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更新日:2024年8月30日
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自然共生サイトは、「民間の取組によって生物多様性の保全が図られている区域」を環境省が認定する制度です。 認定区域は、保護地域との重複を除き、「OECM」として国際データベースに登録されます。ここでは、県内における自然共生サイト認定地を紹介します。
30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際的な目標です。
「ポスト2020生物多様性枠組」案の主要な目標として検討されており、2021年6月に英国で開催されたG7サミットにおいて、コミュニケの付属文書として合意された「G7 2030年 自然協約(G7 2030 Nature Compact)」では、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させるという目標達成に向け、G7各国が自国の少なくとも同じ割合を保全・保護することについて約束しています。
自然共生サイトとは、30by30達成のために国が実施している取組で、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域のことです。認定区域は、保護地域との重複を除き、「OECM」として国際データベースに登録されます。
事業者、民間団体・個人、地方公共団体による様々な取組によって、生物多様性の保全が図られている区域(企業の森、ビオトープ、里地里山、森林施業地、企業敷地内や都市内の緑地、研究機関や環境教育に活用されている森林等)が自然共生サイトの対象となります。
30by30達成のためには、事業者や民間団体等の企業の所有している緑地等の認定が必要不可欠です。申請方法や要綱等については下記環境省ホームページをご覧ください。
(参考)環境省ホームページ
ENEOS株式会社
場所:横浜市磯子区鳳町
面積:6.2ha
ENEOS株式会社根岸製油所中央緑地は、東京湾に面しており、三渓園や本牧山頂公園、根岸森林公園など海とみどりに囲まれた場所に位置している企業緑地となっています。2016年より管理整備事業を開始し、樹木の間伐や3つの水面を中心にゾーニングして保全整備や維持管理を実施しており、コゲラやカワセミなどを見ることができます。
また、ヤギによる除草やソーラー電池の水質浄化装置を取り入れるなど環境配慮型の管理も実施しており、製油所を訪れる見学者、従業員の憩いや環境教育の場となっています。
AGC株式会社
管理者(株式会社フジタ・株式会社緑生研究所)
場所:横浜市鶴見区末広町
面積:0.19ha
AGC横浜テクニカルセンターは、横浜市内の京浜臨海部に位置しており、日本の臨海部工業地帯で初の認定地となっています。1980年代に緑地造成のため、スダジイ等のブナ科を中心とした樹木が植栽され、その後ラン類の自生が確認されました。2021年に場内再整備が行われ、希少種であるラン類が自生している緑地に擁壁を新設することが決まった際に、ラン類が失われてしまうことを危惧した有志の従業員が、このランを移植し保全する活動を開始し、専門家や造園会社を含むチームを結成して保全活動を実施しています。
また、チガヤやホタルブクロなどの地域の生態系に配慮した植栽やトウネズミモチやメリケンカルカヤ、セイタカアワダチソウなど外来種の除去活動なども実施しており、健全な生態系を維持管理し、地域の生物多様性保全に資する活動を行っています。
学校法人桐光学園中学高等学校
場所:川崎市麻生区栗木
面積:0.133ha(ビオトープ:0.019ha 雑木林:0.114ha)
桐光学園は、多摩丘陵の山々と谷戸に囲まれており、周辺には環境省レッドリスト絶滅危惧種ⅠB類のホトケドジョウが生息していました。しかし、周辺の開発に係る土地改変により、ホトケドジョウがいなくなってしまい、2004年にビオトープを作成して、ホトケドジョウの保護と繁殖活動を実施しました。
現在は、生物部の有志の生徒たちが、月に1度、池の清掃や落ち葉や水草の除去などの維持管理活動や生物種の観察を実施しており、毎年たくさんの稚魚がふ化しています。他にも、中学校の理科の授業で自然観察や研究発表を行っています。
また、雑木林は、コナラ・クヌギ・シラカシなどで構成されており、以前多摩丘陵で多く見られたカントウカンアオイなどの希少種が多数見られます。
横須賀市(公園管理課・自然環境・河川課)
ボランティア団体(NPO法人三浦半島生物多様性保全・横須賀ほたるの会・横須賀植物会・三浦半島昆虫研究会・横須賀里山田んぼ倶楽部)
場所:横須賀市野比
面積:1.8ha
野比かがみ田緑地は、横須賀市内に位置する都市公園で、かがみ田谷戸横穴遺跡により、弥生時代に人が住んでおり、農耕が行われていた地域であることが確認されている歴史のある場所です。緑地内ではゲンジホタルやヘイケボタルを見ることができて、樹林地にはフクロウが営巣しています。
また、反自然植生の維持を目的とした稲作を実施しており、伝統的な農法を踏襲し、農薬や化成肥料を使用しないで水田を復活させ、水生昆虫や水生植物が好む環境を保全していることから、ギンヤンマやアキアカネをはじめとした数多くの動植物を確認できます。
秦野市(環境共生課・くずはの家)
ボランティア団体(えのきの会・くずはの家ボランティアの会)
場所:秦野市曽屋
面積:11.52ha
葛葉緑地は、緑地内を葛葉川が流れ、市街化区域内にも関わらず、急峻な峡谷や自然豊かな河畔林が残された緑地で、1987年に「かながわナショナル・トラスト第1号緑地」に指定されました。1989年に「環境省ふるさといきものの里秦野市ホタル生息地」に認定され、ゲンジボタルやヘイケボタルが見られます。他にも日本七大珍種蜘蛛の「ワクドツキジグモ」と「マメイタイセキグモ」の2種が発見されています。
また、くずはの家ではボランティア団体と協働した自然観察会やボランティア活動などを数多く実施しており、自然教育や緑地保全の普及啓発活動にも取り組んでいます。
このページの所管所属は環境農政局 緑政部自然環境保全課です。