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更新日:2020年9月18日
ここから本文です。
次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第20回施策調査専門委員会
平成24年7月31日(火曜日)9時30分から11時40分
波止場会館1階 多目的ホール
木平 勇吉【委員長】、淺枝 隆【副委員長】
天野 望、伊集 守直、田中 充、中村 道也
オブザーバー委員 青砥 航次、井伊 秀博、坂井 マスミ
平成24年11月8日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
(木平委員長)
それでは、今日は第3期の1回目の委員会ということで、これまでの委員会の取組状況について、事務局から概要の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
(木平委員長)
この概略でもしお分かりにならない、あるいは質問があればお願いいたします。
よろしいですか。それでは、もし不明なことがありましたら、また順次ディスカッションを進める中でも質問いただければと思います。本年度から水循環を考慮した森林生態系効果把握のあり方の検討という新しい言葉ができておりますが、これについては後ほど報告事項の中で詳しく説明し、ディスカッションしたいと思います。
(1)森林モニタリング(対照流域法調査)
(2)河川モニタリング(動植物等調査等)
(木平委員長)
ありがとうございます。それでは、議題2について続けて説明いただいたのですが、これについてご意見を伺いたいと思います。内容が大きくて、初めての方は分かりにくいところがあると思いますが、内容について不明なところがあれば、それも含めて質問していただいても結構です。
(中村委員)
先ほど部長さんから、モニタリング結果の事業に対する反映、それを積極的に今後考えていくということで、そこが今まで少し見えにくいところが非常に多いですよね。ですからここはぜひ積極的に進めていただきたいと思います。おやりになっていることは非常に先進的で、ほかにあまり見ることができないような取り組みがたくさんあります。けれども、一般の県民にはこれが何のために行われて、どういう事業に反映されているかというのが今一つ分からないのです。特にこの対照流域法はまだ実際には2年ということで、そこで成果を出すというのは非常に無理な話ですけれども、何のためにそれを行って、どういうことを期待しているかということがもう少し分かりやすい方法で県民に対して説明された方が良いかと思います。
それから、これは以前に申し上げましたけれども、河川モニタリングの県民参加は非常に良いことだと思います。一般の人が自然環境に関心を持つきっかけは、やはり水だと思います。水を通して、例えば森林環境であるとか、動物環境であるとか、そういうところに入っていくと思います。ですから、最初のきっかけとして水というものをとらえて、県民参加の形でやっていくのは非常に良いことだと思います。ただ、この指標にしているカジカとかムカシトンボの個体がありますけれども、県がやっているものだけではなくて、いろいろな団体、これは手前味噌で恐縮なのですが、私どもの団体も丹沢の中の河川であるとか、森であるとか、いろいろなところで子供たちと一緒に学習しています。その学習指導をしてくださる方が県の関係の方であったり、あるいは総合調査のときにかなり中心的な役割をしてくださった方がリーダーとして指導してくださっているのですが、例えばムカシトンボなどですと、私どもの活動しているところでもかなり見られます。それは毎年私どもの機関誌で報告をしていますが、他の団体にも呼びかけると、他の団体が協力してくれるかどうかはまた別ですけれども、もう少しいろいろなデータが出てくるので、それは全部をいわゆる県民参加という形でできると思います。
それから、もう一つはただその個体がそこにいるから良いのかどうか、あるいはその個体がいることでどういう環境が守られていくかということ、そこが大事だと思います。ムカシトンボというのは幼虫から成虫になるまで非常に長い時間をかけます。そのムカシトンボがいるということは、沢が安定しているということになります。沢が安定しているということは、森が安定しているということです。そういうところにつながっていくという話を、もし県民参加であれば、参加する県民に説明をすると、水源環境整備事業の全体をより理解されるのではないかなと思います。
(木平委員長)
ありがとうございます。今、中村委員から指摘があったように、まず対照流域法というのは、日本語としても分からないし、内容としても普通の人には分からないと、実際そうだと思います。しかし、非常に重要なことをやっていると思うので、非常に分かりやすいようなパンフレットとか、そういうものが必要です。多分、ここにいらっしゃる方でも対照流域法というのは、そうなじみのない方もおられるのではないかと思います。私の理解ですと、小さな流域で条件が似たようなところが2つあって、その水の流れている下のところで水質・水量を升で測って、そして施業前、まず基礎的にそれを測ることによって、A流域とB流域は初めから少し違いがあるから、その違いを確実にしておくと。その後でA流域は切ったり植えたり、いろいろなことをやり、B流域のほうは何もしないと。そうすると、差が出て、変化が出てくるだろうと。その変化というのはやったことの結果で、影響があるのではないかと。このアイデアは世界的に非常に長い歴史を持っていて、たくさんのデータがあるということで、非常に科学的というか、根拠があることだと思います。けれども、何かやはり説明資料が必要です。その紙を見たら、なるほどこれは対照流域法だというものを作っていただけるのが良いのではないかと思います。
それから、2つ目の中村委員の指摘は、県民参加の河川モニタリングは非常に重要だけれども、1つはやはり県民がそこへ参加することによって川の問題に興味を持つということ、それが大切だと。だから興味を持つのは現地へ行くことと同時に、専門家なり適当な理由というか、説明が必要だということです。そして、そういう機会を多くするために他の団体も参加するというようなシステムにしたらどうかと、こんなところだと思います。
(田中委員)
対照流域法ですが、3ページに大洞沢の事例があります。シカ管理に関して、シカの影響を排除する、植生保護柵で囲むというと、事前の段階でシカの数とか、年間の入り込む数とか、そういうのは把握されているのかどうか、確認です。まずシカの影響を見る指標かな、そういうのがあって、これが保護柵をつくることでどういう差が出るかというのを見るのかなと思いますが、その点いかがでしょう。
(自然環境保全センター)
シカの関係ですけれども、まずシカの保護管理事業の方でシカの分布を見ておりますので、そういった情報があります。
また、この小さい流域でどうかということですけれども、シカの生息につきましては、シカが植生を食べてしまうので、下草の衰退状況というのが直接的な支障になりますので、この流域の中で面的に植生の衰退の状況をランクづけしたマップができていますので、どこがどれぐらい草が衰退しているかというのが分かるようになっています。そういったものの比較ということで、シカの影響というものを把握していきたいと思っております。
(田中委員)
関連してまとめてお尋ねします。3ページに大洞沢の水収支の表1というのがございまして、これを見ると流域1、2、3のそれぞれ降水量と流出量が出ています。年次の傾向は似ているのですが、流域によっては随分下がって、例えば同じ降水量が流域1と流域3で降ったとしても、流出量が違う、こういうのはやはり流域の特性かなとも思うのですけれども、こういうことはあり得るのかどうか。逆に流域4のように流出量がかえって多かったりして、面白いなと拝見しました。もし考察のようなことがありましたら教えていただきたいと、これが2点目です。
それから、3点目は5ページのところで、今度は貝沢で図5の各小流域の無機態N移動量というのは、意味はどういうことなのか、どのように考えたら良いのか、この図の意味を説明していただければと思います。硝酸性窒素ですか、それとアンモニア窒素で色がついているところとついていないところがあって、流域1、2、3を比較すると、割と似た傾向だと思うのだけれども、何か考察あるのかどうかです。
4つ目は、4ページのところに戻りますが、図1に大洞沢の流域3及び流域4における掃流砂流出量でしょうか。下のタイトルで上に2つグラフがあり、赤いグラフと青いグラフが2つあります。これはそれぞれ流域の差を出しているのですか。上が流域3とか、下が流域3とかいうことでしょうか。グラフの意味が、上に2つありますが、どちらが流域3でどちらが流域4なのか、そのときに7番のところで土砂流出が際立って大きい場所ですね。あるいは2010年の8月から10月にかけてということですか。この時が際立って多いわけですが、何かこどこかでご説明があったのでしょうか。これもどのように読み取ったら良いか教えてください。
(自然環境保全センター)
順番にお答えします。まず3ページですけれども、下の表の水収支です。これは大洞沢の中ほどに図面がありますが、流域1という大きな流域、本流の48ヘクタールの流域と、流域3という7ヘクタールの赤で囲っている流域と、流域4という3つの流域で水収支を調べた結果になっております。降水量は同じ場所で同じように降っておりますが、流出量が違うということですけれども、これはあり得ることでして、山の中の源流部になりますので、降った雨は河川に出る過程の中で、土の中、地面の下で水が奥深くに潜ってしまったりですとか、他から流れてということがありまして、流域では面積が小さいとそこの場所の地下構造というちょっとした条件が大きく流量に影響するということがあります。
ですから、下流の大きなダム上流での河川ですと、それがもうプラスマイナスで相殺されていますが、上流に行けば行くほどその場所のちょっとした地形とか地質の影響が流れる水の量に大きく反映してきます。例えばこの1、3、4の流域で申し上げますと、流域3については水の量が少ない、これはおそらく水が流域の測定地点に出てくるまでに潜ってしまっている量があると。すなわち、ここも丹沢ですので、断層ですとか、地下部の亀裂等がありますので、地下の中が均等ではないということがありまして、地下の中が均等ではないということで、水の流れが均一に流れていないものですから、そういったことで測定している場所に出て来ないで、それよりも下に流れていってしまっていると、逃げてしまっているというようなことが想定されます。これはほかの水質とか、いろいろな指標を使いまして、こういったことをダブルチェック、トリプルチェックという形で、あらゆる角度からこれも検証しております。流域4は逆に水が多過ぎるということで、これも大分中では議論をしているのですが、実態としては多いと。これは今のところどういうふうに解釈しているかと申しますと、この集水面積ですが、これが表面的な地形の起伏によって集水面積を設定してございます。ところが、地下部では何が起こっているかと言いますと、表面の集水の地形とはまた別に水が流れているということも十分あり得ることでして、少しこの流域3の向かって左側のところに少し地滑り地形のような、少し怪しいところがありまして、実際現場にも行きますと湧水があちこちにあって、いろいろな情報が得られていますが、やはりここの実際の地形上の集水区域よりも少し広いエリアから水が流れて集まってきているということが想定されまして、これも同時進行で今検証しておりますが、おそらくそうなのではないかというところまで詰められてきております。逆に流域1の方ですが、こちらもかなり均等的な、流域3、流域4の特徴を相殺した形で、少し平均的な流れとして出て行くというように解釈しております。
次に、5ページの図5の説明になりますけれども、こちらは貝沢流域では奥の流域1、2、3、この3流域において試験をしていこうということで考えておりますので、この3流域それぞれの降った雨が渓流から出ていくという段階、プロセスの中で窒素分がどのように変化しているかというものを調べたものです。これは現況でどうかということですけれども、基本的には3流域の性質がまずあまり変わらないと見ていただければと思います。
物質を林の樹幹、林の枝葉のところでのいろいろな反応ですとか、あと地下部の反応ですとか、そういったものの物質の反応が大きく異なってくる場合にはもっとこのグラフは多様な形になると思うのですけれども、基本的には同じような性質で反応してくるというような形です。その中で、本文にも少し書きましたが、流域1というのは比較的雨が渓流水に出るまでに少し窒素の濃度の変化があるということで、これは林の中でのいろいろな反応系による変動が少し大きいと。すなわち、物質のいろいろな反応が活発であると。例えば樹木が吸収する分ですとか、そういった反応であるとか、土壌の反応とか、また、流域2は逆にこのでこぼこが小さいということで、移動量が少ないと。すなわち、反応が余り活発ではないということで、基本的には3流域非常に似ていると、もうほとんど同じような傾向ではありますが、その中であっても多少、これは実際の現場へ行きますと、林の林齢、木の大きさとかが少し違っていますので、そういったことが影響しているかと思うのですけれども、そういったこともあって、若干そういった特徴もあるということです。
続きまして、4ページ目ですね。4ページ目には大洞沢の流域3、流域4の掃流砂流出量ということで図1がありますが、すみません、これは誤植で、上の赤いグラフが流域3で、下が流域4になっています。これはこの期間内に土砂が出てきた量を実際に現場で測っています。この流域3の方で、期間7のグラフのところが一番、13.1立方メートルとなっておりますが、かなり土砂が出ております。これにつきましては、流域3は量水堰を設置した以降の経過ですけれども、初期の頃は量水堰の上流側にまだネットがあったので、沈砂池のようなものがありまして、そこに土砂がたまっていたのが、ついに満杯になったので、去年の台風でかなり大きく出て来たというような状況で、これまでも土砂が出ておりますが、少し上のほうにポケットがなくなってしまったので、大分増えたような状況です。
(木平委員長)
関連して、3ページの水収支のグラフですが、降水量に対して流水量というのは、1年間のトータルですよね。
(自然環境保全センター)
はい。
(木平委員長)
これは特性によって決まるのですけれども、私たちが水源管理をしようとしている時には、雨が降った後のピークの流量と、それから普段の流れている流量、この問題が実は水源かん養機能として意味があるのではないかなと思うわけです。そういうところ、4ページのところにも大体それに近いことが書いてあるのですけれども、もう少しそれが典型的にわかるような、あるいは典型的なそういうことが出ないのかも分かりませんが、その辺を強調してみたらどうでしょうか。それこそこういう施業をやったから洪水が少なくなったとか、あるいは水が絶えず流れるようになったとか、そういう事実が分かりかけているとか、そういう話が私は重要ではないかと思うのです。図3の貝沢のハイドログラフというのは、分からないわけではないのですけれども、非常に細か過ぎて、座標が読みにくいですね。
(淺枝委員)
今の点について、流域1がそれぞれの基底流量が一番大きいです、貝沢です。
(自然環境保全センター)
今回はハイドログラフを出しておりませんが、基底流量としては一番割合的に大きいのは流域4になります。
(淺枝委員)
流域4ですか。後ろの方に流量が、伸びていっているところでしょうか。
(自然環境保全センター)
今のお話は図3の方でしょうか。
(淺枝委員)
そうです。
(自然環境保全センター)
図3ですと、流域1の奥の3つの支流の中心、真ん中の流域が一番流量が大きいです。
(淺枝委員)
大きいですね。ですから、基底流量がどのぐらいの量になっているのかを示そうとすると、そこの林床被覆率のようなものとの関係をとるとかすれば分かりやすくなると思います。その上の図1に関して言えば、土砂流出量は、流域3の方はあまり植生被覆度が高くないのですね。
(自然環境保全センター)
はい、そうです。
(淺枝委員)
4の方は高いのでね。それで土砂流出量が影響されて、4の方が小さいようにみられます。このように、例えば林床被覆度との関係で調べると、それなりの結果と効果が出ているように思います。こうした解析結果が出ると、県民の方に説明する時にも、シカの影響なども直接説明に入れられるように思います。そうした点を工夫されると良いのではないかと思います。
もう一点よろしいですか。川に関してですが、このデータはGISに既にプロットされているのですか。
(環境科学センター)
はい。
(淺枝委員)
それで、県民参加型でやられた結果と、専門家がやった結果の相関はとられていますか。また、水質についても、ムカシトンボやカジカもそうですが、もっと他にデータがあれば相関をとってみるといいと思います。このデータから推察すると、かなり良い相関が出ているのではないのかと思われます。
もし、そう考えられれば、言いかえれば、県民参加型のデータ収集がある意味非常に有効なデータとして利用できます。また、そうしたことが言えれば、もっといろいろなデータをいろいろなところからいただいて、GISの中にプロットすると、図1でも2でも3でも一緒ですが、相模・酒匂の大きな2つの川のどの支流が良くてどの支川が悪いかということがはっきりしてくると思います。
水質が悪い支流というのが大まかにも分かれば、次に、その支流の更にどの支流が悪いかといったこともチェックしやすくなるわけです。こうしたことも、このデータから読み取れるという気がしています。更に、それをGIS上に落として、次にどこでどういう施策、例えば下水道の整備や、小河川の浄化の必要性も分かります。また、行われている整備と同時にプロットすると、県民の方に非常に分かりやすいデータとして示すことができるのではないかと思います。
(中村委員)
一つ誤解をされると困るので、念押しでお聞きしたいのですが、被植度、それで今土砂の流出部分がございますよね。ここの3と4と比べますと、3は傾斜が非常にきついのです。それから、杉林でどちらかというと壮齢林に近い、それで崩壊する場所もあるということです。本来ですともう伐採する時期に来ている場所です。ところが、今はほとんど切りません。それから、4の方はかなり手を入れている場所です。そういうところを単純にシカの食圧による被植の率によってこうなるよというような県民への説明というのは、私は誤解されると思います。ですから、もし仮にシカの食圧を入れるにしても、こちらの森はこういう森で、こちらの森はこういう森だとか、そういう具体的な整備の状況とか、そういうものも一緒に説明するのであれば良いのですが、最近何でもかんでもシカが云々というものが多いもので、私はやはり正確な情報というものを県民に出すべきではないかと思います。
(淺枝委員)
私もそのように思います。シカの食圧も1つの例です。基本的には他の条件が一緒で、シカの食圧があるかないかを比較しないと、シカの食圧の影響かどうかについてはいえません。ただシカの食圧だけでなく、今おっしゃったような整備が行き届くとこのぐらい良くなりますということも同様です。
(中村委員)
そうですね。整備と、あとは森林環境です。今言った傾斜であるとか。この4の場所というのは普段行きましても斜面全体から水がどんどん出てくるような場所なのです。4の方は傾斜がきつくて、少し雨が降るとすぐ流れて土砂が出てくる場所です。もちろんそのような場所であるからこのような調査を実施しているのですけれども、やはり丹沢の場合、どうしてもシカというのは切っても切り離せない部分がありますが、県民には保護管理一つとっても抵抗を感じている人もかなりいるわけです。ただ殺すだけで良いのですかという人がかなりいますので、その辺はやはり丁寧な説明が必要かと思います。
(天野委員)
非常に細かく科学的に調査されているようなデータが出てきているのですが、この植生保護柵でそういう効果があって、こうなっているということなのですけれども、要は行き着く先はどこへ行くのですか。つまり、これはある部分的なところをピックアップしてモニタリングしていますよね。これは今、丹沢といってもこれだけのところで、我々が住んでいる裏側もあれば表もあるわけで、どこよりも水源林の整備がどんどん進んでいます。
けれども、良くなればシカとの関係もありますけれども、この効果が出ればひたすら事業用地としているところへ、この保護柵を政策として予算を組んで全面的に入れていこうということへ向けての効果を測定しているのですか。
県民にいろいろなものを提供してこういうことをやっています、これだけ効果が出ています、ですから水源環境税をいただいて、それはある部分のモニターであって、それが全体として広げていくためにやっているのか、そこが見えないのです。行き着く先はどこへ行き着くのですか。
(田中委員)
これは森林整備とか、シカ対策をやることで、豊かで安定的な水の確保という、どのぐらい効果が出るかということを自然科学的に検証していきましょうと、そういうことでの実験を行っていることかと思います。
ですから、そうした効果を測定するための一つのツールというか、手法を開発しているわけです。
(天野委員)
それは分かりますよ。それで効果が出ると。でもそれは部分的なことでやっているわけです。ですから、効果が出たならば、その水源整備をやっていることは、今、間伐をしたり、森林課がどんどん行っています。でも結局はそこに植生が回復出来るかどうかということは、実際問題としてはシカとの競争です。ですから、これをやるということは、かなりボロが出ると。それで結果的には田中先生がおっしゃったところにいくと。だから、これからは全域に向けてお金を投入していきますよというような行き先を見つめてやっているのかなということです。
(中村委員)
私の個人的な意見かも知れませんが、この事業に関しては、今、田中委員がおっしゃったことだと思います。天野委員がおっしゃっているのは多分、丹沢全体のことだと思います。柵を設置するというのは、どうしても限界があると思います。
森林とシカとのバランスでとらえていきますと、今、保護管理で神奈川県がかなり積極的に実施しています。これは何度もいろいろなところで発言しているのですが、私どもの周辺では、一番最初から保護管理のモデル地域としてかなり圧力を高めた個体管理をしています。そういうところでは、植生が回復しています。ただ、個体管理をしても、森林整備を実施していないところは植生が回復しないのです。やはり森林整備と保護管理がきちんとリンクしている場所は植生が回復しています、例えば柵を設置することで野生動物がゼロになったら、植生が回復することは、丹沢に感心を持っている人なら皆認識を共有していると思います。
けれども、柵の外でどうしていったら良いかというところまではまだ同じ考えというか、問題意識はあっても共有したものは持っていないところがあったと思います。けれども、例えば神奈川県が整備を積極的にやりますよ、その代わりシカの個体管理にも踏み込まざるを得ないとなった時に、私どもは理解しました。
ですから、個体管理と森林整備が一体となって進んでいけば、私はある程度丹沢の森林再生ということに関しては期待が持てると思っています。私はそこが神奈川県の目標ではないかなと思っているのですが、ただ一番問題なのは猟友会の会員が高齢化していることと、なかなか土日以外に保護管理事業が実施できないという現実があると思います。
ですから、私は公のところがそういう組織を持って、これは神奈川県に限らず、野生動物の問題となっているところを事業展開していくという保護管理が必要になってくるのではないかと思っています。
(天野委員)
私は、中村委員がおっしゃっていることも全部承知の上で聞いています。ということは、政策として、中村委員がおっしゃっているようなことでとどめますと、神奈川県の方もとどめますと、それで良いのですと言うならそれで良いのです。
私は神奈川県としてこのモニタリングをやって、効果が出たと。ならば、効果が出たことは広げていくのでしょうか、それともこれはあくまでもこのモニタリングという科学的な調査をし、ある部分においての効果測定なのだと、そこまでなのですよと。そこから先のことについてはまだこれから検討するのですということであれば良いのです。
ただ、効果が出たものを広げていくか、何か事業をして、例えば先程虫の話も、昆虫、水中生物の話も、私は大島の方にカジカが出たのだと、今日データを見てびっくりしました。私たちが子供の頃は、カジカなんて幾らでもいたけれども、まさか大島で見つかるとは。でもそれは、それだけ水質が改善をされたということで、それは奥の方で下水道をやったり、いろいろなことの効果が出たのだろうと。だからそのように、ある実験したことを政策的に広げていく考えがあるのかどうなのかということを伺っているわけです。
(中村委員)
それは先ほど部長さんが最初のあいさつの時におっしゃった、事業効果を事業に反映していきたいと言ったことにつながっていくのではないかと思います。
(自然環境保全センター)
基本的に水源環境の保全という意味で言った時に、最終的な目的というのは、まず森林の部分としては手入れの行き届いた状態で、後は行き届いたことによって多少植生が繁茂して、水源かん養機能が高まったような状態で、その状態に持って行くには、過程の中で、今シカという問題がございますので、本来はシカ柵がない状態でそういうものの形というのが最終目標になります。
ただ、今、同時に並行的にシカの管理をしていかなければその状態に近づけない、あるいは今の状態の中でシカが減るまで待っていますと、出てきたものを食べていきますと、もともと植生の体力があったものが食べられることを繰り返すことによって体力がなくなると、植生の回復が遅くなっていく部分がございますので、そうした意味で対策としてシカ柵というのは同時並行にやらなければいけないということです。
これは最終目標に持っていくための一つのそこまでのプロセスの中で必要な対策ですので、今はその状態の段階ですから、それを投じたことによってどのような成果があるのかを見ていくということです。
(田中委員)
多分、天野委員がおっしゃっているのは、そうした技術的な話ではなくて、効果が出たとしたら、その後これを続けていくのかという、その政策的な判断はどうでしょうかということかと思います。私は、そこは県民会議の役割があると思います。10年経った段階で、これは効果があるからもう少し拡張した方が良いとか、そういうことはやはり県民会議がやれば良いと思います。
(淺枝委員)
一番抜けているのが、全体に対する影響がどの程度のものなのかという評価です。その評価が必要です。例えば、どのぐらいの面積でシカ柵を設置すれば、それがどの程度の効果になって現れるかという定量評価が必要です。もちろん、場所によって効果の度合いはかなり違いますから、それは概略でやらなければいけない部分は出てきます。
しかし、それでも、全体でどのぐらいの面積を囲えば、それがどのぐらいの効果になって出てくるかということを行わない限り、この施策を続けていくかどうかの判断ができません。
(天野委員)
そういう質問です。
(淺枝委員)
それができるように、調査を行っている時に、それが将来的にできるような形の調査にしなければいけないわけです。こうすれば、定量的に大体このぐらいの効果がありますということが、ある程度見積もれるようなものが必要です。
(田中委員)
今回の場合、4つの事例です。これが一般化できる事例であればとても良いわけですが、一つはいろいろな諸条件がありますので、先ほど中村委員がおっしゃったように、例えば大洞沢の流域4などは非常に水が出やすい特殊な場所であるとか。ですから、逆に言うと対照流域の3というのが操作流域になっているわけですが、ここにシカ柵を作ると。
先ほどの調査解析の説明だと、どうも地下にある種の断層があるとか、水を吸い込むようなことがあったりする、こういう要因が大きくてシカ保護をやったことによる差が逆に出にくいのかなとも思います。ですから、地域のある種の特異性が結構効く可能性もあるかと思いますが、やってみないと分からないところもありますので、積極的に実施してみれば良いかと思います。
(自然環境保全センター)
柵を設置するというのは、柵の効果を見るのではなくて、この実験としてシカの影響を排除してみようということです。ですから、シカの影響を排除してじわじわ草が生えてきたときに、水がどう変わるのかというのは今まで行っていなかったのですけれども、今回初めて行います。
植生がどう変わるかというのも散々何十年も行ってきたのですけれども、水を調べるのは今回が初めてです。シカの影響がなくなったら効果が出ましたということが仮に出れば、シカをどう減らしていくのかということは、また別の議論で考えていくということで、これはもう今までやったことのなかった部分に手を出さなければいけないということです。
それから、対照というのはその場所と隣という対照もありますけれども、柵をする前と柵をした後という対照もあります。ですから、柵をする前に何年間か水の量を測っております。それと、草がじわじわ生えてきた時にどう変わっていくのかということをこれから点検しようとしています。
(淺枝委員)
それで、一つだけ気になっていたのですが、3ページのモニタリング調査項目の中に植物のデータがないのですが。
(田中委員)
植生体系のデータですね。
(自然環境保全センター)
植生関係は高木層もすべて行っていまして、毎年行うわけではないので、たまたま去年は行っていないのですけれども、基本的には現状のまま押さえています。
(木平委員長)
よろしいですか。大分意見が出て、必ずしもまとまらなかったのですけれども、私としてはこう感じます。ここにこのように科学的な調査を行って、データが実際に出てきていると。県民に示す時には、こうした生データと言いますか、非常に細かい、測ったそのものですね。これを出すのではあまり有効ではないと思います。一つ解釈をしたというか、解説的な図表を作ることが一つあると思います。
それから、もう一つはシカ柵の問題について、これについては大分議論がありますが、先ほど部長がおっしゃったようにシカ柵を作ることが目的ではないと、一つの手段であるということです。ですから、様子を見ながら行うということです。どこにどれだけ行うかということについては、今まで確定した数量や目標は、皆は合意していないわけです。ですから、それは様子を見ながらやっていこうということだと思います。ですから、場合によってはもっと拡大するかも知れないし、やがては安定するとシカ柵は撤去するということも将来的にはあるのではないかと思います。
(天野委員)
私が一番聞きたかったのはその点です、よく分かりました。
(木平委員長)
ありがとうございました。これについてご意見があればお願いします。
(中村委員)
いわゆる協定・協約ですね、契約を結んで森林の整備をするということがありますけれども、例えば確保した森林をある程度の時間の制約の中で整備しなければならないといったようなやり方というのは、私は以前から何回も発言させていただいているのですが、そういった部分の見直しというのはされないのでしょうか。
その理由としては、例えば人工林の場合はある程度の整備の進め方が必要になってくると思いますが、広葉樹林の整備は、中には整備した結果荒廃したのではないかと思うような整備地が幾つもあるわけです。私は当初は広葉樹林の整備というものは全国的にも例がないですし、いろいろと試行錯誤があっても良いだろうという考えもありました。けれども、やはりいろいろな各事業の見直しと同じように、これは少しまずかったなと思うようなことがあれば、すぐに見直しをするとか、そういう姿勢がやはり必要だと思います。ところが、同じような整備がまた新たに行われていくのは、一つにはそういったいろいろな制約の中でやらなければならないといったような状況と言いますか、その制度があるからではないかという推測をしていますが、そういった制度のあり方、それは5年たって果たして見直しがされているのでしょうか。
それからもう一つは、これは私有林に関してですが、行政がやってくれるから整備しなくても良いという声をよく聞きます。それは神奈川県の森林に対する手厚い制度が所有者に逆手に取られていることがあります。結局、就業意欲といいますか、自分の森だから自分で整備するという意欲を場合によっては削いでしまっているような現状もあるわけです。ですから、具体的な中身の見直しとか、個別の地域によってそういった見直しも少し踏み込んで行っていく必要があるのではないか、そういう時期に来ているのではと思います。
それから、もう一つ県外域の山梨県との協力ですが、私は以前から、神奈川と同じようなスタンスに立つのであれば協議をして、あるいは一定の部分の協力をしても仕方ないという思いを持っていますけれども、やはり県境を越えた行政の意識の共有、そこが欠けている中でただ単に上流域だからといって、協力をしていくのは、県民の税の有効利用ということに関しては、そこまで必要なのかという気がします。よく相模湖の上流は山梨だからと言う人がいますが、それを言ったら新潟県の人は長野県の全域の森を面倒見なければいけないことになります。私はそこまでの必要はないという気がしています。
それから、山梨の場合は、例えば恩賜県有林がありますけれども、ここは非常に予算が潤沢と聞いています。そうしたところが片一方にありながら、もし神奈川の税を利用するのであれば、最初に申し上げたように、神奈川と同じような森林や自然環境や、そういったもののスタンスに立った上で協力していくべきではないかと感じています。
(木平委員長)
ありがとうございます。第1点の問題は、見直した方が良いということで、何を見直すかというのは2つあると思います。1つは候補地として整備する森林群の選定の作業があります。場の方法の見直しと、もう一つはその前提になっている広葉樹林の取り扱いの見直しと、この2つがあると思いますけれども。中村委員、そのような意味でしょうか。
(中村委員)
はい。
(木平委員長)
結果は十分ご承知だと思いますが、今まで広葉樹林の取り扱いについてはこの委員会でもよく議論されています。ただし、最初の候補地を選定することについては、ほとんど県任せで、これまで話題になりませんでした。ですから、この2つは同じことなのです。広葉樹林をどうするか、それがはっきりしていれば、確保森林をどうやって選定するのかの問題があるので、それは5年経ったところで少し見直しする必要があるかと思います。
というのも、確保森林はだんだんこれから少なくなってきます。今までは明らかに優先的にやってきたものが多かったのです。それで、広葉樹林の施業及び確保森林の候補についてもう一度再検討したら良いのではないかという中村委員のご意見です。
それから、上下流協力です。実は今年から山梨県でも森林環境税が施行されました。同じように運営委員会という県民会議と似たようなことをやっていますので、両方の意思疎通が必要だということはそのとおりだと思います。他にはいかがですか。
(淺枝委員)
一つ気になるのが、いわゆる河川・水路における直接浄化対策です。例えば、生態系に配慮した河川の整備であれば、ある状況ができ上がれば、それに従って徐々に生態系が改善され、この事業が終わった後も、生態系が良くなることで水質浄化が図られるという、そういう施策です。
しかしながら、直接浄化というのは、木炭の浄化施設を取ってしまえば、また元に戻ってしまいます。すなわち、ここでは、本当にポテンシャルを良くする施策と、その時だけのための施策と混在しています。必要なことは、この事業も、もう少し将来、すなわち、この事業の期間が終わった後のもっと先を見据えるべきだろうと思います。その意味で、その時だけの施策というのは、少し格下と考えた方が良いように思います。それが1点です。
もう一つ、山梨県のことですが、もちろん山梨との間でいろいろな調整・協議をすべきだと思います。しかし、神奈川県という立場に立った時には、少なくとも相模川で山梨から流入する場所での対策として考えるべきだと思います。例えば桂川清流センターにおいてリンを還元する事業を考えれば、この桂川清流センターでの影響が県境のところの水質に大きく効いているとすれば重要ですが、それほどではないとすれば、別のことをやらなければいけないということにもなります。考え方として、相模川の県境のところの水質に対して、何が影響するかとかという視点で考える必要があるように思います。
(木平委員長)
他にはいかがでしょうか。
(田中委員)
先ほどの天野委員がおっしゃったことの関連ですが、今期で5か年経ちますと、ちょうど10年になります。12の特別対策事業を展開してきて、それぞれの水源林、それから渓畔林であるとか、あるいは河川の浄化、下水道整備と、事業はそれなりに進捗してきたと思います。ですから、そういう事業の積み上げた累積的な評価あるいは効果と、それからそれによって生まれる、アウトカムといいますか、政策上の効果、それを総合的に見なくては意味がないです。そうした評価の視点をいずれ、直ちにということはないと思いますが、準備をしていかないといけないかなと思いました。
(伊集委員)
施策調査委員会と市民事業委員会がありますし、総会もありますので、おそらくそちらでまず話をすべきことだとは思いますが、特に特別対策事業の中で言うと、12番目の県民参加による水源環境保全・再生のための新たな仕組みづくりのところに、その仕組みづくりに対する検討そのものに関連してくると思いますが、この神奈川の水源環境保全・再生の施策のやり方自体、これまでの経過であるという点も含めてそれを検討総括したり、あるいは検討したりという作業をどこかに入れ込むべきなのではないかと思っております。
私の専門になりますけれども、その観点から言うと、県民税に超過課税で集めてやっていくということと、その事業で実際に行っていることの関係、成果であるとか効果というものについての議論が今予定されている施策調査委員会の中では全くないと思うのですが、それは入れなくて良いのでしょうかということです。例えば、古い資料ですけれども、その中にこれまでの12の特別対策事業の歳入歳出で超過課税を受けて、特別事業対策費にお金を使って、収入の方はいろいろ運用益だとかというように分けながら、基金の方には余ったものを来年度以降のお金として回して、例えば平成22年度であれば、38億円程度の税収が入ってきて、もろもろ合わせて43億円ぐらいの収入があって、それを34億円ぐらいの事業に充てて、9億円ぐらいの次の繰越というか、基金の方に戻していくというような形になっています。
そういう意味では、超過課税という形で財源を徴収して、それを事業に使っているという説明にはなると思いますけれども、この水源環境保全・再生事業会計自体を見ると、そもそも予定されている38億円程度の税収が入ってくるのですが、それとは別に同じ38億円程度の一般会計からの繰入金が入っています。全体で74億円ぐらいになるということになっていて、平成22年度でいくと、最終的に基金に38億円ぐらいの積立をやっているわけです。つまり、税収で38億円入ってきて、一般会計からは繰入が30数億円あって、70数億円の歳入予算があって、事業としては38億円ぐらい使って、残った30数億円をまたその基金に戻すという会計に、特別会計の歳出歳入で、またこれはいろいろさまざまな理由があると思いますが、単純に見た時に、一般会計から30数億円のお金が入ってくるのであれば、別に超過課税しなくても良いと考えるのではないか、そういう単純な話ではないのだと思いますけれども、単純に決算を見た場合に、そうした解釈もできるということがまずあるので、そういう論点も一つあります。(※特別会計と基金を活用した歳出歳入の計上の仕方について事実誤認があり、会議終了後に事務局よりその旨の説明を受けた)
そもそも、水源環境保全・再生に向けた特別対策の大原則の考え方がこれまで出されてきていると思いますけれども、先程もあったように他府県との施策の関係だったり、あるいは県内の市町村の事業と県が負担する事業の関係といった時に、個別の市町村に負担はなかなか任せられない、非常に負担が大きくなってしまうので、県の方で負担して補助するというような関係が良いというようなことであったりということが一つあります。
もう一つは特定財源として一般財源と切り離してやるべきだという、必要があるということが書かれていますけれども、ただしこれは本当にそのように言えるのかということもやはり重要なので、継続的・安定的に事業を行うためには、一般財源と別の独立会計が確保される必要がありますということで、特定財源基金、特別会計だったり、そこに基金を設けたりする必要があるのだという説明があります。ただ、自治体が行う仕事というのは教育だったり福祉だったり、さまざまな事業は基本的に継続的で安定的に事業を行う必要があるものばかりですので、そうすると諸々の事業は全て一般会計から別にしないといけないのかという、これは少し大ざっぱな議論ですけれども、こういうこともあるということも議論としては本来検討しないといけないところではないかと思います。
県民会議はいろいろ議題を設定して意見をしていくという場であるということは前回の総会でも確認されていると思うのですけれども、そういう点を議論するような場を設定すべきだと思いますし、特にどちらかと言えば施策調査委員会の場での検討内容に加えるべきではないかと私は考えています。
(木平委員長)
今おっしゃったのは、2つの点があると思います。事業を行った場合の効果について、これは田中委員が指摘されたのと同じようなことです。もう一つは税制、あるいは財政の枠組みとか趣旨について検討しなければならないのではないかというご指摘ですけれども、ご存じのとおり神奈川県の税制は2002年頃から5年間の長い検討時期があったと思います。それに沿って作られた税制なのですが、実際やってみるとこの時の趣旨と現実とが食い違ってきて、再検討しなければいけないという、その必要性があれば大いにやるべきだと思います。
それは問題というよりも、税制について検討された時の議論とか、あるいは理解というものを私たちは必ずしも100%受け継いでいないような気がします。だから、そういう趣旨のご指摘ではないかと思います。あの時の議事録とか、5年間の議論というのは非常に高邁であって、意気込みが高くて良いのですけれども、私自身は税金が入り出してから来た者なので、当時のことはあまり認識していないです。やはりそういう元の趣旨についての意識が必要だし、もし現実にうまく合っていないのだったら、再検討する必要があろうかと思います。
それで、ここの所はこれくらいにしておきたいのですけれども、効果ということについて田中委員の指摘があったり、あるいは伊集委員からあったり、これについては次の話題のところで出ますので、時間は余りありませんし、ここのところはこれで収めさせていただいてよろしいですか。
(田中委員)
伊集委員が指摘された後半のところですね。私は、それは県民会議でやった方が良いのか、県民会議の外の第三者委員会で検証してもらった方が良いのかということがあるかと思います。一応、20年間の計画ということになっています。ただ20年も待たずに10年経った段階で、この税制措置を延長した方が良いのかということも含めて、そういうタイミングで問題提起をされるということも十分あり得るかと思います。ただ、県民会議そのものがそこをやった方が良いのかどうかというのは、少し慎重に考えていった方が良いかと思います、私たちは当事者ですから。こういう印象を持ちました。
(伊集委員)
税制も含めた部分に関して次の5年、10年に対して、県民会議は別に決定する場所ではなく、意見を出す場所ですよね。そういう意味では検討することに制約はないと思いますけれども。
(田中委員)
県民会議というのは、基本的に県が立てた計画、大元の計画がありますね。何計画というのですか。
(水源環境保全課)
実行5か年計画です。
(田中委員)
その上にもありますね。
(水源環境保全課)
施策大綱です。
(田中委員)
施策大綱があるわけですね。大綱があり、実行5か年計画があり、そういう枠組みのもとで県民会議が活動しているわけです。ですから、大綱まで遡る、大綱のあり方とか、費用負担のあり方も含めて現に問題提起をしていくことになると、やや県民会議の役割を超えているのではないかと思います。
(伊集委員)
そんなことはないのではないかと思います。元々の私の理解が違ったのかも知れませんが、あくまでも県民会議の範囲というのは限定されていて、その中でやってくださいよということが、もう既に決められているのであれば別ですけれども。
(田中委員)
つまり、税制の税のとり方の話までということですよね。
(伊集委員)
そうです。
(田中委員)
特にそこを問題にしたらどうですかというご指摘だったと思いますので、超過課税のあり方のところが、県民会議との関わりでは、むしろ超過課税が措置された上で、初めて県民会議が生まれたわけです。
(天野委員)
田中委員も税制の委員だったのでしょう。
(田中委員)
はい、元々そうでした、生活環境税制委員という。
(天野委員)
そうですよね。私もそうだったのですけれども、私の強烈な印象は、一番最後の時に県民会議の設置が出てきたのです。それは、この税制は税制として、ただ中身を具体的にやっていくことについて、県民会議というものを設けて、具体的な事業をやることについて県民会議を設けて、きちんとした県民の意見も十分入れた中でやってくださいという、最後にこのような発言がありました。当時の委員長が誰だったか忘れましたけれども。
(田中委員)
金澤先生でした。
(天野委員)
金澤先生ですか。それで、そういうことで意見として承りますと、私は非常にそれが印象に強く残っていて、ですから税制云々ということは県民会議の議論の範疇に入っていないと私は理解しています。
(木平委員長)
それでは、この点については、ここで結論が出るわけではありませんので、また田中県民会議座長の方でどういう具合になるか検討をお願いいたします。
(中村委員)
ワークショップの実施というのは、私は非常に良いと思いますね。参加する県民が発言できるかできないかは別にしても、どういう考えで、どういった方向を目指して進んでいくか意思表示できます。私はこのワークショップは積極的に進めていった方が良いと思います。
それから、プロポーザルによる調査機関なのですが、国の緑の回廊委員会があります。木平委員も私も委員で出ているのですが、緑の回廊の調査機関というのは毎年変わります。私はこういうことに関しても入札制度で毎年機関が変わるのはどうかと思います。安ければ良いというと、正直言ってどうしようもない調査員が来ます。やはりある程度のお金を出して、きちんとした仕事をしてもらって、少なくとも3年から5年は同じ調査機関が継続して行えるような体制をとっていただいた方がより精度の高い調査結果というものが、私は得られるのではないかと思っています。これはどういう形で現在進められているのかお聞きします。
(水源環境保全課)
この業務自体が単年度の業務になりますが、調査機関の選定に当たっても、価格面だけの入札ではなくて、提案を業者にしてもらうような形でプロポーザル方式をとっておりまして、その提案内容と価格も込みですが、それをトータルで評価して一番良いところ、良い提案をしたところに決めさせていただいているという形をとっております。
(中村委員)
分かりました。
(木平委員長)
ワークショップはこれから準備中ですけれども、県民参加という実際のやり方ですね。かなりここは研究的であり、専門的だと感じます。ですから、秘密会でやるのではなくてオープンにやるのだけれども、一般の人がここに参加出来るかどうかは少し工夫が要りますね。
(中村委員)
一つは、何回もこの席で申し上げていますが、全体的な水源環境整備事業に関して、もう一つという部分があります。これは制度が発足した最初は、私は初めの一歩だから少し我慢してという気持ちがありましたが、やはり5年、6年経ってきましたら、何故水源環境税かというところに立ち戻った時に、私はこういったものが必要になってくると思うのです。
その時にどこまで理解されるかは別にしても、こういうワークショップはやはりオープンにした方が良いと思います。水源環境税の超過課税の制度ができる前、委員会ができる前に神奈川県でワークショップをやっています。知事も出られて、こういうものが必要だということで。そこで出席している参加者から異論が出なかったわけです。極端な言い方をすると、100%超過課税にオーケーを出したのは県民ですから、そういったことを考えてみますと、せっかく良いものができるのですから、内容を添えてオープンにしても良いのではないかと。そうすると、ちょっと専門的過ぎるから私は遠慮しようという人も当然出てくるでしょうし、逆に積極的に参加したいという人も出てくるでしょうし、あるいは二段構えでワークショップをやっても良いと思います。一般の人も含めてやるワークショップと、 それから専門的な方が集まって議論をするワークショップと、両方あっても良いかと思います。私は、これは是非県民参加でやっていただきたいと思います。
(木平委員長)
これに限らず、県民参加型のフォーラムもありますので、それにも関連します。分かりました。
(田中委員)
県民フォーラムのようなところで成果を発表して、意見交換の場を持つのも一つかと思います。もちろん、メンバーは専門家と利害関係者が中心のワークショップだと思いますが、傍聴できるような形にすることもあるかも知れません。
(木平委員長)
そうですね。
(田中委員)
これは検討業務の中の(4)の点検結果報告書というのは、まさに毎年この施策調査専門委員会で作っている、このあり方が網羅的で体系的で、大きなデータや数値が多いので、やや分かりにくいと、そういうことがあるのでしょうか。
(水源環境保全課)
はい。
(田中委員)
メッセージ力のある、評価の分かりやすい、そういうものをやってもらいましょうということなのですが、具体的な検討は施策調査専門委員会で引き取らせていただくということになるのでしょうか。
(水源環境保全課)
これはワークショップで検討していただく部分ではなくて、コンサルタントの方に民間企業の視点なども含めて良いものを案として出していただいて、それを最終的に施策委員会で検討していただくという流れになります。
(木平委員長)
では、この議題は以上でよろしいですか。
(木平委員長)
それでは、これで終了させていただきますけれども、その他に何かこの機会にというご意見があればお願いいたします。
(田中委員)
オブザーバー委員の方々もいらっしゃいますね。皆さんにも、時間があれば時々は発言していただいて構わないですよね。
(木平委員長)
今日はオブザーバーの方に参加いただいているのですけれども、あまり積極的にこれに関わるというよりは、聞いていただいているような感じです。今日出ていただいてどんな印象かとか、あるいはどうした方が良いとか、何かそういう感想があればお願いします。
(青砥オブザーバー委員)
ありがとうございます。いろいろと勉強させていただきまして、ありがとうございました。事前に資料を見ていたので、今日のお話はとても分かりやすい部分はございました。
ただ、見ていて質問をしたい部分も少しあったのですけれども、オブザーバーだから遠慮しておりましたが、少しぐらい質問させていただけると、もう少し分かりやすかったなと思った時もございました。
(井伊オブザーバー委員)
県民会議の重要性を改めて認識した部分がございます、以上です。
(坂井オブザーバー委員)
皆さんの地道な作業と努力の成果に大変敬意を表しております。ありがとうございます。担当の方々にそれぞれお礼を申し上げたいという気持ちで毎日暮らしております。
ただ、どうしても現場に埋没してしまいがちで、どうしても県民から見てこういうところにある森林をどのように身近に感じさせるかということについては、まだまだ本来荒れている森をどうしたら良いかということが大目標であるはずで、それが15年後にどのような姿であるかということは、我々が責任を持って示していかなければいけない立場にあります。
その中で例えばシカの話なども出てきますけれども、では皆さんはシカを食べたことがあるのですか、シカ皮を着たことがあるのですかということがやはりあるわけですね。撃ったら撃ちっ放しで良いのですか、シカは撃たれ損で良いのですかと。県民は多分素直に考えたら、シカはきちんと供養されているのかということを感じるのではないかと、日本人ならそう思うと私は思います。
それから、湖沼の水質ということを、前に横浜銀行のホールの中でやられた時に、パネリストの古米さんがおっしゃった湖沼の水質、河川の水質の基準の問題があるというようなご提言がされましたけれども、そこの部分の水質の問題についてはどのように取り組まれているのかということについては、その後の反映がないように思っておりまして、そこに今かかっているコストがどのぐらいで、どのような姿が正しいかというような議論は、河川のモニタリングの中に取り込まれていくべきではないかと思いました。
また、森のニーズを作る、こういうことをやるときは必ず出口がなければならないのですが、この議論に出口があるのかどうか、きちんとした市場が作れるのかどうか、どのようにしたら街の人を森に呼んでくることができるのか、そしてその人たちの意見を聞いてどのように出口を模索していけば良いのか、そういうことを私たちが話し合うのが本来の責務であると強く感じました。本日はありがとうございました。
(木平委員長)
それでは、今日の委員会をこれで終了いたします。どうもありがとうございました。
【会議終了】
資料4 特別対策事業の平成23年度実績
資料5 特別対策事業の平成24年度計画
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。