更新日:2020年8月7日

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第27回(第3期第8回)水源環境保全・再生かながわ県民会議審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

第27回(第3期第8回)水源環境保全・再生かながわ県民会議

開催日時

平成26年3月27日(木曜日) 15時00分から17時00分

開催場所

神奈川県庁新庁舎5階 第5会議室

出席者【座長・副座長等】

田中 充【座長】、天野 望【副座長】

青砥 航次、淺枝 隆、井伊 秀博、五十嵐 淳一、伊集 守直、井上 貞子、金森 厳、久保 重明、倉橋 満知子、坂井 マスミ、中村 洋介、服部 俊明、浜野 安宏、増田 清美

次回開催予定日

平成26年5月30日

所属名、担当者名

水源環境保全課調整グループ 担当者名 高乘、葉山

電話番号 045-210-4352

掲載形式

  • 議事録

審議(会議)経過

(田中座長)

 第27回水源環境保全・再生かながわ県民会議を開会いたします。早いものでこの県民会議も2年が経過いたしまして、この3月末で委員の任期が満了になるということでございます。したがいまして本日の会議は、この期の県民会議としては最後の会議となりますので、皆様、自由闊達にご議論をお願い出来ればと思います。

 それでは、議題1の施策調査専門委員会の検討状況について、本日、木平委員長がご欠席のため、浅枝副委員長からご説明をお願いいたします。


1 議題

(1)施策調査専門委員会の検討状況について

(田中座長)

 それでは、議題(1)「施策調査専門委員会の検討状況」について、本日、木平委員長がご欠席のため、浅枝副委員長からご説明をお願いいたします。

(資料1-1~1-2により淺枝副委員長及び事務局から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。この間、施策調査専門委員会を中心に表現や盛り込む事項の整理をしていただいております。丁寧に2回にわたり意見照会などもしていただいておりますので、およそ各委員のご意見、ご指摘が反映されているものと思いますが、内容について改めて見ていただき、ご意見、ご質問などありましたらお出しいただければと思います。

(田中座長)

 それではよろしければ、この案をもって、平成24年度の実績ということになりますが、平成25年度に取りまとめる点検結果報告書として確定をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。


- 各委員了承 -


(田中座長)

 ありがとうございました。点検結果報告書としてご承認をいただいたということでございます。これにつきましては、本日付けで県民会議から県に提出させていただき、各事業への反映等に活用していただくようにしたいと思います。

 それでは続きまして、評価の体系と県民会議への引継書について、浅枝副委員長からお願いいたします。

(資料1-3~1-12により淺枝副委員長及び事務局から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。資料1-3から1-12までをご紹介いただきましたが、これは拡大施策調査専門委員会として2月に開催し、その日の後半では、経済評価のあり方について、有識者に来ていただいてミニ講演をいただきながら、その後で勉強会を行ったものです。

 私の方から少し補足させていただきますが、資料1-4をご覧ください。これは評価の考え方を整理したもので、今年度から来年度にかけては、森林生態系効果把握であるとか、経済評価、あるいは水関係の分野についてはデータ等の整理をしていただく、こうした作業をしながら、再来年度の平成27年度には施策の総合評価を行おうということです。この意図は、事業が始まって10年目となる平成28年度に向けて施策の総合評価の結果を取りまとめていく作業を行っていくことになりますので、来年度はその準備段階ということで、このような工程表を考えています。

 状態・機能評価と経済評価、水源環境保全・再生施策を行うことによって神奈川の森や水はどのような状態や機能を持つようになったのか、そのことの経済面からの評価はどうかという点でございます。それから資料1-5は、従来は左側の評価の体系図でしたが、これを森の面と水の面と大きく分けて2つの領域から、最終的な目標に向けてアプローチしたらどうかという考え方で、水源かん養と生態系の健全化、水源水質等の向上と生態系の健全化、この両面から良質な水の安定的確保の評価に持っていくことになります。従来の評価体系では、2次的アウトカムのところの枠組みが若干整理されていなかったものを、今回、水源かん養機能、生態系の健全化、水源水質等の維持・向上の3つのブロックで整理しました。これは森の保全・健全化と水源水質の維持・向上という2つの側面を改善していくとの位置付けで整理したということです。このことをもって、次年度以降、状態・機能評価に取り組んでいくことになります。次期の県民会議においては、この辺りを政策的な目標としながら、これまで行われてきた水源環境保全・再生施策の成果や効果を評価していく役割が重要になってくるということかと思います。以上でございますが、追加のコメント、ご質問がありましたらお出しいただければと思います。

(田中座長)

 ありがとうございます。それでは、このような方向で県民会議の成果の一つとして整理、確認をしておきたいと思います。それでは引継書について、浅枝副委員長からお願いいたします。

(資料6により淺枝副委員長から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。施策調査専門委員会の部分をご紹介いただきましたが、市民事業専門委員会や各チームもあり、県民会議全体で引継書として作成しますので、引継書についてのご意見、ご質問は後程まとめて時間を取りたいと思います。

(2)市民事業専門委員会の検討状況について

(田中座長)

 それでは、議題(2)「市民事業専門委員会の検討状況」について、増田委員長からご説明をお願いいたします。

(資料2-1~2-2により増田委員長から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。資料2-1、2-2の関係で、ご質問等ございましたらお願いいたします。

(服部委員)

 私も市民事業の担当をさせていただいておりますが、森林の保全・再生事業の取組が少し変わってきたのかなとの印象を受けています。今までは、スギやヒノキを対象として荒廃した森林に関していろいろと活動をしていましたが、どうも竹関係の活動がかなり増えてきていまして、もっとやるべきフィールドがある中で、どうして竹だけをやる団体が増えてきているのかなとの印象を受けました。

(井伊委員)

 補助金の追加募集のことですけれども、5月に発表されるということでしょうか。

(事務局)

 先程委員長からご説明のあったとおり、5月頃から募集を開始しまして、6月中に審査会を開会し、7月前半には採択団体がありましたら事業を実施していただくようなスケジュールを予定しております。

(金森委員)

 新規の団体が6つあって、採択されたのが3つとのことでしたが、採択されなかった3つについて、差し支えない範囲でどのような団体かということと、採択されなかった理由を教えていただけますか。

(事務局)

 今回3団体、8事業を不採択とさせていただきました。主な理由としましては、森林資源の活用を促進する事業の面が強く、水源環境の保全・再生につながるとは言い難いという判断をさせていただきました。そのほか、里山の保全・再生に係る普及啓発の面が強いですとか、補助要件である団体規約の提出がなかったことなどがありました。主な理由としては以上です。

(服部委員)

 採択されなかった理由の一つは、例えば間伐をやって自分達で生産をし、それを売っていくということで普及啓発につながっていたわけですけれども、山に携わることなく単に物を買って、それを普及啓発していく、それは市民事業の観点から違うのではないかということで不採択となったと承知しております。

(倉橋委員)

 今の説明がよく分からなかったので、もう少し詳しく説明していただけますか。

(服部委員)

 例えば竹林の場合を例にしますと、自分達で竹林の整備をやり、それを加工して販売して自分達の収入として活動していくということで今までは流れていましたが、竹林の整備はせずに、単に竹を購入してそれを販売していくということで、つながりが切れているので不採択としたということです。

(久保委員)

 資料2-2について、大学までかなり広がってきているとの話がありましたが、何か他に制限があるのでしょうか。

(増田委員長)

 制限は特にありません。

(田中座長)

 行政が関わっているものや県の事業が入っているものなど、基本的な要件があるかも知れませんので、場合によっては市民事業専門委員会で要件を確認して公募するということかと思います。

(3)県民意見の集約及び県民への情報提供について

(田中座長)

 次に、議題(3)「県民意見の集約及び県民への情報提供」について、各チームからの活動報告についてお願いしたいと思います。まず、事業モニターチームからお願いいたします。

(事業モニターチームの活動状況について、資料3により井伊委員から報告)

(田中座長)

 これについてご質問、ご意見ございましたらお願いします。

(田中座長)

 先程、スコリアの流出が非常に深刻であり、この対策については急務でありまして、場合によっては税を投入して対策を行うことも考えてはどうかとのご指摘がありました。年度計画の中に上手く組み込めるかどうか、あるいは計画を第2期から第3期に切り替える時に事業の柱を立てるかということもあろうかと思います。現場を見ていただいた中でのご指摘の点は引き継いでいくということで、次期計画に盛り込んでいくことも考えたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、県民フォーラムチームからご報告をお願いいたします。

(県民フォーラムチームの活動状況について、資料4-1~4-2により久保委員から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。内容について確認、ご質問がございましたらお願いします。

(淺枝委員)

 過去に同じような場所で行われたものと比べて、参加者は増えているのでしょうか、減っているのでしょうか。

(久保委員)

 同じような場所でということですと、これ以前はいろいろな場所を借りて、そこに集まってもらい説明をしていました。そうすると100名から200名単位ですが、こちらのようにデパートの前などですと、規模が2倍から3倍に増えてきます。一番すごかった時には、1,000余りのアンケートを回収したこともありましたが、その時にアンケートを集めることだけに夢中になるのでなくて、もっとじっくり説明しようということで、この写真にもありますように、座りながらゆっくりと説明したということがあります。

(倉橋委員)

 今期はどちらかと言うと、割と広く門戸を開いてという形でやったということで、そのことは評価出来ますが、今までもっと詳しい内容を説明する機会があったのが、今回は全くなかったというのが、もう少し詳しく知りたい方にとっては残念だったなと思います。これはこれでやっていく価値はありますし、ただ、もう少し詳しい内容のものがやれるようなフォーラムが同時にあっても良いのかなと思います。

(久保委員)

 それは課題のところに書いてありまして、例えば出前講座のように、ゆっくりと説明することも必要ではないかということで、資料6の課題のところで挙げてあります。今のお話はごもっともで、我々も感じておりますし、4回の中で出来るだけそこまで説明しようとしたのですが、それでは足りないだろうから、また別のスタイルでの説明という課題がありますと書かれています。

(坂井委員)

 もり・みずカフェは、開催の都度、委員・事務局共に見直しがされてきたことで、会場設営の仕方や話の切り出し方、呼び込みの仕方、各層に対するアピールの仕方など、こんなに沢山見直しが行われて、こんなに磨かれた事業も他にないのではないかと思います。今までできなかった川崎での開催も、ここまで出来たらもう大丈夫だと思います。

(井上委員)

 今回はリーフレットの「森は水のふるさと」により、一つずつ丁寧に報告しまして、じっくりと座りながら説明をした点が、今回のフォーラムからは変わりました。

(田中座長)

 ありがとうございました。量的な拡大が良いのか、質的な掘り下げが良いのかということは永遠の課題かも知れませんが、県民にどういう形で普及啓発を図っていくかという重要な役割がこの県民会議にあるということでございます。

 それでは最後に、コミュニケーションチームの活動についてご紹介をお願いします。

(コミュニケーションチームの活動状況について、資料5-1~5-3により事務局から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。内容についてご質問等ございましたらお願いします。

(田中座長)

 それでは私の方から質問しますが、アンケートハガキの回収率はどの位でしょうか。

(事務局)

 現在のところ12枚です。

(田中座長)

 実際にハガキを付け始めたのは、いつからでしょうか。

(事務局)

 2月22日のもり・みずカフェ、県民フォーラムからです。

(田中座長)

 各作業チームの皆様、1年間活動をいただきまして、ありがとうございました。まず、事業モニターチームですが、現場で具体的な事業の実態を観察しながら点検し、それぞれの参加者にモニターとなっていただき、評価点を付けてコメントしていただく。現場の実態を踏まえながら評価を出したもののまとめでございます。この結果につきましては、今年度の点検結果報告書の中にも貴重なご意見として、ワイルドライフ・レンジャーの指摘を盛り込ませていただきましたし、土砂の流出のご指摘もいただいております。このモニターというのは、県民会議の水源環境保全・再生施策に対する点検・評価と密接に関わることでもございますので、県民会議全体でモニター活動に関わっていくことも、今後は考えてもよろしいのではないかと思います。

 また、県民フォーラムチームでは、毎回数百人を集めていただきながら、PRをしていただいたということです。時間や場所の制約もあり、どこまで伝えられたのか、掘り下げが足りないかなとの指摘もある反面、広く多くの方に呼び掛けることも大事ですので、量的な部分も確保しなければいけないということかと思います。水源施策に対する県民の認知、認識の向上ということで、もり・みずカフェ方式が一定程度役割を果たしてきたのではないかと思います。人の集まる所で場所を確保しながら、通りすがりの人も含めて施策をPRしていくということで大変活発に活動いただき、ありがとうございました。

 コミュニケーションチームは、リーフレットが大変分かりやすく、かつ、施策の状況も伝え得るような工夫をしていただきました。昨年の「森は水のふるさと」に続いて、今年は「支えよう!かながわの森と水」ということで、県民の関心に訴えるような施策の分かりやすい説明であるとか、普及の方策について工夫を重ねていただきました。3チームの皆様、それぞれ活発に活動いただきまして、ありがとうございました。

(4)第4期県民会議への引継事項について

(田中座長)

 次に、議題(4)「第4期県民会議への引継事項」について、資料6の引継書ですが、第3期としては今日が最後の県民会議となりますので、専門委員会やチームで課題として積み残されたこと、具体的な対策として求められることを、成果も踏まえながら整理していただいたところでございます。次期の県民会議に引き継ぐ役割もありますので、これについて皆様からご意見をいただき、盛り込めるものは盛り込んでいきたいと思います。9ページ以降は、各チームの課題となりますが、各チームの代表者から簡単に触れていただければと思います。

(事業モニターチームの引継事項について、資料6により井伊委員から報告)

(県民フォーラムチームの引継事項について、資料6により久保委員から報告)

(田中座長)

 ありがとうございました。それぞれ3つのチームから課題をご紹介いただきました。それから21ページ以降は、県民会議の活動に関する所感ということで、有志のお名前でご提出をいただいております。それぞれ2年間の活動を振り返りながら、このようなことが課題かなということで率直にご意見、あるいは感想を寄せていただいております。これは引継書の付属資料として添付させていただいておりますが、もし付け加えるようなことがございましたら、各委員からご発言をお願いいたします。

(田中座長)

 それではそこも含めまして、今まで2つの専門委員会と3つのチーム活動を振り返りながら課題を整理していただき、これを次期に向けての踏み台としていただく趣旨で取りまとめておりますが、内容についてご質問やご意見がございましたらお願いいたします。

(浜野委員)

 今年は管理釣り場を利用して、釣り人に川を監視させたらどうかということで、シンポジウムとテンカラ釣りの親子体験をやらせていただきました。たまたま、北海道を舞台にしたさかなかみという映画を撮っていまして、それで感じたことですが、一体、神奈川県の水源地の森の所有関係はどうなっているのか。と言いますのは、私が今回舞台にしたのが北限の干潟ですが、干潟周辺の森のほとんどを王子製紙が持っている。今回の場合は水源地の山ですので、あれ程難しい問題はないのですが、一番危機にさらされているのは干潟で、ほとんど埋められたり、潰されたりして遂に北限まで辿り着いて来ていまして、それをやってしまうと最後のイトウのパラダイスがなくなってしまうので、それを訴えるのがこの映画の役割です。今回、21の管理釣り場が神奈川県にありまして、そこで非常に良心的なスポーツフィッシャーがいて、年間すごい数の人が水を見て、魚の健康状態を管理出来る立場にありますので、それで何か良い方法を考えようというところまで辿り着きまして非常に良い成果があったのではないかと思います。是非、継続して、毎年拡大してやっていただきたいと思います。

 もう一つは、山梨県の忍野村の環境整備委員長を長年やっていますが、個人所有の土地から流れ出る生活雑排水の問題は、いくら言っても聞かない人がいます。特に山梨県はひどくて、桂川水系は釣り人によるとテレビや冷蔵庫の下のヤマメが釣れるという異常な汚さで、水は美しいのですが、平気でゴミを捨てるところがありまして、そこになかなか攻め入っていけないところがある。

 今回、山梨県と神奈川県で合意されている中で、きっとそういう問題が起きてくると思います。神奈川県と山梨県にまたがる相当重要な水域であると思いますので、是非この活動を、森林に特化せず水という側面でウオッチしていく、修正していくことが大事かなと考えます。関係者によくしていただきまして、非常に良いイベントになったのではないかと思います。

(田中座長)

 水関係の評価のあり方はたしかに重要な課題でして、これまでは森の評価を中心に力を入れてきましたが、次年度は水の部分について評価を強化しようということで、今ご提案いただいたような、例えば釣り人や川に関わる方に何らかの形で参加してもらうのも一つのアイディアかなと思います。ありがとうございました。他にご意見ございますか。

(井伊委員)

 県民フォーラムに関しての補足ですが、資料1-1の12-5ページを見ますと、県民会議の役割の中で、県民への情報提供に関しては、この2年間でもり・みずカフェの新しいツールを活用し、そこをブラッシュアップしていけるなとの自信が出来たわけで、それを山梨県に展開する、やり方も応用がきくと思います。ただし、県民意見の集約については、まだ出来ているとは程遠いかなと思いまして、集約のやり方、アンケート方式の見直しも含めて、どのようにしたら県民意見の集約が出来るのか、果たして県民意見というものがあるのかというのもありますが、その辺を詰めていくことが必要ではないかと思いました。

(田中座長)

 情報提供に加えて、意見の取りまとめの具体的な方法ですね。他にいかがでしょうか。

(倉橋委員)

 事業モニターの中で、これは水源環境税には値しないと思われるものが所々あり、それは検討すべき内容だと思いますが、何もしないと市町村がまた引き続き同じことをしていくわけです。極端な所はもう1回事業モニターの中で練って、これに対して市町村に次回やる時にはノーと言えるようなことも含めて、検討していかなければならないと思います。

(田中座長)

 それは事業モニターの報告を受けて、県民会議として必要があれば指摘をする、あるいは建議をしていくことではないかと思いますし、実際にそのような形で反映されてきた事業として、例えばシカの事業などがあるわけで、今回もワイルドライフ・レンジャーの事業であるとか。まずは点検結果報告書に記載をする、あるいは関係部署に伝えることは伝えることが、ルートとしてあるのではないでしょうか。

(倉橋委員)

 それは良い方の話のことだと思います。逆にやってはいけないこと、水源環境税を使ってはいけないのではという逆の方向のことです。

(田中座長)

 それも含めてではないでしょうか。事業モニターで現場に行っていただき、参加者が意見をまとめる。それをまず事業モニターチームとして集約して県民会議にご報告いただき、県民会議としてたしかにそういうことだとなればきちんと検証する。その結果を点検結果報告書に載せる、あるいは担当部署にその見解を伝えることになるのではないでしょうか。

(淺枝委員)

 今のお話は実際には動いて来ていて、川の整備の仕方でも、昔は浄化ブロックを置きましょうだったのですが、生態系に配慮した川づくりをしましょうということになりました。それも県民会議のモニターの結果を受けて、そういった形での浄化につながっているので、ある意味で徐々には反映しているのかなという気がします。

(田中座長)

 よろしいでしょうか。そういうことで機能はしている、逆に言えば、機能させていかなければいけないということかと思います。他にはいかがでしょうか。

(淺枝委員)

 山梨県との関係ですと、昔、山梨県と一緒にフォーラムをやりましたし、今回も山梨県の見学に行きました。そうしたつながり、流域として考えるあり方を非常に意識していかなければいけないのかなと感じます。

(田中座長)

 県民会議として、上流下流の連携を図っていくことが方向性としては間違いないと思いますが、さらにその点について留意していきたいと思います。

(倉橋委員)

 山梨県との関係で、事業モニターを今回初めてやりましたけれども、今後、課題をやっていくためには、上流部での住民意見等を集約していく必要があると思います。今回は部分的な清流センターの部分でしたが、全体で言えばもっと上流部ではかなりいろいろな問題がありますし、それらも含めて今後盛り込んでいくことが出来るのかどうか検討していただきたいと思います。下流部だけでは本来無理で、きれいにならないのです。

(田中座長)

 ご指摘をいただきましたので、引継事項の中で、明示的ではありませんが、水の問題であるとかいったところで読み取れるように、整理をさせていただきたいと思います。他に追加の論点はありますでしょうか。

(井上委員)

 点検結果報告書は、知事に提出した後で、例えば市町村にも配架されるのでしょうか。

(事務局)

 かなり分厚い冊子になりますので、市町村での配架までは行っておりませんが、各市町村の広報担当課にはお送りしています。また、ホームページに掲載しておりますので、そこからダウンロードしていただくことが出来ます。

(田中座長)

 いろいろと引継書についてご意見をいただきました。場合によっては追加、あるいはもっと強化した方が良いこともあろうかと思います。この引継書につきましては、私の方で今日のご意見も含めて若干整理をさせていただき、この文書に加える形で事務局にお出しするとの整理で引き取らせていただきたいと思います。この引継書は、第4期の第1回目の県民会議できちんとご紹介いただき、こんなことが課題として前期から示されている旨、そういう形で切れ目のないように、課題が消逸しないような形で引き継ぎをさせていただければと思います。

(田中座長)

 ありがとうございました。それでは、資料7の報告事項がございますので事務局からお願いいたします。

(事務局)

(資料7により平成26年度水源環境保全・再生事業会計当初予算の概要に関して事務局から報告。)

(田中座長)

 この件についての確認、質問がありましたら、お出しいただければと思います。

(倉橋委員)

 資料裏面の清らかな水源の保全・再生への取組みの、河川水路における自然浄化対策の推進のところですが、相模湖における直接浄化対策というのは、エアレーションのことでしょうか。

(事務局)

 エアレーションとは全く別のものでして、第2期から取り組む直接浄化対策、相模湖のリンを直接取り除いていこうという取組のことでございます。発生源調査ということで、相模湖に生活排水が直接流れ込んでいる実態をまず把握して、その発生源を抑えていこうという取組を展開していきますが、その調査費用となります。26年度は具体的に対策を取っていくことになります。

(田中座長)

 対策というのは具体的には何になるのでしょうか。

(事務局)

 現在予定しているのは、排水路で礫間浄化が出来るのかということで、試験的に取り組んでいくことを予定しています。

(田中座長)

 施策調査専門委員会の関係で、多面的な評価をしようということで、来年度は経済評価に取り組まれる予定がありますが、この予算は12番事業の県民参加の仕組みの中に入っているとの理解でよろしいでしょうか。

(事務局)

 11番事業の水環境モニタリングの中に入っております。

(田中座長)

 このような形で48億という事業費の総枠がございまして、水源環境保全の事業としては、全国で群を抜いて規模の大きな事業が神奈川県民として展開されていくということでございます。その評価・点検の役割を担うのがこの県民会議でございますので、また新しい体制のもとで執行されていくことになろうかと思います。


- 黒岩知事入室 -


(田中座長)

 それでは、ちょうど議事が上手く収まったところで、知事がお見えになりましたので、一言ご挨拶をいただくということでございます。それでは、知事からご挨拶をお願いいたします。

(黒岩知事)

 本当にご苦労様でございました、ありがとうございます。

水源環境保全・再生かながわ県民会議の皆様、本当にお忙しい中、時間を割いていただきまして、真剣なご議論をいただいたこと、心から感謝申し上げる次第であります。私も知事になってちょうど3年になりますが、「水のさとかながわ」という言い方をずっとしてまいりました。神奈川県では水不足という言葉がないということで、夏の渇水期でもニュースを見ていましても、神奈川県を除く関東各県は水不足というニュースになっておりまして、先人達がそれだけ準備をしてくれたことが、今そうしたことにつながっているのだなと本当に誇りに思うところであります。また、その折角の資源、水の環境というものを、行政と専門家の皆様、県民の皆様が一体となって、それを守り続けていこうとしていること、これも全国的に見て例のない非常に先進的なことでありまして、これも我々の誇りとするところであります。

 そうした中で、皆様方の真剣な議論の中で、この度、平成24年度の水源施策に係る点検結果報告書を取りまとめていただいたと伺っております。皆様の真剣な議論の結果ということでありますので、しっかりと受け止めさせていただきまして、施策に反映出来るよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 施策大綱によって20年間の取組と位置付けられた水源施策は、まだ道半ばでありますけれども、本日の県民会議は、第2期計画の滑り出しの2年間を見守っていただいた皆様方にとっては、締めくくりの会議となります。一旦ここで県民会議委員としての区切りがつくわけでありますけれども、さらにこうした流れを引き継いでいって、神奈川の折角の財産であります「水のさと」というものを、しっかりと後世に引き継いでいきたいと思います。本当にご苦労様でございました、ありがとうございました。

(田中座長)

 知事には大変公務のお忙しい中を、わざわざお越しいただきました。また、温かいお言葉もいただきましたし、励ましの言葉もいただきました。県民会議として知事の言葉を受け止めながら、水源環境保全・再生施策の一層の発展に力を尽くしていきたいと思いますし、また、知事にも県の総力を挙げて取り組んでいただければと思います。本当にどうもありがとうございました。

 知事はこの後所用がありまして、ここで退出ということでございます。御礼申し上げます。ありがとうございました。


- 黒岩知事退室 -

 

<各委員等挨拶>

(田中座長)

 それでは、議事としては定刻の5時ということで終わりになるわけですが、最後に我々の任期がここで切れますので、一言ずつ1分位で言っていただき、今日の最後の締めにしたいと思います。よろしいでしょうか、それでは浅枝委員からお願い出来ますか。

(淺枝委員)

 この水源環境税で水環境と言った時に、まず初めに話題に上ったのが、ダム湖のアオコ問題だったと思います。今は山梨県にも頑張っていただき、生活排水対策に取り組んでいますが、これからはダム湖の集水域だけでなく、もっと下流でも生き物に配慮した川を作っていきましょうということになりつつあります。こうしたことが、我々の飲み水にそのまま直接反映することに繋がってくるもので、是非、これからも上手く行けば良いと思っています。

(青砥委員)

 2年間大変お世話になりました、ありがとうございました。私は神奈川県自然保護協会のメンバーでして、自然全般にいろいろと関心があるわけですが、水源環境保全が水源ということで山に偏っているとの印象を持っていましたが、段々と川の生き物ということで、私の分野に近付いてきたなということで大変有難く思っています。これからもよろしくお願いしたいと思います。

(浜野委員)

 先ほど沢山話しましたので一つだけ。今大きな研究をしていまして、カルデラの自然ということで、そこでの魚釣りの話でパタゴニア地方に行ってみたのですが、富士五湖と丹沢の水域というものがものすごい繋がりがあって、非常に面白いテーマだなと思っていまして、その面からも是非研究してみたいと思います。よろしくお願いします。

(服部委員)

 私は市民事業専門委員をさせていただき、市民活動をやっている方と接点を持たせていただきました。本当に熱心に、誇りを持って活動されているということをひしひしと感じましたが、財源の面で、自分達が活動する上において市民事業支援補助金がなくなったらどうなるかとの不安があるので、彼らの活動が上手く軌道に乗るように施策を講じていかなければいけないのではないかと思いました。いろいろとありがとうございました。

(中村委員)

 2年間お世話になりました。委員になって一番印象に残っているのが、現場を見れたことだと思います。現場で県の取組を見られたことがとても良かったと思っています。現場で何が起きているかを知ることが大事だなとつくづく思いまして、多分それが県民にとって一番意識が向上するものなのかなとも感じています。ですから、市民の方が現場で見たり、考えたりする機会がもっと増えれば良いなと思っています、どうもありがとうございました。

(坂井委員)

 病み上がりの状態で委員になりましたが、皆様に大変親切にしていただき、お励ましいただきましたお陰で、元気になっていろいろなことを申し上げることが出来ました、有り難いと思っております。

 私たちの仕事は、神奈川県の中で同じ議論が出来る土俵を作ることです。今は別々の所で別々のことをやっていますが、もう少し、神奈川県全体が助け合っていて、その中で私達はどう有機的に働けるか、一人ひとりが自分の言葉で伝えられる風土を築いていく、この20年は、そのために私達に与えられている時間だと思います。ありがとうございました。

(倉橋委員)

 私は桂川相模川流域協議会という、この水源環境そのものの団体の一つですが、最初から参加させていただいて丸7年が経ちました。段々と最初のメンバーが数少なくなってきて、プロセスが途切れ途切れになっていくということで、唯一最初から知っている者として、何とか頑張って続けていかなければいけないのかなと思っています。

 また、第2期からやっと上流部の方に手が付きまして、始まったばかりで成果が見えない段階ではありますが、上流部の問題は本当に沢山ありますので、そのことを私達の活動の中から皆さんに伝えていくことが出来れば、より水源が良くなるのではないかと期待しながらこれからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

(久保委員)

 委員になって5年経ちましたが、一番最初は、森林インストラクターになった時に我々は何をやっているのだろうかと思いまして、それで県の施策がどのように動いているのかを是非知りたいと思い、委員になったわけですけれども、なってみて、県の職員の方々が努力をしていろいろなことをやっているのだと身を持って知りました。そういう意味では、こういうものを県民に伝えたり、ボランティア活動の中に活かしていけるのではないかということで、非常に良い勉強をさせていただいたなと思いました。本当にどうもありがとうございました。

(金森委員)

 今更ですが、森と水というものがしっかりしないと、生活もそうですが、県の他の事業も全てが上手くいかないので、これは絶対必要なものです。そのことが頭では分かっていましたが、この2年間改めて事業モニターなどを通して見させていただいて、県の人は本当によくやっているなと思いました。県にはいろいろなセクションがあるでしょうけれども、誇りに思って良いのではないかと思います。森と水がないと何も始まらない、大変なことになるということを、森林インストラクターをやっていますので、県民の皆さんに機会があればどんどん伝えていきたいと思います。2年間ありがとうございました。

(井上委員)

 水源環境の保全を神奈川県が全国に先駆けてやっていることを、県民として非常に誇りと嬉しく思っています。2年間本当に多くのことを学ばせていただきました。荒れ果てた人工林、渓畔林、土壌流出の現場などいろいろモニターさせていただき、今まで全く知らなかった幾世代も続いた水源の森を見て、百聞は一見にしかずというか、初めて知りました。本当に有り難く思いました。これからは所属のボランティアとか市民祭りなどで、今まで学ばせていただいたことを恩返ししていきたいと思います。職員の皆様、委員の皆様には本当にお世話になりまして、心から感謝申し上げます。

(伊集委員)

 どうも2年間お世話になりました。私は財政学の立場から、この会議に参加させていただき、主に施策調査専門委員会で活動させていただきましたが、なかなか自分の専門の立場から十分に議論に貢献出来なかったなと反省しているところもございます。

 財政の面から見ると神奈川の取組というのは、国が決めた基準の税率を超過することで税を集めて、それで施策を作っていますが、将来的に国の基準を超過するとの考え方自体がおそらく大きく変わってくるのではないか、どのように税をかけるかということ自体が、地方や地域で自由に裁量が生まれてくるような地方税の展開が生まれてくるのだろうと思います。そういう意味では、神奈川で進めている新たな取組、独自の課税のやり方は重要な取組だと思いますので、そうした面でも、今後より発展させていただきたいと思います。

(五十嵐委員)

 私は子供の頃から勉強は嫌いでしたが、水が大好きで川や海で真っ黒に日焼けするまでよく遊びました。でも、その当時から水質の汚染が問題となっていて、子ども心にも非常に悲しくて、人々の暮らしのあり方に疑問を抱いたのを覚えています。大人になった今でもその気持ちはずっと続いていますが、個人的にどうしたらよいか限界を感じた折に、この水源税のことを知り、現在に至っています。

 この2年間で事業モニターなどを通して、森林整備をはじめ様々な事業を展開していることにすごく感銘を受けました。下水道の整備や浄化槽の普及をすれば、必ず水質の改善が見込めるとも感じています。ただ、それだけではやはり十分ではなくて、水源の水質を維持し、かつ永続的に下流域に繋げていくということは、県だけの取組では出来ないと思います。県民全体、あるいは広く言えば関東、日本が団結して取り組まなければいけない大切な問題だと認識しています。

 私は任期を終えますが、地域に戻りましたら微力ながらですが、水源環境保全の取組を続けていきたいと思っています。ご年配の方に話を聞くと、この沢の水は昔飲めたのだよとか、アユやウナギが沢山とれたとの話を聞きます。私としては次世代の人達にそういうことを言いたくないなというのがありまして、このきれいな湖は昔、夏になるとアオコが発生していたんだよと言えるような日がいずれ来たら良いなと思います。最後になりますが、水源環境保全課の皆様ならびに委員の皆様、本当にどうもありがとうございました。

(井伊委員)

 私は5年委員をやらせていただきまして、本当にいろいろと勉強をさせてもらいました。先程の知事の話の中で、神奈川の水は先人のお陰だとの話がありましたけれども、私が県民会議に応募した動機が同じことを書いてありまして、自前の水を用意している、100%自前の設備で用意していることに感銘を受けて、そこが今問題となっているということでこれに応募した経緯があったのですけれども、そうした意味で、県民会議と県の方々がやっている事業が、50年後の人達にとって見れば、今やっていることが、先人の方々がと言ってもらえることを意識しながら、自分は何が出来るかということを意識しながら活動して来ました。

 5年経ってやめてしまうのは非常に寂しいですけれども、勉強させてもらったことを地域での活動で活かせる部分もあると思いますので、そうしたところで事業の協力も出来ればと思います。県の事業はすごく良いことをやっているので、県民会議は基本的にはそれを後押しするような方向で、批判とかそういうことではなくて、応援していくような形で今後5年、10年やっていってもらったら良いのではないかと思います。応援していますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

(増田委員)

 当初から市民事業専門委員会に関わっておりまして、市民団体の補助制度は当然税金ですので、厳しく審査する必要があります。一方で、市民団体の方々は非常に真面目で、真摯に環境問題等に取り組んでいるのを7年間見て来ました。そういう方々の思いを、もっと自立出来るような仕組みづくりを考えるとか、昨年ワールドカフェという新しい形式で団体の方々と交流を持ちましたが、他団体との交流がとても大事でそこに課題も出て来ます。市民事業としては、他団体の方々といかに連携するかというツール作りも重要だと思いますので、今後もそうしたことを考えていければと思います。ありがとうございました。

(田中座長)

 事務局からご欠席の委員からもメッセージを預かっているとのことですので、中村道也委員と木平委員長ですね、それではご紹介をお願いします。

(事務局)

 それではまず、木平委員からのコメントをご紹介させていただきます。今日は第27回目の県民会議と聞き、7年前の第一回目の会義のありさまが思い浮かびます。その後、印象的だったことを列記します。これらは県民会議の発展の軌跡ではないでしょうか。①第一回目の会議では、県民委員の仕事が少なかったので、もっとやりたいとの不平が委員から噴出しました。次回から仕事は増えました。②県民委員により初めて編集・印刷された「しずくちゃんだより」1号の内容は、県事業の自画自讃PRチラシとなり、県民会議の自主性のなさを曝してしまいました。次号からは辛口記事に変わりました。③事業の現場モニターが始まると各委員間の事業評価の凹凸が目立ちました。これらは県民委員の自己研鑽の結果、次第に修正されました。④ある間伐業者の経営者が代わり間伐の方法が乱暴になり事業地の表土が撹乱されて水源林環境は誰の目にも悪くなりました。水源税が山を荒らしたと言われました。しかし、県民会議による現地モニターの場所にはなりませんでした。すなわち、県民が評価する場所はどのようにして、誰が選ぶのかが課題になりました。県民委員が自分の考えで場所を選ぶことが欠けていたのです。このような紆余曲折と試行錯誤の結果からたどり着いたのが、現在の県民会議の制度であり実績です。試行錯誤はフィールドでも会議室でも経験が積み重ねられた結果が現在です。それには時間と忍耐が必要でした。しかし、それは大きな成果だと確信しています。「市民参加による県民の合意形成」を多くの委員と一緒にフィールドで、会議室で、実践できたこの7年間は私にとって、かけがえのない貴重な時間でした。心からお礼を申し上げます。

 次に中村道也委員からのコメントです。事業の見直しに当たって忘れてならないのは、超過課税は一般財源以上に県民の強い意志を持っていることであって、超過課税を是とした県民意志を基本にした見直しが必要である。検証と評価は、これまでの事業実績で行われるが、事業見直しはその枠内に止まる必要はないし、枠から広がる、あるいは全く別の事業に切り替える検討がなされてもよい。超過課税で行う事業が、既存事業に該当しない新たな取組でなければならないことは理解するが、人工林の管理など、ダム上流域で行われる既存事業は、財政難から事業の縮小を余儀なくされている。ダムより高標高の森林整備や生態系の維持が水の安定供給に繋がることは疑いがなく、高標高域で行われる、改良を重ねた工事手法による山腹保全は、水源環境に直接関わるだけでなく、生態系の維持や多様性を高める意味から評価できる。水土保全という目標を掲げる治山事業と、それを支える基幹林道の整備は、水源環境整備の基盤と言えるものであり、「既存事業に使えない」と言う制約に縛られる必要はない。自然相手の事業が5年や10年で結果が出るとは思わないが、県民が納得する事業であるか否かは大切な判断材料であり、一年でも半年でも、実施後に不都合を感じたら、その場で見直すことが超過課税を有効に活用する手段である。長期的視点に立って事業の整理を進め、この2年でこれまでの10年の総括を行い、次の10年に繋げる努力が必要である。以上です。

(田中座長)

 欠席のお二人の委員からのコメントを紹介していただきました。それでは天野副座長、お願いいたします。

(天野副座長)

 あらためてご挨拶させていただきますが、税制の審議会から始まりまして12年位でしょうか、皆様とこの委員会でいろいろと意見交換等させていただきました。一番感じましたことは、知事からも話が出ましたが、私も22年ばかり津久井の行政をやりまして、宮ヶ瀬ダムの建設でも公共下水道でもいろいろと苦労がありましたけれども、この会議で皆様の意見を聞いていて一番感じたことは、税金を使って仕事をすることはこんなにも難しく、苦労が多いものかということを感じました。

 今日で退任させていただきますが、私のところは2月の雪が1メートル20センチ積もりました。その時に少し思いまして、昭和61年3月に大変な豪雪がありまして、その時の日記を見たら庭の積雪が60センチとありまして、今回は倍降ったということになります。その時は長洲知事でしたが、私は行政の長でしたから知事をご案内して、津久井郡の被災地を歩いたことを今でも覚えております。その時の知事のコメントが新聞に大きく出ましたが、神奈川県の水源地の山という山に塔婆が立ったと、一面塔婆だらけだということで、その位雪害が大きかった。しかし、今回は、先日県の事務局に伺いましたら、水源林の整備がされた所ではほとんど今回は雪害が出なかったということで、私も近所を見まして全く被害が出ていないなということを思いまして、経済的な評価などいろいろな評価があるでしょうけれども、大変な効果が出ているということを、今回の大雪から見て、間違いのない行政の政策であったとの確信と、それなりに多くの方々に評価をしていただく必要があると思います。

 最後に一つお願いしたいのは、先日、事務局から事業施策箇所図が送られてきましたが、それを細かく見まして3つほど感じました。1つは、個人有林が対象になってずっと施業がされてきたということを感じました。簡単に言いますと、丹沢山塊の水源林の中では、幹と言うよりも枝の部分がほとんどだと感じております。同じ日に、私は分収林契約を結んでいる関係で、自然環境保全センターから分収林についてのお知らせが来まして、地図にある分収林と比べながら自分の分収林がどこにあるかなと見ました。そうした中でのお願いですが、事務局から伺ったところによると、県が森林公社から引き受けたもので、承継分収林というそうです。津久井郡から足柄下郡まで全部で3,500ヘクタール分収林があるということで、そのうちの約1,000ヘクタール弱位までは手が入っているようですが、分収林の目的である、伐採して利益を配分することはもう出来ません。お聞きするところによると、平成29年頃から順次、契約満了で返され始めるとのことで、私も返される人の一人かなと思いますが、返されたとしてもそれを手入れすることは出来ないという問題があります。そうした問題が津久井郡から足柄下郡までで、おそらく2,000ヘクタール位は生まれてしまうのではないかなと思います。

 もう一つは、改めて知ったことですが、施策箇所図のど真ん中に、職員の方に聞くと約7,000ヘクタールの県有林があって、承継分収林と県有林は一般会計事業でやっているとのことです。県の行政改革でいろいろと被害を受けていますが、神奈川県が本当に財政的に行き詰っているということがよく分かります。したがいまして、第3期の計画を立てる時には、山梨県のことも大事ですが、本家本元の水源地として一番大事な源頭部がほとんど手付かずで、手付かずというと語弊がありますが、県民の力ではやり切れないということが残ってしまうのではないかと感じます。あまりにも面積が大きいけれども、大事な所です。第3期ではそこの部分にもメスを入れていただき、そのことに対して水源環境税を投入することの是非を、県民は許すのか否かを真正面からご議論いただいて、県事務局からも十分な資料提供をしていただき、是非、この水源環境税は歴史的な大事業でありますので、子孫の代までも、この事業によって本当に100年後も良かったとの思いが県民に残りますように、第3期計画では、今私が申し上げた部分にもメスを入れていただきたい。大変長いことお世話になりまして、ありがとうございました。

 最後になりますが、青根という所に行ってみてください。そこに恨みの碑という大きな石碑があります。それは宮ヶ瀬ダム建設の際、無理矢理、私が建設省と神奈川県と調印をしてしまって、青根の生活用水を枯渇させてしまった。私は、お金でもって水道局から勘弁してくれと言って謝ったのですが、村の人達は許さないと、天野を恨むための大きな石碑が立っています。それは青根村に流れていた全部の自然水が、宮ヶ瀬ダムに導水路を引くために枯渇してしまった。何百年と流れ続けていた生活用水を奪って、それに良しとしてハンコをついたのは許せない、天野を恨もうという恨みの碑というのがありますので、是非、水問題を考える時には、そういう所にも目を向けていただけると、私もこの席で10数年お世話になりましたことを、有り難く感謝出来ると思います。皆様方、本当にどうもありがとうございました。

(田中座長)

 ありがとうございました。天野副座長は行政経験も豊富でありましたし、この間の経緯をつぶさにご存知でしたので、大変身に迫るご指摘、ご提言をいただいたかと思います。もう時間もありませんので、最後に私から簡単に一言だけ申し上げさせていただきます。

 本当に委員の皆様、長い間ご協力をありがとうございました。座長として不束な者でありますけれども、お引き受けをさせていただいて、全体の進行や報告書の取りまとめなどさせていただきました。場合によっては、委員からすると、やや強引であったり、思いが伝わらなかったりする部分があって、十分に皆様の思いをすくい取れなかったかも知れません。その点についてはお許しをいただき、今後それぞれのお立場になってから、ご指摘やご助言をいただければと思います。私なりに精一杯させていただいたつもりですが、十分に時間が取れなかった、今日も豊富な議題の中で十分に意見交換を尽せなかったとの恨みはありますが、決められた時間や資源の中で配分をしていくことも大事かなと思いまして、そのような段取りをさせていただいたところでございます。

 具体的に2点、肝に銘じたいと思うことがありますので、申し上げます。1点目は、この事業が大変高度で複雑なものになりつつあります。県民から超過課税をいただき、特別事業として展開する、そのための評価の仕組みを作る。これは、ある意味で政策の実験をしているわけでございまして、そのための評価の仕組みをどうするか、事業の監視をどうするかということで、事業モニターであったり、市民事業への展開であったり、施策調査専門委員会の評価であったりと、そうした取組を様々にしてきたわけです。その結果、大変高度な水準の高いものになっていて、他の自治体、あるいは国の取組と比べても大変評価されるべきことだと思います。反面、課題としては、複雑で難しくなってきています。したがいまして、次の段階では、出来るだけ分かりやすい、報告書もスリムなものにして、今日のようなこの100ページ近いものを、県民の方に手に取ってもらうのはいささか重いかなと思いますので、できるだけ簡潔に、分かりやすい情報発信が出来たら良いなと思います。

 2点目ですが、やはり現場を見なければいけないということです。先程中村委員からお話がありましたし、井伊委員から重ねてご指摘がありましたけれども、現場からきちんと点検しないといけないということです。次期に申し送るとすれば、現場からの視点を忘れてはいけない、県民会議がそれぞれの事業をきちんと点検しながら、その感性をもって点検結果報告書という形で盛り込み、県に提言をしていく。現場の視点を忘れてはいけない。このことは今、天野副座長からも重ねて指摘されたかと思います。現場からの目線を、次期の県民会議の中でも活かしていただければと思います。この2点を私の自戒の言葉として、まとめさせていただきます。どうも皆様、ありがとうございました。それでは、事務局にお返しいたします。

(事務局)

 それでは、出席の環境農政局の幹部職員からご挨拶をさせていただきます。

(中島環境農政局長)

 環境農政局長の中島でございます。本日は大変ご熱心なご議論をありがとうございました。また、2年間にわたって精力的にご活躍をいただいて、改めて感謝を申し上げます。4月1日付けの人事異動で別の職に就くことになりましたが、先程、皆様から県の仕事をよくやっているとのお褒めのお言葉を励みにして、人が変わってもやることは変わりませんので、これからもきちんと評価をいただけるような仕事を精一杯やらせていただきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

(河原水・緑部長)

 4月1日付けで安全防災局に異動することとなりました。水源環境としての2年間、それから部長としての2年間、本当に皆様にお世話になりました、ありがとうございました。

(今部水源環境保全課長)

 4月1日付けでヘルスケア・ニューフロンティア推進局に異動することとなりました。この2年間、第2期計画の滑り出しを担当させていただきまして、皆さまのご協力をいただきながら、お陰様で事務局の運営を進めることが出来ました、本当にありがとうございました。

(会議終了)

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会議資料

次第

資料1-1 点検結果報告書(第2期・平成24年度実績版)(案)(その1)

資料1-1 点検結果報告書(第2期・平成24年度実績版)(案)(その2)

資料1-2 点検結果報告書(第2期・平成24年度実績版)(案)に関する意見について

資料1-3 第27回施策調査専門委員会(拡大専門委員会)等の開催概要

資料1-4 水源環境保全・再生施策の総合的な評価について

資料1-5 各事業の評価の流れ図(構造図)

資料1-6 森林の保全・再生に係る施策評価

資料1-7 総合的な評価の視点を踏まえた水関係の施策評価について

資料1-8 水関係の施策評価

資料1-9 河川・水路の自然浄化対策(6番事業)の評価

資料1-10 河川・水路等をめぐる状況

資料1-11 生態系に配慮した河川・水路等の整備指針

資料1-12 経済的な施策評価の手法に関する勉強会資料

資料2-1 平成26年度水源環境保全・再生市民事業支援補助金申請及び採択状況

資料2-2 多様な主体による施策評価に向けた補助事業(水環境モニタリング)の募集について

資料3 水源環境保全・再生かながわ県民会議第2回~第4回事業モニター報告書

資料4-1 第21回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラム活動結果報告

資料4-2 平成25年度水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムアンケート集計結果

資料5-1 平成25年度コミュニケーションチーム活動検討会(第6回・第7回)結果概要

資料5-2 リーフレット「支えよう!かながわの森と水」

資料5-3 平成25年度水源環境保全・再生かながわ県民会議等 イベント予定・リーフレット配布計画

資料6 第4期県民会議への引継書

資料7 水源環境保全・再生への取組み(水源環境保全・再生事業会計)

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