農産物の上手な利用法(カリカリ梅漬け/作り方のアドバイス)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
★ウメの熟度
カリカリ梅漬けの原料に使うウメは若採りでなければなりません。果実を割って種(核)を見ると核の表面の色が白い状態ならカリカリ梅漬けの原料としてOKです。完熟のウメを使うと漬け上がりはカリカリしていても、保存していると、だんだんと軟らかくなってしまいます。
★ウメの収穫後の扱い
収穫したウメは可能な限り速やかに漬け込まなければなりません。収穫後の時間が経てば経つほど追熟してしまいます。また、収穫後はできるだけ低温に管理することもポイントになります。袋に入れておくと、ウメの呼吸熱がこもって、高温になり、ウメの熟度が進むばかりでなく、痛んでしまいます。
★漬け込みと塩の擦り込み
ウメの表面を塩でゴリゴリと擦り込みます。塩の結晶でウメの表面に細かい傷をつけ、果肉に塩が浸透しやすくなり、後から加えるカルシウムの浸透も速やかになります。漬け込みの時、塩をまぶしながら漬け込んだのではゆっくりと塩が浸透するので、速攻で漬けたとしても、ウメが活き活きとしているため、どんどん追熟してしまいます。追熟を止めるためにも塩の擦り込みが必要なのです。
★塩の添加
全部の塩を一度に加えると、ウメがキューッと絞られ、しわしわになってしまいます。分量の塩を2~3回に分けて加えると、ウメがキュッと締まることなく、ふっくらと漬け上がります。
★カルシウムの添加
ウメに含まれるペクチンがカルシウムと結合して、カリカリとした硬い組織を保つのに役立ちます。カルシウムは食品添加物として販売されている化成品を用いるのが簡便です。
しかし、一般家庭や農家では化成品を入手するのはちょっと難しいときもあるので、梅酢に卵や貝の殻を入れて溶かしたカルシウム液を作って利用するとよいでしょう。梅酢に卵や貝の殻を入れておけば徐々にカルシウムが溶けるのですが、急いで作らねばならないときは梅酢に卵や貝の殻を入れて加熱し、煮溶かしてください。煮溶かすとき、加熱をはじめ、梅酢の温度が上がってくるとブクブクと泡が出てきます。加熱の調整をしないと泡が激しくなり、容器から吹き出てしまいます。加熱するときは梅酢が吹きこぼれないように注意してください。
梅酢に卵や貝の殻を入れて加熱すると梅酢の有機酸とカルシウムが結合し、梅酢の滴定酸度が減少します。
カルシウム液の酸度 |
|
pH |
滴定酸度(クエン酸) |
梅 酢 |
2.26 |
3.12% |
卵殻入梅酢 |
3.12 |
1.90% |
シジミ殻梅酢 |
3.06 |
2.14% |
★漬け上がり
3~4週間で漬け上がります。歩留まりは小梅漬けが2400g(87%)、漬け液1350g程度になります。
★保存
漬け上がったカリカリ梅漬けは漬け込んだ容器入れたまま保存してもかまいませんが、室温で保存し、保存期間が長くなると、果肉が軟らかくなり、カリカリ感がなくなってきます。低温で保存するとカリカリ感を長く保つことができます。長く保存する製品は小さな容器・袋に分け、冷蔵庫に入れ、低温で保管してください。
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