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更新日:2021年3月3日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
水源環境保全・再生かながわ県民会議 第53回施策調査専門委員会
令和2年11月9日(月曜日)10時00分から12時30分
株式会社崎陽軒 崎陽軒本店6階会議室 3号室
吉村 千洋【委員長】、土屋 俊幸【副委員長】、大沼 あゆみ、岡田 久子、鈴木 雅一、羽澄 俊裕
令和3年2月8日(月曜日)
水源環境保全課 水源企画グループ 髙橋(菜)
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(吉村委員長)
皆さん、おはようございます。今日は、今年度第3回の施策調査専門委員会となります。主な議題は次第にありますとおり、経済評価と年度ごとの点検結果報告書、森林環境譲与税の使途の公表についてということになっております。
議題1 第4期における経済評価の実施について
(吉村委員長)
それでは、まず経済評価の実施内容の検討から入らせていただきます。今まで何度かにわたりご議論いただきましたように、第4期に経済評価を行うことになっていまして、前回は大沼委員に講義をしていただいて、どんな形があり得るかという可能性を少し広くご議論いただきました。今日は2回目ということで、経済評価の実施の方針や枠組みについてできるだけ決めていけたらと考えております。まずそのあたりの段取りも含めて、事務局から資料のご説明をお願いしたいと思います。
[資料1-1~1-2、参考資料1により事務局から説明]
(吉村委員長)
ありがとうございます。資料1-1と資料1-2、参考資料1ということです。経済評価については、今議題を出していただいたように、今日は主に2点検討することになっています。1点目は検討の進め方、2点目は経済評価の目的・対象・方法についてということですが、1点目の進め方というのは、具体的には資料に前回の例が出されているということですか。
(事務局)
前回の例としては資料1-1の4ページ目以降に実施した手法と対象、そのときに使用されていたデータを載せております。それに加えまして、参考資料1も前回のアンケート調査になっておりますので、具体的にこの質問項目は要らないとかそういう項目の話というよりも、大まかな流れとしてCVMでこういうことを聞いていく形になるかなど、そういう流れを確認していただけたらと考えております。
(吉村委員長)
そうすると、進め方というのは、スケジュールのようなイメージを持っていたのですが、具体的な内容のことですか。
(事務局)
そういうことになります。
(吉村委員長)
分かりました。スケジュール感については資料1-2に、整理されております。これをまず頭に入れていただくのがいいと思います。現在、令和2年で、実際の実施予定は令和4年ですので1年半後ぐらい、具体的な予算申請を来年度夏ぐらいにすると聞いていますので、来年の春頃までにその具体化を進めないといけないという状況になっております。そして、以前聞いたお話ですと、次回の委員会の際に最終的に業者に委託できるような仕様書の内容として固めていくということになりますか。
(事務局)
仕様書づくりまでここでというよりは、仕様書に県のいろいろな内規なども入りますので、そこに盛り込めるような内容の大枠を決めていただけたらと考えております。
(吉村委員長)
そういうことですので、細かい一つ一つの内容まで検討する必要はないと思いますが、ここにキーワードとして挙がっています目的、対象、主な方法というのは、この委員会で検討しておく必要があるという状況です。1時間弱程、時間を取る予定にしていますが、どこから議論を進めればいいですか。資料1-1の頭からにしましょうか。まず目的が一番大事なところになりますので、こちらをご確認いただきたいと思います。かながわ水源環境保全・再生施策大綱に基づく事業、これを総合的に評価する視点の一つとして経済評価を実施するということですね。経済評価自体は第4期1年目に予定していますが、基本的には施策大綱20年間の終了時における評価に盛り込む経済的な側面の評価として活用したいという形になっております。このあたりは、大綱の最終評価に向けてということで今まで議論してきましたので、大きなご異論はないと思います。
続いて評価対象です。ここは私も気になるところですが、県民に分かりやすく情報提供するために経済的視点から評価を実施するということです。評価対象として考える部分は①、②となっておりまして、施策大綱事業全般と特別対策事業ということで、特別対策事業は施策大綱で行っている事業の一部という位置づけになっており、特別な財源を活用して行っている事業になります。全部で11の事業です。その位置関係が資料1-1に書かれていまして、1ページ目の図が大綱全体です。左から2番目の中柱の番号1から7までが全体像になっていまして、その右側の黄色くなっている事業は特別対策事業も行っている事業という理解です。具体的には、その次のページに特別対策事業の番号が振られた図がございます。ですので、方針として考えられるのは、1ページの図、全体の事業に対して行う評価、もしくは黄色の部分、特別対策事業で行っている事業に対して行う評価、さらには個別に見ることもある程度は可能ですので、例えば1番事業の評価、2番事業の評価という個別の設定も可能だと理解しております。ちなみに、前回はたしか2段構えで評価をしたのでしたか。
(事務局)
前回は、CVMでは特別対策事業などに限らず施策大綱全般について行いまして、補足的な形で代替法を行っていたのですが、代替法は森林関係の事業のみを対象にしています。
(吉村委員長)
そういうことで、一つの案になるかと思いますが、それにこだわらずに最終評価を意識しながら決めていくといいのかなと思います。いかがですか。
(鈴木委員)
評価の対象としては、施策大綱事業全般の評価と特別対策事業の評価とあるのですが、1ページ目の体系の図を見ると、一つは、2番の河川の保全・再生のところにダム湖の環境整備というのがあって、これは一般会計の予算でやっていて特別事業ではないわけです。この事業の結果としてアオコがどうのこうのというような、いわゆる事業評価を行っている指標があります。その指標自身はこのダム湖の環境と、中柱の5番の県外上流対策というのが下流のダム湖に影響してくるということです。そのあたりを考えると、毎年事業評価して指標のターゲットにしているところと、経済効果をターゲットにしているところというのが、ぴったり重なるかずれるかという話があると思うのです。そこのところを、議論するときに考える必要があると思います。私としては、特別対策事業だけ抜き出すというのは難しいので、大綱全般で評価せざるを得ないというか、そちらが主体になるのかなという印象を持っているのですが、そのあたり、ご専門の先生方にご意見いただければと思います。
(吉村委員長)
ありがとうございます。ご指摘のとおりかと思いますが、他の委員の皆様いかがですか。今のご指摘の中には、今年の6月に県に提出した中間評価で指標を10個程度考えて適用してきましたけれども、その指標が評価する内容の中に直接、特別対策事業と関係ないわけではないですが、一般財源事業の効果も含まれる形になっている部分があるということです。
(岡田委員)
前回は施策大綱事業全体を評価対象としてたということなのですが、前回の経緯というか、そうなった背景というか、全体で評価したことによって何かデメリットがあったのかというような、そういうところをクリアにしたらどうかと思います。
(吉村委員長)
前回の経緯を把握されている方はいらっしゃいますか。
(自然環境保全センター)
前回は多分、分けられないというのがあったかと思います。前回も委員会を何回か開催してコンサル業者に請け負っていただいて検討はしていますが、やはり森林なので分割するのが難しいので全体にしたかと思います。特にあとは前回、話はずれますが評価を差分にするのか、その時点の全体の評価にするのかというのは、二転三転しながら議論していたような気がします。
(土屋委員)
ほぼ今の議論と同じことで、資料1-1の5の第4期使用可能と思われるデータのところを先読みしたのですが、森林関係のことはやはり分離できないということが書いてあるわけで、つまり、この委員会で特別対策事業だけ評価するよう言っても、実際無理なのであれば仕方がないのではないかと思って、それをお聞きしようと思ったのが1点です。
それからもう一つ、その前提で、以前にもお聞きしたような気もするのですが、特別対策事業と一般財源事業は大ざっぱに言うとお金でどのぐらいの比率なのかというのをもう一度教えてもらえますか。
(水源環境保全課副課長)
前回も一つそういうお話があって、先ほどあった河川やダム湖など、そういったものの詳しい予算額というのは、今用意していないのでお答えできないのですが、施策大綱の1番の事業の森林の整備であれば、一般財源でやっているものは13億円ぐらいで、特別会計のほうも同じく13億円ぐらいで、13億円、13億円で26億円プラスアルファというところで最近は、1番事業については事業を実行しております。
(土屋委員)
水のほうはすごく大ざっぱに言うとどうなのですか。そういう比率、半々ぐらいのものなのか、一般のほうが多いのか少ないのか、感覚的にどうなのでしょうか。
(水源環境保全課副課長)
特別対策事業で市町村が行う河川整備については支援させていただいておりますけれども、それは市町村が行う河川整備で、例えば市町村は農業用水路の環境整備もやっております。それから、県が管理する二級河川など、そういったものの河川整備というのも当然ございまして、それは県の県土整備局でやっています。それも、県が管理する河川は多くございますので、かなりの額が投入されていると考えます。それから、相模川などの大河川の本流のところであれば国土交通省がやっている河川改修というのもございますので、その額はさらに高い事業費で実施されていると思います。特別対策事業の事業費と、一般会計のほうでやっている事業費を比べると、特別対策事業よりは数倍の事業費で実施されているのではないかと思います。
(吉村委員長)
よろしいですか。
(土屋委員)
はい。
(鈴木委員)
今のご説明はそのとおりだと思いますが、ここで書くかどうかは別にして、どこかでは一度それも含めた表をつくっておく必要があるのではないか。つまり、例えば一級河川の河川整備費みたいなものがどんと乗るというのを説明した上でそれを書いておく。あるいは、その中にある環境整備事業はこれだけというものを書いて、全体像は見ておいてもいいと思います。この評価とは別になりますけれども。
(吉村委員長)
どうですか。次回の委員会のときにそういった資料をご用意できたらお願いしたいと思います。
(大沼委員)
施策大綱事業から特別対策事業を分けるのは難しいというのは理解したのですが、出てきた結果を、WTPなり評価の額というものをそのまま評価額として受け入れていいのかということは議論しなければ駄目です。事業費を半々で出していたとして、例えば評価が10億円などと出たときに、神奈川県の水源環境の評価が10億円ということは言えないのではないでしょうか。だから、そこは比例配分するなど何らかの形で説得力があるように、評価の額というのを調整してやるのがいいのではないかと思います。
(吉村委員長)
前回の経済評価のときにはそういった議論はあったのでしょうか。たしか私の記憶では、特別対策事業の総額に対してこれぐらいの価値というのは報告書にあったと思うのですが、一般財源のほうも含めた議論というのはどの程度されたのでしょうか。
(自然環境保全センター)
比例配分するというところまでは話が及んでいなかったような気がします。あくまでも全部でという形です。
(大沼委員)
そうすると、前回の経済評価は神奈川県の施策や税に対する効果を評価したとは言えないのではないかと思ってしまいます。
(鈴木委員)
今は価値が出たときに、特別対策事業の効果というのが分けられるかどうかということなのですが、前回やったときの議論のもう一つ難しい話は、先ほど差分かどうかという話がありました。つまり、神奈川県が営々として環境保全に対する事業をやってきた結果としてある今の自然環境の評価というのはできただろうと思います。しかし、特別対策事業が始まってからだけの効果はそのうち幾らあるかという配分の問題があるのです。これが、前回のときは実はやろうとしたけれども、5年間の進捗だけで言えたかどうかというのは疑問があったと思います。
(大沼委員)
おっしゃるとおり、効果はそんな短期的に出るものではないわけなので、大事なのはベースラインを決めることなのです。何の対策もしなかったら前のものが維持できたかということは分からない。もしかしたら劣化するのです。そうすると、差分というのは基本的には一番分かりやすいことなのですが、通常はもう一つステップが、次元が増えてしまうので、ベースラインを決めてしまうわけです。何もしなかったときにどうなったかということです。やった結果こうなったということの差分を測るわけです。だからそこは、具体的に出てきた差分というのは分かりますが、ベースラインというのは難しいです。今、鈴木委員がおっしゃった形と合わせると、現状を評価したときに、例えば水源環境保全税があったことで現状が維持できたというような書き方にすれば少し近いかなという気がしますが、ここのところはやはり厳密に議論しないと正確な評価は出ないと思います。
(鈴木委員)
おっしゃるとおりなのです。羽澄委員はご専門かと思いますが、2番事業の丹沢大山の保全・再生というところでも今おっしゃったベースライン、基をどこにするかなのです。人手が加わる前の原生的な自然がある丹沢というのを基にすると下がっているだろうとか、関東大震災で荒れてボロボロになった丹沢というのを出発点にするといろいろな長い事業で良くなってきている、これは間違いないわけです。それがまた途中から酸性雨だのシカが増えるだのいろいろなことがあって対策しているわけで、このいろいろなタイムスパンの蓄積が、実はこの事業の開始のときのモチベーションにもなっているのです。そういう議論があって、差分を取るときの基のベースライン、ゼロ点をどこに置くかというのがまた、この事業の中の酸性雨だったらこことか、シカだったらこことか、バラバラにせざるを得ないという議論を昔からしていました。羽澄委員はそのあたりいかがですか。
(羽澄委員)
あまり詳しくなくて申し訳ありません。
(吉村委員長)
前回と状況が違うのは今はデータ、実績の蓄積がこの対策事業であるということです。その期間が、第4期を想定すると15年程度になります。少なくとも15年前と現在の違いはある程度示すことができると思います。ただ、その間も環境の変化がありますので、対策をしなかった場合の現時点での状況を想像するのはなかなか難しい面がありますけれども、それができれば望ましいというところです。
(鈴木委員)
前回もいろいろな議論をしていろいろな準備をしてやったので、そういう意味では改めて、昨年度もこういう検討のときに前回の結果のレビューの資料を参考資料につけていただいてやっていましたけれども、今回や今度の県民会議のときにも委員の方に概要のような資料をつけておいていただいて、それで今日の結果をまたご紹介するというのがいいのではと今ちょっと思いました。それから、先ほどの話だと15年近く経ってきているので、そういう意味では、前回のときは始まって間もないのでそういう細かい差分という議論はできなかったけれども、今回は改めて「差分を見ます」ということを宣言して、そこに挑戦するということが後の質問項目も含めてきちんとできるならばやって、そうすると答えが違っても今回は設定条件が違ってより厳しくしていますというようなことで、新たなレポートを書くということでは意味があるのかなと思います。単純に前回の評価とお金を比べるのではなくて、そういうことを設定するなら、やる価値があるというか意味があると思います。
(大沼委員)
今、鈴木委員がおっしゃったとおりだと思います。ちょっとお聞きしたいのは、全くお金をかけていない水源環境保全税が始まった時点でモニターしている森林はあるのですか。つまり、今、評価の対象になっているのは、当然水源環境保全税を入れているところですよね。水源環境保全税を入れていないところがどうなっているかというのが分かると、このぐらい劣化するのだと示せます。例えばそういったデータを基にしてベースラインというのが言えるわけです。そうすると、水源環境保全税を入れた結果出てきた差分というのがベースラインと比べてどうなのかということが、説得力のある形で分かるのではないでしょうか。
(鈴木委員)
これは自然環境保全センターからご回答いただくのがいいかもしれませんが、手を入れないものとの比較というのは、実はスケールがありまして、小さな流域の単位というか谷川の単位で手を入れていない、手を入れたと比べられるように準備してあるところが県内に何か所かあるわけです。ただ、もう少し広がるとか、あるいは神奈川県全域とかいうと、なかなか比較の対象が取りにくいということがあろうかと思います。だから、手がかりがないことはないと思うのですが、対象が広くなってくると、あるいは人間が住んでいるところが含まれてくると、なかなか情報がないのかもしれません。いかがでしょうか。
(大沼委員)
お金をかけたところというのは、似たようなところでいいと思うのです。
(自然環境保全センター研究企画部長兼自然保護公園部長)
鈴木委員がおっしゃったとおりで、小さな流域での比較というのはある意味模擬的にやっています。本当はリアルに一つの流域は整備を行い、隣り合ったもう一つの流域は整備をしないというのを比較できればいいのですが、それは難しいので、柵を張ってシカを徹底的に排除した状態をつくり出して、そうでない状態との比較をしています。また、広域的な目で見れば、それ以外のいろいろな事業の効果というのが入ってしまっているのです。いわゆる実験室の実験ではないので、野外の規模の小さな流域といっても、実際にはかなり大きな規模の自然を相手にする計測になるので、いろいろな要素が入ってきます。さらに今、鈴木委員がおっしゃったように広域の比較になると、一定の条件でのモデル的な解析となるため、リアルからより一層離れていってしまうのです。本当は、実際の山で全くやらない状態をつくり出して、並べて見えるようにできればいいのですが、すごく難しいことなので、できていません。それに代わるものを一生懸命組み立ててやっているような状況です。
(羽澄委員)
西丹沢と東丹沢というのはどうですか。
(自然環境保全センター研究企画部長兼自然保護公園部長)
西丹沢と東丹沢も、手順的に対策が早く始まったか遅く始まったかとか、対策の強度がどのぐらいかかってきているかという差があるだけで、片方はやらないで片方はやっているというような比較はできないです。総合調査をやったときは、確かに東丹沢は荒廃し切った状態で、それに比べ西丹沢はまだ健全度が残っているということで、東西にモニタリングサイトを設けて比較をしたのですが、その後15年あまり経って、東丹沢のほうはいろいろな施策をやって回復してきたけれども、西丹沢のほうは施策が少し後回しになった分、今はシカの影響などかなり強まっており、一生懸命対応しているという状況です。自然の中で起きている変化と私たちの施策の展開はすごく複雑で、施策の効果はかなり時間が遅れて出てくることもあるので、単純に西と東できっぱり分けた比較というのは難しいです。ただ、実際に現在どうなのかということは、一生懸命調べているので、例えば植生がどうかということは、ある程度の詳しさで出てくると思います。
(鈴木委員)
今のご説明のとおりだと思うのですが、結局、専門家が詳しく調べて分解度を細かくすると、小さなでこぼこというのは、あっちはちょっと良くなった、こっちは遅くなったので前は良かったけどちょっと悪くなってきたなどと細かいノイズで現象が分かってくるのですが、県全体を通して環境が良くなったかどうかということで、それがどのくらいの経済価値があるかというような視点からすると、あまり真面目に考え過ぎて差分などと言い出すと、逆にノイズが大きくなって現象が見えなくなるということも、今の話を伺っていると出てきそうな気がします。
(大沼委員)
ですから完璧なものは難しい、当然無理なので、どこが一番、鈴木委員がおっしゃったノイズが少ないかということと、純粋な形だとこういうことを調べなければならないのかということを設定した上で、そこからどのぐらい距離があっていいかということを簡単な説得力のある形で議論していかないと駄目かと思います。
(吉村委員長)
ありがとうございます。森林の話でしたけれども、水に関してはいかがですか。地下水や生活排水対策、河川環境も含めてそのあたりは、森林に比べると例えば15年前との違いや、対策しなかった場合との違いというのは、示しやすいと考えていいですか。いかがでしょうか。
(環境科学センター)
先ほどずっと議論を聞いていた中で、差分という話は比較的、例えば浄化槽を設置する、下水道を整備するという点に関しては、非常に差分が取りやすいと思います。それはなぜかというと、例えば川でしたら流れてくるものがあって、その調査地点は、通常の事業においても公共用水域調査というのがあって、毎年水質の調査は実施されているということがありまして、我々の水源でもやっていますけれども、そういった調査をしている中で言うと、その当時のデータがある可能性は十分にあり得ます。例えば今、我々が注目しているのは、串川というところで、上流においてかなり集中的に浄化槽の整備が行われ、窒素、リンの濃度の低下が見られた場所がありまして、そういったところにおいては下流で水質調査もしているので、そこの点については結構差分が取りやすいということがあります。それと、森林のほうだとシカの話などがあって劣化するということがあるのですが、それに対して人の数がそんなに大きく変わらなければ、基本的には常に生活排水が出てくる状況が続いているというのは、恐らくずっと変わらないという意味では、ベースラインは恐らくその時点で変わっていないというところでは、評価しやすいと思います。
もう一つ、河川水路整備の話はどうでしょう、その前にどこまでデータがあるか。特に河川水路整備については水質だけではなくて、いわゆる生態系保全の話があったりする中でどこまでそれを評価できるかというところは、その前のデータがあるか検討したいと思います。
(吉村委員長)
ありがとうございます。水質であれば比較的数字で出しやすいところもあるでしょう。いずれにしても、具体的なピンポイントの事例として紹介することはできるのですが、県全体の水源としてどうなったかというのはまた議論が、うまい方法を考えないといけないところだと思います。
ちょっと気になるのですが、評価対象を施策大綱の事業全般とした場合、かなりの情報量になると思うのです。県民の方に評価してもらうときにいろいろなデータがあって、例えば今の、できれば対照流域法調査の結果も理解した上でとか、時間的な差分も理解した上で評価してほしいとなると膨大な情報が準備できてしまうのですが、それを全て読んでいただくのは無理という現実があります。そういった情報量の多さは、恐らく前回の経済評価のときも同じだったと思うのですが、どのように取捨選択して、大事な部分だけを見せて回答してもらうことにしていたのですか。
(鈴木委員)
参考資料1の議題1関係が前回実施時の質問票なのですが、この4ページに集約した情報ということで、前はこれを見て答えてもらったわけです。
(吉村委員長)
そういうことです。これが1番事業の森林の部分についてのアンケートの内容ということです。
(鈴木委員)
これは、考えてみれば難しい話です。私がこのアンケートを取られたら、答えるのはすごく悩むと思います。
(吉村委員長)
ここの見せ方次第で大きく変わるという気もします。これは抜粋しているので、アンケート用紙の一部で、下にページ番号があるように、全部で70ページぐらいのボリュームがあったということですから、かなり分厚い冊子ということになりますね。
(事務局)
質問票は37ページから始まっていて、37ページから69ページまでの合計32ページ分だと思います。1番事業の抜粋した箇所は、この参考資料1の46、47ページで、これと同じようなつくりのページが2番事業から10番事業まで入っていたということになります。
(吉村委員長)
そういうことですか。
(事務局)
はい。66ページからは、最後に全部の取りまとめのような形の質問が入っています。
(吉村委員長)
各事業については1ページ、2ページ程度で。
(事務局)
そうです。事業の内容と変化の様子、あとは当時載せていたものは1番事業であれば整備後の変化であったり、間伐材の搬出であれば搬出量の増加している推移であったりというものを載せていたということになります。
(鈴木委員)
今の40ページという2枚めくった後のところですが、ここでは写真を見せてこういう変化がありますということを言っているわけです。これで学習していただいた上で答えてもらうということなのですが、ご覧になって分かるように、ここには数字は一切入れていないのです。何%から何%になったとかではなくて、与える情報をこのときは写真だけ、たしかこのときは栗山先生か何かの話で、数字を入れても数字が分かる人と分からない人がいて質問するから、出す情報は誰でも分かる写真の情報にするというような議論があったようにうっすら記憶しています。そうすると、数字がないと雰囲気の話になってなかなか差分にならなくなってしまうのです。そこら辺が多分もう少し議論しなければいけないところというか、方針としての差分が取りたいというのと、ここで提示する情報のレベルをどうするか、このあたりがまだあるかと思います。
(吉村委員長)
ありがとうございます。恐らく前回の時点で数字を出すというところもなかなか難しい作業だったろうと想像しています。このあたりも回答者のコメント欄というのが最後にあるようですので、実際この形式でのアンケートがどうだったかというレビューについては一度確認しておくべきかと思います。
(事務局)
承知しました。
(吉村委員長)
他にいかがでしょうか。
(鈴木委員)
ちょっと先にいってしまうかもしれませんが、資料1-1の5ページ目で、CVMのほうは800枚の質問票を準備して800人を調べたということです。今調べたいことからすると、専門的に考えて800でいいのか、あるいは2択で金額を聞いていくようなことをするともう少しサンプルがないといけないのか、そのあたりの議論もあると思っています。
それから、その下にある代替法のところは、質問が何人対象かというのが今入っていないわけですが、これをどのような対象にするのかというあたりが要ると思います。
(大沼委員)
これは2段階選択方式なので、ある程度数がないと駄目なのですが、800あれば十分だと思います。もう一つの代替法のほうですが、これは人に聞くわけではなくて、こちらで計算するので大丈夫です。
(吉村委員長)
ちょっと整理させていただきたいのですが、この資料1-1の冒頭の目的の部分に書いてあるこの文面ですと、特別対策事業という文言はこの目的に入っていないようなのです。これを素直に読むと、大綱全体の評価をするべきと理解できるのですが、ここの部分はほぼ確定という理解でよろしいのですか。それとも、ここも含めてこの委員会で検討するということでしょうか。
(事務局)
ここも含めてあくまでも事務局案という形なので、施策調査専門委員会でご議論にただきたいと考えております。前回の中間評価のようなものの最終評価を作成するときの参考にしていただくものとして経済評価を実施したいと考えています。そうなると、中間評価報告書は特別対策事業に関するものだったと思うので、最終評価も特別対策事業の評価にはなってくると思います。
(鈴木委員)
行政として言えば、そういうことかもしれませんが、もともとこの水源環境保全・再生施策というものは、5か年計画の4回で20年ということで成り立っていて、5か年計画を満了して次の5か年計画にいくときは、一般会計の事業も含めて、あるいは一般会計の事業にもなっていないものも含めて、環境の保全・再生に役立つことは何かということを調べて新たに事業を加えたり、あるいはもう達成された事業は外したりというように特別対策事業というものだけを見て議論してはいけないというのが、最初にこれをつくったときの精神だったように思うのです。それからすると、今の特別対策事業という枠だけで考えるというのも、最初の精神からするとちょっと違うところもあるのです。その辺が今度評価するときにどんなスタンスでやるかということだと思います。
(吉村委員長)
このあたりも大事だと思います。この会議は、普段は特別対策事業のことを議論していますが、一歩引いて県民の目線で考えると、特別財源であろうが一般財源であろうが水源環境を保全していきたいという視点で見ていると思いますので、そこの間の財源の区別というのはあまり重要ではないとも思います。あとは、最終的な評価にもつながるということですが、15年ないし20年の大綱として実施した事業の評価というところには、一般財源で行った事業の効果も含めた形で最終評価を行うという、そういった枠組みもあるという理解でしょうか。ちょっとその辺の話が曖昧だったのですが、最終評価は中間評価と同じように特別対策事業の評価にするのか、それとも施策大綱全体の評価というのを行う方向なのか、そのあたりは今後の議論になるかもしれません。
(水源環境保全課長)
今まで中間評価を含めて特別対策事業に絞って評価をしていただいていますが、今、吉村委員長からお話があったように、最終評価については、結局事業というのは一般会計でやろうと特別会計でやろうと全体で行われているわけで、その評価をしていただくという意味では、施策大綱全体を評価していただくというやり方は、最終評価についてはあろうかと思います。ですから、先ほど経済評価の議論をしていただいているのを聞いていると、例えば一般会計と特別会計合わせて事業が行われていて、そのうち経済評価が出てきたものを、先ほど言われたように、例えば森林整備で言えばちょうど13億円、13億円で半々で年間全体26億円でやってきたわけですから、その評価というのは、特別対策事業についてはそれを2分の1にして評価として見るというやり方はあろうかと思いますので、全体を評価していただいて、それをどう切り分けるかということを考えていただいたほうが評価はしやすいのではないかと思います。多分、特別対策事業だけの評価というのは非常に難しいのではないかと思いますので、全体で評価していただいて、そのうちの特別対策事業に充てた事業費で割り振っていって特別対策事業の評価という、いわゆる個人県民税で負担していただいた評価というのがどれぐらいなのかというのを切り分けていくことを考えたほうがよろしいかと思います。
あと1点だけ、先ほど例えば河川の保全・再生でダム湖の環境整備は一般財源だけで行っているとここに書いてありますが、確かにそれ以外に、私どもがやっている以外で河川についてはいろいろな工事が行われたりしていますので、金額としてはすごく大きな事業があって、多分このダム湖の環境整備、一般事業の4事業というのはその中でウエイトとしては小さいと思うのですが、これはあくまでも環境整備として行っているので、通常の河川の工事を全部入れてしまうと、事業費そのものが膨らんでぼけてきてしまうのではないかと思っています。ですので、例えば河川に係る環境整備にどれぐらい県全体がお金をかけていて、そのうちこのダム湖の環境整備についてはこれだけのお金をかけているのでということで按分していく。河川工事も含めて全体を把握して、そのうちダム湖はこれだけですというのは、ちょっと事業としては広がらせ過ぎかと思うので、そこは対象を環境整備に限ってという形で絞れば、それに対して我々が事業費を出して、そのうちダム湖はこれだけ使っていて、これだけの効果が表れたということで、県民に見て評価していただくというのがいいのではないかと思いました。
(吉村委員長)
ありがとうございます。施策大綱全体の事業に対する評価は欠かせないということですが、今の部分、いかがでしょうか。
(土屋委員)
技術的に、もしくはこれまでの流れで言うと、施策大綱全体の評価というのは分かるのですが、そもそもこの経済評価は何のためにあるのかということを考えると、最終的なところでは水源環境保全税という形でこれからも続けていくべきかどうかというときの評価の一つの材料として使うことにはなるのですよね。つまり、どこかで特別対策事業と一般財源による事業と切り分ける必要が最終的にはあるのですよね。
(水源環境保全課長)
最終的にはあると思います。ですから、そこを事業費ベースで今までどれだけかかってきたかということで切ってしまうというやり方はあると思いますが、最初から切って特別対策事業だけで評価できるかというと、それは難しいと思っています。
(土屋委員)
分かりました。
(吉村委員長)
他にいかがでしょう。今ご指摘いただいたように、金額ベースではなかなかきっちり分けられない面も恐らくあるのでしょう。私が普段接しているような河川事業でもそうですし、治水対策と環境対策を両方合わせてやるという場合もありますので、目安というか概算でこれぐらいの規模で実施しましたという程度であれば可能かもしれませんが、きちんとした事業費を出すのは難しい面もあるというところです。
今までの議論を踏まえると、施策大綱全体の評価というのはそれはそれで重要かと思います。前回と違うのは、15年前との違いをできるだけ示した上で、その差分を評価できれば一番理想的だということです。それに加えて、この特別対策事業を継続するかどうかという、そこも情報にしたいというところもありますので、前回と同じような形になるかもしれませんが、2段階の枠組みで、可能であれば特別対策事業を個別に評価するという部分もできれば欲しいというところです。作業的、時間的に可能かどうかまだ考えられていませんから、そういった方向で検討していくのがいいのではないかという理解です。
そのあたりの方針をある程度決めた後、具体的な方法ですか。CVMを取らざるを得ない面もありますが、個別の評価であれば幾つか手法の選択肢はあるだろうということです。あとは、情報の見せ方というのもなかなか難しい面もあって検討しないといけませんが、いかがですか。1時間ぐらい経ちましたが、事務局でここは検討してほしいというのがもう少しあればご指摘いただければと思います。
(水源環境保全課長)
先ほど事業費のお話がありましたが、県民の方に最初に理解していただいた上でアンケート調査にご協力いただくということで考えると、事業費の見せ方も1番から10番ごとに、1番にはこれだけかけてという、そういう細かなものまで最初に理解していただいた上でアンケートに臨んでいただくのがいいのか、事業費全体で15年これだけかけてきました、一般会計と特別会計はこういう割合で今までやってきましたという、もっと大ざっぱに全体像だけを金額ベースで見せて、その中で、5年で200億円かけていますから15年で大体600億ぐらい第3期までにかけていますので、例えば1,000億円のうち600億円を水源環境保全税でかけてこれまでやってきましたという見せ方がいいのか、それとも、1事業ごとに細かく見せたほうがいいのか、そこはどちらを見せたほうが一般県民の方にはいいのかと思います。
(吉村委員長)
私の理解としては環境の経済評価ですので、環境の変化になるかもしれませんが、環境を理解した上で価値をつけていただく、そのときに予算を示すというのはあまりよくないのではないかと思います。どうですか。
(鈴木委員)
事業費で按分するとか何かというのは解析の段階ですから、データを取るときには行政ベースの事業が幾らかというのは全く関係ないものです。
(水源環境保全課長)
我々が作業する上でそこは切り分けておければいいということでよろしいですか。
(吉村委員長)
そうです。県民の皆さんの回答が集まって集計が終わった段階で、実際に予算との比較で事業全体の評価を行うという段取りがいいかと思います。
(大沼委員)
経済評価で出てきた額というのは、基本的に便益なのです。どれだけハッピーになったかということを測るわけですので、幾らかけたか、こういったこととは全く関係ないと理解していただいたほうがよろしいです。
(水源環境保全課長)
先ほどの議論ですと、例えば数字的にどれだけ改善できたとか、そういうものは示したほうが分かりやすいのではないかということで、そこはよろしいでしょうか。
(吉村委員長)
その数字もいろいろあるかとは思います。
(大沼委員)
何パーセント改善した、こういう形だったら県民の皆さんは分かりやすいですか。水質が何パーセント改善したか。
(水源環境保全課長)
ものによると思います。
(大沼委員)
通常は水質だったらパーセントで言わないで、水浴びができるようになったとか、そういう具体的なイメージで話してもらうことが多いです。例えば窒素とか含有量がこれぐらい下がったということで、どういう効果があるかという典型的なものを出してもらうほうがいいような気がします。
(吉村委員長)
現状の環境の状態をお示しして回答してもらうというのが基本的なスタンスかと思います。
(鈴木委員)
いずれにしても今の議論は、今日の参考資料1(議題1関係)にあります質問票です。質問票は、前の説明の写真の選び方やここでの数値の示し方、質問の設定の仕方、これが全てのような気もします。逆に言うとここのところを場合によると後で悔いが残らないように準備するというのがいいと思います。
(吉村委員長)
そうです。私も気になっていました。前回お話しさせてもらったときには、恐らく具体的には専門の業者に作成していただくことになると思うのですが、それをこの委員会で確認、場合によっては修正の意見を出すような時間的な余裕はあると理解してよろしいですか。来年度の話です。
(鈴木委員)
来年1年かけてやるのですよね。
(大沼委員)
業者に頼むというのは、どういったところまで頼むのですか。質問をつくって分析してもらうのですか。大丈夫なのかなという感じがします。
(事務局)
前回の例ですと、業者に頼んで検討会を3回実施して、その中で質問項目の内容などを決めていきました。吉田先生とかに入っていただいた検討会を業者が事務局で主催していただいて、その中で質問の項目がどうかという検討もしていました。
(鈴木委員)
要は事務局とこの施策調査専門委員会とでつくれる部分というのは大枠までしかつくれませんので、この会議とは別に委員会というか検討会を県のほうで設置されて、一部の委員は両方兼ねられたかもしれませんが、そういう形で進めていったということです。
(大沼委員)
ちゃんとした専門家に入っていただくということでよろしいですか。
(事務局)
そうです。専門家に入っていただいた検討会をつくって、かつ、どこまでスケジュールの状況でできるか分かりませんが、今のところ、その検討会で出た質問項目などの内容をこちらの施策調査専門委員会にも報告して、施策調査専門委員会としてはこういうほうがいいのではないかというご意見があればまた検討会のほうに戻してということができればいいと思っています。
(大沼委員)
そうすると、ここで今やることというのは、その委員会でやることとはどういう違いが出てくるのですか。
(事務局)
まず今は、業者にお願いするためにも仕様書をつくって、実際に何をやるのかということは示さないといけないので、具体的な方針を決めるということはこの委員会でしていただきたいと考えています。
(大沼委員)
具体的な質問の内容についてはその委員会でやるのですか。
(事務局)
そうなると思います。
(鈴木委員)
それに我々はこの委員会で意見をいろいろ付けておくことはできるのです。仕様書の特記事項にいろいろこれとこれは入れておいてくださいというのを入れた段階で委員会の結論にするということだと思います。多分この資料1-2のスケジュールの真ん中の段の令和3年度の後半、経済評価委託内容の検討という、ここの部分で検討委員会を設置して半年かけてやると、こういうことですか。それで、そこまでで一応第3期の5か年計画が終わって準備するところまでで、第4期になったらすぐ調査をするという流れですか。
(吉村委員長)
そうです。これを見ると仕様書はどの段階で完成させるのかと思ったのですが、予算要求の段階で必要ですか。それとも、業者に委託するという令和4年度の段階で必要ですか。
(事務局)
実際に仕様書が必要になるのは業者に委託するときなので令和4年度なのですが、令和3年度中に予算を要求しなければいけないという都合があるので、そこまでには大方どういう内容で何をするのかというのは決めておかなければいけないと考えています。
(水源環境保全課長)
規模感が分かっていないと予算が要求できないというのはあります。
(吉村委員長)
仕様書の原案、その程度は必要だということです。その後の具体的に質問をつくっていく作業は、恐らく業者との共同の作業になると思うのですが、それは来年度は実施できないですよね。
(事務局)
そうです。令和4年度に発注して実際調査までして1年間で成果品の受け取りをするつもりで今は考えています。
(吉村委員長)
そうすると、来年度令和3年度の上半期は仕様書を確定させる作業をするということですか。
(事務局)
どこまで第2四半期で終えられるか分かりませんが、その続きで内容を固めていくという感じかと思うので、その前までがより重要な議論になってくると思います。
(吉村委員長)
余裕があればこの委員会か、もしくは経済評価の検討会になるかもしれませんが、業者にお願いする前にある程度具体的なイメージがつくれると一番いいということですか。
(事務局)
そうです。
(吉村委員長)
そういった感じでどうですか。
(大沼委員)
分かりました。基本的にCVMと代替法でやるのであれば、CVMの場合は2段階選択方式でやればいいので、特にお願いしなくてもいいような、これでいいような気がします。だからその聞く内容だけを精査するとなると業者でいいのでしょうか。我々でやったほうが、聞く内容は一番知っているのではないですか。業者に新しく作ってもらった内容というのは、プリミティブなものになってしまうのではないかと思います。今までずっとやってきたでしょう。手法についてはいいわけなので、だからアンケートを実施したりという実際の作業は業者に行ってもらわないとしようがないのです。内容については、CVMを実際にやっている人に私は話を聞いたりできると思いますが、基本的に2段階選択方式でやるのであれば、何も新しくここのところを議論しなくていいという感じです。
(鈴木委員)
ダイレクトに質問票のつくり方みたいな議論をすればいいということですか。
(大沼委員)
そうです。だからもっと別の手法も使ってやるというのであれば検討会をつくればいいですが、私は、新しくこれに加えてもっと別な部分を聞いてみようというのが出てきて、どうやったらいいかというのをやるのは賛成です。ここでやったベーシックなものに加えて、時代も変わったのでもっとこういったことも聞いてみようとか、例えばSDGsの観点からこういったことも聞いたらいいのではないかということで、それに合わせた評価を付加的にやるということも大事だと思います。我々の生活の水だけではなくて、高ベネフィットと呼ばれるものがありますよね。様々な二酸化炭素とかそういったものも合わせた評価というのも大事で、だからここはメインのものでなくても県の施策をやったことでこんな効果がありましたと、そういったことがあったほうがいいのではないですか。そこも含めて考えたら面白いというか、より高い評価というか、評価が高くなるようなものになるのではないかと思います。そこもちょっと検討していただきたいです。
(吉村委員長)
ありがとうございます。事業の直接的な効果だけではなくて、波及する間接的な部分のベネフィットも実際はあるので、そこを評価対象にするかどうかという検討ですか。確かに重要な点だと思います。
(鈴木委員)
多分、今の資料1-1でイメージしていることと、参考資料(議題1関係)にあることをそのままなぞってやると、5年ぐらい前の研究レベルというか調査レベルの焼き直しになると思います。ただ、それでも5年経って評価がどう変わったかという新しい解析はできるわけですが、せっかくやるのであればというご意見は多用にあると思うので、予算と手間の許す限りでできれば新しいアイデアをいろいろ出していただいて入れるのは、そのあたりはまだまだ時間もあるし、可能かと思います。
(吉村委員長)
あと具体的な質問票をつくるというデザインの部分も後々議論しないといけない部分ですが、そのあたりは業者のほうは分からないと思いますので、データをもう一度県の担当の方とこの委員会のメンバーで、まずは原案を検討するというところは必要になると理解しています。その上で業者と調整ということですか。
(大沼委員)
まだ時間があるので、高ベネフィットといいますか、副次的効果の部分でどういったところを見るのがいいのかというのを、是非お考えいただいたほうがいいかもしれません。森林で評価するときに、いわゆる社会的貢献のような、広く便益を及ぼす、目的以外のものでこんなところもいいなというのはどういうものがありますか。レクリエーション、自然保護、生物多様性は大事です。いずれにしろ、何かやってみたら面白いものがたくさんありそうだと思うので、そうすると評価も上がると思います。
(土屋委員)
私は大沼委員が研究集会で行ったセッションなども見させていただいたのですが、今はもう世界的な動きで気候変動をどうするかということはかなり重要なテーマになってきていて、その中でグリーンインフラというものの位置づけが大分変わってきているのです。これまでは伝統的に水というのは昔から大事だと言われてきたわけですが、もちろんそれは非常に重要だとして、今、大沼委員が言われたような複合的な機能というのがグリーンインフラによってもたらされるのではないか。だからそこのところをきちんと強化していくことが、一つの国だけではなくて世界的に非常に重要だという認識がかなり一般的になってきていると思います。当初の水源環境保全税を考えたときの設計よりも、例えば森林の機能の位置づけという評価が大分変わってきているのです。その辺は今になってみると5年前はほぼなかったので、もちろん研究者仲間ではそういうことが言われていましたが、政策レベルではなかったので、それがもう今は国土交通省も環境省もかなり走っています。その辺のところを先取りして評価できると、この事業全体の位置づけが大分変わってくると思います。水だけの問題ではないと、神奈川県は先行的に投資することによって世界的に重要な部分についてもう対応しているということがもしかしたら可能になるのかもしれない。ただし、そのためにはいろいろな評価を、水は一番評価しやすかったので昔からやってきていますが、レクリエーションや生物多様性はそれと比べると大分評価は難しいし、それこそ総合的にどう評価するか難しいと思うのです。ただ、それにチャレンジするとすごく効果は大きいと思います。
(大沼委員)
先進性をアピールできるのではないですか。
(吉村委員長)
そうですね。その部分もある意味15年前との違いではないかと思います。県民や専門分野の中での議論の進展というのがありますので、それも踏まえて評価体系を改めて考えるという視点もあっていいと思います。ただ、どんどん話が膨らんでいきますので、森林の場合は防災林や林業の話も関連してきますので、どこまで入れるか検討しないといけませんが、重要なところだと思いました。
少し時間が経ってきていますので、今日のところは集約させる方向にいきたいと思っております。まずは、私の理解ですが、全体の方針に関しては、ここに書いていただいた資料1-1の目的の方向で基本的に進めるというのが第一で、一般財源の事業も含めた大綱全体の実施効果を経済評価で明らかにするということだと思います。その上で理想というか、できれば特別対策事業、特別税の効果というのも評価できるとうまく最終評価に、それから、もしやるとしたら次の事業につながっていきますので、可能な範囲で特別対策事業の全体もしくは個別になるかもしれませんが、その効果も見られるような形で調査を考えるということです。最後に、アイデアを出していただきましたが、その副次的な効果です。施策大綱に書かれていない、県民の皆さんに直接的な水源環境としての位置づけだけではなくて、もう一回り広い効果というのを環境を持つという立場に立って、場合によってはプラスアルファの質問をつけるか、それとも、それを含めたアンケートを検討するか、どちらかになると思いますが、そこも今後考えていく必要があると思います。前回と大きく違うのは、今の視点というところと、あとは環境が15年前とどう違うかというところもある程度は出せると思いますので、できればそれを示しながら回答していただくのが一番いいと考えております。
なかなか議論が集約できませんが、そういったところでよいでしょうか。
(岡田委員)
意見を集約しないといけないのですね。夢のあるプラスアルファ、波及効果みたいなものはとてもいいと思います。もともとの部分について質問させてください。CVMをやる部分ですが、前回の焼き直しという理解で正しいでしょうか。そうであれば、参考資料1を見ると、前回は事業の実施の前後の写真を出して比較してアンケートに答えてもらっています。今回実施する際もこの事業をする前の左の写真がベースラインになるという理解でいいでしょうか。
(吉村委員長)
はい。それが一つのやり方かと思っていますが、次回は事業実施前と現状との比較ができるような写真を出すというのが一つだと思います。
(岡田委員)
はい。多分右の写真は実施から5年後の写真だと思いますが、その写真が現在の写真に変わるというようなイメージでいいですか。
(吉村委員長)
そうです。それが一番素直かと思っております。
(岡田委員)
分かりました。
(吉村委員長)
あとは、前回の調査結果とどう関連させるかというのも気になるのですが、あまり前回の内容にこだわる必要はないかと思っています。というのは、最終的に20年間の評価につなげるというところと、次の事業を見据えてというところになりますので、参考にはなりますし、途中ご意見も出ましたけれども、前回の反省を振り返る必要があるということで、レビューの資料は恐らくあると思いますので、それを確認しないといけないというところはあります。それを踏まえて、最大限の効果を見込めるような内容にするといいのではないかと思います。
よろしいでしょうか。具体的な方法に関しては、事業全体の評価に関してはやはりCVMが一番やりやすいのではないかと思いますが、特別対策事業もしくは個別の事業の評価に関しては、CVM以外にも代替法やそれ以外の方法が使える可能性があるということで、今後の検討課題と考えております。その辺を次回の会議の資料として準備していきますので、徐々に煮詰めていけたらと思っております。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、今日はあと2つありますので、次に進めさせていただきます。
議題2 特別対策事業の点検結果報告書(令和元年度実績版)について
(吉村委員長)
議題2ということで、昨年度の点検結果報告書です。この原案を作成していただきましたので、こちらの資料のご説明をお願いいたします。
[資料2-1~2-5により事務局から説明]
(吉村委員長)
ありがとうございます。令和元年度の実績版です。情報としてはほぼ全て掲載された形になっていまして、初報と言っていいかもしれません。
私からまず1つ確認させてください。原案の0-2ページに全体の枠組みが書かれていますが、作業チームの再編というのがあったと思うのですが、それは令和元年度からですか。
(事務局)
今年度から再編したチーム編成で運用が始まりましたので、元年度の点検結果報告書には昨年度までの3つのチーム編成のもので載せてあります。
(吉村委員長)
そうすると、令和元年度は再編に向けた議論があったということですか。
(事務局)
そうです。一応(1)の最後に、「令和元年度は公募委員中心の作業チームの再編について検討を行った」という一文を入れてあります。
(吉村委員長)
分かりました。ありがとうございます。全体に関して委員の皆さん、いかがでしょうか。
(鈴木委員)
細かいことばかりで恐縮なのですが、資料2-2のA3の資料の3ページ目に、丹沢大山の保全・再生対策というところがあります。それの(1)に赤い字で修正が入っているところがあるのですが、改めて見ると、去年の文章も含めてなのですが、この赤い文章です。「シカを排除した植生保護柵内での植被率の増加や樹木稚樹の成長が見られることから、引き続き管理捕獲によるシカの生息密度の低下が期待される」となっているのですが、保護柵内で植被率の増加や樹木稚樹の成長が見られるというと、ここまで読んだ感じだと、それでは植生保護柵をもっと増やしましょうということにつながるはずなのです。実はここでは、植生保護柵の中の効果というのは、シカの密度が減ったときに相当するので、シカの密度を減らす効果があるという、こういうロジックのはずなのですが、これだけだと、それではシカを減らさなくても植生保護柵をもっと増やせばいいではないかという気がしますので、ここのところの文章をもう少し長くなってもいいので工夫したほうがいいと思います。これを読むと、実は去年もそうなっているので、そういうロジックなのですが、そこのところは、植生保護柵を設置するのも大事ですがとか何か、要はこの文章は直ちに密度にいかないところが気になりました。
もう一つは、最後の9ページ目で、11番目の「県民参加による水源環境保全・再生のための仕組み」で、これは本委員会とか県民会議そのものですが、(1)の事業点検の評価というところで、総合的な評価報告書や意見書提出に向けて検討を行ったというのはこのとおりで尽きていると言えば尽きているのですが、もう少し中身が書けないでしょうか。具体的には、次の議題に関係するかもしれませんが、要は森林環境譲与税が入ってきたときの見直しはしなくていいのかという議論を去年したはずなのです。だからそれはこの県民会議の、やった事業を評価するだけではなくて、新たに始まった施策と有効にすみ分けて仕事ができているかという検討なので、そういうこともこの年はありましたというのはあってもいいと思いましたので、2点です。
(吉村委員長)
ありがとうございます。委員会の活動に関しては少し背景情報を入れていただいて、森林環境譲与税の話ですとか、20年間の中で重要な取組をしたということも一つだと思いますが、分かるように書くといいということです。
他にいかがでしょうか。ちなみに、中間評価報告書に関しては、提出は今年度でしたので、準備をしたということですか。
(事務局)
そうです。6月に県への提出でしたので、準備をしたという形の記載にとどめています。
(吉村委員長)
そういうことなので、中間評価を受けての対応というのはまだここには入らないということですね。
(事務局)
そうです。
(吉村委員長)
他にいかがでしょうか。細かいことでも結構ですので、ご指摘をいただきたいと思います。ちなみに、この後は先ほどご説明がありましたが、12月の県民会議にこの原案をお出しして確認していただくという段取りだと思います。例年との大きな違いというのは、台風影響の情報を整理していただいたというのと、その影響への対応を関連する事業のところに記載しているということになります。最後のところに分かりやすく示していただいていますが、例えばモニタリングに必要な設備が壊されたということだったと思いますので、各事業の評価にも記載があると思いますが、関連する記載があるところに、最後のページに被害全体の概要が載っていますと参照できるようにしておくといいかもしれません。例えばモニタリングの実施という10番事業の中に、詳細とまでは言えませんが、被害の全体に関しては、あとがきをご参照くださいと入れておくといいかもしれません。
(事務局)
ありがとうございます。あと、ページの位置も、あとがきの一番後ろに参考的な形で入れさせていただいたのですが、台風被害に関する情報がこの場所でいいのかということも含めてご議論いただければと思っております。
(吉村委員長)
この掲載場所に関してはいかがですか。最後に載っています。もしくは、選択肢としては附録ということでホームページだけという選択肢と、もう少し前というのもありますか。
(羽澄委員)
あとがきより前のほうがよくないですか。
(吉村委員長)
あとがきの前ですか。点検結果の最後ぐらいですか。もしくは、あとがきの後にもう一つ見出しを立てて、Ⅴの補足情報という形も可能かと思います。総括の後はどうですか。
(鈴木委員)
あるいは、「はじめに」の最後につけて、このコラムをちょっと圧縮して上に2行ほど上げて、令和元年台風第19号は県下に様々な被害を与え、この特別対策事業にも影響を与えたというような何か一文を上につけて、はじめにの、要するに第1節の終わりに入れるという手もあります。そうすると、これが幾つかの事業に影響を与えたと、そういうことをこのページの頭に書いておいてもいいわけです。
(吉村委員長)
そうですね。事業の話というよりもそういった自然現象でそういうことが起きたということなので、冒頭に入れておくのもよさそうです。その場合は、0-7ページの次のページに追加してコラムですか、もしくは第3として見出しを入れてもいいかもしれません。
(鈴木委員)
令和元年度の特記事項という感じなのですが。その辺でご検討ください。
(吉村委員長)
あとがきではなくて、冒頭に掲載することにしましょうか。他にはいかがでしょうか。
(岡田委員)
最後の12-6ページですが、上のグラフがせっかく出ているので、この28%の説明が文章にもあると分かりやすいと思います。年間雨量の28%がこの台風で降ったという意味合いでグラフは出されていると思うのですが、文章の中に説明を入れると親切だと思いました。
(鈴木委員)
平年の4分の1を超えるような雨が一度の雨で降りましたと、こういうことですか。
(岡田委員)
はい。そうです。
(吉村委員長)
おっしゃるとおりです。今、議論いただきました台風影響と点検結果報告書は、私も一通り読ませていただいて、台風情報の掲載場所以外はよさそうかなと思いました。細かい文言に関しては後でメモをお渡ししますので、ご確認いただければと思います。
一つ、しばらく前にも話が出たような気がしますが、第3期3年度まで進行していまして、0-9ページに予算の進捗率、執行率というのが掲載されています。5分の3なので60%ぐらいが目安になるかと思いますが、それと大きく違うところとして3つぐらい50%や40%や30%台があったのですが、一番下の「県民参加による水源環境保全・再生のための仕組み」の36.7%という、この数字だけが本文中に説明がなかったように思いますので、低めの進捗もしくは執行率になっているのはなぜかという補足があるといいと思いました。それ以外については、私が見たところ説明がありましたので、よさそうだと思いました。
他はよろしいですか。これについてはまだ少し時間がありまして、次回の県民会議で共有しまして、その後意見照会がございますので、その間に気づいたところがあればご指摘いただきたいと思います。よろしいでしょうか。そうしましたら、12月21日に予定されている県民会議では、今日の議論を踏まえた修正版になりますか。
(事務局)
修正を入れたものを出せるようにします。
(吉村委員長)
そちらを恐らく私のほうから説明させていただくことになると思います。以上、議題2でした。
議題3 森林環境譲与税の使途の公表について
(吉村委員長)
それでは、議題3、森林環境譲与税の使途の公表について、に移らせていただきます。こちらは皆さんご存じかと思いますが、令和元年度よりこの税金が譲与されており、使途の公表をすることが法律で定められておりますので、今後県のホームページで公開が予定されているということになっています。こちらについて、特別対策事業にも関連するということで、森林再生課のほうからご報告、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
[資料3により森林再生課から説明]
(吉村委員長)
ありがとうございました。公表の仕方についてご意見がありましたらお願いいたします。
(羽澄委員)
林業的にはよく整っていると拝見したのですが、これまで水源関係ではシカ対策を重視して、県民への説明としてもそこを重視してきた。しかし、森林環境譲与税で民有林の手入れが進むことで懸念されることは、間伐をやって手入れが進んだ結果、その跡地がシカの餌場になってしまうことです。これは全国共通の課題です。その辺の配慮がされているのかちょっと気になります。神奈川県では特に水源環境保全税の絡みでシカ対策に関する県民への情報提供を随分行ってきましたから、森林環境譲与税を使った手入れについて、シカ対策にどれぐらい配慮されているのかというところが多分注目されると思うのです。その意味では、手入れをされた林分では捕獲を強化したとか、あるいはフェンシングをしたなど、手当てをどうされているかという情報が欲しいと思ったのが一点です。
もう一点は、参考資料2のご説明の1ページの、森林環境譲与税のボックスの下のほうに例として「獣害対策として実施する森林整備」とお書きいただいているのですが、これは具体的にどういうことなのか知りたいと思います。というのは、全国的に獣が出没してしようがないという状況の中で、獣害対策として整備する森林とは何なのかと。多分「里にあまり誘引されない森づくり」などにしたほうがいいのではないかと思いました。一昔前のように里山整備でドングリの実のなる木を里にいっぱいつくれば、そこにクマが来るのは当たり前ではないかという話になってしまうわけです。そういう意味で資料3の5ページに森林環境譲与税対応のエリアというのが出てくるわけですが、この図に沿って、シカも含めた獣害対策として、どのようにゾーニングしながらどういう絵面を10年20年先に向けてつくっていこうとしている。だから今こういう環境整備をしていますといった、手入れの方針に関する部分だと思うのですが、何かその辺の情報が、ビジョンでもいいですが、欲しいと思いました。
(事務局)
資料の説明が不十分で申し訳なかったのですが、参考資料2は今回、中間評価報告書の資料を参考につけさせていただいておりまして、森林環境譲与税と水源環境保全税のすみ分けについて参考にお示ししたものでございます。
(羽澄委員)
公表の時点で今申し上げたような情報が資料の説明として加わっていると、県民としては分かりやすいと思いました。ちょっと手間がかかるかもしれませんが。
(森林再生課)
今後、そういった情報も掲載したほうがいいということはわかりますが、時間的にそこを入れていくのは厳しいと思いますので、まずは今回一旦これをつくってまたブラッシュアップしていく中で、羽澄委員が今言われたことを課題として検討していきたいと思います。
(羽澄委員)
それで結構です。
(鈴木委員)
神奈川県というのは、市町村は幾つあるのでしたか。つまり、2ページ目で事業を実施した市町村は19で、実施しない市町村が幾つあったのか、全数がどこかにないと分かりにくいと思います。特に基金を積み立てて2年度以降活用する市町村は15、この15市町村は上の事業を実施したところと重なっているのか、全部基金に積み立てただけでまだ何もやっていないのか、この表現だとそのあたりが読めないので、もう少し分かりやすく書けますか。
(森林再生課)
まず、県内の市町村としては33あります。そのうち、19市町村が何かしらの取組をしたということです。残りが14市町村になるのですが、実は清川村が、使ってかつ基金を積み立ててと両方入っているので、そこは重なって15市町村ということになっています。ですから、全く使わないで基金に積んだというのは14市町となります。実際この14市町では、昨年度活用はありませんでしたが、今年度は活用している市町村もあります。
(鈴木委員)
ありがとうございます。あと2点ほどあるのですが、参考資料2で見ると、山のエリアは分かるのですが、森林環境譲与税は横浜市、川崎市と都市部もあるわけです。そこは、この下側の森林環境譲与税の使途ということでいくと、木材利用の推進と普及啓発ということになるのでしょうか。そうだとすると、要するに大都市部での譲与税の使い方について、今の資料3のどこかでそれが分かるようになっていないかと思うのですが、そこはいかがでしょう。
(森林再生課)
都市部での使い方ですか。
(鈴木委員)
要するに森林環境譲与税は人口比の配分の分もあるわけですから、市町村の範疇に入る事業があるわけです。そこが何をしたかというのは、これは県が対象にして行ったことの話だから、横浜市や川崎市がどう使ったかというのは、このペーパーには入っていないということですか。
(森林再生課)
資料3には入ってきませんが、ホームページのほうには川崎市も横浜市も全部、どこの市町村が何をやったかは全部公表していきます。神奈川県の地図がありますが、これで市町村分と神奈川県分の2つをつくって、位置を落とすことで考えています。
(鈴木委員)
そうすると、後学のためにですが、横浜や川崎というのは、木材の利用の促進と普及啓発という以外のことは何かされているのかどうか教えていただけますか。
(森林再生課)
横浜、川崎の都市部のほうも当然、森林整備や木材利用も全部含んでいます。横浜市はみどり税があるので、森林整備には使わないということを表明していまして、木材利用に特化していくということです。横浜市は昨年度、今年度まだ積み立てておりまして、今後、学校での木質化で大々的に使っていくということです。川崎市については、木材利用から森林整備、普及啓発と幅広い形でやっています。
(鈴木委員)
ありがとうございます。最後の質問、4ページ目の木材使用量500立方メートルの二酸化炭素固定量に換算して家51軒分というのですが、木材使用量は500立方メートルなのですが、これは割る年という年単位の数字なのでしょうか。つまり、二酸化炭素排出量6.5トン/年とディメンションが合っていない気がするという点が一つあります。だから1年間でということなのか、これは1年間と言うべきなのか、実はその500立方メートルを蓄積するのに例えば20年とか40年とか60年かかっていたら、1年間にためている量はこれの20分の1とか60分の1になるのではないかというところがこれではよく分からないので、単位に着目してというか、単位をそろえた上での説明をしていただく必要があります。要するに、伐期分だけで二酸化炭素をためたものを一気に使うというか、それがたまっているということと、片や、家庭のほうは1年に幾ら排出しているか。それから、家庭で換算するというのが分かりやすいのか、以前、林野庁は、炭素吸収量は家庭の自動車が1年間に排出する二酸化炭素量というのを使って、例えば1台の自動車は杉の速さだと0.8で、20年生の杉だったら本数にすれば200本とか、そのぐらいを吸っていますという説明をしていたと思うのです。自動車は燃費がガソリンでリッター10キロとか20キロで、1年間に10万キロとか、一応単位が探しやすいので、それで二酸化炭素換算や炭素換算しやすいというのはあったと思うのです。その単位の話と換算方法の話についてどうでしょう。
(森林再生課)
木材使用量自体は、昨年度、森林環境譲与税を使っていろいろな木質化や建物を建てるのに使った量の合計が、市町村と県合わせて500立方メートルだったということです。この500立方メートルの中に二酸化炭素はどれぐらい固定されたかというのを換算して計算して出したのが331トンです。これを分かりやすくということで、一つ例として家庭に換算しました。確かに自動車もありましたが、内部で話し合った中で、1年間に普通の家庭の排出二酸化炭素が6.5トン、今回固定された量はその51軒分に相当するということで示しました。
(鈴木委員)
これは、エアコンや何かの電気の元の発電所での排出量を含んでいるのですか。
(森林再生課)
この年6.5トンというのは、単純に林野庁で出しているもので、そこまで細かいことは分かりません。
(鈴木委員)
家庭から出す炭素というのは、どこまでソースをたどっていくかという話があるので、ぽんと言われてもなかなか分かりません。例えば今だったら100%電化にしている家庭であったら何も出ないかもしれませんし、そういうところがどこまで、元まで全部行っているかどうかというあたりでイメージが持ちにくかったということです。
(森林再生課)
今後検討していきます。
(吉村委員長)
1つ目は、恐らくこの家庭の話は1年でということになっていますので、これを読むと、木材の固定量も1年当たりこれだけだと勘違いされるおそれがあるということだと思うのです。そのあたり、補足説明等があるといいかと思います。実際は20年30年かけてこれだけ固定できたということですよね。1年ではないと思うのです。木材の中の炭素量としてはそうなのですが、固定されるプロセスは1年で起こっていない。そのずれが気になるところです。
(鈴木委員)
それでもう一つ、この数字の家の軒数を大きくするとたくさん働いていることになると思うのですが、神奈川県の森林を1年で全部伐採してしまえば、この数字は大きくなりますよね。そうすると、それがいいことなのかという話になるので、もう少し説明がないと、1年間に使った木材の量をそのまま議論するというのは、ロジックとしてどうかという気がします。
(吉村委員長)
分かる人は分かると思うのですが、そういった勘違いも生みかねないおそれがあります。
(森林再生課)
分かりました。
(吉村委員長)
私は普通の家庭というのが気になったので、平均的な家庭にすると若干客観的かと思いました。
(大沼委員)
私もここのところが気になったのですが、一つは、二酸化炭素の削減量を見える化する上で、一番分かってもらいやすいのはガソリンの量なのです。二酸化炭素1トンで大体400リットルぐらい、そうすると、330トンというと12万~13万リットルぐらいのガソリンから出る排出量を抑えたぐらいになります。そっちのほうが分かりやすいような気がします。
あと、さっき鈴木委員と吉村委員長がおっしゃったように、木材使用量の説明がもう少し必要ではないかと思います。これは、持続的に森林を整備して木材を利用することでということですよね。
(森林再生課)
そうです。昨年度、森林環境譲与税を使って木材が使われたので、使われずにそのまま腐らせてしまうと二酸化炭素を排出しますが、何かに使えばそこに二酸化炭素が固定されていますので、その固定量を分かりやすく表現したいということです。
(大沼委員)
つまり、置いておけば二酸化炭素が出てしまうというのと、使えば、机などをつくればそれが抑えられるということのメカニズムがよく分からないと思うのです。森にそのまま木を置いておくと二酸化炭素は出てしまうのですか。
(森林再生課)
木を単に間伐だけしてそのまま腐らせてしまうと、樹木中にある二酸化炭素はそこから放出していくことになります。
(大沼委員)
そうなのですか。
(吉村委員長)
それも何年、何十年かけてのプロセスですよね。
(森林再生課)
それはそうです。すぐというわけではないです。
(吉村委員長)
私としては取った分また再生できるという、森林がまだ育っていくという、そっちのほうが大事だと思います。
(大沼委員)
そうです。私もそう思ったのですが、違うのですか。
(森林再生課)
カーボンニュートラルですか。
(大沼委員)
時間的なタイムラグとかそういったことも含めて、そこの説明が必要ではないかと思います。
(森林再生課)
分かりました。今後検討していきます。
(吉村委員長)
この委員会で話す内容だったかどうか分かりませんが、私のほうで気になった点は、市町村への分配という話がありましたが、そこは使途ごとにチェックされているといいと思います。見せ方の問題です。
あともう一つは、1ページに譲与基準という言葉があって、市町村と都道府県となっているのですが、この資料の書き方として県への譲与という表現でいいのですか。県としては受け取るほうですよね。
(森林再生課)
県から市町村へ配分はしていません。国から直接です。
(吉村委員長)
直接配分なのですか。県としては譲与されているという立場だから譲与基準でいいということですか。分かりました。
(羽澄委員)
先ほど鈴木委員のお話にもあったのですが、都市部の横浜、川崎での森林の話などが出てきたときに、森林のつくり方に対するガイドラインのようなものは県としてお持ちなのでしょうか。都市部の森林はこうしろとか、山麓の里山の森林はこうしろとか、片方で、たしか生物多様性保全計画なども県はお持ちだと思うのですが、それらと整合性のあるような形で都市部の森林をどう扱うか。別に林業的に扱ってもいいと思うのですが、そこにどのような配慮をしろというようなガイドラインが欲しいと思いました。先のことです。
(森林再生課)
都市部のほうにはそういうベースになる考え方がないと、ということで、昨年来、市町村とは話をしております。それをどういう形にしていくか、まだ検討中です。
(吉村委員長)
恐らくこの委員会としては、特別対策事業との関連が大事なところだと思いますので、そのあたりを確認することになると思います。
資料の位置づけとしては、森林環境譲与税の使途の公表ということで、特別対策事業に関しては補足的な扱いですか。それとも、両者を合体させた予算配分や使途を総合的にお見せするというスタンスですか。
(水源環境保全課長)
見せ方は別々です。これは実際に、9月に議会で報告させていただいた資料を今日、報告資料として使わせていただいていますので、この資料を修正どうこうというよりも、今回、森林環境譲与税を使ってこういうことをやってきたということを一般県民にも知らせていきますというご報告です。ただ、神奈川県の場合には、この森林環境譲与税で市町村が行うことと、県が水源環境保全税を使って森林整備などをやっていますので、両者それぞれ報告した上で、それをうまく組み合わせて神奈川はやっているということを県民の方にアピールしていくという意味で、これを入れさせていただいています。
(鈴木委員)
私の今のこの議題の認識は、我々は水源環境保全税の使途の点検というのが主たる任務だけれども、この森林環境譲与税ができて、例えばそれが両方かぶって二重に事業がされていたりする問題が起きる可能性もないとは言えないので、森林環境譲与税の話も私どもは情報提供していただいて、より多く水源環境保全税の検討をしたいということでご報告というか、情報提供をいただいていると思いました。ですから、森林環境譲与税について我々は原理的に口を出す話ではないですが、水源環境保全税のよりよい使い方や成果を考える上では、森林環境譲与税の情報は欠かせないという、そんなところでよろしいのではないでしょうか。
(吉村委員長)
整理していただいてありがとうございます。そう考えますと、公表する際に、例えば参考資料2という、どのようにすみ分けをしてその財源を使っているかということと、あとは前の資料で、両者の税制度の相乗効果を得るような対策を取るという話もあったと思いますので、その相乗的な効果がどの辺で示されるかというところも、補足になるかもしれませんが、添付されていると分かりやすいと思いました。
(森林再生課)
そういったものをホームページに載せていくことで今進めています。
(吉村委員長)
ありがとうございます。他にいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題3については以上にさせていただきます。
それでは、皆さんありがとうございました。これで議題も終わりということで、進行は事務局へお返しいたします。
資料1-1 第4期における経済評価の実施に向けて(PDF:350KB)
資料1-2 経済評価実施のスケジュール(PDF:301KB)
資料2-1 点検結果報告書作成の流れについて(PDF:171KB)
資料2-2 点検結果報告書(令和元年度実績版)総括(案)抜粋(新旧対照表)(PDF:338KB)
資料2-3 点検結果報告書(令和元年度実績版)(案)(PDF:9,657KB)
資料2-4 点検結果報告書(例話現年度実績版)概要版(案)(PDF:2,386KB)
資料2-5 点検結果報告書別冊資料編(PDF:6,117KB)
資料3 森林環境譲与税の使途の公表について【森林再生課】(PDF:849KB)
参考資料1 第2期経済評価実施時のアンケート(一部抜粋)(PDF:4,152KB)
参考資料2 水源環境保全税と森林環境譲与税について(中間評価報告書抜粋)(PDF:1,037KB)
このページの所管所属は環境農政局 緑政部水源環境保全課です。