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更新日:2021年6月15日
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令和3年第2回定例会の知事議会提案説明
本日、提案しました令和3年度補正予算案ならびにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
はじめに、新型コロナウイルス感染症についてです。
本県は、4月20日からまん延防止等重点措置を実施すべき区域に指定され、以後、2度の延長を経て6月20日まで重点措置の適用が継続されています。この間、県は措置区域を18市2町に拡大するとともに、措置区域内の飲食店等に対しては時短営業の要請に加え、酒類の提供やカラオケ設備の提供の終日停止を要請し、大規模集客施設に対しても時短営業を要請してきました。
まん延防止等重点措置は、感染拡大の兆候をいち早く捉え、適切なタイミングで必要な措置を講ずることで、感染爆発や医療崩壊を未然に防ぐことを目的としています。本県では、新規感染者数がステージⅢに相当する1日200人を超えた時点で速やかに重点措置の適用を国に要請しました。それに対し、県民、事業者の皆様が様々なご協力をしてくださった結果、感染力の強い変異株への転換が進む中にあっても、いわゆる第3波のような感染の急拡大を何とか抑えることができました。また、医療のひっ迫状況を示す指標もステージⅣに至らずに済んでいます。県民、事業者の皆様には改めて深く感謝申し上げます。
とりわけ、飲食店事業者の皆様に対しては、時短営業のみならず、酒類の提供停止という大変厳しい要請を行い、多くの事業者の皆様にはこの要請に真摯に応えていただいています。こうしたご協力に報いるためにも、協力金の速やかな交付に向け、鋭意取り組んでまいります。
一方、県の要請に応じていない事業者に対しては、感染拡大の防止や他の事業者との公平性確保の観点から、罰則の適用も見据え、法に基づく命令を行うなど厳正な対応に努めています。
また、2か月間に及ぶ重点措置の適用に伴い、酒類販売事業者など飲食店以外の事業者も売上げが大きく落ち込むなど深刻な影響を受けています。こうした事業者の皆様に対しては、国の「月次支援金」に一定額を上乗せするなど県独自の支援を実施すべく、今定例会に関連の予算案を提案させていただいています。
現在、新型コロナウイルスの主体は、アルファ株と呼ばれる変異株にほぼ置き換わっており、デルタ株による感染も徐々に拡大しています。
これらの変異株の大きな特徴として、従来株に比べて「感染力が強い」ことが指摘されています。そのため、生活の様々な場面で、「M」適切なマスク着用、「A」アルコール消毒、「S」アクリル板等での遮蔽、「K」距離と換気、の基本的な感染防止対策「M・A・S・K」、マスクの実践を改めて徹底することはもとより、特に人と会うときは、マスクをしていてもできるだけ短時間にし、さらに換気を徹底することが大切です。
とりわけ、感染対策の急所とされている飲食の場においては、飛沫感染リスクを低減させる取組をさらに推進することが重要です。そこで県では、基本的な感染防止対策に加え、マスク飲食を実施している飲食店を「マスク飲食実施店」として認証する制度をスタートさせました。これまで予想を上回る多くの申請があり、順次、現地確認の上で審査を進めており、先週までに381店舗を認証しています。
もとより、不特定多数の方が利用する飲食店において感染リスクを完全に解消することは困難ですが、マスク飲食をはじめとする感染防止対策を徹底することで、飛沫感染のリスクは相当程度低減されると思います。県では、全国知事会とも連携し、徹底した対策を実施している店舗を、時短要請の対象から除外することができるよう国に求めています。こうした運用改善によって、「マスク飲食実施店」が広がり、感染リスクの低減と経済の回復の両立が図られることを期待しています。
変異株のもう一つの特徴は「重症化リスクが高い」という可能性が指摘されていることです。年齢の若い方でも、また基礎疾患のない方でも重症化する事例が報告されています。
県では、こうした変異株による重症化リスクも踏まえ、仮に第3波のような感染の急拡大が起きたとしても確実に入院患者を受け入れられるよう、「病床確保計画」を見直しました。具体的には、神奈川モデルの認定医療機関と個別に協議を行い、フェーズごとの確保病床について協定を締結することで実効性を担保しました。さらに、最大確保病床も、従来の1,555床から1,790床へと大幅に増やしています。
また、こうした病床確保の強化に加え、自宅療養者を医療の視点でサポートする「地域療養」の神奈川モデルも構築しました。これは、地域の医師会や訪問看護ステーションと連携して、自宅療養者に対し、電話や訪問による症状確認のほか、オンライン診療や検査、入院の調整などの療養支援を行うもので、現在、藤沢市、鎌倉市及び横須賀市において事業を開始しています。今後は、このモデルを他の地域にも展開し、地域総ぐるみで患者をサポートする体制を拡充することで、新たな変異株にも対応できる持続可能な医療提供体制を整えてまいります。
ワクチン接種について、国民の4割以上が完了しているアメリカでは、今年第1四半期のGDPがコロナ感染拡大前の水準近くまで回復しています。このように、ワクチン接種は社会経済活動を正常化させる極めて有効な手段であり、接種の迅速化がコロナ収束の鍵を握ることから、本県においても、県民、事業者の皆様が、従来の暮らしや事業を一日も早く取り戻せるよう、全力でワクチン接種の促進に取り組んでいます。
県が実施主体である医療従事者向けの接種については、基本型接種施設の負担を軽減するため、約3,800という全国的にも例を見ない多くの施設を連携型接種施設として指定しています。そして、県が設置したワクチン配送センターを4月以降本格的に稼働させ、スピード感をもって接種を進めてきました。その結果、高齢者向けのワクチン接種に従事する医療従事者については、既に5月末までに接種を完了しており、それ以外の医療従事者についても6月末までに接種を完了する見込みです。
一方、市町村が実施主体である高齢者向けの接種については、7月末までに接種が完了できるよう、市町村を強力にサポートしていきます。5月には、県のワクチン担当部署に市町村ごとの担当者を配置し、市町村と緊密に連絡を取り合いながら、ワクチン接種に係る市町村のニーズや課題を把握し、支援策を実施する体制を整えました。市町村からは、ワクチンを接種する医療従事者の確保についての要望が数多く寄せられています。そこで、医師、看護師など必要な人材が市町村で接種業務に当たることができるよう、県立病院機構や県内大学と調整するなど、支援を実施しています。
また、当日の急なキャンセルにより貴重なワクチンを無駄にしないよう、「新型コロナウイルスワクチンキャンセル枠有効活用システム」を構築し、導入を希望する市町村に提供し、効率的なワクチン接種についても支援しています。
職域でのワクチン接種も始まります。働く現役世代へワクチン接種を広げていくことは、感染対策にとどまらず、経済活動を前進させるためにも大変有効な取組でありますので、県としてもこの取組を着実に進めていけるよう支援していきたいと考えています。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催についてです。
昨年3月、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響により東京2020大会の延期が決定しました。それから1年余り、県は、県内で実施される4競技を円滑に運営すべく、組織委員会等と連携し、また地元市町村、団体等と調整しながら、様々な準備を進めてきました。そして、いよいよ38日後には開幕を迎えます。
コロナ禍における大会で最も重要なことは、感染防止対策を徹底し、県民、選手及び大会関係者の皆様にとって安全で安心な大会とすることです。そこで私は、先月27日に、東京2020大会組織委員会の橋本会長に面会し、選手、大会関係者等に対する感染防止や感染時の医療提供などの対策を進めるため、組織委員会、関係自治体、医療機関など関係者がしっかりと情報共有し、連携して取組を進めていけるよう協議会の設置を提言しました。
そして、今月11日までに2回の協議会を開催し、選手や大会関係者に対する、より徹底した「バブル方式」による感染防止対策の必要性、陽性者が発生した際の「神奈川モデル」での受入れなどの課題について、率直な議論を重ねています。
また、直近の下げ止まりと言える感染状況に鑑み、今月28日から30日まで実施する予定の聖火リレーにおいては、公道でのリレーを中止することとし、さらに大会時のライブサイトについても開設しないこととしました。
ランナーとしての走行を楽しみにされていた皆様や一体感あふれるライブサイトでの応援を楽しみにしていた方々の期待に応えられないのは誠に残念でなりません。東京2020大会の競技が安全・安心な環境の下で行われ、人々の記憶に残る大会となるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。
次に、津久井やまゆり園の再生についてです。
津久井やまゆり園で発生した大変痛ましい事件から5年が経とうとしています。事件後、県は、「津久井やまゆり園再生基本構想」を策定し、これに基づき、利用者の方々が、安心して安全に生活できる場を確保すべく施設整備を進めてきました。また、この基本構想では、利用者一人ひとりが自らの意思が反映された生活を送れるよう、利用者の意思決定支援を重要な柱の一つとして位置づけて取り組んできました。
今年7月には新たに整備された津久井やまゆり園の開所式が予定され、8月にはいよいよ供用開始となります。今後は、この新たな施設から、本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限に引き出す、利用者目線に立った支援を実践し、その取組を県内の障がい者施設全体に広げていきたいと考えています。
事件を乗り越えて、「新しい障がい福祉は神奈川から始まった」「神奈川が変えたんだ」と後の世から評価されるよう、利用者目線に立った新しい障がい福祉の実現に向けて、取り組んでまいります。
それでは、ただいま提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案では、新型コロナウイルス感染症対策の推進など、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
まず、今定例会における補正予算案「その2」についてです。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、人流が減少し、経済活動への影響が全国的に生じることを踏まえ、その影響を受ける事業者に対し、都道府県が地域の実情に応じた支援ができるよう、国により、地方創生臨時交付金の特別枠として、事業者支援分が創設されました。
これを活用し、感染拡大の影響を受けている事業者に対する支援を行います。
国は、「飲食店における時短営業・酒類提供の停止」や「外出自粛」などの影響により、売上が50%以上減少した事業者に対し、4月から6月までの期間について、月次支援金として中小法人は月20万円、個人事業者は月10万円を上限に給付することとしています。
県では、時短営業や酒類提供の停止要請により、特に大きな影響を受けている事業者を支援するため、国の月次支援金の対象となる酒類販売事業者等に対しては、中小法人は月20万円、個人事業者は月10万円を上限に、月次支援金に加算して給付します。
また、月次支援金の対象とならない、売上の減少が30%以上50%未満の酒類販売事業者等にも給付対象を拡大し、同じく中小法人は月20万円、個人事業者は月10万円を上限に給付します。
なお、酒類販売事業者等に対する支援について、月次支援金への加算や対象の拡大を行う場合は、地方創生臨時交付金の協力要請推進枠として、必要額の8割を県に交付するという特別な財源措置が講じられているため、残りの2割に対して事業者支援分を充当します。
さらに、月次支援金の対象となる事業者のうち、酒類販売事業者等以外の事業者に対しては、中小法人は月5万円、個人事業者は月2万5千円を月次支援金に加算して給付します。
このほか、月次支援金の対象外の事業者も含め、中小企業等を幅広く支援するため、業態転換や新事業への取組等に対する融資を受ける際に必要となる信用保証料について、補助を拡充し、事業者の負担をゼロにします。
また、横浜・鎌倉・箱根といった観光地を抱える本県において、感染拡大の影響を受けている宿泊事業者を支援するため、機械換気設備の導入など感染拡大防止対策に要する経費や、ワーケーションスペースの設置等に要する経費に対して補助します。
さらに、地域公共交通サービスを維持するため、感染拡大防止対策を強化している一般乗合バス事業者やタクシー事業者に対し、消毒液の購入などに要する経費を支援するほか、中小企業者等におけるテレワークを推進するため、通信機器の購入経費等に対して補助します。
県では、令和3年度当初予算において、事業者支援の予算として、ビジネスモデルの転換等を行う中小企業等への補助、観光事業者への支援、県内需要の喚起、成長支援、働き方改革の推進等に係る事業費を計上しており、また、国においても様々な事業者支援策を用意しています。
こうした支援策に加え、今回新たな予算措置を講じ、これを速やかに執行することで、コロナ禍において影響を受けている事業者の皆様をしっかりと支援していきます。
補正予算額は一般会計116億1,800余万円で、財源につきましては、国庫支出金及び財政基金繰入金を充当しています。
次に、補正予算案「その3」についてです。
まず、医療提供体制の維持等についてですが、新型コロナウイルス感染症に対応する診療体制・検査体制を維持するため、行政検査に要する費用や入院医療費を負担するとともに、体外式/膜型/人工肺、いわゆるECMO(エクモ)や簡易陰圧装置などの医療機器等を整備する医療機関に対して補助します。
次に、生活支援等についてです。
生活困窮者の増加に対応するため、生活福祉資金の特例貸付を行う県社会福祉協議会に貸付原資等を追加で措置するほか、生活福祉資金の貸付額が上限に達するなど、新たに貸付が受けられず生活に困窮する方に対して支援金を給付します。
また、孤独・孤立で不安を抱える女性を支援するため、相談、訪問支援や窓口等への同行、生理用品の配布等を行います。
さらに、コロナ禍で一層深刻化している子どもの貧困などの社会的課題の解決を図るため、SDGsを道しるべに、多様な主体間のマッチング等を行うことで、「共助」の取組を広げ、その成果を発信します。
コロナ禍において、今まさに社会が直面している経済的困窮などの課題を解決していくためには、行政による公的支援に加え、様々な主体のパートナーシップによる「共助」の取組が不可欠です。
県としては、SDGsの理念の下、「共助」の持続可能な仕組みを構築し、具体的な課題の解決に向けて取り組んでいきます。
次に、新型コロナウイルス感染症対策以外の取組についてです。
農林水産物や食品の輸出拡大を図るため、食品製造事業者が行う輸出先の規制等への対応に必要となる施設や機器の整備に対して補助するとともに、高病原性鳥インフルエンザ等の侵入リスクに備え、生産者団体が行う防鳥ネットの設置等に対して補助します。
また、災害時における高齢者施設の機能を維持するため、非常用自家発電設備等の整備を行う事業者に対して補助します。
さらに、厚木高校の耐震補強工事において、着工後、想定以上の老朽化が判明したため、既設定の継続費を変更します。
補正予算額は一般会計368億1,700余万円で、財源につきましては、国庫支出金や財政基金繰入金などを充当しています。
このほか、県営住宅事業会計として、県営上溝団地及び県営追浜第一団地について、既存住宅等の除却、建築、移転支援等をPFI事業として一体的に実施するため、債務負担行為を設定します。
次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正18件、動産の取得4件、指定管理者の指定24件など、全体で48件のご審議をお願いしています。
まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
かながわボランタリー活動推進基金21条例の一部を改正する条例は、神奈川県住宅供給公社に貸し付けた賃貸住宅建設資金貸付金の全額償還に伴い、所要の改正を行うものです。
条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、17件の改正をお願いしています。
次に、条例以外の主な案件ですが、動産の取得は、本県の抗インフルエンザウイルス薬備蓄目標を踏まえ、行政備蓄用抗インフルエンザウイルス薬であるイナビル及びタミフルカプセルを買い入れるものなど4件の買入れをするものであり、指定管理者の指定は、塚山公園など24件のご審議をお願いするものです。
なお、令和2年度の一般会計の決算見込みにつきましては、現在計数を精査中であり、最終確定には至っていませんが、新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金を活用した事業における不用額の影響により、実質収支では大幅な黒字決算が見込まれます。
なお、これらの影響を除いた実質ベースでも、黒字が見込まれることを、併せてご報告申し上げます。
細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。
このページの所管所属は政策局 知事室です。