更新日:2024年3月28日
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花粉症対策苗木の開発「教えて!黒岩さん」
花粉症は、植物の花粉によって引き起こされるアレルギー症状ですが、日本ではスギ花粉症が最も多くの患者数を占めています。また、スギよりもやや遅れて花粉の飛散が始まるヒノキについても、造林地が多い地域などでは花粉症の原因となっています。
神奈川県でも、スギやヒノキなどの人工林が森林面積の4割を占めており、広範囲に飛散する花粉の発生源となっていることから、本県では次の取組を進めています。
花粉症対策苗木の生産
スギ・ヒノキ林の針広混交林化と植え替え
樹種別森林面積割合(民有林) 伐採後、花粉症対策苗木を植えたスギ林
(小田原市久野地内)
花粉症対策苗木とは、一般的なスギやヒノキの品種と比べ、花粉生産量が少ない、あるいは全く生産しない品種の苗木です。本県ではこうした花粉症対策苗木に関する研究や生産の取組みを推進しています。(現在県内で生産しているスギ・ヒノキの苗木は、すべて花粉症対策苗木となっています)
無花粉スギ |
花粉を全く生産しないスギです。 平成16年度に県内で1本発見され(国内の太平洋側で初めて)、平成21年度から苗木の生産を開始しました。 |
少花粉スギ |
花粉生産量が一般的なものに比べ約1%以下のスギです。 平成12年度に選抜され、苗木の生産を開始しました。 |
少花粉ヒノキ |
通常より雄花がつきにくいヒノキです。 平成16年に全国に先駆けて花粉症対策品種として選抜を行い、平成17年春から苗木の生産を開始しました。 |
無花粉ヒノキ |
花粉を全く生産しないヒノキです。 平成24年に全国で初めて無花粉ヒノキを発見(現在、品種登録出願中)、令和3年春から出荷可能となりました。 |
無花粉スギの苗木 無花粉スギの雄花着花状況無花粉スギの雄花の内部有花粉スギの雄花の内部(花粉が見られない) (花粉(小さな粒)が見られる)
年度産 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 |
生産量(千本) | 22 | 19 | 21 | 42 | 48 | 36 | 61 | 47 | 55 | 31 |
※無花粉スギ生産の過程で生じる低花粉スギ(通常よりも雄花がつきにくいスギ)の生産量を含む
年度産 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 |
生産量(本) | 960 | 1,592 | 2,930 | 3,887 | 8,473 | 7,280 | 11,249 | 9,819 | 14,623 | 9,000 |
年度産 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | |
生産量 (千本) |
少花粉 | 38 | 37 | 30 | 35 | 47 | 51 | 38 | 40 | 52 | 35 |
一般 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
合計 | 44 | 43 | 30 | 35 | 47 | 51 | 38 | 40 | 52 | 35 |
※一般のヒノキ苗の生産は平成26年度までで終了
イ 無花粉ヒノキ
年度産 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R8 | R9 |
生産量(本) | 0 | 152 | 165 | 80 |
神奈川県では、「九都県市花粉発生源対策10カ年計画」により、広範囲に飛散する花粉を発生させるスギ林を減少させるなど、花粉発生源対策を九都県市共同で進めてきましたが、この計画の第一期計画期間が平成29年度末で終了することを受けて、平成30年に「神奈川県花粉発生源対策10か年計画」を策定しました。(計画期間:平成30年度~令和9年度)
将来目標
県内で生産される花粉の量を、花粉症が社会問題化してきた昭和50年代後半以前に戻すことを将来目標とし、スギ・ヒノキ人工林合わせて1万3千3百haを対象として、間伐による混交林化等の対策を講じることとします。
花粉の量が当時の水準程度となれば、スギ花粉症の症状の緩和や患者数の増加の抑制につながることが期待できます。
今後取り組む花粉症対策の対象面積(単位:ha)
林種 | 森林面積 |
要対策面積 (a)※1 |
これまでの 対策済み面積 (b)※2 |
対象面積 (a)-(b)※3 |
スギ | 18,407 | 12,338 | 4,214 | 8,100 |
ヒノキ | 11,958 | 7,057 | 1,842 | 5,200 |
合計 | 30,365 | 19,395 | 6,056 | 13,300 |
※1 要対策面積は、花粉の生産が活発になる林齢31年生以上のスギ・ヒノキ林が昭和58年から現在までに増加した面積
※2 実績の中には、九都県市花粉発生源対策10カ年計画及びそれ以前の実績が含まれています。
※3 100ha未満は切り捨て
10カ年計画のスギ・ヒノキ林の混交林化と植え替え目標面積
花粉発生源対策は、森林の水源かん養や土砂災害防止機能などを損なわないよう配慮する必要もあるため、長期に渡る取組となります。
10カ年計画では、今後取り組む対象面積のうち、最初の10年間の目標面積を設定しています。
(単位:ha)
区分 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R8 | R9 | 計 |
混交林化 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 5,000 |
植え替え | 25 | 25 | 25 | 32 | 32 | 40 | 40 | 43 | 48 | 50 | 360 |
計画期間中の取組実績
混交林化
・令和3年度までの実績は合計で1,422ha。全体計画に対する進捗率は28%となっています。
・混交林化については、主に水源の森林づくり事業により進めていますが、事業の進捗に伴い、近年はまとまった事業地を確保することが困難となっていることが課題となっています。
(単位:ha)
区分 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R8 | R9 | 計 | 進捗率 |
混交林化 | 541 | 445 | 232 | 203 | 81 | 1,503※ | 30% |
植え替え
・令和3年度までの実績は合計で85ha。全体計画に対する進捗率は24%となっています。
・植え替えについては、実施した後、40年以上の長期に渡って下刈、枝打、間伐等の手入れを行う必要があるため、林業経営を取り巻く状況が厳しい中、作業面や費用面での負担が大きいことが課題となっています。
(単位:ha)
区分 | H30 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | R8 | R9 | 計 | 進捗率 |
植え替え | 14 | 19 | 19 | 34 | 10 | 95※ | 26% |
※端数処理の関係上単年度の実績値と合計値は一致しないことがあります。
神奈川県花粉発生源対策10か年計画(PDF:3,249KB)
広域的な取組みとして、平成20年度より「九都県市※花粉発生源対策10カ年計画」により、広範囲に飛散する花粉を発生させるスギ林を減少させるなど花粉発生源対策を九都県市共同で進めています。
10カ年計画は、平成30年度より二期目に入り、スギ林に加えてヒノキ林を対象として、花粉発生源対策を一層進めることとしています。
※埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市(H22から加入)
(参考)九都県市第一期計画期間中の取組実績
○スギの混交林化面積(ha)
H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | 計 |
256.00 | 308.71 | 437.78 | 267.06 | 398.78 | 355.50 | 408.23 | 312.35 | 227.89 | 287.59 | 3,259.89 |
○スギの植え替え面積(ha)
H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | H29 | 計 |
3.05 | 4.35 | 4.30 | 5.02 | 1.82 | 3.42 | 15.74 | 11.46 | 2.98 | 27.42 | 79.56 |
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このページの所管所属は環境農政局 緑政部森林再生課です。