実際にそうなるかを今後追跡していきます。
(淺枝委員)
私も木平委員の危惧を感じています。モデルで評価するとのことですが、モデルの場合、基本的にはキャリブレーションで係数を決定することになります。危惧されるのは、その場合、係数の組み合わせは様々あります。また、どれが正しい組み合わせかはわかりません。従いまして、同じような結果がでてくるような組み合わせでも、組み合わせによっては、他の条件で計算すると逆傾向の結果を得てしまう場合も起こり得ます。そのような場合でも、事業の効果があることを対外的に説明する必要がある部分もあるので、できるだけ小まめに測る項目を検討した方が良いと思います。と言いますのは、流出してくる水量を測定しても、ほとんど変わらないことがよくありますが、それを流出する水量ではなく、土壌水分量で測定すれば、木がなくなっていると明らかに違うという結果がでてくる場合もよくあります。
(自然環境C)
対照流域モニタリング調査会でも指摘されており、連続測定するものと、少し見えるものを選んで調査すべきとの指摘は承知しています。間接的には、目に見える指標として林床植生や土壌生物などありますが、これと水量の変化、水質の変化との関連性を説明することが難しいケースもあるので、工夫したいと考えています。
(淺枝委員)
どのぐらいの頻度で見直しされる予定ですか。
(自然環境C)
少なくとも事前調査した中で、変動の大きい項目については少し見直す必要があると思っていますので、事前の環境調査による情報がある地点は観測施設の設置後2~3年あとになると思います。
(淺枝委員)
小まめに見直しをかける方が良いと思います。
(田中委員長)
ありがとうございました。まだご意見があるかもしれません。事務方の方でよく委員にはまたご意見を聞いて、反映できるような方法で進めていただきたいと思います。
さて、資料4の河川モニタリングについてはいかがでしょうか。生物、水質等の調査を相当な多くの地点で実施するとのことですが。
(淺枝委員)
平成20年度に相模川、21年度に酒匂川を、1年間ずつ調査するとのことですが、それは現状を調査するということですよね。変化後のモニタリングはどのような形で実施されるのですか。
(環境科学C)
専門業者が調査するのは5年間で1回ずつですが、他に毎年実施する県民参加型調査のデータも活用していきます。
(星崎課長)
環境科学Cが過去に実施した県内河川の底生動物調査もあるので、それをデータベース化して、比較します。基本的には、5年間の中で1回を調査する構想です。
(淺枝委員)
最初の20年度、21年度の調査は、現状のデータベースを整理する目的で、その後は5年間で1回調査し、それが実際にどのように変化していくかを調査するということですね。
(原委員)
河川モニタリング調査で、渓流地点の増加と記載されていますが、先程説明された森林モニタリングの対照流域法の場所は、これに含まれるのですか。それとも別ですか。
(環境科学C)
別です。
(原委員)
それならばそれで結構だと思いますが、何か関連が付けられると、対照流域法の調査を詳しく進められると思いますので、河川モニタリングの動植物調査の年1~2回の調査でも比較ができるかと思い、質問しました。
そうすると、河川モニタリング調査が、指標生物の調査になると思いますが、その生物の生息場所の評価が非常に大事になると思います。ここでは河床の観測がその一つと思いますが、ハビタット(生息場所)の特徴、例えば水草や砂などを含めて、その説明がなければ、その生物がいたかの説明に結びつかないと思いますので、あわせてこの水生生物と底質をつなぐ部分を調査されるべきと思います。
(環境科学C)
それは入れていきたいと思います。
(古米委員)
昨年の議論で、「渓流地点を調査地点として入れた方が良い」と発言したのは、要するに森林を守ることが水源を守ることであり、下流の地点では他の要因の影響もあり、効果が分かりにくいから、事業の効果が分かりやすい渓流地点を増加すべきとの趣旨でした。今回、確かに相模湖の上流や、宮ヶ瀬ダムの上流の調査地点が増えて良いとは思いますが、要は、河川調査の中で、水質や生物の調査も重要ですが、基本的には水量の変化だと思います。例えば、夏に水が枯れていた地点が流れていることが大事だということです。水量など、実際に渓流地点で水量をどのように測るかという問題はあるけれど、それをレポートしていくことが大事であり、特に県民の方々は色々な時に行く機会があると思うので、県民によるモニタリングのような形をぜひ入れると有効だと思います。
(環境科学C)
委託の専門業者が毎月調査する40地点は水量も測定します。
(原委員)
それにも関連しますが、資料4(2)の3頁の中で「両生類とほ乳類については、調査時期及び調査方法の問題から別途補足調査として実施を検討中。」と記載されていますが、両生類は水量が枯れると生息できないのだから、両生類は指標生物として非常に重要だと思います。調査時期等の問題とは具体的に分かりませんが、加えなければ逆に渓流地点の評価につながらないと思います。
(環境科学C)
わかりました。
(星崎課長)
この河川モニタリング調査を5か年の中で実施することは実行5か年計画の中で決まっているのですが、基本的に以前、底生動物調査で実施されたものと、その変化を見ることが一つあると思います。その河川モニタリング調査とは別に、以前から渓流地点の調査についてご指摘を頂いています。できれば、その河川モニタリング調査の基本的な調査内容等は変えずに、例えば、渓流地点を綿密に調査するためには、この河川モニタリング調査とは切り離し、渓流地点だけを何らかの方法により調査した方が良いということであれば、少し検討したいと思います。
(淺枝委員)
渓流地点は、この河川モニタリング調査のスキームでは難しいと思います。渓流地点で変化が大きいのは、先程古米先生のご指摘どおり、水量と土砂です。この点は、一般の方でもすぐできると思います。すなわち、実際に測定しやすい物理的な量や化学的な量、もしくは、生物であれば、種類ではなく量を測定することが大事です。例えば、どのような昆虫がいたというのは同定が必要なので大変ですが、ある昆虫がどのぐらいいたかは比較的簡単にできます。これを住民参加型で実施すればよいと思います。
(星崎課長)
河川モニタリング調査は、全体として捕捉する必要があると思うので実施しますが、渓流地点の調査については、別個に調査する方法を少し検討した方が良いのかと考えているということです。
(古米委員)
私が思うのは、例えば、水源の森林づくり事業を渓流に関わる上流側で実施する場合、それとマッチングした形で、その渓流については集中的に継続的に調査すれば良いし、まだ事業未実施の箇所は、実施後に調査しても良いかも知れない。もちろん経年的にどのように変化するのかを基本的情報として収集する場合には、水質よりも水量と濁度の調査で私は十分だと思います。
(星崎課長)
軽易な方法でも良いから、継続的に施業している箇所や未実施の箇所を選択的に調査した方が良いということですか。
(木平委員)
確かに、課長の言う提案の方法は良いと思います。というのは、森林整備の指標は面積ですが、一方で、森林の整備と水のモニタリングとの間の結びつきが非常に弱いですよね。したがって、森林を整備した付近の渓流の状態を継続的に調査する。
(田中委員長)
それでは、別途検討していただきましょう。先生方から非常に貴重なご意見を頂き、かなり今後の調査に向けて、色々な示唆を頂きました。
次は、議題3の個別事業の話に移りたいと思います。それでは、議題3の個別事業の説明をお願いします。
【森林課から、資料5(1)に基づき、1水源の森林づくり事業の推進について、説明。】
【緑政課から、資料5(2)に基づき、2丹沢大山の保全・再生対策について、説明。】
【緑政課から、資料5(3)に基づき、3渓畔林整備事業について、説明。】
【森林課から、資料5(4)に基づき、4間伐材の搬出促進について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料5(5)に基づき、5地域水源林整備の支援について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料5(6)に基づき、6河川・水路の自然浄化対策について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料5(7)に基づき、7地下水保全対策について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料5(8)に基づき、8公共下水道の整備について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料5(9)に基づき、9合併処理浄化槽の整備について、説明。】
(田中委員長)
資料5(1)から(9)までご説明をいただきました。これが個別事業の平成19年度の事業実績と、平成20年度の計画のあらましですが、先生方からご質問等ありましたらお願いします。
(木平委員)
水源林の整備や渓畔林の整備、地域水源林の整備など森林の整備を実施するとのことですが、データベースとして、記録台帳として、どのような体系でもって、整理するのですか。個別の調査のデータが、体系的にどのように蓄積・保存されるのですか。
(星崎課長)
水源の森林づくり事業については、平成9年度から始まっているので、所管の森林課がデータベース化を進めています。後で説明しますが、今年度GIS化を含めて、全体をデータベース化を進める予定です。
(木平委員)
それは森林課の仕事というよりも、土地水資源対策課の仕事ですか。
(星崎課長)
はい。土地水資源対策課が全体として行います。
また、次の議題で説明するので、ご意見を頂ければと思います。
(木平委員)
もう一点、私有林27,000haを確保するとのことですが、その他に県有林や国有林があります。それらの整備について、構想や対応は一緒だと思います。特に国有林は大きいので、そこだけが抜けたシステムになっていると思います。行政上の区分はありますが、水源という観点からすると同じ自然の問題だと思いますが。
(森林課)
県有林については、この水源環境保全・再生の実行5か年計画の対象ではないので、資料には記載していませんが、それは別の予算で県有林を管理しています。国有林については、県が直接管理できないので、適切な管理をしていただくように国有林を管理している事務所に要望しています。
(古米委員)
木平委員のご指摘は、管理・整備している状況を全体として表示しなければ、水源に関して効果があるのか否か分からないというご指摘だと、私は理解しました。
(田中委員長)
その点が、施策の進捗度を含めて、県の取組みや市の取組みを含めて、つまり全体としての水源環境保全の効果を、どのように把握していくかということになるのでしょうね。ありがとうございました。
(古米委員)
渓畔林整備事業について、植生調査を行うと記載されていますが、このような箇所の渓流がどのようになっているのかを併せて調査すれば良いと思います。部局や課が異なるとできないということはないと思うので、県全体で進めているわけですから。
2点目は、公共下水道の整備促進の表現について、確かに下水道普及率とは本来行政人口に対する処理区域人口の割合ですが、今回は下水道計画区域人口に対する処理区域人口の割合であり、見かけ上100%という非常にきれいな数字が出てくるので、分かりやすいとは思いますが、常に注意書きを書き続ける必要があるので、単に下水道の整備達成率などの用語で表現した方が良いと思いますが。
(星崎課長)
この「下水道普及率」の表現は、実行5か年計画の中で定めておりますので。実は、我々も苦労しています。実際、平成19年度に整備したのは28.6haですが、まだ普及率としては出てこない状況です。
(田中委員長)
古米委員のご指摘があった、渓畔林事業とその渓流調査の連動や連携はできるといいですね。いずれにしても、その渓流調査の項目や地点や頻度など枠組みを、別にご検討いただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
(古米委員)
資料における表現の問題ですが、間伐材の搬出促進については、5年間の中で各年度の目標がありましたが、それ以外の事業は5年間の中の各年度の目標や位置付けがないので、ある方が良いと思いましたが。
(星崎課長)
はい。想定で積み上げているので、単年度の目標を出すのは難しい。ある意味、単年度では、5年間の目標の20%を目指しています。
(古米委員)
丹沢大山の保全・再生対策や、渓畔林整備事業などについて、5か年の目標は持っているのでしょう。
(星崎課長)
積み上げはありますが、対外的に出せるかは難しいです。
(淺枝委員)
河川・水路等における自然浄化対策について、資料5(6)の付属資料は、事前調査の結果ですか。
(星崎課長)
事後調査を実施しているものもあります。
(淺枝委員)
既に効果が出始めているという認識でよいですか。
(星崎課長)
今回は、事前1回、事後1回の年に2回程度の調査ですので、効果があったとはなかなか言いにくい。だから、やはり調査結果を積み上げていかないと難しいと思います。事業箇所の上流と下流で調査する方法としてはあると思いますが。
(淺枝委員)
いずれ説明する必要があることなので、少し測定する内容を考えた方が良いかも知れません。普通に測定すると効果が分からないという結果になるかも知れないので。
(星崎課長)
測定方法や測定項目については、従前、淺枝先生とご協議し、アドバイスを頂いているので、また問題があれば、ご相談したいと思います。
(田中委員長)
そうすると、GISの話が出ましたが、この議題がありますので、これを説明いただき、またご議論いただきましょうか。ご説明をお願いします。
【土地水資源対策課から、資料6に基づき、県民への情報提供について、説明。】
(田中委員長)
今ご説明いただいた、情報提供のあり方について、ホームページやGISの話がありますが、これはいかがでしょうか。
(木平委員)
これは県民への情報提供として理解できますが、その基となる、業務上で利用したり、継続的に記録する、基礎データのデータベースはどのようになっているのですか。
(星崎課長)
基礎データの部分は、資料として当然整理しておく必要がある。その部分の中で、どのように加工し、統合型GISにデータを送るかという格好になると思います。
(木平委員)
私の質問は、例えばモニタリング結果がどのように蓄積されるのかということです。公開する、しないに関わらず、蓄積が必要だと思うわけです。
(古米委員)
ほとんど同じ感想ですが、まず一歩踏み出されたことについては非常に重要ですし、GISを使うことは非常にツールとしては強いと思います。しかし、県の事業の実施実績を知らせるホームページを作成するのは、行政のページの中だけで十分です。県民は、統合型GISでは、実施されている事業によって水源がどれだけ良くなったのかを知りたいわけです。
やはり資料2(1)の中で記載されているように、事業の目標量の達成度の量的指標や、あるいは質的指標の「森林の手入れが適正にされている状態」とか、モニタリングの調査項目とか、最終的に事業のねらいの達成度とかが、最低限事業ベースでのデータであって、それによって水質が良くなったとか、水源が非常に安定したということが将来的には出てこなければならない。
県民の人に、このような事業を実施していると言うのではなく、自分たちが飲んでいる水が安定しているという結果を見せて、良くなった原因はこのような事業を実施しているからで、それにどれだけの予算がかかっているのかを見せる順番ではないか。全く逆の順番では事業データ、モニタリングデータや達成効果を示すことはできないけれども、イメージとしては逆の順番で作業するぐらいの気持ちで、その統合型GISの作業を始める方が良いと思います。当然、当面は実施した事業の実績しか書くことができないし、効果や結果もなかなか出てこないけれども。
このような場でどのような指標にすべきかを協力しなければならないし、先程説明されたコミュニケーションツールの改良を行いながらわかりやすく出すことがとても重要であり、今までどおりに事業を実施した実績だけを、統合型GISで出すだけでは勿体ないと思います。
(淺枝委員)
GISの契約は、どのような契約ですか。結局GISとは、様々なデータ管理のベースなのです。
(星崎課長)
基本は平成19年度に実施した事業の地理情報化を進め、それに基づいて、この紙情報や統合型GISへの移行を目指しています。
(淺枝委員)
それでは、先生方が発言されたことは、可能なのですね。
(星崎課長)
木平委員が言われているようにベースとなるもの、平成19年度に事業実績などベースの部分は整理するということです。しかし、水が良くなったなどの結果については、最初に大きなモニタリング調査やそれをどのように見せるかというイメージがないと、何のデータを収集するのかという部分が分からないと思います。そこまで委託しているわけではなくて、まずは平成19年度の実績や事業箇所、事業内容をベース化して、それを掲載していくところです。GISについては、ご議論いただく中で、アドバイスを頂ければと思います。
(原委員)
多分、初めてGISの資料を拝見したので、これからだと思いますが、それぞれの委員の先生方が発言したとおりですが、情報提供は重要な部分だと思います。ただ、それに至るデータをどのようにまとめるかが、この資料では分かりません。各事業はそれぞれの場所で実施されますが、具体的にその環境が良好になったとかの結果は、流域ごとの形で出てくると思います。そうすると、流域ごとにそのような施策が見ることができて、それを総合的にどのように評価するかは、これからの議論だと思いますが、その点が検討できないと、県民は、各箇所で各事業が実施されていると提供されても満足しないと思います。多分、神奈川の方は、丹沢大山の調査も経験しているので、民度が高いと思いますので。いよいよ、これが施策調査専門委員会を設けた本当に重要な部分になると思いますが、本当にこの施策を判定するには、その辺の今までのデータがどのように地理的に展開されて、その結果がどのような形で出ているか、それではどのようにすれば見えるか、どのようにすれば判定できるかをやらなければ、これは何とも言えません。だから、いよいよこれは知恵を絞って、詰めていかなければならないと思っています。丹沢大山の調査の経験もあるし、自然環境保全センターでも蓄積があるだろうから、その辺を収集することによって開けると思いますので、楽しみにしています。
(田中委員長)
要するに、コミュニケーションチームが考える情報提供のあり方は大事な柱ですが、もう一つは先程も先生から発言された、いわゆる水源環境保全・再生施策、これは今回の超過課税のみならず、県が全体として実施している施策があると思いますが、そのような施策の観点からの評価や、施策の全体としてどのような効果を上げているか。あるいは、その基礎的なデータはどのように蓄積、集積されているか、つまりデータベースの話と2つあるのでしょう。
後者のデータベースについては、平成19年度の事業実績だけではなく、もっと今までの蓄積されている、例えば水源環境に関わる様々なデータがあって、必要なものを入れ込むという話がある。それらの表示の方法として、GIS地理情報で載せるものもあれば、あるいはそれに馴染まないものもあるかもしれませんが、その点のステップをもう一度考えて、整理したら如何でしょうか。
県では、この実行5か年計画の事業のデータだけを掲載するという発想があるかも知れませんが。
(星崎課長)
いいえ、そのような発想はありませんが、実施したことは県民に示さなければなりませんので。
(田中委員長)
それは大事ですね。だから、その順番や組み立て方を整理した方が良いと思いました。情報提供のあり方・見せ方については、コミュニケーションチームとよく連携をして、ホームページや県の広報など色々な方法があると思うので、それはそれで考えていきましょう。
さて、ここまでが議題ですが、一区切りで、オブザーバの委員の皆さん、何かご発言があれば、いかがですか。
(倉橋委員)
今日は、実績の報告があると聞いたので、今までの整備の状況や、市町村ごとの内容が詳しく具体的に見えるのかと思って、参加しました。というのは、私の相模原市の地域では、見ているとかなり整備がされているのですが、それがこの水源環境税を使って実施されているのか、個人的に実施されているのかが全く分かりません。そのようなことも含めて、その地域のことが見えればと期待して来ましたが、分からなかったので、一市民、県民としてそれが分かる情報提供をぜひしていただきたいと思います。
(牧島委員)
私もコミュニケーションチームに関わる者としてお話します。
最初に、渓畔林の箇所で、県民に対してインパクトのある結果として、成果が上がることを見せてほしいです。いわゆる水量や水質や濁りなど、確かに効果があるということですね。それは重要な手がかりだと思うのです。
この県民会議は、知事が仰った当初の激励を含めてのキーワード協働という言葉を、私なりに翻訳をすると、巨大な学習する社会運動だと思うのです。運動としてダイナミックに動いて行くためには、成果をあげればその分評価され成長して行くことが重要で、やって良かったと言えることが学習の原則だと思うのです。そのような意味で、将来的に見て、実施したから良い成果が上がったと社会的にも認められる内容をできるだけ前倒しに見える形で県民に知らせる必要があると思います。
それから、GISについて、これも当初から申し上げていましたが、小流域でロジカルにインプット、アウトプット、アウトカムの関係をしっかりと示していくと先生方も述べていましたが、私も市民としてごく当たり前に期待しています。それがGISの中で明示されていくということを先程来から先生方も仰っていて、成果が見えることによって、先ほどの学習する社会運動の成長を促すことにつながると同時に、やはり県民として納得をして税金を支払うことにつながると思います。更に税金を支払う以上のことを実は県民にもっと期待しても良いと思うのです。それぞれのセクターがどういう役割を果たして、より良い水や水源を支えていけばよいのか、様々な社会活動が関わる話だと思うのです。そのような期待を込めた一石を投ずる水源環境税であると思うので、いずれ水源環境税に直接関係しなくても、さまざまな活動と意見が反映される形で情報が提供されていってほしいと思います。そのようなことで、GISは全体が見られるようにする基盤を準備するという意味で、大変すばらしい構想だと受け止めています。
(真覚委員)
先程、木平先生から問題提起された、私有林と県有林や国有林などの関係の中で、いわゆる行政の壁のために空白地帯が生じないかという意見交換の中で危惧するものです。例えば、その行政同士であっても、公的管理の協力協約とか、県と国が話し合いの中で協約を結んで、方法論は別として、ぜひ手つかずの場所、あるいは全体としての整合性を欠くことがないように、話し合いや協力が進んでほしいと思います。
(天内委員)
私も県民の一人として、水源森林等の再生に取り組むわけですが、県民に分かる言葉をコミュニケーションの成果や報告に入れなければならないと思っています。その意味で、よく分かるようなものを取り入れていくことがコミュニケーションチームの仕事だと考えます。例えば、水質調査のpHやCODより、生物がこれだけいるから水がきれいだと言う方が県民によく理解できると思うのです。そのようなことを、今回の色々な成果の中からできるだけ拾って県民に伝えることが大事だと思いました。
(田中委員長)
それぞれチームを組んで進めておりますので、全体の県民会議でもいろいろご提起いただきましょう。それでは最後に、報告事項が2点あります。お願いいたします。
【土地水資源対策課から、資料7に基づき、相模川水系環境共同調査について、説明。】
【土地水資源対策課から、資料8に基づき、事業モニターチームについて、説明。】
(田中委員長)
ありがとうございました。資料7と8についてよろしいでしょうか。事業モニターチームは、現場を見ることにより、施策の進捗状況を確認するものですね。それぞれのチームやグループの動きがあり、その中の成果は出ているということです。全体終わって如何でしょうか。
それでは、予定の時間を少し回りましたが、平成20年度の第1回の施策調査専門委員会をこれで終了といたします。どうもありがとうございました。
【会議終了】
資料1 前回(平成19年度第3回)施策調査専門委員会の意見要旨
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。