更新日:2020年10月2日

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第46回施策調査専門委員会審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

水源環境保全・再生かながわ県民会議 第46回施策調査専門委員会

開催日時

平成31年1月30日(水曜日)17時35分から20時00分

開催場所

横浜市開港記念会館2階 7号室

出席者【委員長・副委員長等】

吉村 千洋【委員長】、太田 隆之、大沼 あゆみ、岡田 久子、鈴木 雅一、羽澄 俊裕

次回開催予定日

未定

所属名、担当者名

水源環境保全課、 田中

掲載形式

  • 議事録

議事概要とした理由

審議(会議)経過

(吉村委員長)
 忙しい時期にお集まりいただき、誠にありがとうございます。本日の議事次第は6点準備しております。特に1つ目の中間評価に向けた指標検討が重要になります。基本的には本日、この会議で結論を出して、来年度から評価方法の適用をするというかたちです。重要な議題ということで、会場も歴史を感じる場所ですが、十分議論ができるように、時間に若干余裕をもって2時間半とってあります。
 それでは、資料1-1をご覧ください。前回まで議論していただいている内容で、来年5月に作成を予定している中間評価報告書のための検討事項となります。内容としましては、施策の効果を評価するための指標、評価軸を検討してきています。前回の委員会で森と水の指標案が9つ原案として示されており、議論したところです。
 その際、森林のほうは指標案が1つのみで、水の指標案に比べると若干ウェイトが足りないのではないかという議論がありました。それから、2次的アウトカムの検証をするために実施している対照流域法調査などのモニタリング調査結果から県内の森林全体に外挿した数値を試算できないかという点。また、指標案については、準ずる指標、つまり参考指標というかたちで、メインになる指標とは重要度を違う形で設定する方法もある、という意見をいただきました。
 それらを調整して、まとめるかたちで事務局にご苦労いただき、私も個別に議論をしてきています。今回は修正案を資料1-1として準備しておりますので、その内容について議論していきたいと思います。なお、本日の議論の内容は、3月に行う県民会議で報告し、そこで確定させる予定で考えております。それでは、事務局から原案に関してご説明をお願いいたします。

議題1:施策の中間評価に向けた指標検討について

(事務局、県自然環境保全センターより資料1-1から1-3、参考資料1により説明)

(吉村委員長)
 ありがとうございました。資料1-1に指標案がまとめられておりますが、本日は主に森林の指標案について御確認いただきたいと思います。原案としては、メインの指標案が2つ、参考指標案が2つで、合わせて4つとなっており、全体としては12の指標が原案となっています。冒頭にも申し上げましたが、この会議で方向性を決めて、その原案を3月の県民会議に報告するということとなっております。まず、森林の4つの指標案がこれで良いか、修正案があれば、よろしくお願い致します。
(鈴木委員)
 森林の指標を、本格的な指標と参考指標とに分けて4つくらい出して、他の指標と同列にするには少し検討の余地がある指標を参考指標としたのは適切だという印象である。参考指標のAとBは、参考指標にする理由が違うような気がします。同じ理由で参考指標にしたのではなく、参考指標Bは検討途上という理由で参考指標としたのに対して、参考指標Aは、森の管理からするとシカは単独では任意的なので今のところ参考指標としているなど、皆さんが納得できるように説明したほうが良いという点が1つ。もう1点気になったのは、参考資料1の2枚目です。裏面の水の方はいくつかの指標がそれぞれ独立しています。ただ、森林の指標は(1)と(2)とが入子関係になっています。それで外側にある指標案(2)が全体を覆っている感じですが、私のイメージだと指標案(2)は人工林を対象としている指標なので、それが全体を覆っていたら、天然林に関する評価はどうなのか疑問に思いました。
 指標案(2)が全体を覆っているのが解せません。指標案(2)が四角く囲った外に自然林があるのかという話になりますし、指標案(1)は人工林しか見ていなかったのかという話にもなります。シカの植生保護柵の話は、人工林も自然林も両方を対象とした事業があるはずです。この表が理解できません。資料1-2の指標案(1)と(2)の説明を受けたときに、指標案(2)は人工林に限った話なので良いですが、指標案(1)は人工林が対象ならば、人工林が対象だと言わなければいけません。もう1つは、指標案(1)と(2)を合わせて評価するという可能性も出てきます。その際、指標案(1)のランクがABCDE評価で、指標案(2)もABCD評価だと、わかりにくいので、どちらかをαβ評価もしくはアイウエオ評価などに変えて、ランクの呼称を分けておいたほうが、組合せで考えたときに良いと思います。
(吉村委員長)
 私も指標案(2)の(人工林)というのが気になっていました。参考資料1の2枚目の赤線での囲みについて、いま鈴木委員からご説明があったような理解でよろしいでしょうか。指標案(2)は人工林を対象に計算される割合で、その上の矢印は大きなところにかかっていますので、すべて人工林が対象ということでしょうか、それとも天然林も含めて数値が出てくるのでしょうか、教えてください。指標案(1)は天然林も含むのでしょうか。

(事務局)
 指標案(1)は天然林も含んでいます。


(吉村委員長)
 あとは、参考指標案A、Bも、この説明を聞いている限り、人工林に限定しているわけではなさそうですね。そのあたりの対象とする森林について、もう少し明確になっているほうが良いと思いました。考え方によっては、手入れの仕方と下草の植被率が関係していると思います。評価の仕方によっては、指標案(1)と指標案(2)が同じような結果、たとえば相関が高いような結果で出てくることもあるかと思います。指標案(1)と指標案(2)は別の観点から評価しているという、仕分けはどのようになっていますか。
(鈴木委員)
 指標案(1)は、森林整備の縦の列に書いてあるので、土壌流出防止対策や植生保護策の設置、シカの管理捕獲とは別の話だと言っているように見えます。指標案(1)は自然林も含んだ概念だと私は思います。そうすると、植被率の低下は森林整備の遅れで悪くなっているのか、シカで悪くなっているのか、あるいは整備したから回復したのか、丸太柵で回復したのか知りたい。そのあたりが見えるように、今調査していることの位置づけがどうなのかということと、この画の描き方が実際に評価したいことと合っているかどうか。画の描き方が不十分であれば画を描き直せば良いのか、それとも概念的にもう少し整理したほうが良いのか、という2つの問題点があるような気がします。

(吉村委員長)
 見る人によって、赤線と矢印の解釈が違うという点があります。この指標の構成に関しては、それぞれの位置づけが、ある程度はっきりしていると考えて良いのでしょうか。
(事務局)
 まず画のほうですが、解釈に違いが生じないよう修正したいと思います。
(事務局)
 指標案(1)が外枠のイメージです。
(鈴木委員)
 資料1-2にあるようなものが、外枠に対応するのかが問題になってきます。「n=134」となっていますが、そのうちの自然林がいくつで、人工林がいくつなのかというあたりが。調べれば分かるのかと思いますが。また、指標を決めたら、データがすぐ出てきてコメントがつくわけですから、コメントを書くときの苦労も考えたい。
(吉村委員長)
 指標案(2)の手入れが行われている森林(人工林)の、代表的で重要な「手入れ」とは具体的にはどのような対策をとられているのでしょうか。
(事務局)
 人工林の場合、手入れは間伐や枝打ちがメインとなります。
(鈴木委員)
 手入れというのは、具体的には間伐、枝打ちだと思いますが、事業的に言えば、水源林の確保というのは手入れに入らないのでしょうか。水源林を確保すること自身が、公的な目が届くことで、事業をしてどうかという以前に面積が確保されていくことが、森林の保全につながっているという従来からの考え方もあります。それは指標案(2)には含まれないのでしょうか。
(事務局)
 確保したかでなく、整備を行ったかということは含まれます。水源林以外でも、整備をしたところは含まれます。
(鈴木委員)
 1次的アウトカムで何ヘクタール間伐したかという数値が出てくるが、それと、ここで指標としているものと、何が違うのでしょうか。
(自然環境保全センター)

 整備をした実績の数値は動かないが、整備した森林というのは、年数が経てば枝が伸びて森林内が暗くなります。この調査は、ある時点での森林の状態をランク付けしているものです。整備量はアウトプットで、状態はアウトカムなので、1次的アウトカムとして森林の状態がどのように変わったかというのを指標化することになり、現時点での1次的アウトカムとして、森林の状態の変化を示したものになります。
 さらに、参考指標案Bの土壌流出のランク別面積割合というのは2次的アウトカムの機能として整理しています。参考指標案Aのシカの生息状況の変化というのは、シカの捕獲数がアウトプットになっており、それによってシカの密度が変化したことが1次的アウトカムの参考指標となります。
 今の段階では1次的アウトカムと2次的アウトカムとが見えているものが、あったりなかったりするので、このように整理にしております。本当はこの画のとおりに、きれいに揃っていれば良いのですが、まだ模索段階でもあります。
(鈴木委員)
 例えば、この指標案(2)が、手入れをしたところだけで見れば、1次的アウトカムであって、手入れしていないところ含めて県下全域を評価するということですから、事業をしたところに限定していないので、もう少し広い1.5次的アウトカムというような意味になるわけですね。
(吉村委員長)
 前回、指標案を増やしたほうが良いという話を考えていただいたところですが、メインの指標と参考指標の区別に関してはいかがでしょうか。
(自然環境保全課)
 シカの捕獲数はアウトプットになります。生息密度については、アウトカムの指標として使う可能性はあるのですが、現時点でシカと森林の関係で、植生が豊かであればシカは多く生息でき、植生が貧弱になれば限りなくシカが生息できる数は少なくなります。森林の状態とシカの生息密度は釣合関係にある。シカの多い状態では、シカを減らすことが目標の様に見えるが、ある程度のシカを許容して、山の中で生息させる状態にしないといけない。どこで釣合うのか、やってみないと分からないが、生息密度は大事な指標なので、追いかけていかないといけない。ただ「こうなれば良い」という目標を立てた指標管理には向かないので、こちらは参考指標としています。
(吉村委員長)
 必ずしも、シカの生息密度が小さければ良い、大きければ良いという単純な話ではないということですね。
(自然環境保全課)
 野生動物の保護管理の観点からすれば、生態系への影響だとか、被害がなければ野生動物は、多ければ多いほど良い。絶滅の可能性がないほうが良い。ただ、そういうわけにはいかないという話です。

(鈴木委員)
 資料1-2の3ページ目に見本の分布図がありますが、これは神奈川県の西部だけの画で、神奈川県の全域をカバーした画を作るのは難しいのでしょうか。この地図を見ても、どこがどこだかよくわからないので、神奈川県全体の地図の中に描いていただけると、西のほうだと分かりやすい。それから、区画番号が1番から45番まで振ってありますが、これが密度に見えてしまうので、数字は邪魔だと思います。また、今おっしゃったように、何頭が適正なのかについてですが、緑色はなんとなく良く見えてしまうが、20頭いても、緑色になっています。限界が決め難いとはおっしゃりますが、10頭以上いるところは黄色にするだとかしたほうが良い。
(自然環境保全課)
 この画は自然環境保全センターで、任意に選んだものです。管理計画からの単なる引用であって、指標としてもし仮にこれを活用するとしたら、毎年調査するものですし、これをどう示すか、この地図をぱっと見ても何の意味だかわからないので、ランクに分けたグラフの動きにするだとか、地図の上にメッシュを被せたままでなく、きちんとお示しします。また数字ですが、これはシカの頭数ではなくて、10粒以上の糞塊を、山を歩いたときに見つけた数です。それを踏査したキロ数で割った糞塊の密度なので、そういう説明をしなければいけません。また、地図の上で並べて見せるのは適さない方法で、その年の気候によって、糞塊の消失速度が速くなったり、大雨で流れてしまったり、単純に1つのメッシュが変動しているか、色の変化だけでは評価できないものがあります。他の野生動物に絡む指標と同じで、長期に並べてみて、トレンドで見るしかありません。そのあたりも、きちんと説明したうえで参考指標として使う必要があると思います。
 今回お示しした図は、こういう調査があるという例示であって、これがそのまま指標として提示されるわけではありません。
(羽澄委員)
 ご説明はよく理解できます。お話のとおりで、これは11月に調査したときの糞留の密度の分布であって、その時間断面でのシカの密度の濃淡です。本来、シカは雪がどかっと降れば下へ降りて、夏になればあがってくる。密度の濃淡は季節によっても年によっても全く違うものになります。普通の人はこの図をそのようには理解しないので、誤解を生むかもしれません。
 一方で全体の個体数の推定グラフを描いたりされているようですが、そうしたグラフで全体が下がってきているというような見せ方の方が良いのではないでしょうか。
(自然環境保全センター)
 2017年度時点のベイズ推定による個体数変化の結果を載せようかという話もありましたが、そちらも誤解が生じる恐れがありますし、空間的に全体としてどうなのかという意見もありましたので、一先ずこういうものもあることを見せましょうということで、本日提示しております。最終的にこれで提示していくということではありません。
(羽澄委員)
 参考指標という考え方に私は賛成です。
 次に参考資料1の参考指標案(2)を囲みの外にする作図をされた方の頭の中では、手入れが行われているという行為とは、図の1番上にある森林整備の間伐、枝打ちであり、土壌流出防止対策であり、植生保護柵の設置やシカの管理捕獲であるので、手入れの行われている森林の割合という際に、人工林ということをイメージされなかったのではないでしょうか。
(事務局)
 そういうわけではありません。先程ご指摘頂いた意見もありますので、こちらの資料につきましては修正したいと考えております。
(羽澄委員)
 それから資料1-3の参考指標Bはモデルで出すということですが、モデルの組み立てがまだ十分なものではないからということで、参考指標なのでしょうか。
(自然環境保全センター)
 現地調査も手続きも進めている途上で、色々なものも出てきて、現場の基礎データもまだ十分にそろっていない段階ですが、こういった計算もできるということをお示ししたものです。パラメーターの関係は最新のデータも含めて、もう少し詰める必要があると思っております。
(羽澄委員)
 将来的には何年くらい先になると、ちゃんとしたモデルになるのでしょうか。
(自然環境保全センター)
 それは道具なので、その時点で出来る状態で使っていく。使わないと意味がないと考えています。
(羽澄委員)
 モデルが変わっていったときに、画も変わるということですね。
(自然環境保全センター)
 大きくは変わらないと思います。教科書的な数値を使った計算から、パラメーターが現場に近いものに変わって、精度が上がっていくものと考えます。モデル自体には、いくつかの仮定が含まれているものですので、誤差を小さくする作業を今行っており、この試算では平成27年度時点で得られた知見に基づいたモデルを使っています。
(羽澄委員)
 わかりました。
(鈴木委員)
 資料1-1にある流れ図の右のほうに現時点のアウトカムの達成度を示す指標案という話があります。右のほうにある話なので、大綱が示している20年間の終わりのところで評価するイメージで進んできたと思いますが、第3期の半ばか、そのちょっと手前くらいで、これを示すという話になっておりますが、まだ時間が足りないという意味で、モデルがもっと良くなるですとか、不十分だというよりも、当初の計画に比べて早い時点で何かしらの評価を出さなければいけないことに関する時間的な不十分さがあるのかと思います。
 第3期の終わりや、第4期の半ばで、20年間の最終報告を準備する段階では、最終指標になってもらわないといけませんが、現時点では、ふわっとしたところがあっても仕方ないかと思います。気になるのは、資料1-3のシナリオというところです。Cに「理想」と書いてあり、Dが「放置」と書かれています。放置しても、そんなに破局的なところまでいかないと思います。森林はかなりの自然回復力を持っているので、放置で真っ赤になるというシナリオは単純すぎるかとも思いました。温暖化の予測などでも、他にもっと慎重に使っている言葉があるのではないでしょうか。「理想」と「放置」というあたりの言葉遣いが気になりました。
(吉村委員長)
 私もカッコの中の文言が気になりました。「理想」と書いてあると、行政としてこれを求めていると思う人もいるかもしれません。宮ヶ瀬の上流だったら良いかもしれないですが、それ以外の流域全域で再生したものだと誤解を生みかねないと思います。
(鈴木委員)
 委員長が冒頭で本日合意して決めると言いましたが、グレーの部分も残しておいたほうが良いのではないでしょうか。最小限、県のほうが来年度の事業計画を立てるのに必要なところまでは、この委員会で決めたほうが良いと思いますが、あまり細かなところまで決めてしまうと、他の方々から違う視点でコメントが出るかもしれません。委員長に一任する部分や、決める部分にまだ若干の見直しがあると一言入れておいてはどうでしょうか。
(吉村委員長)
 参考指標に関しては情報をいただいていますが、今日の議論の方向性次第で、その後具体化する作業があり、また、その後で議論していく必要があると思います。他になにかございますか。
(岡田委員)
 参考指標案A、Bですが、最終的にはちゃんとした指標案として格上げされるイメージですか。
(吉村委員長)
 中間評価の段階では参考指標でありますが、その後の進捗によっては最終的に大綱期間20年の最後の評価の段階で、メインの指標になる可能性はあるということでよろしいでしょうか。
(自然環境保全課)
 参考指標案Aにつきましては、目標立てした指標には適さない点と、参考指標とした性格が少し違うため、そういう意味ではメインの指標になるのは難しいかもしれません。
(岡田委員)
 分かりました。ただ、基礎データとしては非常に重要だと思います。

(鈴木委員)
 糞塊法の数字だと厳しいかもしれませんが、シカについての問題が大きくあるのか、中くらいなのか、軽微なのか、全くないかという点について、植被率の指標のABCDEのようなランクに、最終的に落とし込んではどうでしょうか。シカはシカ計画で厳密な評価をしているから、そちらには手を出せないということでしょうか。
(自然環境保全課)
 指標案(1)は山全体を評価するうえで、共通性がある指標でございます。シカ計画でも、シカの頭数が何頭という目標立てをしていなくて、植被率を指標にしています。シカの捕獲数ですとか、何頭いるかなどの見積りは、植被率による指標の補佐的な役割をしています。そうした意味でも、水源の保全・再生事業としての植生の回復状況とシカの生息状況は、メイン指標と参考データという位置づけにあります。
(鈴木委員)
 調査サイド、研究サイドからすると、数値や評価は厳格でなくてはなりません。特に環境影響評価は、きちんとやらなければいけない。その一方で、私はここでいっている指標は、行政からさらに事業をやるのか、やらないのかという、行政的な評価の指標だと思います。いわゆる環境影響評価をするときの非常に厳密なものと、行政として事業の執行が妥当かどうかということを高度に評価するときの指標は、もしかすると違うのかなという気もします。つまりサイエンスからは偏差が大きすぎて答えが言えなくても、行政としてはこれは良い、これはダメと言えるのではないでしょうか。
(自然環境保全課)
 そうです。これは良い、これはダメというのを、シカ管理の場合は、山の高いところ、中腹などに分けて、基本的に山の中は植生で見ることにしています。
(鈴木委員)
 分かりました。もう1つ意見があります。この評価でいうところの指標は、どちらかというと、行政的な意味合いだと思います。あるいは、行政的な意味合いと、サイエンス・テクノロジーの意味合いとの比率は0対100ではないと思いました。そのあたりの議論がいよいよやって来たと今聞いていて思いました。それゆえに、指標を決めるのは時間に追い立てられて決めるよりも、広くご意見を伺って最終的に決めることが重要だと思いました。
(吉村委員長)
 片方では、シンプルな1つの数字として出たほうが分かりやすいが、サイエンスから見たら、それにどの程度の信頼性があって意味があるかについて、上手くバランスをとらなければいけないということですね。必ずしも対立ではないような気もします。それ以外に何かありますか。
(岡田委員)
 資料1-3のシナリオ(B)の平成30年度時点が、今「要解析」ですが、(A)よりも(C)に近い形になりそうですか。
(自然環境保全センター)
 植被率ですとか他の整備後の植生関係のデータの精度が良くなってきていますので、当然そのようになるはずです。
(羽澄委員)
 先程の自然環境保全課のご説明はすごく良く分かりました。シカ管理においても植生で見ていくということですが、植生の側で指標案(1)になっている植被率の森林の割合というグラフが出てきます。こちらは面的な図化はできないのでしょうか。片方で、土壌流出はこういうモデルで図化されるのですが、そういうもののご検討は難しいのでしょうか。
(自然環境保全センター)
 指標案(1)は134か所の水源林整備モニタリングと、シカの植生調査を平成19年以来実施しておりまして、その箇所における植生調査の植被率の変化ですので、空間補完をすれば描けるかもしれませんが、難しい話になります。空間的な絵は、指標案(2)が全森林を悉皆調査しているから描けるのです。
(羽澄委員)
 例えば、そのサンプリングで5キロメッシュ表記のランキング分けで画は描けないでしょうか。
(自然環境保全センター)
 シカの方は、ラインをメッシュに変換しているため、まだ信頼性がありますが、ポイントをメッシュにすると危険かもしれません。
(羽澄委員)
 分かりました。
(吉村委員長)
 今の議論のように、なかなか結論まではいかない状況なのですが、皆さんに合意していただけそうなのは、森林に関しては全部で4つの切り口で評価をしていくということ。メインの指標は(1)の植被率と(2)の手入れが行われている森林の割合で、それに追加する形で、シカの生息状況と土壌流出のランク別面積割合を加える。こちらはそれぞれ結果の評価の仕方が単純ではないという点と、モデルに関しては空間外挿の手間に若干の不安があるため、参考として載せる方向となります。
 それ以外に参考指標に関しては、最終的には1つの数値軸にして、例えばゼロから100の間の数字で評価するというイメージがありましたが、そこまでいくのは中々難しいのかなというイメージを持ちました。数値を出してしまうと、あまりにも単純化されて、事業の実施内容およびそれ以外の事業との関連が分かりにくくなるという面もあります。
 また、参考指標(1)の地図は誤解を招くので、やめたほうが良いかと思いますが、基本的には図で現状ないし過去の状況を示すのが現実的かと思います。誤解を招かないように、県として、事業全体として、こういった問題を続けていて、10年ないし20年でこういう変化がありました、というのを詳しく情報提供するという意味で参考指標としています。
 各指標の定義について、指標案(1)植被率に関しては、この写真を見れば緑の面積で皆さんすぐに理解できると思います。一方、指標案(2)については定義が明確にはなっていないところなので、「ABCD」と「外」それぞれの森林の状態について客観的に分かるようにしたら良いと思います。そこについて、私も明確な意見はないのですが、アウトカムの評価ではないのではと言われかねないところですので、森林の状態を表現するものになると良いのかと思います。
 さらに、冒頭で意見のあった、人工林、天然林の話もありました。それぞれの指標が対象とする森林がどういうものか、また、どの地域を対象に評価しているかについて、実際に適用する段階でも必要になると思います。こちらは年度内に整理できたら良いと考えます。
 それ以外にも、実際に運用できるのかという視点も必要になってくると思います。計算自体は過去のデータもあると思いますが、実際に数値化は可能なのかという点、それから、目標値を将来設定できるのかという点についても、今後検討していく必要があります。
 また、参考資料1の森林の評価図の構成は変えたほうが良いと思います。どちらかというと指標案(2)が上の方へきて、指標案(1)が植被率なので、対策の結果として、シカの生息状況、土壌流出の状況というファクターも合わさって、最終的に植被率への影響が出てきていると思います。そのあたりの流れを水の方は分かりやすいのですが、森林の方は検討が必要になります。
 今後の話ですが、指標案(1)と(2)に関しては、年度内にある程度方法論の考え方が明確になる方向だと、来年度の作業がしやすいと思います。参考指標案に関しては、原案の考え方で基本的に良いと思いますが、見せ方を注意する必要もありますので、場合によっては、『参考情報』という形で指標というところまでいかなくても良いかと考えました。3月の県民会議の場で出す原案としては、もう少し明確に詰めておく必要があるでしょうか。
(事務局)
 今回多くのご意見をいただきましたので、まずは誤解が生じないよう数値や見せ方など引き続き検討させていただいて、お知らせする形でいかがでしょうか。
(吉村委員長)
 そうですね。この委員会の方向としては、指標案(1)と(2)を具体化し、その内容については、私と事務局と座長で調整をして、最終的な案にさせていただくということでよろしいでしょうか。
 また、参考指標案A、Bに関しては『参考情報』として、環境の変化を理解する視点で、中間評価報告書のどこかに掲載する。掲載の仕方は4月以降、引き続き議論しながら考えていくという形でいかがでしょうか。
(鈴木委員)
 資料1-3で理想形といいますか、どの部分を決めるかという話がありましたが、他の指標のゴールがどうなっているか気になります。国でも、こういう事業の評価をしているが、100%達成をゴールにしていません。実行可能なところをゴールとして、「何年以内に、今は何%で、何%までもっていきます。」という言い方をしています。資料1-2の指標案について、事業を始めた時と、平成21年度や平成27年度がどうなったかということは書いてありますが、最終的に20年間で目標とする先が、100%が良いというイメージになっている気もしますが、予算の関係もありますし、行政的に全部完璧にするのも、世の中的に普通ではないのではないでしょうか。
(吉村委員長)
 中間評価の段階では、過去から現在まで、どういうふうに環境が変わって来たかのを示すのが第1段階。目標設定については、中間評価で決める必要はないと思います。
(事務局)
 おそらく目標値を設定できないものも中にはあるかと思います。吉村委員長がおっしゃったとおり、1つは施策前と現在の状況で評価いただく。次に目標値の設定等について庁内でも検討してみますが、決められる場合もそれが100ではなくその間の数値になる可能性もあります。
(吉村委員長)
 機械的に理想的な環境を考え、トップダウン的にこれでいこうというのは、なかなか難しいので、目標設定の効果が最大限になるような視点というのも、最終的には必要になってくると思います。そのあたりの課題も含めての中間評価になると思います。
 それでは基本的な考え方としては、皆さんに合意いただいたということで、一部資料の作り方、それから指標の計算の仕方等については、事務局と私と座長にご一任いただき、年度内にできる部分は具体化し、次回の県民会議でお示ししたいと思います。なお、より詳細な内容については、4月以降も引き続き検討しながら、中間評価を作成していくということでよろしいでしょうか。
(鈴木委員)
 この委員会のアウトプットは吉村委員長の一任で良いと思います。
(吉村委員長)
 わかりました。それでは議題1については以上とさせていただきます。

議題2:特別対策事業の点検結果報告書(平成29年度版)について

(吉村委員長)
 次に『議題2特別対策事業の点検結果報告書(平成29年度版)』に移ります。昨年10月の県民会議に当委員会で作成している点検結果報告書の原案を提出し、県民会議委員全員に対して1回目の意見照会を行いました。前回の委員会では、その結果を踏まえ修正を行っています。その後、12月に再度修正版を県民会議の委員の皆さんにお諮りしまして、2回目の意見照会が終わったところです。2回目に関しては、出てきた意見は1件のみです。その1件を踏まえて、最終的な原案を作成し、次回3月の県民会議で承認を得られるよう、最終的な確認をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。

(事務局より資料2-1から2-6により説明)

(吉村委員長)
 ありがとうございます。2回目の意見照会の結果の回答として、森本委員からご提案がありました森林の健全性、不在山主対策、実現高難度エリアの存在という具体的な記述ですが、実際の評価書の内容にあまり出てこない視点で、評価対象外の部分もあって、そのまま全体総括に入れるのは難しいかと思います。原案としては森林関係事業に関する課題として、森林の公益的機能を持続させるための対策、それからシカ対策という2点を挙げるという案でいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ただ、この文章には主語がないのではないかという点が気になりました。「概ね順調に進められていると評価できる」というのは森林関係事業になります。主語がなくても意味は十分伝わるかと思いますが、何が順調に進められているのか、主語にあたる文言があるとより良いと思いました。
(鈴木委員)
 資料2-3の1枚目の整理No.3について、前の原案で、これまでシカ管理捕獲を実施している云々というところが2段落になっており、今回修正案では「なお、」という文言が入ってつながっています。「なお、」の後の文章は、原案も今回修正案も内容は変わっていないと思いますが、この文章は私には分かりにくい。「全国的にみても先行している山岳域でのシカ生息数減少と」という文章は、全国的には増加傾向、あるいは全国的にはいろいろな課題があると言われているシカの増加に対して、神奈川県では、山岳域の生息数が減少しているという意味だと思います。しかし、シカが増えていて問題だというアタマでこの文章を読むと、何を言っているのかよく分かりません。
(羽澄委員)
 私は、山岳域でのシカ生息数減少という現象が全国的に見ても、神奈川県が先行しているという解釈だと思いました。
(吉村委員長)
 両方の解釈ができる文章ですね。
(鈴木委員)
 一般的な常識と違うことが書かれていますし、元々、知っている人にも知らない人にも分かるような文章でなかったものを、「なお、」でつないだため、より難しい文章に見えてしまいます。先行して減っているが、その回復状況をモニタリングする必要があるというならば、「~だから」という文章が間に入ったほうが良いかもしれません。
(羽澄委員)
 山岳域でのシカ生息数減少に、神奈川県では全国的にみても先行している、という文章が先に一つあって、後ろに来るといいかもしれません。
(鈴木委員)
 あるいは、「先行的な成功例の一つとなっている」という文章でも良いかもしれません。
(吉村委員長)

 そういう意味での文章で間違いはないですね。「なお、」でつなげるのは、私も若干、不自然だと思っていました。前の文章は、取組が全体としては上手くいっているという文意で、その次にモニタリングを継続する必要があるという文意になっています。そのつなぎとして、全国的に見てもシカが減少しているということでは、理由にはなりません。シカ生息数が他県と比べても減少しているが、モニタリングは継続する必要がある、としたほうが読みやすいのではないでしょうか。最終案を誤解のないように修正する必要があります。
 それ以外の場所、概要版も含めて、何かご意見ありますか。
 特にご意見がなければ、事務局と、いまの意見について最終確認をしてまいります。
 続いて、議題3に移りたいと思います。本委員会の次期委員への引継内容について、事務局からご説明をお願い致します。

議題3:施策調査専門委員会の次期委員への引継内容について

(事務局より資料3-1、3-2、参考資料2により説明)


(吉村委員長)
 ありがとうございました。重要なところは、資料3-2の3ページ(2)の課題にある3点です。(1)が「次期5か年計画に関する意見書」の作成に向けた検討、(2)が第3期以降における経済評価の実施に向けた実施方針の検討、(3)が施策大綱期間終了時を見据えての点検・評価等についてです。毎年の委員会の役割を敢えてここに書く必要はないと思いますが、次期3年ないし、終了までの時間の中で何が重要になるか残しておくと、心構えという部分にもなるかと思い、このような形でまとめています。ここに書いたから、この委員会の責任が増えることはないと思いますが、いかがでしょうか。
(鈴木委員)
 前回「県民に開かれたかたちで評価ワークショップを開催するなど、県民参加による評価方式も検討する必要がある。」という文言があって、それに従って夏に施策懇談会があり、県民会議委員がフリートークする場ですとか、県民フォーラムで県民の意見を聞くことにつながっています。
 それはルーティンだから書かなくても良いかもしれませんが、施策調査専門委員会では、ここに書いてあることで定例の県民会議以外に、全体の評価の取組みや、評価の充実を開かれた状態でやっていくことになります。課題の(1)なのか、(3)なのか、(4)を作って「施策懇談会や、県民フォーラムをやるのが好ましい」くらいのことを書いたほうが良いのか、ご意見をいただきたいと思います。
(吉村委員長)
 その文言は前回の資料に書いてあったのですか。
(鈴木委員)
 事前に送付いただいた参考資料2の5ページ目(2)課題(1)の末尾の2行に、県民参加による評価方式について書いてあります。この記載により、その次の期で中間評価をするときには、施策懇談会やワークショップのようなものを分科会で議論して施策調査専門委員会の案を揉んでもらうというプロセスだったと思います。次の議題4でもご説明いただくかと思いますが、今回は大きな開かれた場で議論する必要はないかと思いますが、少なくとも県民会議の施策懇談会のようなものは来年度にあっても良いかと思います。そのためには、ここに一言書いておいたほうが、事務局が動きやすいのではないでしょうか。ご検討いただければ結構です。
(吉村委員長)
 この委員会と県民会議の本体との関係もありますが、少し入れておいたほうが良いような気もしますが。
(事務局)
 資料3-1をご覧ください。2番目の引継書の構成の中に、当委員会の前に1番で県民会議としての引継部分があります。施策懇談会となると、当委員会の枠を超えて県民会議の部分に入る話題かとも思います。
(吉村委員長)
 市民とのやりとりに関しては県民会議を介するので、引継書としては県民会議の方に入れていただくのが適当だと思います。
(鈴木委員)
 色々な処理の仕方があると思います。施策調査専門委員会としては、県民会議でそういうことを進めるということを、次年度以降も担いたいということでしたら、当委員会としても書けるかもしれません。
(吉村委員長)
 他にご意見ありますでしょうか。今ご指摘がありましたが、県民ないし市民の目線での考え方での評価を必ず入れていく必要はありますので、(3)の施策大綱期間終了時を見据えての点検・評価等についての中に、「県民の意見を踏まえて、広く反映する形で意見書の作成や経済評価を行う。」などの形にしても良いかと思います。そこは私と事務局のほうで、文言を追加する形で最終案とさせてください。
 それでは続きまして、議題4の平成31年度の委員会開催スケジュール等についてご説明をお願いします。

 

議題4:平成31年度の委員会開催スケジュール等について

(事務局より資料4により説明)

(吉村委員長)
 ありがとうございました。来年度につきましては毎年の点検結果報告書に加えて、中間評価報告書、次期計画への意見書の作成があります。委員会の回数は、今年度と同じく4回でスケジュールを組んでいます。いかがでしょうか。
(鈴木委員)
 資料4(2)で中間評価ならびに次期計画への意見取りまとめスケジュールがありますが、実際はそれにプラスして、平成30年度の点検結果報告書を作るという作業があります。中間評価に向けた取組検討の一つ下の段に平成30年度の点検結果報告書作成に向けた取組検討という段を作って、そのスケジュールもここへ一緒に入れておいたほうが良いかと思います。運営は年単位で、(3)にありますので良いのかもしれないが、中間評価報告書を作ることだけに一生懸命になって、通常の作業を忘れないようにしなければなりません。
 また、(3)の8~9月に施策懇談会の計画があります。これは、議決をする県民会議とは違って、皆さんの意見を言ってもらい、情報提供する場として、あったほうが良いと思います。実施となった場合、どういうふうに、誰が話題提供して、どういう議論をするかについて、6月上旬の施策調査専門委員会で議論したほうが良いのではないでしょうか。1回目の委員会の(4)として施策懇談会の準備など、ここに書いておいたほうが良いと思いました。県民会議としてのスケジュールではありますが、そこでの議論は当委員会で扱っている話題に絞ったほうが良い。課題としては、本日議論した指標関係をきちんと説明したほうが良いのではないかと思います。あるいは、経済評価について議論するものがあれば、そこでした方が良いでしょう。
 最後に(1)の第3期以降の施策評価スケジュールについてですが、平成34年度に経済評価の実施が突然出てきますが、平成33年度までも実施に向けた準備をしているため、点線などで経済評価実施の検討という記載を、平成31年度から平成33年度に書いておいたほうが、やることを忘れなくて良いと思います。
(吉村委員長)
 ありがとうございます。毎年の点検結果報告書に関しては忘れることはないと思いますが、(2)が中間評価ならびに次期計画への意見書というタイトルになっていて、点検結果報告書が入っていないので、入れて、全体像が見えるようにしても良いかと思います。
 また、来年度の県民会議で、中間評価報告書の意見を出してもらうときには、中身をある程度説明しないと理解できなかったり、意見が出にくかったりしますので、施策懇談会で説明するという想定で間違いはありませんか。
(事務局)
 間違いありません。
(吉村委員長)
 そうすると、この委員会としても、それに向けての準備が6月に必要になります。
 また、今年度3月の県民会議においてワークショップの結果のまとめをするということですね。それを踏まえて、来年度の中間評価に反映させるということでよろしいでしょうか。
(岡田委員)
 施策懇談会は、今年度なかったものですね。
(事務局)
 平成29年度に実施しております。

(鈴木委員)
 委員が決まって、しばらくして人工林だとか経済評価だとかを話題提供していただいて、公募委員の方々も含めて、議案があって議論するのではなくて、皆で議論するものになります。
(吉村委員長)
 きちんと議題を作って議論するのではなくて、気楽に意見を出せるような雰囲気で必要に応じて企画をするものです。他にはいかがでしょうか。
(鈴木委員)
 資料4の(1)で、平成32年度と平成33年度にかけて第4期計画の策定(県)という記載がありますが、これとその前に記載のある次期計画への意見書というのは第4期計画への意見書ということです。そうすると、上の段には第4期が終わった後の準備を始めるという話題は敢えて入れていない、行政的にそんな先のことを書けないということは分かりますが、行政そのものではない我々県民会議としては、第4期が終わった後のことは県民の大関心事なので、そろそろ何らかの検討がいるのではないでしょうか。
 ただ、どの事業をどうするかという細かな議論は時期尚早すぎるかと思いますが、20年の大綱が前提としていた現況と、周囲の状況を含めて、どういうところが変わって、どういうところが変わっていないかという点をチェックするくらいのことは、そろそろ始めても良いのかと思います。このスケジュールに入れるかどうかは別にして、評価とは別に、施策調査専門委員会として、我々が考えていることをリストアップするくらいのことは、そろそろ始めても良いかと思います。
(吉村委員長)
 次期計画への意見書の作成のタイミングが第3期の3年目になります。同様に、次のことを考えて進めるとすれば、第4期の3年目、平成で言うと平成36年度くらいから、次の事業に対する意見をまとめる作業があって良いというご意見だと思います。最終評価の中に組み込むこともできるでしょうし、別の意見書としてまとめるのも良いでしょう。行政的にどう進めるのが進めやすいかという視点もあるかと思いますが、先の話なので今年度の資料としては、これで良いかと思います。ただ、いずれそういう視点が重要になるということを忘れないようにしないといけません。おそらく、委員会の引継書の中にそうした記載があったと思います。
 他になければ、次の議題に移りたいと思います。議題5の平成31年度実施モニタリング調査(主な変更点)について、ご説明お願いします。

 

議題5:平成31年度実施モニタリング調査について(主な変更点)

(1)森林のモニタリング調査(人工林現況調査)

(2)河川のモニタリング調査(河川の流域における動植物等調査)

(水源環境保全課、県環境科学センターより資料5-1、5-2により説明)

(吉村委員長)
 ありがとうございました。資料5-2の表の上に書かれています1期、2期、3期というのは、1年を3期に分けているのでしょうか。
(環境科学センター)
 5か年計画の第1期、第2期、第3期という意味になります。

(吉村委員長)
 第3期のなかで、相模川まで実施していて、酒匂川はこれから実施されるということですね。森林と河川についてご説明いただきましたが、いかがでしょうか。
(鈴木委員)
 水質のその他の項目で、相模川で実施した河川水路自然浄化対策効果というのは、中川温泉の上下流で密度高く調査するというものですか。
(環境科学センター)
 河川水路自然浄化対策効果については、姥川などの中下流で多自然型川づくりを実施していますので、それに関して実施しています。
(鈴木委員)
 恩曽川も含まれますか。
(環境科学センター)
 そうです。
(鈴木委員)
 酒匂川には、それに対応するような場所はないのでしょうか。
(環境科学センター)
 河川水路自然浄化対策効果確認調査については、沢井川で実施しています。
(鈴木委員)
 第3期はバツになっていますが、これはやらないということですか。
(環境科学センター)
 相模川、酒匂川、両方とも平成30年度は実施してしまっていますので、それでやらないということ。
(鈴木委員)
 その他については、酒匂川もやったことがあるわけですね。
(環境科学センター)
 今回、先行して酒匂川もやってしまったということです。
(吉村委員長)
 バツではなく、マルということですね。

(環境科学センター)
 全体の酒匂川としての話と、河川水路自然浄化対策効果確認調査としての酒匂川調査というは別なのですが、データ取りは済んでいます。
(鈴木委員)
 次に森林のデータを取るのは大変結構なことですが、テクニカルに言えば、平方メートルあたり4点で下層植生が見えるのでしょうか。資料に画がありますが、単層林で上層木の樹幹が詰まっているときに、下層植生がないのか、それとも見えていないのか、つまり、平方メートルあたり4点では足りなくて、20点なら下層植生が見えてくるという技術的な問題はないのでしょうか。
 また、取ったデータを保管して解析するには、データを取るのに比べてマンパワーを要する仕事だと思いますが、そのマンパワーのあてはあるのでしょうか。データを取って、調査会社から人目を惹く画は返ってくると思いますが、神奈川県が持っている現場のデータと突き合わせて、神奈川県独自のレベルの高い評価や解析を行うのが本来の目的だと思います。実際はそこに現場もわかっていて、リモートセンシングも分かっている、それなりのスペシャリストが必要だと思います。貴重なデータを取るのも大事ですが、取ったデータを解析するところまでセットで行って、初めて事業の効果があがるものと思います。そのあたりが気になりました。
(水源環境保全課)
 今のところ、測定した業者に解析まで委託することとしております。
(鈴木委員)
 そこに、神奈川県の特記仕様書が書けるかどうかが問題となります。あるいは、特記仕様書に対応した仕事をしてくれるところがあれば良いと思います。
 それから、データを取った業者に頼むということは、データは業者の手元に残り、神奈川県の県民の遺産にならない。神奈川県の自然環境データは未来永劫の財産となりますが、保管する行政的なシステムはどうなっているのでしょうか。
(吉村委員長)
 自然環境保全センターと行っている作業かと思いますが、データの保管について、また、必要に応じてデータを持ち出して追加の評価を行うというあたりについて、どうお考えでしょうか。
(水源環境保全課)
 データはハードディスクに保存の上、納品してもらいます。納品データは、後々活用できるよう、限りなく生データに近い状態で納品してもらう予定です。どこで保管するかについては、まだ議論がされていません。
(吉村委員長)
 発注側になるので、どういうポリシーで解析をお願いするかについては、県もしくは県民会議で検討する必要があります。

(事務局)
 特記仕様書に関しては、これから発注に向けて中身をつめていきます。
(吉村委員長)
 中間評価や最終評価の中身ともリンクするかもしれません。
 それ以外に何かありますか。付着藻類の部分はいかがでしょうか。
(岡田委員)
 藻類というと、クロロフィルのデータが基本なので、そのデータがなくなるというのは不安を感じます。
(吉村委員長)
 魚類との関係はどうでしょうか。たとえばアユの状況を理解するために基礎データを取っておいたほうが良いという面もあるかと思いますが。
(環境科学センター)
 私の考えですが、事業評価に即した形で考えると、アユと付着藻類とは密接な関係にあるとは思いますが、現状でアユは難しく、水質の観点からすると、アユよりも底生動物のほうが良いかと思います。河川の状況によって変わるかもしれませんが、この事業とアユは関係が薄いという印象があります。
(鈴木委員)
 源流域のほうへ行けば、アユや水生昆虫がいて、生物多様性の食物循環の視点から基礎データがとれるが、中下流域だと水質が違います。
(環境科学センター)
 源流域で、このデータを取れば、また違う形だったと思います。
(岡田委員)
 源流域と下流域では、水質のクロロフィルの量が違うのではないでしょうか。上は少なくて、下は多いとかは明確にあるのではないですか。
(環境科学センター)
 おそらくあると思います。開空率との関係が林野に効いてくるところと、分類がいくつかに分かれてはいますが、分かれているという話だけで終わってしまいます。森林整備で開空率が上がって、いろいろ変わってくれたら良いですが、いずれの調査地点も森林に近い地点ではないのが、この調査の難しいところだと思う。

(岡田委員)

 付着藻類の種の組成はされる予定ですか。
(環境科学センター)
 はい、やります。付着藻類は残す予定です。
(岡田委員)
 少なくとも、種の組成データを採取される際には合わせて現存量であるクロロフィルのデータも欲しいと思います。対応づけることができますので。
(鈴木委員)
 全国で藻の量の調査をしている方々は、布がなくなった後、何を使って調査しているのか情報はないのですか。
(環境科学センター)
 ミクロクロスの関係で探しましたが、該当はありませんでした。他のやり方があるのかもしれません。
(鈴木委員)
 こそげ落とすなどスタンダードな方法が別にあるのでしょうか。
(岡田委員)
 私はブラシでやっています。
(吉村委員長)
 実際に、別の方法でやろうと思えばできると思います。今までの方法と布の関係で変更せざるを得ない点、データの解釈の評価がなかなか難しい点と、環境DNAに力を入れたいという点があるのでしょうか。
(鈴木委員)
 藻の報告は相関がないから解釈が難しいと説明がありましたが、相関がないということは多変量解析するときに非常に有効な軸の一つになるわけですね。相関があったら、いくら測っていても、予測がつくことになります。逆に相関がない軸だからこそ、今まで平面で見分けがつかなかったことが、この軸で見分けがつく可能性があります。相関がないからやめますというのは、私にはロジックになっていないと思いました。
(環境科学センター)
 説明不足のところがありました。実際の解析にあたっては、何が影響してくるかなど総合的に見た上での「相関がない」ということになります。今回お話を伺って、いきなりこれで進めるのではなく、岡田先生のご意見も伺いながら進めたいと思います。

(吉村委員長)
 わかりました。まだ変更の余地はあるとのことですので、個別に検討していただければと思います。時間も押していますので、特になければ、これで議題5は終わりにさせていただきたいと思います。
 議題6その他ですが、何かございますか。
 特にないということですので、本日の議事は全て終了となります。それでは、以上をもちまして、第46回施策調査専門委員会を終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。
 

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会議資料

次第(PDF:56KB)

資料1-1 大綱20年間の取組の評価方法と施策の中間評価に向けた評価指標案(PDF:114KB)

資料1-2 評価指標案に関する補足資料(PDF:1,036KB)

資料1-3 森林の2次的アウトカムにかかる評価指標について(案)(PDF:204KB)

資料2-1 点検結果報告書作成の流れについて(PDF:100KB)

資料2-2 点検結果報告書(第3期・平成29年度実績版)(案)に関する意見照会結果及び対応案について(PDF:953KB)

資料2-3 点検報告書(第3期・平成29年度実績版)(案)総括抜粋(PDF:229KB)

資料2-4 点検結果報告書(第3期・平成29年度実績版)(案)(PDF:5,852KB)

資料2-5 点検結果報告書(平成29年度概要版)(案)(PDF:1,268KB)

資料2-6 ホームページでの点検結果報告書の公開について(PDF:1,487KB)

資料3-1 「第6期水源環境保全・再生かながわ県民会議委員への引継書」の作成について(PDF:134KB)

資料3-2 施策調査専門委員会引継書(案)(PDF:81KB)

資料4 第3期以降の施策評価スケジュール等について(PDF:338KB)

資料5-1 平成31年度人工林現況調査について(PDF:692KB)

資料5-2 河川のモニタリング調査(平成31年度調査計画案)(PDF:1,182KB)

参考資料1 各事業の評価の流れ図(構造図)等(PDF:554KB)

参考資料2 施策調査専門委員会における過去の引継内容(PDF:308KB)

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