農産物の上手な利用法(梅酒/作り方のアドバイス)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
★ウメ
未熟なウメは苦みが強く梅酒原料として好ましくありませんが、熟していれば青ウメでも黄ウメでも利用できます。
青ウメを原料にするとさわやかな風味を持った、透明感のある梅酒ができ、黄ウメを原料にすると芳醇な風味を持った梅酒になります。
黄ウメを原料にすると梅酒がやや濁ってくるのは、ウメに含まれるペクチン質が焼酎の中に溶け出すためです。
★砂糖
砂糖の全量を一度にビンに入れると、ビンの底に沈んで溶け難くなります。
焼酎に砂糖を溶かしてからウメをつけると、焼酎に溶けた砂糖の濃度が高いため、ウメが急激に脱水され、シワシワになって、縮み、梅酒の歩留まりは多くなります。氷砂糖は徐々に溶けるためウメがふっくらとなります。
梅酒のウメをシワシワにしないためにはウメの中の砂糖の濃度に対し、焼酎に溶けている砂糖の濃度を著しく高くしないことがポイントになります。ウメの中に比べて外側の砂糖の濃度が高いとウメの中に砂糖が入るより早く、ウメの水分が外に引き出されてしまい、ウメがシワシワに縮んできます。氷砂糖は徐々に砂糖が焼酎に溶け出し、砂糖の濃度が徐々に高まるのです。上白砂糖やグラニュー糖などを使ってもウメがシワシワにならないようにするためには、何日かに分けて砂糖を少しずつ加えて、溶かし、徐々に砂糖の濃度を上げてください。
梅酒のウメを利用しないのなら、はじめから砂糖の濃度を高くして、ウメの実をググッと絞るように縮めてしまい、梅酒の歩留まりを多くするほうが賢いやり方でしょう。
また、砂糖を全く使わなくても梅酒をつくることはできます。この時はウメが全く縮むことがなく、ふっくらとした状態のままとなります。
★焼酎
焼酎はアルコール濃度35%の甲類焼酎・ホワイトリカーを使ってください。アルコール濃度が低いと梅を浸けたとき、梅の水分でアルコールが希釈され、アルコール濃度が低くなり、保存性に問題が生じることがあります。
芋焼酎、麦焼酎などの乙類焼酎は原料由来の香りがありますので、避けた方が無難です。こだわりがある場合や原料がそれしかない場合はやもうえませんが、ウメの香りを生かすには焼酎に香りがついていない方が良いでしょう。ウイスキーやブランデーを使うこともありますが、これも乙類焼酎の場合と同じに避けた方が無難です。
★原料の配合
好みによって、配合割合や熟成期間は工夫できます。極端にウメを多くするとアルコールの濃度が低くなり、保存性に問題がでることもあります。
砂糖は全く使用しなくても問題はありません。砂糖を使用しないと梅は縮んで皺になることはありません。フックリとした状態になっています。
左:砂糖無 右:砂糖有
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砂糖無
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砂糖有
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★梅酒のウメの利用
摘み出したウメはそのまま食べても良いですし、菓子やジャムに加工したり、料理に使うこともできます。
梅酒のウメ実の砂糖煮
柏木洋子さん(ふるさとの生活技術指導士)製造
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