更新日:2020年10月2日

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第36回施策調査専門委員会審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

水源環境保全・再生かながわ県民会議 第36回施策調査専門委員会

開催日時

平成28年1月27日(水曜日)14時00分から16時20分

開催場所

産業貿易センター3階 302号室

出席者【委員長・副委員長等】

鈴木 雅一【委員長】

伊集 守直、田中 充、中村 道也、吉村 千洋

次回開催予定日

未定

所属名、担当者名

水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘

電話番号 045-210-4352

掲載形式

  • 議事録

審議(会議)経過

議題1:特別対策事業の点検結果報告書(第2期・平成26年度実績版)(案)及び水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書(平成26年度概要版)(案)について

<水源環境保全課高乘副主幹から【資料1-1】から【資料1-5】までにより、自然環境保全センター石井森林再生部長から【資料1-6】により説明。>

 

(鈴木委員長)

 私が一つ気になりましたのが、資料1-3の0-19ページ、全体の総括案の末尾のアンダーラインの部分です。「平成26年度は、取組を進めており、今後も着実に進めていく必要がある。」の文章ですが、26年度実績版だから「26年度は進めており」というのは、26年度に書くのなら良いのですが、28年になって「26年度は進めていく必要がある」というのは違和感があります。ここは「今後は」とするか、「28年度以降は」というように、つまり26年度という書き方は、平成28年3月付けの文書としては考えなければいけないかなと思いました。

 それから、沢山いただいておりますご意見への対応の仕方についても、ご意見があればいただきたいと思いますがいかがでしょうか。従来からいただいているご意見に、重ねてご意見をいただくことでも結構です。

(中村委員)

 全体の総括ですが、ここに出て来る森林整備は、いわゆる私有林という木材生産を対象とした森林です。これは全体の総括というよりは、地域水源林の評価につながるものではないかと思います。全体の総括には、水源環境の視点から考えると、山の標高の高い方のブナ林再生事業であるとか、土壌保全であるとか、そういうところも含めた総括が出て来ないと、水源環境事業としての総括にならない気がします。地域水源林整備の中で、個人所有の人工林も整備して、全体として概ね計画的に進捗しているというのなら分かりますけれども、それはあくまでも12の特別対策事業の中の一つの事業の評価だと思います。もし、全体を総括するのであれば、総合的な森林管理とか、一体的にといった表現でないと、全体の総括にはならないと思います。

(鈴木委員長)

 今のご意見に関連して言えば、まず「森林関係事業については」のところは、ほぼ分量的に3行です。次の「水関係事業については」のところは11行あります。ウエイトから言えば、森林についてもうちょっと書いても良いです。ご指摘がありましたように、森林に関わる課題というのは、自然林も人工林も含み、所有形態からいくと国有林もあり、県有林もあり、個人所有の山もあって、さまざまな所でさまざまな森林が対象になっていて、そこに対する対策が打たれているとの前置きがあるはずです。そのうち、特別事業として必要だとしてピックアップされているものは、それぞれの形態の森林に対して事業が行われている。その中で私有林を重点的に整備することに関しては、例えば1番事業の水源の森林づくりのところにあるように、こうしたことが進んでいて順調と評価出来るということでしょう。全体として概ね計画通りであると言う前に、県の森林全般を見据えて作戦を立てて事業を進めているといった内容をもう少し書き込んでいただいた方が良いということでしょうか。

(中村委員)

 全体の総括の後ろの方にモニタリングの記述がありますが、むしろ初めの方に、各事業を進めていく上でいろいろなモニタリングの結果を反映させる形で事業を進めていると書き込む方が分かりやすいと思います。

(鈴木委員長)

 その点は、下から3段落目のところに「施策の点検・評価の役割を担う県民会議においては、事業の進捗状況、モニタリング調査結果、県民視点からの事業モニターや県民フォーラムの意見などにより、多面的な評価を実施した。」とあります。もしかするとこれが一番頭にあって、改めて「事業評価のための事業モニターの改善などを進めていく」というのはここにあって良いけれども、「多面的な評価を実施した」というのはこの報告書の本体なので、このような文章を全体の総括の一番頭に付けるということですね。

(中村委員)

 そのようにすれば、森林整備の中でも、例えば私有林が個別の事業として一番大きな成果を上げていると書き込む分には構いませんし、それはそれで分かりやすいと思います。

(鈴木委員長)

 この総括の記載ですと、最初の2行、3行だけを読むと、森林に関わる事業というのは私有林で重点的に行ったことしか読めなくなります。

(中村委員)

 総括の頭の文章がこれですと、木材生産のための事業のようになります。

(吉村委員)

 書き方の問題ですが、上から4段落目の後半に「なお、事業評価の仕組みが」の文章があります。その次の段落にも事業評価の話があって、さらに次の段落にも「事業評価においては」とありますが、この3段落で言っていることが、それぞれ違うことを言っているのか、それとも同じ方向で議論されていることが3段落に書かれているのか、少し分かりにくいです。

(鈴木委員長)

 文章の組み立てとして、ここの部分を改めて読むと稚拙というか重複感があります。文章上の重複感については、努力して整理していただければと思いますが、事業評価はモニタリングも含め、多くの方のいろいろな意見を集める仕掛けがあってやっているというのは、全体の総括の頭のところに置く構成にすることだと思います。

 もう一つは、これは26年度の実績版ですが、実際は27年度を含んだ議論をしてきて、29年度以降の第3期の事業の提言まで我々としては既にやって答えが出ている状態でして、時間差があるのでどの時点でもって書くのかは難しいところがありますが、その辺りを調整しながら26年度の実績はこうだったと、それはそれなりに評価出来るという形でまとめたいと思います。

 それから0-21、0-22ページの資料は、事前配布のものとどこが変更されたのでしょうか。

(水源環境保全課)

 そのページは基本的に変更ありません。その前にページを新たに差し込んだのでページ番号が後ずれしています。

(鈴木委員長)

 それから、4-1ページはどの部分が変わったのでしょうか。

(水源環境保全課)

 4-1ページの裏面の4-2ページが変わりまして、間伐材搬出の写真の上に実施場所が書いてありますが、差し替え前は県西地域や県央地域といった漠然とした地域の記載でしたので、今回、具体的な地域を記載させていただきました。

(鈴木委員長)

 資料1-3の1-9ページ、1番事業の点検結果の総括案ですが、前回の議論でモニタリングを踏まえた総括になっていないのではないかとの指摘があったことを踏まえ、今日の差し替え分ではありませんが、10月の委員会からの差分で言えば、水源林の確保・整備のところで、まず進捗率の数字を挙げて、次に「これまでのモニタリング調査結果によると、林床植生の現存量の増加が確認された。」というように、モニタリングを踏まえています。

 それから第2期からの新たな取組を書き、「新たな対策が必要である」、さらに「今後の検討も要る」という点検結果の書き方になっていまして、前の検討結果をこのように反映したということです。いくつかの事業についてはアンダーラインがあって、例えば2-8ページでは、土壌流出防止対策のところでアンダーラインがあり、「モニタリング結果によると」と書いてあります。

 事務局からはこのような形で出していただいていますが、1-9ページも2-8ページも、どちらかと言えばこれから何をすべきかという文章、「新たな対策を推進すべき」や「新たな仕組みの構築を検討すべき」ということで終わっている文章が多いのですが、評価をするということから言えば、26年度にやったことが正しかったかどうかのはっきりとした文章が、これから何が大事かという文章の前に要る気がします。

(中村委員)

 水源環境の新たな仕組みであるとか、今後の対策として何かを考えなければいけないというのは非常に大切であるとは思います。ただ、個別の事業に対して、それぞれこのような書き方をしていくのはいかがかと思います。水源環境という事業を捉えた上での、新たな仕組みの構築であれば分かるのですけれども、私有林の公的管理が終了した後は、私有林の所有者が責任を持って管理すべきものです、20年も税金を投入して森林を管理していくわけですから。

 そこの土地に関して、さらに新たに行政がお金を投入するかどうかは別としましても、そこまで踏み込んで考えていく必要があるのか一部疑問があります。ここに書くとすれば、私有林の人工林も含めて丹沢の森林を一体的に管理していくための仕組みという書き込みをするのであれば、総括として非常に良いと思いますが、この書き方ですといかがかと思います。

(鈴木委員長)

 公的管理が終了した私有林について、森林の多面的機能があるから私有林といえども公的な助成が要るというところまで、今の時点で言い切るのは未だ異論もあるかも知れないということでしょうか。

 県民会議として、そういったことを書くかどうかです。去年の中間評価報告では、公的管理が終了した私有林をその後どうするかということは大分議論をしました。20年経った後の出口に触れる内容になるので、課題を頭出しした方が良いのですが、その時に未来永劫、公的なものが前面に出てやっていきますということまで合意されているかどうかです。

(水源環境保全課)

 今ご意見のありました文章の元になる部分としては、総合評価(中間評価)の報告書は、どちらかと言うと水環境モニタリングや各事業のモニタリングの結果を踏まえた、科学的検証による評価のコメントになっています。それを踏まえた形で、同じ昨年の8月に県民会議から次期計画に関する意見書をご提出いただいておりまして、意見書の記載の中からこの部分の文章をとっています。本日お配りしている、後程ご説明します計画素案の冊子の41ページ以降に意見書が載っていまして、具体的には、例えば44ページの森林関係事業の下から二つ目の丸の部分です。

(鈴木委員長)

 「公益的機能の維持を図るため、森林管理の新たな仕組みの構築を検討すべきです。」という意見書にあり、点検結果報告書にもあるこの文章は、必ずしも公的なお金を投入し続けることだけを言っているわけではなく、それを考えましょうということが書いてあります。この文章をニュートラルに読むのか、ずっとお金を投入し続けると読むのか、読み方によって両方読めるような文章ということでしょうか。この文章があることをもって、県民会議が公的管理の終了した私有林について公的なお金を投入し続けましょうとの意思表明をしているわけでは必ずしもないということです。もっと良い書き方はあるかも知れませんが、昨年意見書を作る時に皆さんでいろいろと知恵を絞っていただき、このようになったということで、そこから文書を引いているということです。

 ただ、こういう文章が積み重なると、トータルとして何か一つの雰囲気があって気になるという委員の方はいらっしゃると思いますし、この後、県民会議でもご意見をいただくわけです。ご意見をいただく元の案としては、12事業全体の総括の書き方は少し手を入れたいと思いますが、1-9ページはこの形でお諮りすることでご了解いただけますか。

(中村委員)

 意見書に出ているこの文章を、この報告書にそのまま載せる必要があるのでしょうか。

(鈴木委員長)

 我々は昨年の意見書を作る議論の中で、既に第2期までの丸ごとの評価となるものをやっているわけです。その後で、26年度の単年度の報告書をご議論いただいているので、その意味では第2期を中間評価する方がどちらかと言えば進んでいる部分もあります。

 改めてこれを書く必要があるのかとの感想を持たれるかも知れませんが、後々振り返る時には、ホームページにある26年度の点検結果報告書をクリックして、この時に何を言っていたのかが載っていないと、後からチェックする時に26年度に何があったのか分からないので、そこは重複があっても誤りがないのであれば無理に変えることもないという感じがします。

(田中委員)

 0-19ページについてですが、県民会議の意見書の44ページの森林関係事業であれば一番上の丸の4行がほぼここに来ていますし、水関係事業であれば2-2の水関係事業の一番上の丸の文章がほぼここに来ています。県民会議の意見は8年間を俯瞰して総論としてこのような評価をしたのですが、0-19ページは26年度の実績の評価なので、短期的な事業に関する評価を書かなければいけないというのが前提でしょう。

(鈴木委員長)

 もう一つは、資料1-5の概要版の裏面の「7 県民会議による点検結果」の部分、これが1枚にまとめた上で、県民会議はこういう意見であるということが集約されているので、その意味では概要版の7の部分と、資料1-3の0-19ページの12の特別対策事業の総括とが、ある程度オーバーラップしている必要はあると思います。

 例えば0-19ページの書き出しの部分は、概要版の方ですと2つ目の丸の部分です。2つ目の丸の部分は、私有林の整備とシカ対策とか、土壌保全とか、割と柔らかく書いているだけに、この書き方の方が良い気もします。

(中村委員)

 私が言っているのは1-9ページの最後の2行のことで、最後の2行が要るのかということです。

(田中委員)

 県民会議の次期計画に関する意見書の時に、このような指摘を盛り込みました。それをここに入れておくかどうかです。

(鈴木委員長)

 いずれにしても、いろいろなお金を投入してやっていますので、水源環境税が20年経って終われば、その後どうするかの出口はどこかに作らなければいけないわけです。ここに書いてある、「その仕組みを検討すべきである」というのは、出口についての議論がそろそろ要りますよというのが、大きく言えば第2期から第3期への、この意見の背景だったように思います。このように書いてあるからといって、ずっと林業を公的なお金で支援し続けるということでなく、公益的機能に関わるところに対してサポートする仕掛けのことですので、それ程この文言で色が付いているとも思いません。

(伊集委員)

 今のご指摘で違和感を感じていらっしゃるのは、具体的にどのようなところでしょうか。

(中村委員)

 絶えず言い続けていることですが、この事業は水源環境を整備するための事業ですが、木材搬出であるとか、森林塾であるとか、あるいは地域水源林であるとか、ほとんどが一般財源でやるべき木材生産です。ちょっときつい言い方をすると、水源環境にはほとんど影響がありません。

 同じ人工林であってもダムより上流域であるとか、地域で水道事業を市町村がやっている所の周辺の人工林であるとか、そういった場所の人工林整備は私有林であっても、県が関与することに異論はありません。ところが実際に行われているところは、水源環境とは関係ないところの木材生産に相当のお金が注ぎ込まれています。そこを主目的にすることは、私は20年後もこの事業を継続してほしいと思っていますが、20年経った出口の時に、その時に木材生産や私有林の支援は、ある意味で個人財産の価値を高める取組であって、それが390万人の横浜市民はじめ、都市住民に支持されるかと考えると、危機感を持っています。

 木材生産、いわゆる林業の支援があっても良いのですが、この事業の主目的はそこではないということを書き込むためには、例えば事業に対してモニタリング結果を反映させるとか、私は渓畔林整備のように、不特定の多くの県民に理解されるような事業展開が、この事業の中で必要ではないかということです。

(伊集委員)

 そうしますと、私有林を20年が終わった時に公的に管理するのか任せるのかという議論ではなくて、そもそも私有林の管理がここに入ってくること自体、水源林の対策の観点から外してほしいということでしょうか。それは県民会議として合意されているのでしょうか。

(鈴木委員長)

 そのことについては、資料1-3の0-13ページ、「水源環境保全・再生施策とは」の4のところで、皆さん重々ご承知のことですが、「施策大綱では、水源環境保全・再生に関わる幅広い施策を、体系的に推進することとし、森林や河川、地下水の保全・再生など、施策全体は60事業で構成されているが、実行5か年計画に位置付けられている12事業は特別事業として実施する。」とあり、ここで特別事業とは何ものかということを入れたわけです。

 ただ、もう少し考えなければいけないのは、この書き方ではまだ一般的過ぎて、私有林のどの部分は一般財源でやるべきで、どの部分は水源環境税でやるべきで、どの部分はグレーでどうしたら良いか我々で考えないといけない部分だというようなことは、引き続き議論を煮詰めていかないと出口のことが心配になります。あるいは20年経った時に、今期待されているようなことも出来なくなるのではないか。

 当初、かなり議会からもいろいろなご意見があったと思いますが、森林環境にかかるお金なのか、林業にかかるお金なのかという部分が、一部の方はずっと気にして議論しているけれども、そうした議論があまり広く行われないまま進んでいるきらいはあります。その辺りを評価するところでどう書き込むのか、または今回でなくても次の機会でということで、今回はなるべくこの形でまとめていきたいと思います。

(水源環境保全課)

 1点だけよろしいでしょうか。中村委員から、1-9ページの「また、県による公的管理が終了した私有林等について」以降の記載が、人工林の木材生産林のことではないかとのご指摘がありましたけれども、実際には県による公的管理の森林には広葉樹林も結構入っておりまして、実は全体の85%と広葉樹林の方が沢山公的管理をしています。人工林は残りの部分ですし、その人工林についても、基本的には林道から遠いところは林業的には成り立たないということで混交林化していく施業をやっていますので、ここからは少し読みづらいかも知れませんけれども、事実としては、木材生産林の部分は少ない状況です。

(鈴木委員長)

 森林も時代と共に変わっているので、公的管理が終了した私有林というもののイメージが、20年前、30年前とは違うということもあります。

(水源環境保全課)

 元々、私有林の公的管理というのは、手入れがもう出来ないようなところを環境林に変えていくのが主旨です。

(鈴木委員長)

 ご説明のとおりではありますが、森林のイメージは場合によると50年前、100年前に頭に刷り込まれたもの、皆さんそれぞれの頭の中で育ってくる過程の森林のイメージが刷り込まれているので、その意味で誤解のないようにもっと分かりやすく書く必要があります。

(中村委員)

 例えば、水源の事業の土台となった優良林整備があります。当初は人工林だけが対象だったのが、見直しで広葉樹林を買い取ったり、手を入れたりするようになりました。それは分かるのですが、実際にこのように書かれると、公的管理と言っても、広葉樹の整備というのは渓畔林と同じようにほとんど確立されていません。どういった形で進めていったら良いのかは、おそらくまだ模索の段階だと思います。その中で、実際に広葉樹の整備を本当にどこまでやっているのかと言うと、私が見ている限りではめちゃくちゃに伐っているだけです。ここに書かれている経緯は私有林の人工林のことで、この中で広葉樹林が半分あるから広葉樹林に相当のお金が注ぎ込まれているかと言えば、ほとんどが人工林です。ですから、ここにこういった書き方をすると、結局いわゆる林業の救済のための水源環境整備という捉え方で、将来もお金を注ぎ込んでいくのではないかとの危機感を持っています。

(鈴木委員長)

 1-9ページの水源林の確保・整備の最後の2行の文章は、私はこれで良いと思いますが、読む方によっていろいろな受け取られ方をされるということは明瞭にあるので、もう少し表現を工夫する。それから、ご指摘のところは表現の問題というよりも、1番事業は一番対策にお金を使っていて、やっている場所は概念で言うと県によってある程度サポートしている私有林で、面積で言えば過半を広葉樹林が占めるかも知れないけれども、実際に事業費が投入されているのは、面積の広い広葉樹林ではなく半分より少ないところの人工林ではないかということで、実際にお金が沢山入っているのはどういうところかについて、誤解のないように分かりやすい説明が、さらに要るということでしょうか。

(中村委員)

 そうですね。

(鈴木委員長)

 そうすると、まだここの書き方は舌足らずかも知れません。ただ、この報告書は例年出ているものの続きでもあるし、5年をまとめた意見書と大きく違うものは出ないので、今年の報告書はこの書き方で間違いはないということでご了解をいただきたいと思います。

 ただ、不十分だということは十分認識していただき、他の委員から違う局面について出る意見でもよくありますが、人工林が中心だという時でも対象としている概念は広葉樹林を含んでいると行政的には言われますが、実際に事業が行われているのは限定された人工林だというのも実態としてあると思いますし、この議論は折に触れてあるし、これからも出て来ると思います。そうは言いながら、そうでないお考えの委員もいらっしゃるので、ここの文言についてはご了解をいただきたいと思います。

 それから水関係の事業について、ご意見があればお願いいたします。かなり時間も経過しておりまして、改めて県民会議委員に意見照会いたしますので、その際に出していただくことでも結構です。

 もう一つ、渓畔林整備事業について改めてご説明いただいた資料1-6について、ご意見、コメント等はありますか。

 私からは、一つは、第3期の方向性のところについては、県の素案の中では1番事業の中でやっていくという提案が出ているので、それについての言及が資料1-6の中になかったのが少し気になりました。

 それから、第2期の取り組みの末尾に「渓畔林整備の手引きの作成を行った」と過去形で書いてあるけれども、28年度には作るとのご説明でしたので、過去形と現在進行形の推移が気になりました。

(中村委員)

 私の記憶が曖昧なのかも知れませんが、広葉樹の整備や渓畔林の整備は、水源とは違うところでやっていたのではないでしょうか。

(鈴木委員長)

 最初は、丹沢大山の自然再生に関わってやっていたものです。

(中村委員)

 そうですね、後から水源事業に関わるものとして入ってきたということです。この事業の説明がなかったと言っても、そのような経緯があるとの説明が必要ではないでしょうか。

(鈴木委員長)

 渓畔林や広葉樹の整備が十分でないとの話は、遡ればもっとずっと前の1970年代とか80年代もあったはずです。ただ、そこから書くのか、水源環境保全・再生の特別税の事業として書くのかということで、もっと前の時代は切ってあるのかも知れません。

(中村委員)

 渓畔林整備をこの事業に入れ込んだのは、水源環境施策に必要だから入れ込んだのだと思います。それを次期から水源の森林づくりの中に組み込んでしまうのは、やってみたけれどもそれ程価値がないとの判断なのでしょうか。

(水源環境保全課)

 検討した経緯からお話しますと、これまでの2期8年間、渓畔林整備事業として県有林の中の沢の重点管理区域で行ってまいりました。所期の一定程度の段階までの整備のやり方について目途が付いてきましたので、手引きという形で28年度までの間でまとめていくことを考えております。ある程度目星が付いてきたものを、私有林と地域水源林で、渓畔林として整備が可能なところがあれば、新しく分かってきた知見をもとに整備を進めていただく形で今後は進めていきたいということです。これまで限定的に、試行錯誤しながら進めてきた成果がある程度分かってきたので、より幅広く1番事業の中で、また5番事業の中でも取り組んでいきます。

 また、これまで県有林の中で整備をしてきた所についても、様子を見ながら整備の必要な状況が出てくれば整備をしていきます。

(鈴木委員長)

 元々、丹沢大山の再生の中では、高標高域の自然林とか人工林とか、集落に近い所とか、それごとに対策をしています。その中で渓流環境というカテゴリーがあって、そこは水生生物とか渓流の周りの生物がありますが、森林としては渓畔林がそうした概念の中に入るという形で、生態系保全の理論の中で重要性があるといった背景があったと思います。

 ただし、実際に事業を行ってきた経過を見ると、3番事業は他のメニューに比べると予算の桁が一桁小さいです。それは行政のバランスからすれば、12事業の中の1つという議論はされるのかなというのは、素人ながら推し量るわけですけれども、概念的な重要性と、事業の柱を立てていく時の区割りというところに、渓畔林事業は元々あったのかなということです。

 1番事業の中に入ったからといって軽視するものではないとご説明いただくのであれば、私としては何ら軽視したり、無視したりするものではないと思いますけれども、むしろ大事なのは、ガイドラインがきちんと出来て、これで一般化していくので看板を下ろしたとの方向だとすると、本当に技術体系が出来たのか、マニュアルが出来たのかという辺りが課題にはなります。

(森林再生課)

 委員長からお話のとおり、スタートは丹沢大山の渓流域の整備の中でそうした理念があって、それは丹沢大山の地域だけでなく、水源地域全体で渓流域は重要だということで、私有林でもそうした整備が必要となります。ただ、技術が確立されていない中で、平成19年度に渓畔林整備事業を作った当初からの考え方として、まず県有林で模範的なものをやってみて、最終的には模範でやったものの結果を私有林に引き継いでいこうということでした。

 当初、第1期5年間のみの限定事業として進めましたが、模範林として実際にやろうとしたところ、全国的に事例がない中で模範となる整備がなかなか進まないということでもう1期延ばして、林として見せるものが出来なくても、渓畔林を整備する上で配慮しなければならないことを少なくとも手引きとして取りまとめる。それを私有林や水源の事業の中で渓流域について配慮してきちんとやるべきものとして、つなげていくための事業として位置付けています。つなげるものを20年間やっていたら全体事業が終わってしまいますので、どこかで区切ってやらなければならない中で、手引きとして整備して、水源林なり地域水源林の中で上手くその内容を活かした整備を進めていきたいということで位置付けています。

(中村委員)

 渓畔林の再生は、丹沢に来る普通の市民の方にとっては、スギやヒノキから広葉樹になるというのは非常に分かりやすい事業で、殊に水源環境に関してはそうです。生物の多様性などという難しいことを言わなくても、鳥であるとか、川の中の生き物であるとか、そういうものに直接つながっていく、命の循環という意味では渓流沿いの森というのは非常に大事です。高知県に行くと、川沿いを歩いても鳥の姿は見ませんが、それは全部スギの木だからです。たしかに予算が少ないというのはありますが、今までの渓畔林に対する予算の出し方、あるいは行政の取組は猫の額みたいなモデル事業です。けれども、例えば30年前に林道のガードレールから下の河川敷まで植えてしまったスギの木を、広葉樹に変えていこうという事業の組み立て方をすれば、予算は倍になります。倍では済まないかも知れません。

 金額のことを言うわけではありませんが、事業の中身というか、質を本当に県民に理解してもらうのであれば、水源の森林整備の中には組み込めません。組み込んだとしても、例えば水源の森林の整備としてこの事業にはこの予算だと言った時に、その予算の中に渓畔林ではこういう取組をしてくださいと言って、別予算を出すのであれば事業体はやりますが、その中にたまたま渓流沿いがあるから渓畔林の事業を手引きに沿ってやってくれと言ったら、やる事業体はないのではないでしょうか。

(鈴木委員長)

 例えば0-20ページに予算執行状況の内訳がありまして、水源の森林づくり事業には水源林の確保、水源林の整備、森林塾の実施とあります。もし、ここに渓畔林が入るのであれば、森林塾の実施と同じ水準で、少なくとも渓畔林に関わる事業をこの中に項目立てして、予算執行状況の内訳が見えるように、つまりミシン目を入れた状態でこれからもやっていただきたいということを、今日の施策調査専門委員会でそうした意見が出たことを県に踏まえていただくことかと思います。

 つまり、1番事業の中に入ったとして、渓畔林の文字がどこにも見えなくなってしまうのは、渓畔林事業の大切さであるとか、広葉樹をさわる事業としては県民が多く期待するところがあって、これからもあるので、0-20ページの表の中で、1番事業の中の中項目で柱が立つような扱いをしていただきたいとの議論が出たということで、先に進ませていただきます。その前に、概要版について何かあればお願いします。

(田中委員)

 渓畔林のことは今のご指摘の整理でよいと思います。ただ、第3期5か年計画をどう作るか、そこにどう整理するかという話で、渓畔林事業を今までやってきて事業の手引きが出来たので柱を下ろしましたということだけではなくて、いろいろなお考えがあると思います。素案冊子7ページに特別対策事業の組み替えの記載がありますので、この書き方で良いのかどうかは、少し検討していただければと思います。「整備手法を確立したことから水源の森林事業に展開していきます」とありますが、それで十分かどうかです。

 それから2点目は、公的管理の話は、昨年8月に県民会議として取りまとめた意見書の中に明確に書いてあります。参考までに、たしか渓畔林のことはこの段階であまり触れていなかったと思いますので、渓畔林整備のことは県のお考えで書かれていると理解しますが、公的管理の話は県民会議の中で議論して明確に項目を出したということです。

 3点目は、県民会議の出した意見を、平成26年度の点検結果報告書にいかに取りまとめるかの話があります。8月の県民会議意見書は過去8年間の実績を総括したものです。平成26年度の1年間の振り返りの点検結果報告書の総括コメントとして、それと同じ内容にして良いのかどうか。もちろん、同じ評価の方向性なので一部を踏襲することはありますが、概要版と点検結果報告書は平仄が合っているので内容が類似して全然構わないのですが、県民会議意見がそのまま点検報告書の総括コメントに載って良いのかどうかは要検討です。こちらは1年間の評価なので、より具体的な指摘をするのが良いと思います。

(鈴木委員長)

 単年度のことで順調だった、概ね出来たとの評価、あるいはこういう課題があったということは、しっかり書くということでチェックしたいと思います。印象としては、これから何をする必要があるという8年間を見た時のこれからの必要性みたいなことが、割と沢山書き込まれています。

 それでは、次の議題2に進みたいと思います。

 

議題2:第3期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画(素案)に関する意見について

<水源環境保全課斎藤水源環境保全企画担当課長から、【資料2-1】から【資料2-3】まで及び第3期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画(素案)冊子により、計画(素案)の概要及び計画(素案)に関する意見について説明。>


(中村委員)

 資料1-6に「渓畔林の整備の第一段階については確立された」とありますが、この第一段階とはどのようなものですか。

(自然環境保全センター)

 10年間の森林整備で行ってきたことの効果があったということで、具体的に言いますと、植生保護柵なり、土壌保全のための丸太筋工といったものをどういった形で配置すれば良いかということで、それをやってみたところ効果が上がっていますので、それを普及していきたいということです。

(中村委員)

 渓畔林事業を反映させる事業に、水源の森林と地域水源林とありますが、土壌保全の事業には入れ込めないのでしょうか。と言いますのは、20年ぐらい前に、県有林で境沢の終点から長尾根に行く途中で、当時出張所にいた職員が設計した土壌保全対策は非常に良く、当時の先進的な取組だったと思います。これはすごいなと思ったのですが、わずか2年ぐらい経つと全然引き継がれていません。そういうことを考えますと、土木的な考え方を土壌保全に持ってくるのは良いと思いますが、それだけではなくて、地形に合ったきめ細かな対策が必要だと思います。その時に折角、先進事例があるのですから取り入れていただきたいと思います。

 それから、県民会議が主催する県民フォーラムは、参加する方がほとんど同じです。これだけPRしているのに職員も入れて120人足らずというのは、穿った見方をすると本当に県民に知らせたいのかなと思います。昨年、丹沢自然再生委員会で開いたフォーラムでは、申し込みを断るぐらい参加者が来ています。本当に水源環境の事業を県民に知らせたいのであれば、PRの仕方をもう少し考えた方が良いと思います。結局、同じような参加者がいて、顔を見ると森林インストラクターの方であるとか、県民会議のメンバーであるとかで、一般の市民の方がどれだけいるのかと思います。これでは県民の意見が、ほとんどこの事業に反映されないのではないかと心配します。フォーラムのメニューであるとか、実際にどのような事業をしているのかということを、県の担当職員から話を聞く方が興味を持つ方が沢山出て来ると思います。

(吉村委員)

 資料2-3の3ページに、第2期5か年計画の全体像がありまして、この第3期のイメージがおそらくこれから作られると思います。各事業の最終目的に対する貢献度というのは、第2期の場合は10番事業、11番事業、12番事業で検証するとしています。水環境モニタリングはこれからも続くと思いますが、対象に森林が入っていますので、水源環境モニタリングの名称に出来れば良いと思います。

 その時に、各事業の事業評価はそれぞれでやると思いますが、最終目的に対する貢献度の視点がどこかに入っているとより良いと思います。土砂侵食ですとか、土壌保全対策が重点化されて一つの事業名として入りましたけれども、土壌保全と言うのは生態系保全の面でも効果はありますので、森林保全と土木的工事の両者の結果、山が保全されることになりますので、各事業の評価だけではなくて、最終目的に対してそれぞれの事業がどのように貢献したかが見えるような仕組みがあると良いです。どのようにやれば良いかの具体的な説明は出来ませんが、その辺の視点を意識しながら具体化出来れば良いと思います。

(鈴木委員長)

 ありがとうございます。吉村委員には、この前のリラホールのフォーラムでご活躍いただきましたが、その辺りのご感想はいかがでしょうか。

(吉村委員)

 フォーラムに関しては、意外と参加者からの質問が多くて、上流の森林域だけではなくて、下流の河川についても関心が高いと感じました。沿岸域のシジミの話を後から聞いてくださった方もいましたし、下流域の河畔植生のことを気にされている方もいまして、上流から下流までのつながりも県としては重要であるとの印象を持ちました。

(田中委員)

 資料1-6についてです。もし、次の県民会議にこの資料を出される場合には、第3期の方向性という枠がありますが、渓畔林事業については水源林事業に統合していく、その中で確立した手法を展開していくということで、事業そのものをやめるのではなくて、事業の場所、位置付けを変える趣旨だと理解しました。そのことを分かりやすく書いてはどうでしょうか、というのが1点目です。

 2点目は、計画素案小冊子7ページに、渓畔林を独立させた事業ではなく、水源林事業の中に統合して展開させていくと書かれてあります。もし、評価をするのであれば、そのような評価と読めるように、点検結果報告書3-7ページに書いてある内容について、表現や意図が連動するように書くとよろしいかと思います。そのような総括があったので、それを踏まえて県として受け止めたということだと思います。

 3点目は、従来何ヘクタールとやってきた渓畔林事業を水源林事業に組み込むとしたら、面積的にどのぐらいを組み込むのか。つまり、面として量的に何ヘクタール整備するうち、渓畔林事業については何ヘクタール相当分がこの中に入っているという前後関係が見えていないと、吸収したことが見えないので、この観点からも整理した方が良いと思います。

 水源林事業の中に①の水源林の確保、②の整備、③のかながわ森林塾と柱があるところに、先程委員長から渓畔林事業について④の柱を置けないかとの指摘がありまして、④と置ければベストです。②の水源林整備のところで実は吸収しているということであれば、量的な平仄が合うように整理しておくと良いと思います。

(鈴木委員長)

 渓畔林をどうするかのそのものは水源林事業に含まれるとして、渓畔林事業が持っていた広葉樹の整備について、まだ上手いやり方が確定はしていないけれども、これからもずっと広葉樹をどうしていくかを考えてやっていくという部分が、外から見えなくなっています。水源林事業の中に渓畔林事業が入ったとしても、広葉樹の施業というか、自然林の整備が水源対策としてあって、それを一般会計事業で考えるのかこの事業でやるのかは別として、神奈川県は広葉樹の整備をしっかり考えますよ、これから方向を立ち上げますよということが、渓畔林事業があった時にはそこにあったように思いますが、それが消えるとどこに行くのか若干心配になることがありますので、お考えいただけるとよろしいかと思います。

(水源環境保全課)

 広葉樹については、従前から水源の森林づくり事業の整備の中で、人工林も広葉樹林も対象として整備を行っていまして、委員ご指摘のとおり、技術的にはなかなか確立していない部分もありますが、広葉樹林の整備の手引きを作り、見直しも行いながら自然環境保全センターと協力しながら進めています。渓畔林整備事業の中で広葉樹林の対策をしていたということでは全くありませんので、その点だけはご理解いただきますようお願いします。

(鈴木委員長)

 渓畔林の事業を8年間やってきた中で、モデル的にやったところと事業としてやったところがあると思います。そこのモニタリングの結果がどうなっていくのか、渓畔林事業という看板はなくなっても、やったことに対してどうなったのかというモニタリングは、将来にすごく大事なことだと思いますので、事業の看板がなくなったからといってモニタリングの項目から消えないようにしていただきたいと思います。

(水源環境保全課)

 水源税の事業の中で、これまでに整備してきた場所のモニタリングは継続していく予定です。

(鈴木委員長)

 出来ればそのことが分かるように明示していただきたいと思います。

 ほかに最後にもう一言という方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。それでは、本日は時間を超過しましたが熱心にご議論いただき、ありがとうございました。これで専門委員会を終了いたします。

【会議終了】

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会議資料

次第

資料1-1 点検結果報告書の「総括」作成の流れについて

資料1-2 点検結果報告書-(第2期・平成26年度実績版)(案)に関する意見について

資料1-3 かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題 -水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書-(第2期・平成26年度実績版)(案)(その1)

資料1-3 かながわ水源環境保全・再生の取組の現状と課題 -水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書-(第2期・平成26年度実績版)(案)(その2)

資料1-4 点検結果報告書(第2期・平成26年度実績版)総括(案)部分抜粋

資料1-5 水源環境保全税による特別対策事業の点検結果報告書(平成26年度概要版)(案)

資料1-6 渓畔林整備事業の概要~これまでの取組と今後の方向性~

資料2-1 第3期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画(素案)に関する意見

資料2-2 第27回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム結果概要

資料2-3 第3期かながわ水源環境保全・再生「実行5か年計画(素案)」

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