農産物の上手な利用法(キュウリの醤油漬け/作り方のアドバイス)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
★塩抜き
塩抜きは塩漬けキュウリの太さ・厚み、下漬けの時の食塩量、調整状態、塩抜き用の水量とキュウリの割合、水の撹拌・交換状況によって異なってきます。
流水で塩抜きするのが手軽です。容器に調整したキュウリを入れ、水道のホースを容器の底に差し込み、水をチョロチョロ流します。水道のホースが容器の底に行っていないと水が交換されないため、塩抜きの効率が悪くなります。時々全体を撹拌することも忘れないで下さい。手入れをしないと塩抜きにムラが出ます。
溜水の場合、手入れ、水の交換をしないと塩が抜けません。時々全体を撹拌し、数時間ごとに水を交換して下さい。
手入れをするとき、キュウリの塩味を確認して下さい。外側は早く塩が抜けますが、内側の塩は徐々に抜けていきます。塩味がほとんど無くなるまで塩出しします。
★脱塩キュウリの水絞り
水で脱塩したキュウリは水ぶくれ状態になっています。水ぶくれ状態のキュウリに調味材料のショウガ、醤油、酢と味醂を加えると、水が少ないときに比べ、同じ味にするのにはより多い量が必要となります。水ぶくれのキュウリから水を抜くには布袋に入れて、加重をかけて絞ったり、遠心分離機を使うことが多くあります。加重をかけて水を抜くのは意外と手間がかかり、手間の割には水がよく抜けません。遠心分離機は短時間で水が抜けるのですが、機械が無ければなりません。
手軽に水ぶくれキュウリの水分を減らす方法として、天日を利用することが考えられます。天日を利用して水を抜く、言い換えれば天日で干して、水分を蒸発させる方法です。天気がよく、少しばかり風があるなら、8時間も干せば水ぶくれキュウリの重量は半減します。天気のよい日にザルに薄く広げて、干してください。
★調味
ショウガ、醤油、酢と味醂で調味します。ショウガはせん切りし、キュウリと合わせて、容器に入れ、醤油、酢、味醂を注ぎ込みます。ここに記した配合だと漬け上がりの塩分は1.4~1.5%、酸は0.8~0.9%となっており、漬け物としては塩味、酸味が薄めになっています。
甘味、酸味は好みで変えてかまいませんが、保存性を左右するほど濃くはできません。また、酢や糖の種類も好みのものが使えますが、使用する酢や糖の種類によって仕上がりの味、香、色が変わってきます。
★漬け込み
塩抜きしたキュウリと調味液を容器に合わせ、液の表面が直接空気に触れないようにして、低温の所において下さい。できれば、冷蔵庫のような10℃以下の低温の所において下さい。温度が高いと微生物が増殖する可能性があり、微生物の増殖により、風味が変わる可能性があります。時々、かき混ぜれば、2~3日程度で味が馴染んできます。
★キュウリの酢醤油漬の保存
このキュウリの酢醤油漬は殺菌処理をしなければ長く保存することができません。キュウリと調味液を合わせただけでは徐々に微生物が繁殖し、液が濁り、味や香が変化してきます。必要に応じて調整・加工するのが得策です。
どうしても長く保存したい場合には、小袋やビンに詰めて加熱殺菌して下さい。
この時、加熱温度が高いとキュウリの歯切れが低下します。殺菌条件は容器の大きさにもよりますが、小袋に薄く詰め、真空包装してください。
真空包装ができないときはポリエチレン袋内の空気を丁寧に押し出してください。熱の伝わり方を良くするため、袋に詰めた漬物は袋の中に均一に広げてください。
殺菌温度は75℃、20分を目安にして下さい。絶対に温度を80℃以上に上げてはいけません。温度を制御できる装置があれば使ってください。こういった温度を一定にできる装置が無ければ、大きな鍋に湯を沸かし、鍋の中にザルを入れ、そのザルの中に袋に詰めた漬物を入れてください。ちょっと面倒ですが、温度を一定にできれば何の問題もなく殺菌でき、長期間保存できます。殺菌処理した後はすぐに水で冷やして下さい。
水に入れて冷やさないと余熱でキュウリの歯切れが低下したり、味や香が変化してしまいます。殺菌処理したものは袋を開けなければ長く保存できますが、袋を開けたら殺菌処理をしないものと同じです。微生物が繁殖し、味や香が変わります。袋を開けたら、冷蔵庫に保管し、速やかに食べてしまいましょう。
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