神奈川県農業技術センターで考案した「樹体ジョイント仕立て」は、ニホンナシ複数樹の主枝部を連続的に接ぎ木で連結し、直線状の集合樹として仕立てるもので、直線的な単純樹形が特徴です。そのため、主枝の延長や亜主枝を形成する必要がなく側枝管理が中心となること、また管理動線が直線化されるのでせん定作業は単純化されると考えられます。
(参考:ニホンナシの新しい仕立て法「樹体ジョイント仕立て」)
そこで、樹体ジョイント仕立てを慣行の仕立てである4本主枝仕立てと比較し、せん定作業時間及びせん定作業時に作業者が受ける精神的負荷を測定して、省力効果を確認したので紹介します。
せん定作業時間について
樹体ジョイント仕立てでは、4本主枝仕立てと比較して44%減少し、時間の短縮が認められました(図1)。
せん定作業時に作業者が受ける精神的負荷について
精神的負荷を受けることで高まるとされる唾液中のα-アミラーゼ活性を、せん定作業開始時と終了時に測定し、せん定作業によってどのくらい増加しているか調べました。
α-アミラーゼ増加率は、4本主枝仕立てでは136%、樹体ジョイント仕立てでは52%となり、樹体ジョイント仕立てで4本主枝仕立てより低く、精神的負荷が軽減されました(図2)。
このように、樹体ジョイント仕立てにおけるせん定作業の省力効果を評価したところ、作業時間が短く、作業者が受ける精神的負荷も低かったことから、樹体ジョイント仕立ては省力的な仕立て法であるといえます。