ホーム > 電子県庁・県政運営・県勢 > 県域・県勢情報 > 地域の総合案内 > 横須賀三浦地域県政総合センター > 地域づくり > 令和6年度黒岩知事との"対話の広場"地域版 横須賀三浦会場 開催結果

更新日:2024年12月25日

ここから本文です。

令和6年度黒岩知事との"対話の広場"地域版 横須賀三浦会場 開催結果

令和6年度黒岩知事との“対話の広場”地域版 横須賀三浦会場開催結果

IMG_5506.jpg

横須賀三浦会場の概要

開催日時

令和6年11月6日(水曜)18時00分~19時30分

会場

ヴェルクよこすか 6階ホール

地域テーマ

未来への防災チャレンジ!~一人一人が地震防災対策を考えよう~

内容 1 知事あいさつ

2 事例発表

【事例発表者】

橋本 玄 氏(防災普及学生団体Genkai(玄海)代表)

奥村 奈津美 氏(防災アナウンサー×環境省アンバサダー)

3 会場の皆様との意見交換
4 知事によるまとめ
参加者数 167人

知事あいさつ

こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。IMG_5508.jpg
県民との対話の広場は、長期に県内の各会場で色々なテーマでお話をいたしまして、皆さんからのご質問に私がお答えしているものです。
私は元々テレビ局のキャスターをやっていました。普通、こういう会議は司会者が質問はありますかと聞いて、知事が答える、そういう感じですが、この場においては、私はキャスター兼知事の二刀流で参りますので、どうぞ皆さんご意見をいただきたいと思います。
対話の広場は私が知事になってからずっと続けてきたもので、今回で94回目になります。これまで参加された方は、合わせて1万4000人を超えました。私にとって非常にわくわくする場です。直接皆さんのお話をお伺いして、いい案だなと思ったらすぐに政策として実現することが今までもありました。そういう意味でもしっかりと有意義な時間にしていきたいと思います。
今年は、「いのち輝くマグネット神奈川」を年間テーマとし、地域ごとのテーマを選んでおりますが、この地域で選んだのは防災です。
元旦に能登半島で大きな地震があって、未だに大変なことになっています。あのとき指摘されたのが「半島」だということです。半島であのような地震が起きたら、交通から何から大変なことになって非常に難しいという話があり、神奈川県にも半島がある、三浦半島で地震が起きたらどうなるのかと思って呼びかけたところ、こんなにたくさんの方に来ていただきました。高校生の皆さんもたくさん来ていただいております。どんどん活発な議論をしていきたいと思います。
まず、防災について一生懸命やっていらっしゃるお2人の方に生のお話をお伺いします。
そのあとは、シナリオはありません。皆さんとトークを展開して参りたい、そう考えております。
1つ最後に宣伝をさせていただきたいと思うのですが、実はこの前に開催した「対話の広場」がテレビ番組で放送されます。今度の土曜日の、朝8時からやっているウェークアップという番組で、日本テレビ系ですけれども、その番組の中で、私の密着取材が行われます。
知事って何をやっているのかなということで、私がたまたま「嫌われた知事」という本を書いたので、そのことがきっかけとなって、私に密着取材がありました。そして今度の土曜日の放送も見ながら、県民との対話の広場ってこんな感じだったのかなと、これも想像していただければと思います。
それでは、最後まで有意義な時間をお過ごしください。ありがとうございました。

事例発表

(司会)

それでは続いて、本日のテーマに関連する事例発表をお2人の方にしていただきます。
初めに橋本玄(はるか)様をご紹介します。
橋本様は現役の大学生で、防災普及学生団体、Genkaiの代表として活動されています。
6歳の時に経験した東日本大震災の支援がきっかけで、防災関係の世界へ飛び込みました。
高校生の時に防災士の資格を取得され、現在は「好き×防災」をテーマに、新しい防災を発信するなどの活動を行っています。
それでは橋本様、よろしくお願いいたします。

 

(橋本氏)
皆さんこんばんは。
防災普及学生団体Genkai代表の橋本玄と申します。今日はお忙しい中ありがとうございます。私たちの取組について、少しだけご説明させていただきます。IMG_5461.jpg
私は大学1年生です。神奈川県の鎌倉市で生まれ育ちまして、今は横浜の大学に通っています。もともとずっと父親が医療関係の仕事をしていたこともあって、防災という世界に触れる機会がありました。その中で、自分の通っていた中学校の防災教育、これはやばいなというふうに感じて、そこをきっかけにGenkaiという団体を立ち上げた次第です。
皆さんで防災自体が好きな方はいますか。学校、学生時代を思い浮かべていただいて、文化祭や体育祭とか、いろいろ楽しいと言われる行事がありますけど、それと比べて防災の方が好きという方は少ないのではないでしょうか。
まあ、それが防災の現実です。難しいとか、お金がかかるとか、時間がないとか、結局何からやっていいのか分からない。災害なんてどうせ来ないでしょ。そんな面倒くさいことやっている暇はないよ、これが社会の見る防災だと思うんですね。ここに来てくださっている皆さんは防災というテーマを見て来られたと思うので大丈夫なのですが、私たちは、そういう防災訓練に来ない人たちに向けたメッセージを送っている団体になります。
テーマは先ほどご紹介いただきましたように、「好き×防災」で、防災を誰よりも楽しく真剣にというのをテーマにしています。
これはどういうことかと言いますと、大きく「好き×防災」は2つあります。
1つ目の「好き×防災」、これは何かといいますと、私たちのやっている目玉プログラムを2つご紹介します。1つ目が防災運動会というプロブラムです。
これは青春の醍醐味である運動会と防災を掛け合わせた「防災×運動会」のワークショップになっています。例えば、これは一例なのですが、訓練用消火器による初期消火とか担架を使って人形を運んでみる、土嚢を作ってその重さを体験してみるとか、心肺蘇生の練習をしてみるという、これを障害物リレー形式で小学生にやってもらうんですね。災害が起きたときに、小学生が実際にいわゆる防災行動を取れるかというとそうじゃないかもしれない。でも、大人になったとき、もうちょっと年上になったときに、「僕って何か守れるものがあるかもしれない」というのを体験してもらえるようなプログラムになっています。
実際に参加者の方を見てみると、地域の方だと、小さい子供から私たちの親の世代まで楽しく学べましたとか、また、学生が「今まで防災訓練の後に家族で話したことはなかった。でも、初めて家で防災の話をした。」、「近くのホームセンターに行って防災グッズを買うことにした。」、あとは「マンションの消火器をぶっ放した。」というのがありまして、それが良かったのか悪かったのかは別にして、防災が行動に結びついたのかなというのがあります。
それから、防災アドベンチャーというのもあります。これは、学校や地域の方を対象にやっているのですが、例えば、ミッションカードに沿って町を探索してもらいます。例えば鎌倉では14.5メートルの津波が10分で来ると言われています。そんな町に津波が来たらどうなるのか。すぐ避難しようとしても、津波タワーはいつも入ることができるのか。例えば、商業施設だから夜は入れない。そんなことはないかカードに沿って町中を探ってもらうプログラムです。
町の見学者が防災設備を見つけて、チームごとに発表する。さらに、自分だけのハザードマップを最後に作ってもらうというのが防災アドベンチャーです。
今まで何気なく住んでいて、自分の地域はまあ大丈夫だろうと思っていた。でも、実際に見てみたら、すごく危険な所があった。よくあるのは、地図上でハザードマップを見ている方がいらっしゃいます。多分、家から避難先までを点と点で結んでいらっしゃる。こういう方たちが、実はその点と点の間に大変危険なものが潜んでいたと、これではだめだ、別の避難ルートを探してみようというような事例がありました。
ここで重要なのは、私たちの目線で伝えることです。2人で始めた団体ですが、現在、中学生から大学生まで56名のメンバーがいます。皆、防災ゼロベースで始めた子たちです。そういう子たちが、私たちの目線、自分たちの視点で、同じ世代の人たちには「僕たちと一緒に防災やろうよ」、ちょっと上の世代には「私たちがこんなに防災をやっているのに、やらなくて大丈夫ですか」という投げかけをしながらやっています。
そして2つ目は、防災を自分のものにしてしまうということです。何かというと、まず1つは防災で夢を叶えるという言い方をするんですけれど、防災ってすごい汎用性が広いと思っているんですよ。
例えば、今日この後説明をされる奥村さんだったら、「アナウンサー×防災」とか、「メディア×防災」ですね。それから、他に「教育×防災」とか「建築×防災」、「土砂×防災」、「○○×防災」とか、本当に生活のありとあらゆるところに防災の要素が落ちているんです。その要素を夢とする子たち、例えば将来先生になりたい、将来メディア系で働きたいという子たちは、Genkaiに入ることによって、それと防災をかけ合わせて形にする。
今、やはり学校の中は、なかなかそれを形にする場所がすごく少ないじゃないですか。それを防災を通じて形にしていくっていうようなテーマを謳っています。
それから縦の繋がり、横の繋がりですね。学生団体って神奈川県内だけでもたくさんあります。鎌倉市にもたくさんあります。防災をやっている学生団体も関西に行けばたくさんあったりするのですが、その中でやっぱり見ていると学生団体は学校単位のところが多いですね。私たちの団体は、下は中学3年生、上は大学4年生。これだけの年齢の幅はなかなかないと思います。例えば中学3年生と大学4年生が同じテーブルを囲んで話したり、関わることってものすごく今、少ないと思います。
そういった時に、もっとフラットな関係で、自分たちの得意を生かしあえるような関係を作っていって欲しいということで、縦の繋がり、横の繋がりに着目した取組をしています。
それ以外にも、東日本大震災の被災地との交流も色々やっておりまして、岩手県の釜石市で伝承活動を行っている学生団体といろんな交流をしたり、最近は一緒に、彼らの記憶と知識とをかけ合わせてカードゲームを作ったりもしています。
それ以外に、元旦に発生しました能登半島地震も11か月を迎えるところです。1年前に起きた未曽有の大災害、先ほど黒岩知事もおっしゃっていましたけれども、三浦半島と同じような半島で起きてしまったということで、ものすごく大きな被害が出ました。
それに対しても、1月4日から、防災士の資格を持つメンバーが現地の社会福祉協議会と連携を取りながら現地に入ったり、あと、鎌倉でも地元産業応援ということで募金活動をして、現地の七尾市の牡蠣の養殖をやっている家族経営の所に寄付させていただいて、実際、6月にお邪魔したときに、その寄付で工事ができたということで、こんな大きな牡蠣を食べさせていただいたこともありました。
それ以外にもやっぱりこれがすごく難しいのが支援者の支援ですね。私たちが支援したのは東京から入っている支援団体で、珠洲市の方でボランティアセンターの開設を行っているNPO法人だったんですけれども、やっぱり被災地に直接支援する募金はあるけれど、なかなか支援者の支援がなくて困っているということだったので、こちらにも今回募金から寄付させていただきました。全体で90万円、5日間の街頭活動でメンバーが集めまして、それをそれぞれ寄付したような形になります。
私が能登半島に行って感じたことは、100の街、100の災害ということです。本当に能登半島地震は大きな災害でした。ただ、やっぱり見てみると、Aさんの家では大きな被害はなかったけれども、隣の家は完全に潰れてしまっている。Aさんの家では水道は出るけれどもBさんの家では出ないとか、本当に災害がいかにピンポイントなのか、支援も本当にピンポイントで探って支援していかなければならないのだなというのを強く感じた次第です。
最後になりますけれども、ぜひ皆さん最後に覚えていただきたい、Genkaiで提唱しております3つの勇気です。
生きる勇気。これは、どんな被災地でも、自分が被災したときにどんな状況であっても必ず生き抜くんだという強い信念をもっていただく勇気ですね。
それから信じる勇気。家族、親友、友達、きっと生きる勇気をもって活動してくれているだろうと信じること。
それから、最後、これは自分が能登半島に行って感じたことなんですけど、求める勇気。SOSを出す、困っています、トイレが使えなくなっちゃったんです、とか、ご飯がないんです、こういうSOSをどんどん皆が出していくことによって支援の輪が広がっていくのではないのかなというふうに思っています。
Genkaiではこうした防災の課題であったりというところを楽しく学べる、笑顔で学べる防災というのをつくりながら、これからも展開していきたいなというふうに思っております。以上です。ご清聴ありがとうございました。

(司会)

橋本様、ありがとうございました。
続きまして、奥村奈津美様をご紹介いたします。奥村様は、仙台での報道キャスター時代に 東日本大震災を経験されました。以来13年以上、全国の被災地を訪れ、取材やボランティアとして足を運ばれてきました。また、防災士や福祉防災認定講師など、防災啓発活動に携わるとともに、防災、気候変動をテーマに発信されている一児のお母様です。
それでは奥村様、よろしくお願いいたします。

 

(奥村氏)

よろしくお願いいたします。皆様改めまして、こんばんは。お忙しい中ありがとうございます。今日は、息子と参加させていただいております、防災アナウンサーの奥村奈津美と申します。IMG_5486.jpg
私はもともと地方局のアナウンサーを経験して、その後、東京でフリーのアナウンサーとして10年以上活動しております。私が防災に取り組むようになりましたきっかけは東日本大震災でして、当時仙台の放送局でアナウンサーをしておりました。
自宅マンション7階、震度6弱のエリアでした。皆さん、震度6以上の地震を体験したことがある方いらっしゃいますでしょうか。震度5と6、7というのは、まったく違った世界になってしまうんですね。この写真の部屋は、もとからあんなに汚かったわけではなくて、倒れるものは倒れて飛んでくるものはすべて飛んできてということで、こちらの左側の写真の冷蔵庫の上にあるオーブンレンジが自分の方に飛んできて、もしこれに当たっていたら今ここにはいないんじゃないかなと思います。
皆さんのご家庭、キッチンはしっかり電子レンジや冷蔵庫などを固定されていますでしょうか。家具、家電は飛びます。倒れます。大丈夫でしょうか。恥ずかしながら、災害報道に携わるような仕事をしているにも関わらず、私の家の中には安全な場所がありませんでした。
局内は様々な対策をしていましたが、至らないところがたくさんあり、このように災害報道に携わっていたんですけれども、実は局内も停電しておりまして、電波を飛ばすことすらできなくなってしまいました。放送局も被災します。
そこで、私どもは中継車を横付けして、皆さん画面を見ると、この写真のような放送が見えていたと思うんですけれども、私どもの会社では中継車で放送を出すことしかできませんでした。非常用電源がうまく動かなかったんですね。
そしてこの東日本大震災では大きな津波が押し寄せまして、町を飲み込んでいったわけです。こういった状況になると、皆さん何が困ったのか。大切な方と連絡が取れないということです。皆さん、今日ここにいることを大切な方に伝えていますか、ご家族に伝えていますか。もし、この場で地震が発生して津波が襲ってきたら探せますでしょうか。
あのとき、金曜日の14時46分、どこにいるか分からなかったんです。私ども地方局としては、警察に寄せられていた3,000名近い安否不明者の方と行方不明者のお名前を、2時間かけて「あ行」から順番に読み上げるという番組をしたりですとか、また避難所に出向いて、誰を探しているのかビデオメッセージで伝えるという、そんなこともして参りました。
現地では大切な方の安否が分からない、そんな状況になっていたんです。私が防災に携わる原点となったのが、石巻の日和幼稚園の津波被災事件です。幼稚園は高台にありました。ですので、とどまっていたら全員無事だったんです。ですが、大津波警報が出される中、なぜか送迎バスが海の方に向かって走り出します。
津波にのみこまれ、その後、この辺り一帯は大規模な火災が発生しました。延焼火災で5人の園児が犠牲になりました。
佐藤愛梨ちゃんという女の子のお母様とちょっと交流をさせていただいています。お母様の言葉、代読させてください。「知らないことが一番怖いこと。この幼稚園を選び、通わせたことを後悔している。自分ができることは、同じように悲しむ人が出ないように、この悲劇を伝えること。防災について考え、幼稚園、保育園、学校の防災マニュアルがどうなっているのか知って欲しい。」
自分では逃げられない、そういった方々がたくさんいます。その中で、その命を守る方たちがしっかり防災対策を分かっているでしょうか。担当者が分かっていればいいという問題ではなく、その場その場で一人一人全員が分かっていないと、命を守ることはできません。
ということで、この東日本大震災を経験して一番痛感したのは、災害が起きてからでは手遅れということです。起きる前の今日ならできることがたくさんあります。ぜひ、帰り道、家の中で家具の転倒防止をしていない場合は、ホームセンターなどで買って帰っていただいて固定する。そういったことを今日この場でやるという風に決断していただけたらなと思います。
ということで、この13年間は、今日のように自治体の方と一緒に防災啓発活動をさせていただいたりですとか、あと学校で防災の授業をさせていただいたりしています。またメディアを通して、テレビ、新聞、ラジオなどでも活動させていただいております。
昨日、マツコの知らない世界という番組に出演させていただきまして、ご覧になった方いますか。ありがとうございます。防災グッズの世界ということで1時間ほどお話しさせていただきました。TVerで1週間ぐらいは観られるということですので、もし、防災グッズに興味ある方いらっしゃいましたらご覧ください。
また、防災に関心のない方にいかに届けるのかというのをテーマにしておりまして、SNSのアルゴリズムを味方につけると、100万人とか本当に信じられないような数の方に情報が届くんですね。ですので、今は、インスタグラムやYoutubeでも情報発信をしております。
この13年間は残念ながら、毎年、激甚災害が起きています。地震だけではなく、水害を含めますと、本当に毎年なんですね。皆さんの身近な方、もしくは大切な方も被災しているかもしれません。この13年間は、その支援活動に携わって参りました。今日は、この元日に発生しました能登半島地震での被災地支援についてお話させていただきます。
私は神奈川県の防災アドバイザーを務めている国崎信江が代表を務めている一般社団法人危機管理教育研究所という所で、災害対応コーディネーターを務めさせていただいておりまして、その繋がりもあって、テルマエ・ノトプロジェクトというプロジェクトを行っています。能登にお風呂を届けようという取組です。被災地には、2か月間お風呂に入れていない方もいらっしゃった。
何故でしょうか。自衛隊のお風呂ってこんな写真のような形で、タンクとボイラーそういったものがセットになっていて、大きなプールのような浴槽が運び込まれます。
こういった階段を1段2段と登らないと入れない。ご高齢の皆さんが口をそろえておっしゃっているのは、自衛隊のお風呂は怖くて入れないということです。体が不自由な方はとても自衛隊のお風呂入れないです。そういった方が多くいらっしゃる福祉施設はどういう状況だったのか。志賀町の現状ですけれども、原発があります震度7を観測した志賀町にある福祉施設の2階が壊滅的な被害を受けました。
スプリンクラーが誤作動してしまって、フロア中が水浸し、またナースステーションもこのように壊れていて、浴槽があった2階も被災しておりました。入所者の皆さんは廊下にこのように雑魚寝状態。そして、1か月経ったときも、これ玄関です。玄関入ってすぐの廊下の所、50人以上の要配慮の方々のベッドが並べられていました。
トイレとかも見えていると思うんですけれども、こういった人間の尊厳がとても守られているような状況ではない。そういった中で、施設の方、スタッフの方は、懸命に自分たちも被災しながら、要配慮者の命を守っていました。ただ要配慮の方たちがお風呂に入れないということは、命に直結してきます。床ずれといって皮膚の疾患が起きたりとか、脳に血流が回らなくなって、そういったところで、健康状態が悪くなっていきます。
そこで、私たちは、在宅で介護されている方が利用されている訪問入浴車を活用したフェーズフリーな訪問入浴車で入浴支援をして参りました。訪問入浴車にはこのように組立式の浴槽と水槽、ボイラーがついています。
施設にはこういった受水槽がありますので、それを繋いでいって被災した方々に、廊下で入浴していただきました。寝たきりの方も入れるような浴槽になっています。
このおばあちゃんは102歳。初めてのお風呂が震災1か月後、2月の上旬でした。皆さん本当にすてきな笑顔を見せてくださって、顔色もすごく良くなるんですね。3か月間で延べ767人の方に入っていただきました。
お風呂の問題、やっぱり、このスローガンにもあるように命の栄養なんですね。寒い中お風呂に入れる。それは私たち一般の方にとってもですけれど、要配慮の方にとっては命に直結する問題になります。
ということで、それぞれ備えが違う、それが防災の難しさだと思っています。
どこに住んでいるのか、どういったご家族がいるのか、それによっても備える物が違う。これが防災の難しさだと感じておりまして、まずは、自分の家のリスク、家族として何が必要なのかというのを知っていただくために、「パソボ」というサービスを作らせていただきました。この後、場面転換で1分間ぐらいお時間があるということで、もしよければ、この1分間で、ご自宅にどのようなリスクがあるのか診断してみてください。「パソボ」とカタカナで検索していただければ出てきます。位置情報で、防災科研さんとか国土交通省のリスクを抽出してくれます。この会場は3メートル以上の津波が押し寄せる所で、直ちに避難が必要。垂直避難となりますでしょうか。
ですので、ぜひまずは大切な人を守るためにも、自分の備えが大事ですね。自分が助からなくては大切な方の命も守れませんので、ぜひ「防災は未来へのプレゼント」と思って、自分自身の備えを見直していただければと思います。ありがとうございました。

(司会)

奥村様、ありがとうございました。

意見交換

(司会)

 それでは、ここからは、黒岩知事に進行をお任せいたします。知事、よろしくお願いいたします。

(知事)

はい。ありがとうございました。何か、確かに考えるよい機会になったなと私も思いました。橋本さんはこんなに若くて、まだ19歳ですからIMG_5552.jpgね。これだけ防災のことを一生懸命にやっていらしてすごいなと思って聞いていましたね。それで仲間がどんどん増えているということで、今日もね、お仲間がたくさん来ていらっしゃるんじゃないでしょうかね。今日は高校生がたくさん来ていますから、今日来たことをきっかけに、また、ぶわーっとメンバーが増えるかもしれないと思っています。
奥村さんは本当にリアルな体験をされたんですよね。本当にね。その中での実感のこもったお話ですから、ああそうだなと思いました。
これから皆さんと議論していきますが、防災についてよく言われるのは、公助、共助、自助ということですね。公助っていうのは、まさに県の仕事ですね。要するに例えば地震がドンと来たその瞬間というのは、県が守ろうと思っても守れないですよね。
自助は、自分の身は自分で守る。まず第1ですね。
共助でちょっと落ち着いたら、周りを見ながら皆で助け合う。で、公助というのが、要するに行政がやるべき仕事ということですよね。その中でも防災というのは我々にとっても非常に大きなテーマなので、ありとあらゆることをやってきています。皆さんからご質問があれば、私自身お答えしたいと思いますけれども、今日のお二人の話は、まず自助というところに焦点が当たっているわけですね。自分が何をすればいいのか、何をするべきなのかといったことですね。お二人に共通して出てきた非常に興味深い言葉があって、これは我々にとって大きな課題なんですけれども、関心がない人にどうやって届けるか。これは何の政策をやるにしても難しいんですよね。
これをテーマで議論しまーす!といって集まってくる人は関心があるからいいんですけれども。関心がない人にどうやって届けるか、ちゃんと議論しながら、ちょっと考えていきたいなというふうに思っています。
それでは、これから何のシナリオもありません。お二人の話を聞いて質問でもいいし、私はこんなことやっていますっていうことでもいいし、意見でもいいし、なんでも結構です。それでは参りましょう。はい、どうぞ。
後ろの男性の、はい。高校生かな。

(参加者1)
横浜市金沢区から来ました。
話を聞いていて、少し分からない言葉が1つありまして、事例発表の中でも出てきた防災士というものが、初めて聞く言葉だったので、それはどういうものか、少し話を聞いてみたいなと思いました。
(知事)
なるほど、僕も知りたいですね。橋本さん防災士って書いてありますよね。
(橋本氏)
はい。
(知事)
防災士の資格はどうすれば取れるのですか。
(橋本氏)
はい。防災士なんですけど、防災士というのはぎりぎり民間資格なのですが、日本防災士機構というところが出している資格で、今、全国で20万人を超えたと聞きいております。
具体的には、例えば、運転免許などと違って、防災士の資格を取ったから何ができるというわけではないんですけれども、自分が防災士はいいなって思っていることは、まず、コミュニティがあることですね。
防災士会だったり防災士ネットとか、各地域にそれぞれいろんな防災士のコミュニティがあって、そこで町の防災を考えていける。防災士の資格自体は、一定量の防災知識と技能を身につけている人というものです。
(知事)
防災士の資格を取るには試験があるのですか。
(橋本氏)
そうですね、試験があって3日間で2日間の講習を受けて、80点以上で合格。合格率は90%ぐらいで非常に難易度が低いです。
(知事)
奥村さんも防災士の資格を持っているのですか。
(奥村)
はい。取りました。
(知事)
皆さんも取れますか。
(奥村氏)
そうですね。橋本さんは高校生の時に取られたということなので、中間テストぐらいの勉強量で取れるんじゃないかなと私は思っております。
(知事)
中間テストぐらいということで、大変だなと思うか、簡単だなと思うか、さあ皆さんどうでしょうかね。はい。ありがとうございます。ぜひ今度取ってみてくださいね。
はい。他にどうぞ。

(参加者2)
横須賀固有の事情を知事にもご理解いただけたらということで、お話したいと思います。
横須賀は、ご存じのように谷戸の地形が非常に多く、私が前に住んでいた田浦地区も同様で、京浜急行が谷戸と谷戸の間を縫うように走っています。昔から住んでいる方が多い地域ですが、車両進入禁止の踏切が非常に多く、高齢化が進んでいるのに、通所介護の車が踏切の手前までしか来てくれません。老々介護で、お年寄り同士が坂道を降りてきて、踏切を渡り切る前に警報機が鳴り出して、非常に危険であると聞いております。
もう1つが空き家問題。踏切から先、車が行けないので、新築や改築、修繕をするのに、人夫さんが手運びで足場を組んだり、壊そうにも、普通の所で見積もりを取るのに比べて1割5分から2割ぐらい高くなり、非常にコスト負担が大きいということで、皆さん新築改修に慎重になっています。ましてや、災害が発生したときに、車両進入が難しいと非常に機動力が落ちるのではないかと心配しております。
私は、2年前に引っ越す前に、地元の自治会の方と連携して、道路規制を担当する田浦警察署にお願いに行ったり、京浜急行さんの方にもお願いに行ったりしたのですが、警察署の理解は得られて、踏切は京急さんの私道なので、京急がよいと言ったら規制の変更については検討しますと言っていただいたんですが、京急の方は、人しか通れない踏切に車を通すとなると、拡幅工事をして、すれ違えるようにしなければならず、車両の重さに耐えられることも確認しなければならない。車用のセンサーもつけなければいけないが、これらの設置コストを地域の人たちで負担していただけるのであればという回答で、実際そんなお金は無理ということで結局交渉がそこで止まってしまったんですが、そういった踏切は、市内で結構多いと思いますので、これを解決してくれとは言いませんけれども、横須賀はそんな所なんだっていうことをぜひご認識いただけたらと思います。

(知事)
ありがとうございました。それは切実な問題ですよね。今回、半島ということで浮き彫りになった課題というのは、やっぱりそういうことなんでしょうね。道路が突き当たっちゃったら、もう次に行けなくなっちゃうということと、それから木造家屋がバーッと崩れていますよね。
実はこの間、川崎で全国都市緑化フェアをやっていまして、この中で全国都市緑化祭というのがあって、佳子様が来られてセレモニーがありました。そのときに全国都市緑化祭の委員長は住友林業の社長さんなんですけれども、彼が佳子様と一緒に会食をしながらこんなことを言っていましたね。能登半島で木造家屋がバーッと倒れた。だから木造は、ああいうときはまずいよなっていう雰囲気を皆思っているけれど、それは違うんですよって一生懸命おっしゃっていました。木造だからあの地震で倒れたんじゃなくて、耐震構造ができていなかったから崩れたんだということ。やっぱり木造家屋をもっと増やしていこうというか、実は、木をもっと使っていこうという大きな流れがあって、その時、面白い話をしていましたね。
奈良の法隆寺などの建物は1000年以上経っている。あれは木造建築なんですよね。だから、もしかしたらコンクリートで造ったものよりも、木造建築の方が実は、うまくやれば、長く使えるっていう証拠でもあるわけですね。奈良のああいう所っていうのは、最先端の耐震構造の知識でできていて、だから未だに残っているというようなことが実はあるんだなっていうのは、今の話には直接的には繋がらないんですけれども、やっぱりその中で、道の問題なども、実は、こういう解決策があるんだとか、車が入らないから踏切を拡大して何とかしろと、これえらい騒ぎになってしまうのでできないとなったときに、いろんなところで知恵を絞りながら、その分を皆でどうやって助けていくのか。
今いろんな乗り物がありますよね。車だけじゃなくて、いろんな乗り物が。そういう物を入れていくとか、これからは時代がどんどん進んでいく。例えばそこにロボットを導入していくとか、ドローンなんかも飛んでくるし、これから空飛ぶ車なんかも出てくる。それからドローンで引き上げて持ってくるといういろんなことがこれからあるのかなということを思いながら聴いていました。
はい、他にどうぞ。

(参加者3)
本日は貴重なお話ありがとうございました。逗子市にあります聖和学院高等学校です。
本日、奥村さんの発表で、お風呂を被災地に届けるというお話があったと思うんですけど、もし、銭湯とかお家のお風呂の中に入っているときに地震が起きたらどういうふうに行動したらいいのかっていうのをお聞きしたいです。
(知事)
なるほどね。被災地のお風呂を支援するっていう話ではなくて、お風呂に入っているときに地震にあったらどうしましょうか。
(奥村氏)
ありがとうございます。先ほどの知事のお話にもあったように、まず、家が頑丈な家かどうかで行動が変わってくるかなと思います。
例えば先ほどの耐震基準っていうのを満たしていない家の場合は、揺れたらすぐ家の外に出ないと家の下敷きになってしまうんですね。1981年6月よりも前に建てられた家の場合は、やはりさっと拭いて、拭く時間はないかもしれないけれど、タオルをかけて、大切なところを隠して家の外へ。
逆に耐震基準を満たしている家の場合は、倒れてくるものとか飛んでくるものがない場所で、まずは揺れに耐える。本当に震度6以上の揺れだと、その場から動くことが難しいんですね。地球から振り飛ばされそうな、そんな揺れになってしまうので、拭いたりすることも難しいときはその場で安全を確保するっていうことしかないかなと思います。
(知事)
少なくともお風呂には、さっきおっしゃっていた、上の方に重たいものがあるということはあまりないんじゃないですかね。
だから、バスタブの中は実はある種、安全かもしれないね。すぐに飛び出さないってことだね、地震を耐えて。そこはね、テレビが飛んでくるとかはないでしょうね。
(奥村さん)
そうですね。
(知事)
お風呂にテレビがついているところだったら別かもしれませんけどね。そこは少し耐えていただいて時間を待ってから、ちょっと様子を見て、ちゃんと体拭いて、服を着て、出ていく。ぜひそういうことで、いざそういうときには、心掛けていただきたいと思いますね。
(奥村氏)
そうですね。
(知事)
はい、では次どうぞ。
いかがですか。はいどうぞ。

(参加者4)
鎌倉市から参りました。
鎌倉は観光客がたくさん来て、今、インバウンドが増えています。そういった中で防災活動をどうしたらいいか、津波が来る可能性も高いということで、いろいろ議論はあるのですが、なかなか具体的な案が出ないのが現状で、もしお知恵があったらありがたいなと思います。
(知事)
これは非常に大きな課題ですよね。コロナが終わって、外国から観光で来られている方がどんどん増えて、その方たちがいざという時どうするのか。日本人の場合は、ある種、地震については他の国に比べると結構慣れているというか、地震は来るものだというのはもともとあるし、地震が来たときにはどうすればいいか聞いたこともあるかもしれないし、土地勘もあったりするけれども、外国からふらっと来ている方にとってみれば、いきなり地震があったりすると何をすればいいか全然分からない。どこに避難とか言ったって避難所って何のことを言っているのか分からない。そういうことは当然あります。
そういった方々に対して、我々DXの力を使ってなるべくご案内する形を考えているんですよね。
今日はそういう話があまり出ていないですけど、防災DXというのは、我々大きな課題だと思っているんですね。DXとは、デジタルトランスフォーメーション。デジタルの力で世の中どんどん今変わっていきますからね。そうしたデジタルの力の一番大きなところは、皆さん、LINEとかやっているでしょう。ピッと皆さんのところに非常時に情報が飛んでいくんですね。
県はコロナの時にコロナLINEパーソナルサポートというのをやっていました。最初はコロナ電話相談だったんだけど、どんどん患者さんが増えて皆が電話してきてとても対応できないということで、LINEのコロナパーソナルサポートというものを作った。そうすると皆さんがそれによって情報のやりとりができるということになって、あれだけたくさんの患者さんが出たけれども、普通の病院医療を守りながら、コロナ対応ができたということなんですね。
これを生かしていこうというふうにしています。それで、今、この中でどうですかね。かながわコロナ防災パーソナルサポートというものを神奈川県は作ってもう既にやっているんですが、登録していますよという人います。いない。ほんの数人、県の職員だけみたいですね。
いいですか、かながわLINE防災パーソナルサポート。これを絶対入れてください。そうすると、プッシュ型って分かりますか。プッシュ型っていうのは、皆さんが問い合わせをしなくても皆さんの方に情報が飛んでくるんです。
ここに行ってください。あなたはここに逃げてくださいと、一人一人に飛んでいくんです。
そういったものを、要するにこれから外国から来られている人にも、そういうものが届いていくような仕組みを考えている。
かながわLINE防災パーソナルサポート、私は登録していますから、向こうからポンと情報が来るんですね。そうするといろんな項目があって、いったい自分の避難所はどこなのかな。ピッてやるとすぐ分かる。
こういうのを積み重ねて、将来どのようにやろうとしているのかと言ったら、防災DXというのは、いろんなものをデータにしていこうと思っていて、例えば、浸水予測図っていうデータがあるんです。大雨が降った。川が溢れた。その時にここがまず溢れますよ。次はここですよ。浸水予測図というものもあるんですよ。皆さんが住んでいる所に全部あるんですよ。
さあ、台風が来ました。雨雲が近づいています。雨のデータと浸水予測図のデータを重ね合わせます。それと、皆さんのそばのどこに避難所があるかで、あなたは、例えば移動が困難な人かもしれない。そういう情報を重ね合わせてくると、あなたは今この時点で、この避難所に行ってくださいという情報がポンって来るんですよ。
実は能登半島の地震のときも、防災DXは、神奈川県で準備していたものを、そのまま能登半島に持って行ったんですよ。実は神奈川県はそういう意味で防災DXについて、かなり先進的に準備していました。準備しているときに、能登半島地震があったので、責任者が真っ先に飛んでいきました。そうしたら、通信が途絶えてしまっているということでスターリンクという衛星通信ができるシステムをすぐに持っていって、そして帰った職員からいろいろ情報を聞いたら、例えば、避難所にいろんな人が避難していますね。避難したって言っても、そのままずっと避難所にいるのか、自宅に帰っちゃったのか、親戚の家に行っちゃったのか、誰も分からないんですよ。誰がどこにいるのか全然分からない。
しかも避難所じゃない所にも自然発生的に集まって避難所代わりにしている人もいる。誰がどこにいるのか全然分からないという状況だったんです。その時に、カードリーダーを、バーッと避難所に置いていって、そしてSuica、PASMOあるでしょ。あれをバーッと皆さんに配って、そこに情報を入れて避難所でピッとやったらそのデータが一瞬にして、市町村、県、国に集まるようになっている。この人は今ここにいるんだ、家に帰ったんだ。ピッてどこに行ったかすぐに分かるようにして全体像を把握していったということをやっていったんですね。
これがこれからの防災の大きなモデルになってくるといいますね。これを神奈川県にまた持って帰ってきて、さらにそれをブラッシュアップしようというような、さらに準備をしているところであります。
はい。ということで、どんどんお話をしていきたい。
じゃ、黄色の方どうぞ。

(参加者5)
横須賀工業高校です。私は横浜から横須賀まで通っているのですが、三浦半島には、国道16号、横浜横須賀道路、それと国道134号がありますが、台風や地震、津波などが来たときに、道が一つでも止まると、帰れなくなったりアクセスができなくなるのですが、神奈川県では、こういう時、物流やライフラインについて、どのようにしようとしているのかお聞きしたいです。
(知事)
これは、なかなか難しい。半島ならではの問題というのは、やっぱり難しいですよね。能登半島地震でも、道が途切れて行けなくなるということがありました。だからそういうときには、海を使うという方法が1つありますよね。
三浦半島は海に面しているわけです。ですから、海を使っていろいろな形で救出していく、道が切れたときに、車を動かすというのは難しいですよね。いつどこで切れても、どこでも走れる道を作ってくれと言われても、それはなかなか難しいけれど、いざというときに、何とかして命を救うための方法はどうあるべきなのかと言ったときに海の活用があります。今度、国の方でも病院船を作る構想が、ようやく動き始めたみたいですね。昔から構想はあったのですが、病院船はなかなか現実化しなかったんだけれども、ようやく海からの支援が動き始めたようです。患者さんが出て、道が途絶えて患者さんを運べないといったときに、海に出て、病院船に乗ってもらったり、あといろんな物資を届けるときも、さっきも言ったように、防災DXでマイナンバーカードってあるでしょ。あれをピッとやってもらうと、この人は普段どんな薬を飲んでいるのかが分かるわけ。そうして、道が途絶えたときにこの人はこの薬が必要なのだろうと判断して、その人にドローンで届けるというような、そういう形の展開というのがあり得るなというふうに思っています。よろしいですか。はいどうぞ。

(参加者6)
何度も申し訳ありません。今、船という話がありましたが、地震があったとき船は使えなかったと聞いています。津波によって物が浮いているとか、木材があったりとかして無理だということで、何か、平たい道が一つでもあればという話があるんですが、そういうことは考えていないのでしょうか。134号線も津波等でやられたときに道がないっていうのが一番怖いなと思っているので。すみません。船ももちろんいいです。
(知事)
大きな道を三浦半島にドーンと作るというのはなかなか現実的じゃないでしょうね。そのためには、森をどんどん伐採して、そういうことでよろしいのかどうか、この辺の調和ですよね。だから、いろんなことが想定されますけれども、海で全部何とかなるって言っているわけではなくて、津波で船が沈んだりしている時もあるかもしれないけれども、海というのは割と安全な所からやってくるということだってあり得るだろうし、いっぱい浮いていたとしても、そこから小さなボートに乗って行くこともあるだろうし、いろんなことがあると思いますけどね。
また、ヘリコプターで吊り上げていくっていうこともあるでしょうしね。いざとなったらありとあらゆることをやっていくということになってくるとは思います。ただ、100%完全に守ってくれっていうのは無理ですよね。これは、どう考えても無理ですよね。だから、できるだけ何とか一番いい形に皆で知恵を絞ってもっていこうということだと思います。
他にいかがですか。はいどうぞ。一番前の女性。

(参加者7)
聖和学院中学校1年、横須賀市在住です。
単刀直入になってしまうんですけど、家にあるものでできる耐震対策についてお伺いしたくて、部屋のレイアウトを変えるとか、物の置き方を変える工夫をしてできる耐震対策についてもお伺いしたいです。

(知事)
いい質問ですね。中学1年生ですか。うれしいですね、中学1年生がこうやって関心持って来てくれるっていうのはね、奥村さんどうぞ。アドバイスお願いします。
(奥村氏)
ありがとうございます。まずは、ご自身の部屋を見直していただきたいんですけれども、寝ているときに、ベッドの布団の上に倒れてくるような場所に家具を置いていないですか。レイアウトを変えるというのは、ただでできることなので、今日帰ってみて、位置をちょっとずらすとか。あとは、腰よりも高い家具は固定するという話になってくるんですけども。転倒防止対策器具というのはネットでも買えますし、ホームセンターでも買えるので、保護者の方にお願いして、もし腰よりも高い家具を置いているのだったら、それをしっかり固定する。できそうですか。重いものを下において軽いものを上に置くだけでも倒れ方や被害は、ちょっと変わってくるかなと思います。
(知事)
橋本さんはありますか。
(橋本氏)
いや、もう今、奥村さんが言ってくださったとおりだと思うんですけど、やっぱり、100%ってなかなか難しい。ただ、少しでも安全な場所を1つ作っておくっていうのは大事で、例えば、この部屋は私の要塞だという部屋を決めて、何かあったらここに飛び込めば、この部屋には何もない。
あとは、1階2階が分かれている2階建て以上お家に住んでいる方なんですけど、結構防災グッズを玄関に置いておくという方が多いんですよ。そうすると、例えば、家のそばに川が流れていたりすると、津波とかで川が氾濫してしまってどうしても垂直避難で2階に避難しなきゃいけなくなったときに、玄関に置いてあったせっかくの防災グッズが流されてしまって使えないなんてことになるともったいないので、ぜひ、津波浸水地域や河川の近くに住んでいらっしゃるような方は、2階にも防災グッズを置くとかして、家の要塞化、この家があれば私は何とかなるかもしれないという家を作ってもらうこと。あとは、車とかに防災グッズを置いておくっていうこともありなのかなと思います。
(知事)
はい。いいですか。はい、ありがとうございます。他にどうですか。はいどうぞ。

(参加者8)
聖和学院高等学校です。
災害後の復旧活動に参加するためには、どのような準備や心構えが必要ですか。
(知事)
じゃあ、実際の経験者の方どうぞ。
(奥村氏)
ありがとうございます。
まず自分の身の安全を確保できるような状態にするっていうのが大事かなと思うんですけれども、被災地に支援に行くときも、自分が被災地で支援するときも、やっぱり自分が食べるもの、飲むもの、着るもの、そういったものは全部自分で用意した上で入るということがすごく大事なんですね。被災地や被災した方に迷惑をかけないというところで。そういう装備を事前に知っておくということ。
あとは1人で行動するのは難しいので、例えば自治体がやっている社会福祉協議会の災害ボランティアセンターというところが立ち上がるので、そこに事前に申し込みをしたりして参加するですとか、先ほど防災士の話でも、そうした生活をしているって話があったんですけど、防災士の資格をとって、防災士会に入って、その団体として活動するですとか。皆さんの活動にもここで参加をして一緒に活動するというのもいいのかな。
(橋本氏)
ありがとうございます。ぜひおいでくださいって感じです。ただ、自分は能登半島に1月4日に入ったんですね。1月4日っていうと、覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、1月3日に石川県知事が能登半島に来ないでくださいというような発言をされました。
これによって、すごく自分も悩んだんです。自分が行ったのは実は富山県と石川県の境の小矢部市という所なのです。ここは、1月2日の時点で、ボランティアセンターを立ち上げて、高速道路の無料措置もとって、ボランティアの受入をしたんです。という感じで、とにかくやっぱりリサーチが必要。事前にリサーチをしてどこに行くのかしっかり決めた上で行くこと。先ほど奥村さんが言ったように自己解決が重要なのかなと。
あと、一番覚えておくべきことで方言っていうのがありますね。能登では「きのどくだね~」と言われます。変な話、立場的には逆じゃないですか。支援している側は被災したわけではないし。でも「きのどくだね~」ってたくさん言われて、後で出身の支援の人に聞くと、「きのどく」っていうのは、能登で最上級のありがとうという意味なんです。本当にあなたの時間を私に使ってくれて申し訳ないね、きのどくだねって意味だって聞いて、ちょっと方言も調べてから行かなきゃいけないかなと痛感しました。
(知事)
現場感溢れるお話ですよね。だからボランティアの力ってものすごく大きいですよね。ただ、ワーッて皆で行っちゃうと、もう現場は大混乱っていうか、しかも、ただ単に何の用意もしないでバーッとやってきたら、その人の食べる物どうするのかとか、被災された方の食料を食べなきゃいけなくなっちゃうとか。そうすると気持ちだけでドーンと行っちゃうと、逆に迷惑になっちゃうということもあるということですよね。
だから、今まで阪神大震災とか東日本大震災とかでそういうことを経験しながら、ボランティアの受入窓口を作って、そこが全部対応するという流れをだんだん作ってきたっていう、そんな感じがありますよね。
どうですか。橋本さんの活動に参加したらどうですか。いざというときに、ボランティアとしてバーンと行って活動できるかもしれませんね。はい、ありがとうございました。
はい。それでは後ろの方、黒い服の女性

(参加者9)
聖和学院高等学校から参りました。私の親戚が地震発生時に仙台に住んでいて、奥村さんと同じように被害にあったのですが、地震発生時にエレベーターの密室の中だったんですね。なので、エレベーターの密室の中で災害が起きた時にどのように行動をしたらいいのか教えてください。
(知事)
はい。そういうことありますよね。どこで地震が来るか分からないですからね。
(奥村氏)
私は、毎日、エレベーターの中で、24時間閉じ込められても大丈夫なように、防災ポーチというのを持ち歩いておりまして、飲み物とか、携帯電話の予備バッテリーですとかあとは携帯用のトイレ、トイレというのは我慢できないので。
幸い、最近はエレベーターの中にそういったトイレだとか、備蓄されている所も増えてきてはいるんですけれども、そうじゃない場合もあるかもしれない。そういったものを携帯することで、備えることができるのかなと思います。あと、やっぱりエレベーターは危険なので、自分で脱出しようとするのではなく、緊急のボタンが付いているので、そこを諦めず押し続けるということが大事かなと思います。
(知事)
すごいですね。いつも持っているんですか?
(奥村氏)
リュックの中に入っております。
(知事)
すごいですね。それはもう完璧ですよね。確かにね、ちょっとの時はどうなのかなと思いますよね。よろしいですか。はい。それではいかがですか。はいどうぞ。

(参加者10)
初めまして防災普及学生団体委員会Genkaiです、川崎に住んでいます。先日、知事がリハックというネット番組に出演されていたと思うんですけれども、そこで未病という考え方について、とても情熱的に訴えておられたのがとても印象的でした。その中で、未病っていうのは、やっぱり避難所の運営についても、かなり近いところがあるのかなと思っているんですけども、未病の考え方を用いて、どうしたら、避難所で生活している方々の健康を守れるのか、そういったことについて知事のお考えを伺いたいと思います。お願いします。
(知事)
ありがとうございます。リハック見てくれましたか。
未病っていうのはね、県がずっと言っていることで、真っ白の健康があって真っ赤な病気があって、健康か病気かじゃなくて、健康と病気のグラデーションで連続に繋がっているのが未病ですね。病気になってから治すんじゃなくて、未病、グラデーションのどこにいても、少しでも健康の方に持っていこうとすることが大事ですねとこういう話なんですね。この考え方、いいですか、「白赤モデル」から「グラデーションモデル」という転換なんですね。今、言った未病というのは、人間の健康の話をしています。でも、必ずしもそうじゃない、ありとあらゆる物をグラデーションで捉えるっていうことは、とっても大事ということ。白か赤か!じゃなくて、いろいろ繋がってるよねっていう発想ですよね。
だから、地震が起きたってときには、白か赤、起きる前、赤かもしれないけども、いつ起きるか分からないっていう発想だって、グラデーション的な発想っていうのは当然、出てくるわけですよね。だから、グラデーションだったら、赤の方に行かないように、この辺で何とかする方法はないかな。そこに行かないようにするために何とかする方法はないかな。いろいろ考えるということだと思うんですよね。
この中で例えば、トイレ、さっき、ちょっと出ましたけど、僕は大きな地震や災害のときに、トイレってすごい気になる。僕はもともと神戸出身なんですよ。阪神大震災が起きた時は、僕はテレビのキャスターをやっていましたけれども、すぐに、現場に飛んで行って、いろいろ取材をしたんですね。その時は、うちの両親が住んでいた所は奇跡的に大丈夫だった。さっき、橋本さんの話があったけど、あの阪神大震災のすごいところは、道一本隔てて、向こうは家がひっくり返っているけれど、こっちは全然どうもない、そんな状態だったんですよね。うちの両親が住んでいた所は、本当、幸いなことにコップ1杯、ビン1本も割れなかったという所だったんですよ。ところが、避難所に取材に行ったら、悲惨な状況というか、一番悲惨なのはトイレですよね。
皆、トイレはそこしかないと思って行くけど、トイレなんかできる状況じゃなくなっている訳です。それを、皆でトイレを掃きだして何とかするというところから始まったという記憶がすごくあるので、僕はやっぱり、グラデーションで事前にある程度準備していく中で、トイレっていうのは、100%のうちから100%は駄目だけど、できる限りのことをやっていこうという中で、能登半島地震が起きるずっと前から、災害時の「トイレプロジェクト」というのを県庁の中で、ずっとやっていたんですね。それで、いざという時には、ありとあらゆる形でトイレというものを供給していくという中で、携帯トイレ。携帯トイレを持っている人、大分、増えてきていますよね。携帯トイレ、これを持っていてほしい。それと、例えば、いざという時に、県のたよりにも実は、作り方が書いてあるんですけれども、ダンボールトイレといって、いざという時に、ダンボールでトイレを作っちゃう。そこに、ごみのビニール袋を重ねて入れていって、直ぐにできちゃうみたいなことをしないと、皆トイレ、いわゆる普通にあるトイレに行ったってトイレ使えないわけですからね。そこに行って、もう、どうしようもなくなるじゃなくて、自分で処理できるようなトイレを自分で作って準備するということが大事ということ。それと、他にも下水に直接ドーンと繋がるようなトイレなんていうのがあって、そういうのは県が準備をしているわけですけどね。今度の能登半島地震を受けて、県の備蓄でもあるんですよ、携帯トイレ。いざとなった時に皆さんにバーンと配ろうと思っている物を、これを一気に増やしました。例えば、そういうことです。だから備蓄っていうのも、まさにグラデーション、いざという時のために水とか食料とか、ある程度のものを準備しておくっていうのは、まさにグラデーション、未病的な発想だというふうに思いますね。はい、ありがとうございました。一番後ろの方。

 (参加者11)
三浦市から参りました。私は三浦市の方で、防災についてちょっと考えるような集まりを作りたいなというところで、3年ほど前にそういった団体を立ち上げて活動しております。3年間活動をしてきて一番感じたのが、先ほど関心のない人にいかに届けるかってお話がありましたけれども、やはり三浦市の中でも活動していきながら、地域によってすごく頑張っている地域もあれば、あまり関心がない地域っていうのもあったり、三浦市は、そんなに大きい市ではないんですけれども、それでも大分温度差があるなと感じたところです。
私たちの三浦市は、三浦半島で一番先端にある地域です。三浦半島では他に横須賀や逗子、葉山に、それぞれに私たちと同様の団体がありまして、そこと連携して情報交換をするネットワークもでき上がっております。そこで情報交換をしているのですが、各地域、各町でやっている取組というのを、行政の方にお伝えすると実は知らなかったりっていうようなことも意外と多かったりします。
ですので、例えば、以前に、三浦の活動の中で、避難所のサインについて、この坂をどのぐらい登ったら避難所があるよとか、ちょっとサインを増やす取組をしたことがありまして、その際に、近隣の横須賀や葉山とか鎌倉だとか、そういったところのサインでこういったものがとても見やすくていいねっていう話を市の方にしたときに、意外とそれを、隣の市がどういう取組をしているのをご存じなかったとか、そういったこともありました。
例えば、神奈川の中でも、海沿いの地域や、川に挟まれている地域だったり、いろいろ地域差があると思うんですけれども、県内だけでも、どこの地域がどういう取組をして、どういう看板を出しているだとか、地域ごとにいろんな取組があると思いまして、それがやっぱり、ちょっと、ばらついてしまっているなという印象を受けています。
ですので、例えば先ほどDXのお話がありましたけれども、日頃からの情報発信というところで、この地域ではこういう取組をやっていますとか、この地域はこんな看板を作っていますとか、そういったものが一般の市民からも、行政の担当の方であっても、すぐに見ることができるような、情報発信の仕方というのをしていただくと、とてもいいのではないかなと感じました。以上です。
(知事)
非常にいいご提案ですね。なるほど、そうかなと思いましたね。ちょっと三浦の話が出ましたけど、三浦市の副市長がいらっしゃるんですよ。聞いてみましょうか。今、三浦市でね、他所でどうやっているのかよく知らないよって話が出てきました。いかがでしょうか。
(三浦市副市長)
今、改めて色々考えているところで、色々と情報収集しております。どういう内容をどういう風にお示しするかで、できるだけ簡単な方がいいだろうと、今、考えていまして、それを今、ちょうど練っているところですので、改めて、ご意見を聞きながらやっていきたいなと思います。特別なものが必要な場合もありますし、当然、統一したものが必要な場合もありますので、その辺を整理させていただいて、これから進めていきたいなというふうに思っています。
(知事)
ぜひ、今日のお話を受けて三浦市、頑張ってやっていただきたいと思います。だからさっき言ったDXがまさにこれ活用できると思うんですよね。DX、バーンとこちらから行きますから。さっき言ったとおり、あなたの避難所はここにあります。あなたはこっちに行ってくださいというのを、ぱっと飛んでいけるように、というのが防災DXですから、だからどこに表示があるのかなと探している状況よりも、的確に一人一人に行くという流れを作って、県全体として、防災力を上げていこうかなと考えているのが県の取組です。
はい、他にいかがですか。

 (参加者12)
こんにちは、Genkaiから来ました。現在横浜に住んでいるんですけど、今日、たまたま防災訓練が自分の学校であって、正直、あまり意味がない時間を過ごしたなと思っていて、設定されたシナリオで、この時間に行きますよって言われて、なんか皆もう、危機感を持たずに。
自分は、もともとずっとアメリカに住んでいて、皆さんは多分、地震を体験した危機感があると思うんですけど、自分は逆に体験したことがないからある危機感というのがあって、逆に皆は、なぜ経験したことがあるのにそんなに危機感がないのかなと今日、防災訓練をしながら思いました。やっぱり先ほど橋本さんがおっしゃっていたように、やっても意味がないからとか、つまらないからっていう意味でそうなってしまっているんだと思うんですけど。
自分は今、生徒会をやっているのですが、そういうところもあって、結構悩んでいるんですが、興味がない人に関わらせる、関心を持たせるために、黒岩さんが今まで政治面で、具体的にと言うと申し訳ないのですが、どのように、興味のない人に興味を持たせるのかというのを知事のお言葉から聞きたいです。よろしくお願いします。
(知事)
はい。ありがとうございます。
本当にさっき言ったように難しいですよね。興味のない人を引きつけるというのは、例えば、東日本大震災で、津波はどういうものかって、ものすごく多くの人が認識したと思います。なぜかというと、あのときの映像を見ました?ずわーっと来るわけでしょ。あっという間に皆さん逃げ惑うとか、リアリティがあって、家が流されていくとか、車がぐわーと行くとか、あんな映像今まで見たことなかったんですよね。だから津波って言われても、津波が来るぞ、早く逃げるんだぞと言われても、そうか~みたいにしか思っていなかったんですけど、あんな風に生々しい映像を見ると、やっぱり、発想ががらっと変わってきますよね。今まで津波というと、津波なんかどうせ、何とかすりゃいいんじゃないのと思ったのがあんなのが来るんだぞと言ったら意識が変わりますよね。
それを、鎌倉市が作ったんですよね。津波が鎌倉に襲ってきたらどうなるかっていうシミュレーションの動画です。昔だったらそんな動画を作ったら、皆を恐怖に陥れる動画なんか作るなと皆さんからボコボコにされていましたね。だけど、やっぱり東日本大震災を経験すると、むしろ、ああいう動画を見たら、鶴岡八幡宮の所なんか、うわーっといきなりやってきて、バーッと全部、埋もれていく姿、流されていく姿っていうのは、皆リアリティを持って見ることができる。これはやばいぞとなりますよね。そういう意味で、バーチャルの世界ってやっぱり、リアリティを持って皆さんに見てもらう。いくら口で言っても分からない。バーチャルで見てもらったら、うわーと思うっていうか、そういうことを、やっぱり繰り返していくっていうのは大事なんじゃないかなと思いましたね。もっと、いいアイデアがあれば教えてください。
はい。ありがとうございます。どうぞ。どんどん手が挙がりますよね。ありがたいですね。

 (参加者13)
Genkaiから来ました逗子市に住んでいます。知事もご存じかと思うんですけど、逗子は総合病院がなくて、過去5回、誘致に失敗している歴史もあるんですが、そういった中で、もし災害が起きたときに、さっき、道路の話もありましたけど、道路が寸断されて、搬送先の病院がなかったり、近くても湘南鎌倉病院や追浜の横浜南共済病院だと思うんですけど、正直、逗子に住んでいて、近くに総合病院がなくて災害が起こったときは、そういった市民の不安もあるんですけれども、この逗子の現状に対して、知事のお考えがあったらお聞きしたいです。
(知事)
ありがとうございます。これは逗子市長がいれば答えてもらいたかったのですが、いろんな意味ですぐに病院をと言っても、なかなかそう簡単ではないですが、ただ何ていうかな、我々ここに住んでいるから、逗子市の中にないから不安だって、そういう発想なんだと思うんですが、日本全体で見ると、湘南鎌倉病院と言いましたよね。すぐですよ。そんなに目茶滅茶遠くないですよ。例えば、能登半島で考えてみてください。能登半島のどこにどんな病院があるのか知らないけれども、あれぐらいの大規模病院って言ったら、そう簡単には行けないですよね。そういうことからするならば、逗子市っていう、枠の中で考えるとそうかもしれないけど、三浦半島全体とか、鎌倉も含めて考えたときには、そこは皆と連携しながらやっていくとなったならば、それほど、こう、何て言うかな、恐れることではないなと私は思いますね。だって、例えば車が、救急車が行ける状況だったら、そんなに目茶滅茶時間がかかるわけでもないですからね。いざとなったらヘリコプターで行くということもあるだろうし、だから市町単位で、あんまり考えなくても大丈夫だという風には思いますね。ですから、逗子市にないからっていうのは、あんまり不安に思わなくて大丈夫だと私は思いますけどね。
はい。ありがとうございました。はい、どうぞ。

 (参加者14)
聖和学院高等学校から参りました横須賀市在住です。興味深いお話をありがとうございました。私の祖父が足が悪くて車椅子生活なのですけれども、階段の上り下りが大変で、介護の方も災害になると駆けつけていただくことも難しくなると思っていて、そこで2点なのですが、一般の人でもできるような簡単な介護の仕方というものをSNSや会議などで発信をしていただけると、一般の方も介護について関心を持っていただけると思うし、災害が起きると、やはり高齢者の方が遅くなってしまうということもあると思うので、その辺を強調して伝えていただけたらなと思い手を挙げさせていただきました。

(知事)
はい。ありがとうございます。これも、とっても大事な視点ですよね。さっき外国人がいっぱい来ていて、それで災害が起きたらどうするのかって話がありましたけど、今おっしゃったみたいにね、介護が必要な方、移動が不自由な方、いざという時どうするのか、と言ったら先ほど申し上げたように、防災DXで目指しているのは、あなたは足が不自由ですね、早めに逃げてくださいと言ったときに、これから先はいざという時には、誰がそこに助けに行くのかというリストまであって、その人がパッと行くような流れ。今この人の所に早く行ってくださいみたいな、そういうのを一人一人に送ってくるようにすることだと思います。
今の発想の中で橋本さんがさっきおっしゃっていたことと結構被るところがあると私は思ったんだけど、クロスって言いましたよね。教育クロス防災とか、あの発想ってすごく大事だと思うんです。今、介護クロス防災ってこれが大事ですよね。
(橋本氏)
めちゃくちゃすごく大事だと思います。やっぱり介護施設さんなどから結構お話をいただいて、一番聞くのは何をやっていいのか分からないっていうことなんですよ。そういう時に自分がよくご案内させてもらうのは、まず身近なところからっていうところで、例えば今、おじいちゃんが車椅子っていうお話を聞いたんですけど、今、家にある一番の搬送資機材って、多分ここにいらっしゃる200名の方、全員が持っている搬送資機材があるんですけど、分かる方いらっしゃいますか?
実は、毛布や大きなカーテン、布状の物を担架にすることをよく聞きますね。それも実は、知識として持って帰ってもらいたいのですが、毛布を担架にしたら、人を巻ける、せーので運べるというのは、できるだけクルクル巻いて、相手の方、傷病者を運ぶ方に近づけて運ぶと、取っ手にもなるし安定しやすいということがあったりします。そういったところで、ぜひ、まずは、自分の身の周りから自分の家族だったり、どうやって助け合っていこうかというところを考えていくような、それこそ「介護×防災」、「生活×防災」ですね、これを作っていただければなと思います。
(知事)
なるほどね。すごいですね。やっぱり奥村さんもかけるっていう、「生活×防災」とかいろいろありますよね。
(奥村氏)
そうですね。福祉の問題って、皆さん、当事者になると本当に切実な問題になるんですけれども、やっぱり、なかなか想像できない。でも、私たちおそらく全員が、将来お世話になるものだと思うので、こういうふうに若い方に手伝っていただけるのは、ありがたいなと思っています。すごい視点を持ってくださってうれしいと思っています。
かけ合わせるときに、やっぱり普段やっていないことは災害時もできないっていうことが、これまでの災害の教訓でもあるので、普段自分がやっていることと、何か防災をかけ合わせてみようと考えるのは、例えば、ご飯と防災をかけ合わせてみよう。おじいちゃんは硬いものが食べられない、揚げ物は食べられない、じゃあ、おじいちゃんが食べられる介護食も防災食で何かあるんだろうかというところから、食事のことを考えてみたりとか、先ほどの避難の仕方。例えば、自分がいなかったときに、近所の人で誰か助けてくれる人はいないかな、ちょっと隣の家の方に相談してみようとか、皆で知恵を持ち合って、かけ合わせて、日常と災害時を近づけていただけたら一歩近づくんじゃないかなと思っています。
(知事)
今、橋本さんから毛布っていう話がありましたよね。あんなアイデアは他にありませんか。普段使っているもので。
(奥村氏)
避難の時に使えるっていうことですか?
(知事)
避難でもいろいろあるような防災的なもので、普段の物をこんなふうに使ったらこうなりますよっていうみたいなアイデアはありませんかね。
(奥村氏)
そうですね。普段使っているものしか使えないっていうのが災害だと思うので、例えば、眼鏡を使っている方は普段使っている眼鏡じゃないと生きていけないし、入れ歯を使っている方も入れ歯を持ち出せないと食事ができない。普段使っているもので役立つ物、そうですね、おんぶ紐とかがないときに、ジャケットとかを使ったりとか、おむつがない時にビニール袋を使ったりっていうのはあるんですけど、急場しのぎのものばかりなので、やっぱり普段使っている物を多めに備蓄するっていう視点が大事かなとも思います。
(知事)
さっき言ったように段ボールトイレとかね、大きなゴミ袋も役に立つかもしれないですね。はい。ありがとうございます。だんだん時間が迫ってまいりましたが、はい、どうぞ。

 (参加者15)
横須賀工業高校です。自分は高校生で、引っ越しのアルバイトをしているんですけど、新居にお客様が行かれて、家具を配置する時に、耐震マットや耐震ジェルなどを販売してお勧めしているんですけれども、その値段が数千円とかかかってしまって、先ほど橋本さんからあったように、やっぱり防災ってのはお金はかかるものだと自分でも思いました。今日せっかく知事がおられるということで、神奈川県や国からの補助金や、防災についての制度について知事からお聞きしたいと思います。

(知事)
冒頭申し上げたように公助という意味では、いろんなことを実はやっていますね。今おっしゃったようなことに県が補助金を出すかといったら、なかなかそうはいかないと思いますが、今の話は要するに、いざ、そういう被害に遭ってしまった後は、どれだけそのためにお金がかかるのか、そうならないようにするために投資をすることは、むしろ安くつくと逆に考えていただきたいなと思います。
県としてはもっと大きな全体ですよね。実は県が独自でずっとやっているビックレスキューという災害医療支援訓練というものがあるんですね。これは全国どこにもない。いざという時には、ありとあらゆる団体が一緒になって連携してやる医療支援訓練なのです。これが特徴なんだけれども、例えば、海上自衛隊から警察から消防から、ありとあらゆる団体、トラック協会から何からっていうのと同時に、ここの1つの特徴は、在日米陸海空軍、それが一体となってやっていて、そういう訓練なんていうのをやっていて、そういう所にお金をかけて準備をしているということですね。いろんな形で、何も彼にもお金がつく話じゃないけど、県としては公助のためにしっかりお金をかけるべきだという風に思っています。
はい。もう迫ってまいりましたけれども、どうぞ。

(参加者16)
知事ありがとうございました。聞こえない人と盲ろう者と肢体不自由の方、妊婦の方は地震の場合はどうしたらいいんでしょうか。聴こえる人たちだけで集まって、障害者たちは一人で何も支援がないんですね。見ているだけと聞いたことがあります。すごく心配です。妊婦さんは地震の時はどうしたらいいでしょうか。地震中に産まれたりとか、着る物も何もないんですね、そういう支援はないと思います。そういうときに困ると思いますね。能登半島でそういう話を友達から聞きました。「聞こえません」とか、「盲ろう者」とかそういうビブスがあればすごく分かりやすいので、常備できるといいと思うのですが。
(知事)。
貴重なご意見ありがとうございました。障害者の方は、いざという時にどうなのかって、すごく大きな課題ですよね、いろんな障害がありますよね。盲ろうの方もいらっしゃるし、身体障害の方もいらっしゃるし、そういう中で、どうやるのかといったところでね。我々は、障害当事者の目線で考えるということが一番大事だという風に思っているんですね。
外から皆で知恵を絞って、じゃあどうすればいいかじゃなくて、障害当事者の皆さんが、どうしてくれ、こうしなきゃだめだ、みたいな発信をもらいたいと実は思っていて、神奈川県は津久井やまゆり園事件というのがあって、なぜあんなことが起きたのか二度と起こしちゃいけないという思いを込めて、ともに生きる社会かながわ憲章というのを作って、それとともに、当事者目線の障害福祉推進条例というのを作って、当事者の目線に立つことを、すごく大事にしているんですね。それで、県のいろんな政策は全部、障害当事者の皆さんの目線を入れて考えていこう、というのを今進めているんです。
それとともに、障害当事者だけの検討会も実はあるんです。そこで皆さんにどんどん当事者ならではの意見を出していただいて、それを県がどんなふうに位置付けているかということを工夫していこうと思っていますので、ぜひお声を届けていただきたいと思っています。今日は、発言していただいて本当にありがとうございました。

知事によるまとめ

(知事)
いや、ありがとうございました。もうあっという間に時間が来てしまいましたけど、途切れることなくどんどん皆さんから質問を受けて、この壇上の皆さんにも、お答えいただきました。本当にどうもありがとうございました。ただ、何回も言いますが、100%はない。100%はないけれど、少しでも、その危険性を減らしていくために、皆で知恵を絞ってやっていくことはとっても大事だということだと思いますね。先ほど冒頭もありましたけど、関心がない人にどう届けるかといった中で、せっかく今日来て、こうやって皆さん議論した。この経験を持った方は、関心がないと思っている人、一人一人をどんどん仲間に入れてくるというか、そういう人たちに、関心を持たせる役割を持って、お一人お一人がぜひ話していただきたいというふうに思いますね。
今日は最後までお付き合いしていただきありがとうございました。お二人も、橋本さん、奥村さんどうもありがとうございました。皆さん、どうもありがとうございました。

 

過去の開催結果について

 

このページに関するお問い合わせ先

このページの所管所属は 横須賀三浦地域県政総合センターです。