デジタル化などの推進に向けてベンチャーと大企業が連携する2つのプロジェクトの取組が始動します
県では、ベンチャー企業の成長を加速させるため「ビジネスアクセラレータ―かながわ(BAK)」の取組により、大企業等とベンチャー企業によるオープンイノベーションを促進するとともに、事業化の支援を行っています。このたび、令和5年度の支援プロジェクトに採択された次の2つのプロジェクトが、事業化に向けて新しい取組を開始しますので、お知らせします。
取組の概要(その1)
連携企業 |
株式会社SHO-CASE、株式会社富士防
(下線がベンチャー企業)
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プロジェクト名 |
マンション大規模修繕工事における、スマートフォンを活用した新たな労務安全管理システムの活用と建設DXの加速 |
概要 |
- 株式会社SHO-CASEは、スマートフォンで読み込む二次元コードを活用し、建設現場における利用に適した労務管理システムを開発しています。
- このシステムにより、作業員の入退場日時だけでなく、作業員が所属する会社の情報や緊急連絡先、施工管理技士等の保有資格、労災保険加入状況などの情報を、施工現場で簡単に取得、管理することができます。
- 一方、株式会社富士防は、マンション大規模修繕工事の現場における作業員の労務管理を紙で運用しており、紙の印刷・記入・保管が必要となり、最新情報が把握しづらいなど、効率的な業務運用が課題となっていました。
- そこで、現場における作業員の配置や勤怠管理をリアルタイムで効率的に行うため、両社が連携し、株式会社SHO-CASEの労務管理システムを活用した実証実験を行いました。
- このたび、実証実験における作業員の声を踏まえて、システムを改善し、株式会社富士防が実施する大規模修繕工事の現場において、本格運用を開始します。
- 紙による管理ではなく、システムを用いて、業務のデジタル化を推進することで、現場における労務管理の効率化と生産性向上が期待されます。
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今後の展開 |
- 国が普及を進めるCCUS(建設キャリアアップシステム)とのデータ連携や、利用頻度に応じて飲料・熱中症対策用品を無料で提供するなど、システムの利用促進に向けたインセンティブ設計を行います。
- 今回の株式会社富士防と連携した取組を建設業界における現場労務管理のモデルケースとして、今後、業界全体に広めていくことを目指します。
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取組の概要(その2)
連携企業 |
BellaDati合同会社、日産自動車株式会社
(下線がベンチャー企業)
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プロジェクト名 |
電気自動車(EV)による災害時の給電救援サービス「Power Ranger」の開発 |
概要 |
- BellaDati合同会社は、IoTシステムの構築や様々なデータを集めて分析する技術を有しています。
- 一方、日産自動車株式会社は自動車の電動化を推進しており、EVを活用した災害対策など、社会課題解決に取り組んでいます。(神奈川県とも令和5年1月19日に「電気自動車を活用した脱炭素社会実現及び災害対策強化に関する連携協定」を締結しています)
- 同社は、これまでも災害時において、電力を必要とする施設にEVを派遣し、電力を供給する支援活動に取り組んできました。
- 災害時のEV派遣では、派遣可能なEVの把握や適切な派遣先の判断のため、連絡のやり取りや各車両の情報整理など多岐にわたる作業が発生し、多くの人手と時間を要するという課題があります。
- そこで、避難所等へEVを迅速かつ円滑に配備することを目的に、両社が連携し、BellaDati合同会社が有する技術を活用した「災害時EV救援アプリ」のプロトタイプを開発しました。
- 本アプリでは、あらかじめ登録されたEVの電池残量や位置情報、電源供給を必要としている避難所の場所などがリアルタイムに可視化されます。災害時にこのアプリを活用することで、EV派遣場所の迅速な決定や派遣車両への円滑な連絡・指示が可能となります。
- 今回、県内の市町の協力のもと、災害による停電を想定したシミュレーション訓練を行い、現状のアプリ機能の確認と、今後必要となる機能の検討を行いました。
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シミュレーション訓練の概要 |
日程・場所:令和6年1月31日(水曜日) 横浜市西区役所
2月6日(火曜日)開成町役場
【シミュレーション訓練の内容(県や市町職員が参加)】
- 災害による停電時を想定し、実際に、EV(「サクラ」と「リーフ」)を配備するとともに、災害対策本部がアプリを通じて登録されたEVのドライバーに救援依頼を一斉に送信。
- 救援依頼を受けたドライバーが、現在地や電池残量や応援できる時間帯、条件等をアプリを通じて回答。
- アプリにより一覧化された情報を元に、災害対策本部から具体的な救援場所を指示し、実際にEVを派遣して給電を実施。
【シミュレーション訓練の結果】
- 実験に参加した市町の職員からは、「避難所や車両、充電場所等が地図上で一覧化されるため、派遣の判断がしやすい」、「デジタルを活用した、素早い情報整理が可能となる」といった評価の声がありました。
- 一方、実装に向けては「情報をより分かりやすく表示したり、安全に通れる道路情報も確認できるようにしてほしい」、「被災自治体外からの広域的なEV派遣など、アプリだけでなく運用面も含めて検討していく必要がある」といった課題も指摘されました。
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今後の展開 |
- 2月14日(水曜日)に日産自動車株式会社が、福島県で開催する「第3回浜通り連携協定サミットin浪江町」で神奈川発の本取組も紹介される予定です。
- シミュレーション訓練等の結果をもとにアプリの改善を行い、自治体向けの「EV救援派遣サービス」として実用化していくことを目指します。
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その他の採択プロジェクトについても、県の「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」の支援のもと、年度内に実証事業を行い、事業化を目指します。(令和5年度に採択された15件のプロジェクトの概要は、令和5年10月12日付け記者発表資料を御覧ください。)
【参考1】株式会社SHO-CASE
住所:神奈川県横浜市中区尾上町1-6 ICON関内 YOXO BOX OFFICE 3F
設立:令和2年10月1日
代表:代表取締役 髙村勇介
事業内容:二次元コードを活用した建設現場の労務安全管理システム
URL:https://www.sho-case.net/
【参考2】BellaDati合同会社
住所:東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー11F
設立:令和4年4月14日
代表:カントリーディレクター 齋藤和人
事業内容:あらゆるデータの収集・分析・可視化を簡単に実現するソフトウェアの開発
URL:https://www.belladati.com/ja/
【参考3】ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)
県内に拠点を持つ大企業と質の高いベンチャー企業による連携プロジェクトを創出するとともに、オープンイノベーションに向けたコミュニティ形成を目的として、大企業・ベンチャー企業・研究機関・支援機関等が参画する協議会「ビジネスアクセラレーターかながわ(BAK)」を運営する取組。県内で、積極的にオープンイノベーションに取り組むことを希望する企業を随時募集中。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sr4/cnt/f537611/bak01.html
神奈川県産業労働局産業部
ベンチャー支援担当課長 井上
電話045-285-0213
産業振興課副課長 高橋
電話045-210-5632