あなたのみらいを見つけに行こう!

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病気との付き合い方
~病気の知識を普及して、患者さんが生きやすい世界へ~

娘さんの1型糖尿病の発症がきっかけで、1型糖尿病の啓蒙やチャリティー活動に取り組むくさかみなこさんに、当事者や当事者家族としての病気の向き合い方について伺いました。


くさかみなこさんプロフィール写真
 

くさかみなこ さん


自身の娘が11歳で突然1型糖尿病を発症したことをきっかけに、1型糖尿病に関する正確な知識の啓蒙・チャリティー活動を開始する。娘さんの病気に向き合ううちに、糖尿病の悪いイメージが影響し、なかなか病気について話せない方々がいることを実感したという。

10万人に2人の確率で発症する1型糖尿病のイメージを払拭し「1型糖尿病に苦しむ患者さんが生きやすいと感じる世界を作りたい」という願いから、積極的に行動し続けている。絵本作家・イラストレーターの知見を活かして、糖尿病のシンボルカラーであるブルーのパンダバッチを制作・販売し、バッチの売上のほとんどを1型糖尿病の根絶を目指す日本IDDMネットワークへ寄付している。

くさかさんはどのような活動をされていらっしゃるのでしょうか。

私は娘が11歳で1型糖尿病を発症したことがきっかけで、糖尿病に対するイメージや偏見から、病気を理解してもらえず苦しんでいる患者さんが数多く存在していることを知りました。「1型糖尿病がどのような病気であるか正しく理解してほしい」「患者さんにとって、もっと生きやすい社会になってほしい」という願いから、1型糖尿病という病気の啓蒙と完治を目指すプロジェクトへの寄付を目的としてチャリティー活動を始めました。

現在は制作した絵本のイベントの際などに、一緒に糖尿病のシンボルカラーであるブルーのパンダのバッジを販売し、絵本が好きな方を中心に1型糖尿病という病気についての知識を普及させていただいているところです。バッジの売り上げは、1型糖尿病の根治を目指す団体に寄付しています。

バッジとパンフレットの写真

1型糖尿病に罹患されているご自身のお子様を通して、この病気の患者さんが病気と付き合いながら日常生活を送る上で大切だと思うことがありましたら教えてください。

できるだけ多くの方に1型糖尿病について興味を持ってもらうことや、知ってもらうことが大切かなと思います。

私の娘の場合は小学生の高学年で発症して、入院していた時期もあったことから周りの子も気がついていて、保健室で注射を打たせてもらっていました。しかし、中学生になる際には「周りのみんなに知られたくない」という本人の希望で、敢えて先生や本人からみんなに話すという機会を持たずに中学生活を送ったんです。その頃は食事の前にこっそりインスリン注射を打ちに行くなどなかなか大変で、一時期はインスリンポンプで事前に設定した量が決まった時間に入るようにしていました。

特に思春期という繊細な時期には、周りに自分が病気であることを知られたくないという思いは当然あると思います。ですが、それと同時に、糖尿病という病名に対する悪いイメージや偏見からなかなか友達に打ち明けられないという悩みは、社会全体の病気に対する知識不足・理解不足が原因なのではとも感じたのです。

私は娘と向き合う中で、一番必要なのは病気のことを正しく普及することだと思ったため、ブルーパンダの活動の中でたくさんの人に興味を持ってもらうところから始めました。

みなさんに1型糖尿病について興味を持ってもらい、公表していないだけで周りには同じ病気を持った患者さんがいるかもしれないこと、インスリン注射の正確な知識や情報を知ってもらう。そうすることで、1型糖尿病の患者さんがもっと周りに病気を打ち明けやすくなり、日常生活を送りやすい社会になるのではと思っています。

バッジのチャリティー販売の写真

周りに1型糖尿病の方がいると分かった時、周りの人ができることは何かありますか。

この病気に限らずですが、公表していない人も含めて周りにはいろんな病気や事情を抱えた方がいます。
周りにいる人がどんな人なのだろうということに興味を持って、正しく理解しようという姿勢が大事だと思います。

私の娘も親しい友達にすら話せていなかったり、話してもさらっと流されてしまったりという経験をしています。「勇気を持って打ち明けたつもりだったのに、それ以来言えなくなった」と話していました。

糖尿病という病名に対する偏見によって、より一層話せなくなり、ずっと秘密にして生活することになります。急に低血糖で倒れる可能性も考えると、周りに知っていてもらいたいけれどできていない不安と、秘密を持って生活する精神的負担を抱えて過ごす患者さんも多いのです。

1型糖尿病の場合は、注射をして血糖値のコントロールさえできていれば、普通の人と全く同じ生活が送れるということを理解してもらいたいと思います。

ブルーパンダのTシャツの写真

ありのままの自分を受け止めて、認めてあげましょう
~くさかみなこさんからの応援メッセージ~

思春期の時期を乗り越えてほしいと思っています。

この時期に一旦病気を受け止められなくなり、血糖コントロールがうまくいかなくなるケースがよくあります。友達と一緒に居たくて外食後しばらく放置していたりなど、私の娘も中高生の頃はありました。友達に言いづらかったり、「ちょっとくらい大丈夫だろう」と楽しいことを優先したくなったりすることがありますよね。

しかし、大人になって病気としっかり向き合えた時には状態が悪化しているなんてことは避けたいです。治療はつらいです。本当に今でも十分頑張っていると思います。これからも続くものなので厳密にやっていると疲れてしまうかもしれません。
許せる範囲で自分を甘やかして、追い込みすぎないように、そして、できる範囲でいいので、治療を諦めないでほしいと思っています。

病気を受け入れるのは難しいです。実際、病気に前向きに向き合える人って少ないと思います。
それでも毎日の治療を頑張っているありのままの自分を受け止めて、認め、褒めてあげてください。
だれよりも頑張っている自分を大切してほしいです。

たくさんのブルーパンダバッジの写真
絵本作家のくさかみなこのロゴ(別ウィンドウが開きます)

くさかみなこ

えほんさっか くさかみなこのホームページ:https://kusakaminako.com/jp/

ブルーパンダプロジェクトについてのご案内:
https://kusakaminako.com/jp/bluepanda/

公開:2022年12月
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