高校2年17歳で原因不明の自己免疫疾患、難病の全身性エリテマトーデス(SLE)を発症。以来さまざまな壁にぶつかりながらも結婚、出産を経て、Instagramをはじめとしたメディアで病気のこと、医療情報、医療費助成制度や支援制度、日々の困りごとなどを積極的に発信している。孤独や絶望を味わった自らの経験から、難病の当事者のネットワークづくりにも取り組んでいる。
高知県生まれ、小学校の低学年を神奈川県横須賀市で過ごす。発症当時の症状は全身倦怠感、発熱、発疹、関節痛など。倦怠感や疲れやすさは治らず入退院を繰り返しながら高校、大学に通学し、簿記やファイナンシャルプランナーの資格を取得するも、就職はかなわなかった。7年前から愛媛県西条市在住。結婚9年、育児6年。SLE歴は24年。
全身性エリテマトーデスは厚生労働省の「指定難病」ですが、医療費助成などに関する「難病の患者に対する医療等に関する法律」(「難病法」)が施行されたのは2015年です。障害者手帳のない難病患者の就労支援を含め、法や制度が整い始める前は、深い孤独の中にいました。病気自体治らないのだと、だんだん悲観的になっていましたし、大学を卒業しても就職ができず、絶望し、精神的にも追い詰められていました。そんな難病の人の孤独を解消したい、ひとりぼっちをなくしたい、というのが、活動を始めたきっかけです。
2019年にInstagramで始めた「難病days」では、これまで200人以上の当事者の方から、生きづらさについてメッセージを寄せていただきました。私からは医療情報や制度、家事・育児、日々考えていること、ライフスタイルなどを提案・発信し、皆さんの困り事についてライブ配信もしています。そこで目指しているのは、当事者がひとりぼっちにならないために難病の知名度を上げたいということです。
そして、地元で難病患者さんと交流できるように、住んでいる愛媛県西条市で「SAIJO難病カフェ」という団体を立ち上げました。この団体ではLINEオープンチャットを活用し、難病当事者も自分らしく生きられるまちづくりを目指して活動しています。1人1人の声は小さくても、皆さんの声で社会を変えたいからです。当事者にニーズがあることを届ける。この西条市での取組みをモデルケースにして全国に届けたいと思っています。
結婚しても育児をしていても、自分なんかが育てたら子どもが不幸になるとか、夫や子どもに迷惑をかけて申し訳ないと感じていた時期がありました。しかし、今は役に立っているし、色々なことが自分らしくできていると思えます。さまざまな症例の方から話を伺うことで、自分が持っている体の機能への感謝が生まれましたし、自分の得意なことを生かして自分にしかできないことをしているという自己有用感や、使命感があります。難病患者さんにも人格や知識、技術が優れたすてきな方がたくさんいて、出会うのが楽しいです。
まず当事者の存在を知ってもらい、困り事を理解している人を増やすことです。また、互いに支え合いができる難病ピア・サポートの充実も必要です。私も突き当たったような就労問題の解決や、医療費の在り方もまだ不十分だと思います。すべての人に支援が行き届いておらず、制度の狭間にある難病患者もいます。安心して治療を受けられる、誰一人取り残されない社会になってほしいです。支援を受けるのは恥ずかしいことではありません。
私は無職の時期をつらく過ごしましたが、今では人の価値は働いているかいないかだけでは決まらないと思っています。競争に勝たなくては、などという風潮には惑わされず、自分にしかできないことをやりましょう。私は夫や子どもをはじめ、大好きな人や、本当にやりたいことに出会えました。そういう出会いを大切にしてほしいです。
神奈川県 福祉子どもみらい局
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