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更新日:2020年10月2日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第32回施策調査専門委員会
平成27年2月20日(金曜日)10時30分から12時20分
横浜新都市ビル(そごう横浜店)9階 市民フロアミーティングルームNo.3
鈴木 雅一【委員長】、淺枝 隆【副委員長】
伊集 守直、田中 充、中村 道也、吉村 千洋
オブザーバー委員 坂井 マスミ、森本 正信
平成27年5月13日
水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘
電話番号 045-210-4352
(鈴木委員長)
ありがとうございました。裏面の右下にある項目5の囲みの中に、進捗率の評価でAがいくつ、Bがいくつとの記述がありまして、ではDランクだったものはどうするのかということをもう一言書く必要があるのではないかとの点は気になりますが、進捗率をランク付けしてD評価であっても公表していることは事業評価の面で進んでいると思います。こうした点を委員の皆さんがどのように考えるかなどが議論になるかと思いますが、いかがでしょうか。
(中村委員)
事業費の円グラフの並びについて、水源の森林づくりと地域水源林、間伐材、これらは皆人工林の管理なのでまとめた方が分かりやすい。丹沢大山の保全・再生とは整備の質が異なります。また、公共下水道と浄化槽も同じ性格のもので、まとめていただいた方が分かりやすいと思います。
それから、ランク付けによる事業の評価にはあまり感心しません。例えば間伐材の搬出支援がDですが、この事業は水源環境保全に直接寄与していない、それどころか搬出促進のために作った作業道が路線により雨天時に山を不安定化させる要因ともなります。しかし、事情を知らない都会の人がこの写真を見るとDならばもっとお金をかけて作業道を作って、効率的にやった方が良いとの話が出て来かねません。私はもう少し総合的な評価をすれば、それで良いのではないかと思います。
それから写真について、予算枠が大きいので説明をしているのだと理解はしましたが、それにしても人工林管理の写真ばかりで、県民からするとダム域より低い標高の人工林管理が水源環境に寄与している説明には都市の市民は首をかしげるのではないかと思います。例え予算額が低くても、ダム上流の水源地域でこのような土壌流出防止柵を作っているとか、ブナ林の再生に努力している写真があった方が都市の住民には分かりやすい気がします。
それから、間伐をすれば下草量が増えることが多いと書かれてありますが、増えるとの表記で良いのではないでしょうか。
(鈴木委員長)
間伐してもシカが沢山いると必ずしも増えないので、縦割りではなく連携した事業が必要だということもあり、いろいろな知見のもとでの深い意味合いも含まれていると判断しています。例えば、下の米印の3つ目には、変わらずとあるのはシカの採食による旨の記述があります。
(伊集委員)
事業の進捗状況の表の見出しについて、評価というと印象として質的な判断が入ってくるので、内容からすると評価ではなく、進捗状況と表現した方が適切なのではないでしょうか。ABCDで表記するとAは結果が良く、Dは劣っているとの印象を与えますが、予定どおりの計画量を達成したから上手く行っているかと言えば必ずしもそうではなく、逆にDだから必ずしも事業効果が上がっていないということでもないので、率直に進捗状況と表記した方が適切かと思います。
(淺枝委員)
AからDの評価はいらないと思います。進捗率の結果が記載してありますが、むしろ、もっと具体的な評価の話が入ってきても良いと思います。基本的にはどの事業も上手くいっているので、定性的な記載で良いと思います。
(鈴木委員長)
県民会議としては総合評価を目指していて、進捗率だけで評価するものではない旨を点検結果の部分に書いた方が良いので、40%位の進捗が目安で、全体として概ね進捗している、実効が上がっているかを総合評価を目指した検討を進めている旨を枠内に書くことの方が、現在の取組に合っていると思います。その意味では、表のAからDの欄は削って、進捗率で見ていただくということかと思います。
また、森の事業と水の事業、県民会議などと大きな括りの中で分けているので、森の中でも人工林を固めたらどうかとのご意見がありました。森の事業で、人工林の事業か天然林の事業かが一目で分かるのはかなりの達人だと思いますが、そこまでねらうかどうかですね。
(中村委員)
事業費の円グラフについては、総額37億6,009万円と示されている時に、大まかな予算配分がきちんと分かれている方が理解しやすいのではないでしょうか。
(鈴木委員長)
ご指摘のとおりですが、現在のグラフでも37億円のほぼ3分の2が森林関係の事業ですとのメッセージにはなっています。ご指摘を踏まえると、事業の②と④、⑥と⑨をそれぞれ入れ替えるということでよろしいかと思います。
(中村委員)
そのように言いましたのは、次期に関する意見項目の資料がありますが、次の10年に向けてということを考えていく必要があると思います。その時に、今の制度をそのまま引きずって行って理解を得られるのかということが出てきます。何度も言うように、ダムより標高の低い100~150m位の人工林を整備して水源環境と言うのは無理が出てくると思います。人工林管理が必要なことは分かりますが、この形でやっていくと言った時に否定的な声が出てきた場合、計画自体が全部止まる可能性が出て来るわけです。その時に、ある程度正確な情報を出していく必要があるのではないかと思います。
(淺枝委員)
今の意見はかなり重要なポイントかと思いますし、県民会議の点検結果とともに、こうしたこともすべきとの意見も入れられれば良いと思います。
(鈴木委員長)
今のご指摘のように総合評価にはかなり高度な内容を入れていくのだと思いますが、これは25年度単年度の点検結果でもあるので、一言ぐらいを書き込むものではないでしょうか。
(中村委員)
モニタリングと県外上流域を一緒に括っているのはどのような意味があるのですか。県外上流域は水の対策なので、水の括りに入るのではないかと思うのです。
(水源環境保全課)
裏面の進捗状況の表をご覧いただくと、特別対策事業の5か年計画の体系で書かれてあり、大きな括りで10番から12番事業は支える取組としており、それに基づいた表記の仕方をしています。
(鈴木委員長)
この円グラフの描き方自体にも議論の種はあるということで、事業の並べ方一つ、グラフの書き方一つでも判断があって、それも将来に向けた議論になっていくと思います。
(中村委員)
間伐材搬出の写真がありますが、非常に良い林道でやっている。私からすればこんなことをやって良いのかという現場がありますが、これだけきちんとしているのであれば、もっとやっても良いとの誤解も出てくるだろうし、この制度は林業支援のための制度ではないのです。制度の考え方としては、人工林も環境材というところから出発しているので、県民の意識が一番強い上流域の保全・再生の写真をどこかで見せていく必要があると思います。
また、鉄砲を撃っているところだけが丹沢の保全・再生ではないのであって、あくまでも森林の下層植生を再生させるための後から入れた制度であり、基本は森林整備であって、ワイルドライフが施策の目玉であったとしても、敢えてこれだけを表に出す必要があるのかと思います。
(鈴木委員長)
予算を預かって事業執行している立場からすると、新規事業についてはしっかりやっているとの打出しが必要でしょうし、ご指摘のとおり素晴らしいブナ林の芽吹きの写真があった方が保全・再生を進めたいとのアピールになるとの見方もあります。行政の文書と県民会議委員が考えることの違いもあるかも知れません。
(水源環境保全課)
これは点検結果報告書の概要版になりますので、写真は報告書本体にあるものからピックアップしています。本日ご意見がありましたので、本体からもう少し良いものを使うように検討させていただきます。
(鈴木委員長)
概要版にしてみると本編にそうした写真がなかったことが浮き彫りになるので、逆に本編の方にアピールするような写真を本来的には入れるということもあります。抽出されたものを見て本編にフィードバックがかかるということも、概要版を議論する意義であろうと思います。
いろいろとご意見もあるかも知れませんが、裏面の表からは評価欄を落とす、県民会議の点検結果欄には文言を加える、それから表面の写真は一部差し替える可能性があるということで、時間の関係もありますので3月のワークショップに間に合わせるということにしたいと思います。
(吉村委員)
ページに限りがあるので全てを伝えることは無理だと思いますが、詳しいことは詳細版をご覧くださいとの一文を入れておくと、興味のある方はそちらを見られるので良いかと思います。
(淺枝委員)
資料2-2の図が良いか、あるいはもっと別の図が良いのか分かりませんが、宮ヶ瀬ダム流域の図や相模ダムの流域の図、あとはもっと小さい川の流域図を上手く組み合わせ、実際に事業が行われているところを点で示すと分かりやすくなると思います。地下水、湧水も大きなポイントで、森林整備によりレベルの高い水を目指しましょうというのもあるので、非常に高い水質を目指す部分と安全な飲料水、もう一つは安全な環境水のレベル、その辺りを上手く出していくと分かりやすいし、いろいろな事業の整合が取れていくと思います。
(中村委員)
水源の事業で林業の言葉は必要なのでしょうか。人工林の管理にだけ業の文言を入れるのはどうかと思います。神奈川県における人工林の現況で良いと思います。林業と言うと、行政が一つの業種にどこまで関わりを持つのかということがあります。昭和50年の4万5千立方から平成25年には1万5千立方と書いてありますが、単純に考えて伐る木がないだけの話です。昭和50年代までに丹沢の木材はほとんど皆伐されました。出したくても、出すだけの木がなかっただけのことで、今やっと当時植えた木が成長してきたから出しているだけの話です。製材所についてもほとんどこの数でずっとやってきました。ここに仮に大規模製材所を作ると、木材の搬出量は定量ですから、近い将来にはおそらく稼動しなくなります。昭和40年代に戻って、材木生産をその気になって始めたら、丹沢は10年経たずにまた坊主になります。製材所の順位が全国46位とのことですが、1位になっても稼動の可能性がないのですからそれで良いではないですか。製材所を作るぐらいならば山梨県に、資金補助すれば山梨県の支援にもなります。それから、例えば秦野の森林組合が小規模所有の山を積極的に整備していますが、所有者には整備に対する意欲はほとんどありません。行政がお金を出すからやってもらうだけであり、自分でお金を出してやろうという意欲のある人はほとんどいません。
(水源環境保全課)
林業を少ないから盛り返そうという趣旨ではなく、現状として市場経済だけに依存していては無理であるとの構造のもとで、ゾーニングを基本として水源の保全・再生の森林づくりをやっているとの趣旨です。
(中村委員)
高知県のように林業を支援するための税制度であれば、林業を一番に持ってきても何の不思議もないが、神奈川の場合はそうではないはずです。人工林管理の必要性は認めているのですが、それと林業を支援するのとは全く意味が違います。
(鈴木委員長)
本来的にここで述べたいのは、林業の現状を紹介することよりも、有効な森林整備の方法ではないかと思います。
(中村委員)
70年生から90年生の木を間伐材で出している事例が見られます。本来は素材生産だが、それだと奨励金が出ないから間伐材で出しています。森林所有者は制度を逆手に取ることもあります。10年前迄は1立方15万~20万で出していたと聞きます。しかしこの値段で売っても100年分の経費は出ません。林業は一般の森林所有者が経営として成り立つ産業ではないのです。それを奨励金を出したら黒字になるとの説明は如何かと思います。
(田中委員)
資料2-1のIV(ローマ数字の4)-65ページについて、元々森林モニタリングのタイトルなので調査結果の記載にはなっていますが、神奈川の森林調査結果はこの報告書の意に則したまとめ方にしていただくと良いと思います。それから、IV(ローマ数字の4)-67ページに21、26年度のAとBの色グラフがありますが、26年度になってAは増えたけれどもBが減り、Cが増えているのですがその理由を教えてください。
(森林再生課)
解析中ではありますが、一つの可能性としては手入れが行われて好循環になっている場所はBからAになっていますが、一方で、道から非常に遠いなど何らかの理由で手入れの間隔が空いてしまってBであったものが一部Cに移っている、この辺の状況は来年度の補完調査で確認していきます。
(吉村委員)
中間評価報告書は、第1期と第2期の10年間の情報を盛り込みたいということだと思いますので、データとしては平成25年度までになりますが、あとプラス2年間の予測を入れて10年間とし、第2期が完了した時のイメージを盛り込めば、次の10年に繋がりやすいと思います。
(田中委員)
資料3-1について、次期計画5か年を見据えるのか、あるいは20年計画の中間年で、施策大綱も対象にして少し軌道修正を図る意味合いも入れるのかの点があります。したがって、タイトルが次期5か年計画となるのか、あるいはかながわ水源環境保全・再生施策大綱及び次期5か年計画となるのか、その辺りは流動的、柔軟に考える必要があるのではないでしょうか。
それから2点目は、前期の意見書が参考資料としてあり、各論意見が整理されていますが、これらの意見が第2期の中で着手されている、あるいは進行しているとの状況を整理していただくと、1期の段階でこういう課題が出て、2期の中でそれを受けて現時点でこのように進行している、その中で今までの県民会議の意見を参照しながら、どこの点をより強調し重点化し、次期に引き継ぐのかの方向性が出て来ると思いますので、その整理をされたらいかがかと思います。
(鈴木委員長)
今のご提案は大変重要だと思います。今後の検討において平成22年の意見書の各項について、第2期に反映されたもの、されなかったけれども検討が進んでいるもの等、第2期の中でどうなったのかということは大事な点だと思います。
(伊集委員)
参考資料2にある意見書は、どのような位置付けのものでしょうか。基本的には政策に反映しようとするものなのか、あくまでも委員からの個別意見をまとめたものなのか、基本的な性格はどのようなものでしょうか。
(水源環境保全課)
県としてはこれを受け止めて、施策に反映出来るものを出来るだけ反映していく方向で検討を行うものです。
(鈴木委員長)
県民会議からの意見書としてそれなりに重みはあって、そうならない場合にはそれなりのご説明があると、それが納得出来ない場合には次期の県民会議が動くということで、その意味では重要なものであります。
(鈴木委員長)
ありがとうございます。本日の議題はこれまでですが、オブザーバーの方からコメントがあればお願いします。
(坂井オブザーバー委員)
林業の説明は非常に重要で、山がどうなっているかを環境と自然保護の観点だけで説明するのは現実的ではなく、水源地域で暮らしている方にしてみれば不十分な状態であると思いますし、神奈川県は林業をどうやっていくのかの説明が必要だと思います。例えば、今は捨てられていて引き取り手のない大径木の短弱材も中小の小売店や設計事務所からみれば有望な材です。中小企業共済会館1階には、山北町森林組合で引取り手のなかった大径木の短弱材を業者が製材して内装に活用したもので、2階の共同作業スペースは大変人気があると聞いています。製紙用のチップが不足しており、ルートがある所はどんどん捌けていきますが、丹沢のチップにはルートがなく処分費がかかりゴミになっている地域もあります。ロスや効率性の改善を図ることで、目の前にある資源を活かさないと人を活かせないし、今はその知恵が不足しているのが現実だと思います。魅力的な丹沢の財産をゴミにしているのが、今の20年間県が借り上げる制度です。
それから、D評価の問題は、5年目の段階で施策規模などの見直しの不足によって、目標過大である、または内訳の見直しが不足していることに起因するものが沢山あります。そうしたものに関して、D評価だから駄目だと言うのは評価過小と見るべきだと思います。
(鈴木委員長)
それでは、以上で本日の委員会を終了いたします。
【会議終了】
資料1 水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書(平成25年度概要版)(案)
資料3-1 次期「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」に関する意見項目(案)
資料3-2 第2期5か年計画における県民会議意見、委員意見について
参考資料1 点検結果報告書(第2期・平成25年度実績版)総括(案)部分抜粋
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。