更新日:2024年1月4日

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令和6年 年始あいさつ

令和6年 年始あいさつ

日時:令和6年1月4日(木曜) 9時30分から9時50分


 皆さん明けましておめでとうございます。どんな新年迎えられたでしょうか。私は1月2日に、高熱39度まで出しまして、コロナかインフルエンザか疑って検査したのですけれど、陰性でした。しかしいまだに体調がすぐれないので、今回はこういう形での新年仕事始め式となりました。お許しいただきたいと思います。

 さて今年は元旦早々、震度7という、令和6年能登半島地震が発生し、被災県の発表では死者70名を超える大災害となっています。この地震で亡くなられた方々に対し深く哀悼の意を表したいと思います。また被災地では今もなお余震が頻発し、寒さに加えて大雨にも見舞われるなど、大変厳しい状況に置かれており、被災者の皆様に深くお見舞いを申し上げます。また現在も懸命な救助や復旧活動が続けられています。困難な任務に従事する防災関係機関や自治体関係の皆様に敬意を表します。この地震では広い範囲で、建物の倒壊や火災、がけ崩れが発生するとともに、東日本大震災以来となる大津波警報も発表されました。県では、地震発生直後に、庁内に災害対策支援チームを設置し、被災地の情報収集とともに、被災地への支援に取り組む体制を整えています。この休みの期間中も随時報告を受け、必要な指示を行って参りました。元旦早々、こういった業務に当たってくださった県庁職員の皆様にも心から敬意を表したいと思います。すでに県内では県警察が部隊を派遣し、救出救助活動に取り組んでいる他、横浜と川崎の消防が緊急消防援助隊として航空部隊を派遣しています。県としても、本日から、庁内に募金箱を設置し、義援金の募集を始めることとした他、本日早朝、全国知事会と連携し、連絡員を石川県に派遣し、被災地支援の連絡調整に当たらせることとしました。今後も支援チームや、この後開催する危機管理対策会議幹事会を中心に、庁内のすべての局が協力し、被災地からの応援要請に積極的かつ迅速に対応したいと思います。ここに、他人ごとではない、そんな思いを新たにするところであります。昨年は、関東大震災から100年ということで、様々に我々の防災体制を見直しました。しかし、実際またこういった大災害を目の当たりにすると、本当に気を引き締めないといけないと、改めて思う次第であります。

 そんな中、また大きな事故もありました。日本航空機が海上保安庁の飛行機と衝突して炎上するという、こんなことが立て続けで起こるのだなと思いましたけれども、しかし、あれだけの大火災に見舞われながら、航空機から1人の犠牲者を出さずに、けがをされた方はいらっしゃるということですけれども、全員を救出させたということで、海外メディアでも、奇跡だと捉えられているようですが、事前の準備がいかに素晴らしかったか、これが評価されているようであります。こういったことを教訓にしながら我々は、来るべき出来事に対して、ありとあらゆる準備、訓練、そういったものを徹底的にやるということの大事さを改めて肝に銘じたいと思います。

 さて、新しい年が始まりました。ずっと、「県民目線」という言葉を大事にしてきました。そして、選挙のときには、「県民目線のデジタル行政でやさしい社会を実現」というメッセージを出してまいりました。そして最近つくづく思うのは、やはり県民目線、当事者目線ということは、とても大事だなと本当に思います。

 暮れに「ともいきシネマ」というイベントを行いました。これは選挙のときに、いろんな当事者の方とオンラインで対話をしてきたのですが、その中で、医療的ケア児と、そのお母様方とオンラインで対話をしたことがありました。その中で、あるお母様から、「うちの息子に映画館で映画を見せてやりたい。それが私の夢です」。そういう言葉を聞いたわけです。映画館で普通に映画を見ることができない。そのことに今まで気づいてなかったので、それを何とか実現しようということで、この暮れにやっと実現することができました。県庁の若手職員が創意工夫を凝らしながら、様々なことに努力して、いろんな人を巻き込みながら、スポンサーにも大変協力していただきながら、見事な会を実現することができました。私もその場に行きましたけれども、生まれて初めて大きな画面で映画を見るということで、興奮、感動していらして、そのお母様たちを見ることができた。その時に何か心が温かくなるような気持ちがしました。本当に当事者の目線に立ってやれば、こんなまさにやさしい社会が実現できるのだな、ということを実感した次第でありました。

 それとともに、当事者目線ということで言うならば、リトルベビーハンドブック。これも、低出生体重、小さく生まれた赤ちゃんのお母様から、何とかしてそういうお子さんを育てるための母子手帳を作って欲しい。従来型の母子手帳ではそういう小さい体重で生まれたお子さんの書く欄が最初ない。それが非常に辛いのだと、その思いを直接聞いて、リトルベビーハンドブックというものを作り上げました。これができたときの、お母様方の喜びを見ているだけでも、やっぱりこの当事者の生の声に耳を傾けながら、それをしっかり実現するということは、行政にとって何としても大事なことなのだな、すごく痛切に感じたところでありました。

 そして今、「県民目線のデジタル行政でやさしい社会の実現」。様々なことが実現に向かって進んでいます。「消えかけ白線ゼロ」。これを目指す動き、これもどんどん今加速して進んでいます。これはまさに、利用者の目線に立てば、横断歩道が消えている。そしてドライバーからすれば、車線変更の線が消えている。「これ危なくてしょうがないじゃないか」。そういう思いに対して、まさにデジタルの力を使って、県全体の道路を一斉にデータとして把握して、引き上げた白線を次々次々に塗っていくということ、これを進めているということ。これは非常に県民の皆さんにとっては、すばらしいことやっているのではないかと思うところであります。

 それとともに昨年の暮れですけども、やっとできました。「かながわ子育てパーソナルサポート」。どうしてこの少子化の流れに歯止めがかからないのかと言った中で、やはり子どもを生み育てる、そのあたりに対していろんな不安を皆さんがお持ちなのだろう。その不安があるから、例えば出産・育児、そういったことが本当に自分たちでできるのか、経済的な問題は大丈夫なのか。特に、最近、女性の場合が多いですけれども、自分のキャリアと両立できるのか。そんな様々な不安がある。だから、子どもを生もうという気にもならない、そんなことが大きいのではないか。その不安を1つ1つ取り除いていく。その不安を1つ1つ取り除いていく。それはデジタルの力でできるだろうといったことで、「LINE新型コロナ対策パーソナルサポート」、その経験を生かして、「かながわ子育てパーソナルサポート」。これを作っていこうということを約束しました。そしてそれがようやく完成をしたといったことであります。これはよく見てみると、よくできていると思うのですけれども、スタッフがどんなところに苦労したかというと、市町村の情報とどのように紐づけるかと言ったことだったと聞いています。そもそも子育ては、市町村の役割というものが非常に重大です。それがそれぞれの市町村ごとによって違っている。そして同じ市町村の中でも、担当の役所によって必ずしも情報が共有されていない、そんなことも我々は発見することができたと聞いていますけども、こういったものをデジタルの線で全部つなげていく。そしてそれは、当事者の目から見たときに全部繋がっている。そんな形ができたということであります。これをこれから実際に使っていただいて、そして、まさに当事者の皆さんからの生の声、これからは生の声を聞きながらですね、どんどん改良を重ねていってもらいたいなと思っています。これ実は、県の職員からもすでにそういう声が上がっています。これはこんなふうだったらいいなとか、こんなことできないのかなとか、そんな声がどんどん上がっていますので、こういった声をどんどん吸い上げながら、このパーソナルサポートには、アンケート機能といったものがありますから、そういったもので、生の声を吸い寄せながら、そしてそれを的確に反映していく。そんなデジタル社会、デジタル時代ならではの、そういった行政をこれからも進めていきたいなと思っているところであります。

 それから、まさにこの県民目線のデジタル行政のある種、シンボル的なものになっているんじゃないのかなと思うのは、ライドシェア神奈川版ですね。利用者目線に立ったときにどうするべきかといったことに徹底的にわれわれはこだわったわけです。これも選挙期間中にいろんな様々な悲痛な叫びを聞きました。観光地から、せっかくインバウンドでお客さんがたくさん来てくれているのに、不満がいっぱい寄せられると。移動手段がないと。タクシーに乗ろうと思っても全然来ない。バスに乗ろうと思っても、バスの運転手さんもコロナでどんどん辞めてしまって、バスの本数がどんどん減っている。移動しようにも移動しようがないということ、そういった声になんとか対応したいといった声を聞いてきましたし、人口減少地域では、夜になったら本当に移動ができない。救急車で病院に運ばれた。処置が終わって、さあ帰ろうと思った。でも帰る車が無い、移動手段がないから、病院に泊まらざるをえない。そんなことまで起きているという話を聞きました。では、その利用者目線に立って、どうすればいいのかという中で、神奈川版ライドシェアと言ったものをわれわれは考えたわけです。ライドシェアというと、タクシー業界が反発するということは、はなから想定されていました。タクシー業界にとってみれば「冗談じゃない。我々が二種免許を持って、しっかりと安全確保しながら、安全運行管理しながらやっているのに、そんな素人のドライバーが俺たちと一緒になってやっていくのだということは、安全管理の面から見ても冗談じゃない、許せない。」という思いを持たれるのは、当然だと思いました。このタクシーの皆さんと一緒にやる形ができないかといったところから始まりました。それは、利用者目線だから出てきた発想だと思います。だったら、タクシー会社と一緒にやるライドシェアというものを新たに、独特に、特別に考えようではないか、これが神奈川版ライドシェアであります。ですから、地域、そして時間帯を限定する、いつでもどこでも、一般タクシーや一般のドライバーが来るわけではなく、この時間帯は、この地域は、どうしても移動手段がないところに限定した形でライドシェアをやってみようということでやってきました。

 この神奈川版ライドシェア案を出したら、三浦市からすぐに手が挙がって、今実証実験に向けて準備を進めているところであります。これもなぜこんなことができるかというと、アプリがあるからできるんです。このアプリの開発に若干時間がかかっていますから、新年度以降になりますが実証実験をやって、そして神奈川版ライドシェアというものも全国から注目されてますから、こんな形でできるんだということを見せて、これを全国に広げていく。コロナのときに、次々と重ねたこの神奈川モデルといったもの、ライドシェアの神奈川モデルといったものを作って、日本全体を変えていきたい、そんな思いでいるところであります。

 考えてみると、昨年話題になったchatGPTだとか、生成AIとか、そんなことを1年前に皆さん知っていたでしょうか。その言葉自体を。それがこの1年の間にあっという間に広がり、そして世界を激動していますね。わが神奈川県庁も、こういったchatGPTを使いながら業務をするといったことも始めています。この革命的なことというのは、これぐらい流れが速いわけです。この速さの中で我々は負けるわけにいかない。しっかりしっかりとこの流れについていきながら、新しいステージをどんどん切り拓いていきたいと思います。

 DXは今年からさらにさらに本格化して参ります。今、データ統合連携基盤を作っています。これに基づいてまずは防災DX、これを作ろうとしています。様々な情報、データを重ねることによって、お一人お一人に対してどんなことが必要なのか、これが見えてくるといったことを目指してしっかりとつくろうとしています。

 防災DXの後は、医療DX、ヘルスケアDX、そういう流れだと思っています。コロナのときに体験した、みんながもし病院に行ったら、とてもとても対応できなかっただろう。それがDXの力、まさにデジタルの力を使いながら、お一人お一人の状況を把握し、そして、限られた医療資源を、必要な人に的確に届ける。そして、わざわざ病院に来なくても、オンライン診療でも対応できる。そして薬も、わざわざ薬局に行かなくても、デリバリーでお届けすることもできる。こんな流れが、われわれはDXのそういう流れを垣間見たわけですから、これをさらにさらに、本格化させていくというのが、これからの流れになってくると思います。これは、世の中の大きな流れ、そんな中で、われわれはこの神奈川、3歩先行く神奈川として、これからも、どんどん新しい視点で、神奈川モデルを皆様とともに作っていきたい、そう思っているところであります。

 そのためには、やはり、目線、改めて強調したいと思います。県民の目線にしっかり立つこと、当事者目線にしっかり立つこと、これが大事だと思います。そのためには、これ最後に言いたくなかったんですけども、やはり言っておきましょう。「挨拶」というのは基本です。廊下ですれ違った人に全員挨拶をすると、挨拶をするといったことは、相手に対する目線に立っているかどうかと言ったことがある種、試金石でもあります。私は全職員とすれ違ったときに挨拶をしていますけども、いまだに私が「おはようございます」と言っても黙ったまま、頭を下げる人が多いです。声を出して、大きな声でお互い挨拶をしましょう、挨拶をし合いましょう。そういったところから、この目線と言ったことをお互い確認し合って、県民目線のやさしい社会を、皆さんとともに実現していきたいと思います。今年も頑張りましょう。ありがとうございました。

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