農産物の上手な利用法(米こうじ(発酵機利用)/作り方のアドバイス)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
★米の水洗と水浸け
米は良く洗い、ぬか(糠)や異物の除去を完全に行って下さい。ザルに米を入れ、ざるの外側にザルよりも大きい容器を受けにして、米を水洗いし、ザルを引き上げて水を換えると手早く水洗いができます。
米は組織がち(緻)密なので、ややつけ過ぎるくらいの方がこうじがよくできます。吸水の程度は吸水した米粒を指先でつまんで強くひねると砕けるくらいです。当然、米の大きさ、水の温度により吸水時間が変わってきます。冬季ならば17~24時間、春先や秋口では12~17時間で、屑米を利用するときはその状態によりますが、冬季でも7~8時間程度になります。
★水切り
十分に吸水した米をザルに上げて、30分くらい水切りして下さい。ザルに入れ、ただ静かにおいてもみずは良く切れますが、ザルの底の部分は水が残りやすいので、水切り容器のザルが大きいときは気をつけてください。
★米の蒸煮
水切りした米を蒸気が通りやすいように蒸し器に軽く置き入れ、蒸気を通します。蒸気が米の全面を抜け、蒸し器の最上部から強い蒸気が吹き出してから25分~35分くらい蒸します。蒸米は「フンワリ」として芯まで熱が通っていなければなりません。蒸し加減は米粒を指先でひねってみて下さい。芯が無くなり、餅状になればOKです。蒸し時間は米の質、吸水加減、蒸気の強さで変わってきます。ひねり餅で確認するのが一番です。蒸しすぎも米が水を吸いすぎるので、注意しなければなりません。また、弱い蒸気で蒸すと、蒸気が米の中に水分として溜まるので、ベチャベチャとした蒸上がりになり、こうじ菌をつけるときに米がくっついて作業性が悪くなります。
★米の冷却
蒸しあがった米を蒸し器から取り出し、塊をほぐして、全体をかき混ぜながら、35~40℃に冷やして下さい。急激に冷やすと蒸米の表面だけが乾き、種こうじが均一に付きにくなります。
★種付け
蒸米を良くほぐし、種こうじが全体に、均一に付くようにしなければなりません。種こうじを全体にパラパラと振りかけても良いのですが、蒸米の一部に種こうじを振り、良く揉み込みます。こうやって種こうじが多量に付いた蒸米を作り、これを全体に振りかけ、米粒に傷を付けるように良く揉みながら、全体を攪拌して下さい。種こうじが全体に均一になるよう混合攪拌するのがポイントです。
★取り込みの温度
種付けを終えたら、発酵機に取り込みますが、このときの温度は製麹方式によって若干の違いがあります。発酵機を利用するときは取扱説明を良く読んで、温度管理をして下さい。ここで利用した発酵機の場合は35℃以上で取り込むと、温度を下げるためのファンがまわり、蒸米の乾燥が進み、蒸し米がカリカリに乾いてしまいます。
★切り返し
昔からのムシロ(筵)やこうじ(麹)蓋を利用した場合、取り込み後、切り返し、盛り込み、一番手入れ、二番手入れ、積み替えなどいくつかの操作がなされますが、この発酵機では操作が簡略化されています。
取り込み後、時間が経つとこうじ菌が繁殖し、全体の温度が上がり始めます。18~20時間くらい経つと、米粒のつや(艶)が無くなり、こうじの香りが漂ってきます。切り返しによってこうじの塊がほぐされ、上下が攪拌されるため、全体の温度が均一になります。また、こうじ菌に空気が与えられるため、こうじ菌の繁殖が促進されます。
★手入れ
切り返し後5~6時間したら、手入れを行います。こうじの塊をほぐし、上下を攪拌し、発酵機に戻します。外気・室内温度が低い中でゆっくりと手入れ作業をすると、温度が下がりすぎてしまい、発酵機に戻しても、温度がなかなか上がってこなくなります。極端に温度が下がらないよう、手早く行ってください。
★出麹
取り込み後42~45時間でこうじができあがりますが、標準的な時間を目安にこうじの状態を観察しながら判断して下さい。
良い米こうじとは(1)味噌のタイプに応じた酵素力価があること、(2)こうじ菌以外の雑菌に犯されていないこと、(3)はぜ(破精)落ちが無く、はぜ込み深く、着色が少なく、明るい感じのもの、(4)こうじとしての芳香があり、異臭の無いもの、(4)こうじを握ったときふっくらとした感触のものと言われています。
色の淡い味噌の場合は若麹がよいとされています。
味噌に使う場合は出麹と同時に煮大豆、食塩とあわせて仕込むのが最良ですが、すぐに味噌に仕込めない場合、食塩を混合した塩切りこうじにすることもできますが、1週間くらいでしたらポリエチレン袋に入れ、5℃の冷蔵、数ヶ月でしたら冷凍することでこうじの酵素活性を落とすことなく保存することも可能です。
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