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更新日:2024年7月2日
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子ども支援WEB講座
~子育て世代包括支援センターの支援の実際について~
講師 |
綾瀬市健康づくり推進課 |
産後、女性は妊娠出産で急激にホルモンが変化します。切れ目のない育児、夜間の授乳で寝不足、育児疲れなどから、イライラしたり、涙ぐんだり、情緒不安定になったり、ひどいときは自分を傷つけたいという思いが出てくる人もいて、それを産後うつと呼んでいます。誰にでもおこりうる症状で、約10~15%のお母さんが発症すると言われています。エジンバラうつ質問票などを使用し把握をしています。出産後、産後2週間健診、産後1か月健診、新生児訪問などでその都度アンケートをとらせていただいています。出産した病院で把握した場合は、本人の同意のもと、病院から綾瀬市に情報提供をしてもらっています。産後2週間健診、産後1か月健診などで病院で把握をしていただいたり、自分の身体を傷つけたいというリスクの高いところにチェックがついたお母さんについては、すぐに電話、家庭訪問等の対応をしています。
病院からの連絡や新生児訪問などでの把握で、訪問につながった場合は、必要時、助産師の訪問、産後ケアにつなげたり、継続して電話や訪問を行ったり、必要な場合は精神科の受診を検討したり、家族のサポート体制の調整をしています。きょうだいがいる場合は、保育園の預かりの紹介や、ファミリーサポートセンターの利用を促したりしています。
優秀でばりばり仕事をしてきたお母さん、実家も近くにあり祖父母も協力的でした。母乳育児でつまづきがあったが、母乳でどうしても育てたい思いが強く、祖父母のアドバイスも素直に聞くことが出来なくなり、訪問に行った際は、祖父母にはイライラとげとげした言葉で、時には涙をするといった状況でした。この方は、産後ケアで助産師さんにお繋ぎし、7回利用、4か月健診には笑顔でいらっしゃいました。本人や家族の気持ちを聞いた上で、健康づくり推進課への相談を提案していただけたらと思います。
育児困難な家庭について、乳幼児健診で把握することが多いです。国で決められた、4~5か月の健診、1歳半健診、3歳半健診、綾瀬市ではこの間に、2歳の歯の健診でお母さんに会う機会があります。育児不安が強いお母さん、抱き方がぎこちなく、ずっと横向きの抱っこをしていて、首すわりがゆっくりになってしまっていたり、経験不足なお母さんもいます。必要時家庭訪問につなげ、精神状態を確認、家族のサポートがあるか、必要時に子育て支援センターの利用をすすめ、保育士さんと接点を持ってもらうようにしています。お母さんがなかなか休めない場合には、社会福祉協議会の家事援助の利用もすすめています。虐待のリスクが高いと感じるケースに関しては、要保護児童対策地域協議会担当と相談しながら、必要時、児童相談所に連絡をとりながら対応しています。
育児不安が強く、健診でも訪問でのずっと泣いているお母さんがいらっしゃいました。週1回祖母の訪問もあり、お父さんも協力的でサポート体制は十分だったが、散歩にも出られないような状況でした。保健師の定期的な訪問、ファミリーサポートセンターの利用、子育て支援センターにつなげ、保育園の一時利用を利用するようになりました。お子さんの成長は問題なく、母子ともに元気に育児が出来ています。
赤ちゃんが寝ないという相談があり、こうしたらどうか、こうやって抱っこするといいよ、とアドバイスをしましたが、お母さんはアドバイスというより、気持ちをいっぱい聞いて欲しかったようで、家庭訪問に行っても留守になることが多くなりました。よき指導者の前に、よき理解者ということを感じ、まずお母さんの気持ちに寄り添う、お母さんの気持ちを理解することが非常に大事だと感じています。そのお母さんは、他の保健師が対応し、今は何かあったら保健師に電話がくるようになっています。自分でだめだったら、他の人が対応してみる、相性もある、失敗もある、他の人に変わるということも大切です。また、いったん関係がだめになったお母さんでも、会った時は普通にする、あまり警戒せず、普通に対応することも大切です。そうすることで、また電話を受けた時に、おかあさんが拒否的でなくなったりするので、そのようなことも心がけています。
昨年はスリランカの方が企画した、小児救急の対応の講座も行いました。外国人の方に対応できるように心がけていますが、言語の壁があり、これからの課題もあります。
外国人の方は、お子さん自身も言葉の壁があり、小学校に入学すると勉強に追いつけるかという課題もあり、難しいと感じているところです。
学齢期で家庭環境が心配なお子さんについて、小学校や中学校の先生から相談がある場合もあります。各学校には、お子さんの様子を見守ってくれるスクールソーシャルワーカーや、子どもの情緒面、発達面を専門的に捉える心理士の資格を持ったスクールカウンセラーがいて、学校生活をサポートしてくれています。お子さんだけではなく、保護者も希望があれば定期的な面談を行うこともできます。お子さんを、担任の先生以外に見守ってくれている人がいるのは保護者にとっては大きな安心につながるので、このような制度を活用出来るとよいと考えます。
学校の中でも各関係機関が集まって、支援を検討する支援会議があり、健康づくり推進課も、ご家庭への支援という立場で参加することもたびたびあります。子どもをとりまく環境、身体的な虐待、心理的な虐待、暴力、暴言、子どもの前の激しい夫婦喧嘩、ご飯を与えてもらっていない、洋服がかなり汚れている、といったネグレクトにあたるような状況がある、ヤングケアラーなど、子どもをとりまく環境でテーマがいろいろとあります。虐待のリスクが高いという場合は要保護児童対策地域協議会で受理するかどうか協議をすることもあります。
お子さんの発達面、衝動性がある、落ち着きがない、強い不安を訴えるというような状況がある場合は、より専門的な医療機関への受診を紹介する場合もあります。
学校だけではなく市役所の教育研究所でもさまざまな相談にのっているので、保護者の了解をとった上で、学校と連携をとって、いろいろな家庭の事情を踏まえたうえで継続的な面談をしていただいています。
コロナ禍で収入が減り、経済的に困っている方が増えている印象があります。そういった方で制度を知らない場合は、紹介をして相談をすすめたり、お話を伝えておくから電話してみてね、とつなぐようなこともあります。
相談のハードルが高いので、なかなか相談に行けないという方がいらっしゃったら、間に入り相談の場に同席するなど、きちんとつながる支援を心がけています。
いろいろなサービスがあっても、きちんとつながるかどうかということが難しく「つなげつなげる」ということも大きな役割のひとつです。お子さんや保護者の気持ちを寄り添って丁寧にまず話を聞いてみることが大事で、話を聞いてもらうだけで安心し、お母さん自身、家族の方が自信を持て、次の段階へ進める方もいます。当事者の方が自分の力で行動に移せるように、背中をちょっと押してあげるようなイメージです。困った事があった時は、通常の何気ない会話の中で、SOSを出しやすい関係づくりを心がけています。支援につなぐために相談窓口を紹介したら、直接相談出来るかを聞き、難しければ、同意を得た上で、支援をする方が相談窓口に情報を伝え、どうしたらいいかを確認すると良いと思います。
窓口の担当者の方の名前を聞き、担当者の方の名前を保護者の方に伝えます。事前に話しが通っていると、保護者の方が電話を掛けやすくなります。電話をする、相談をするということは当事者にとっては難しいハードルがあるので、紹介をしたら、しっかりつながったかというところまで、会話の中で確認することも大事です。書類が書けないから窓口に申請が出来ないという方もいらっしゃり、ちょっとのかかわりで制度を利用出来る場合もあるので、出来る範囲の中で、継続的にフォローが出来ると良いと考えます。
一人で抱え込まず、なるべく多くの連携機関を持つことを意識していただくと良いです。一つの機関だけで支援を行うことは、支援の負担感が増し、継続的な支援が難しくなります。各関係機関が、これだったら出来るという部分を分担し、情報共有を積極的にしながら、かかわることが必要です。個別支援会議の中で方向性を合わせておかないと、立場によって言っていることが違うというようなことがあり、当事者の方が混乱してしまうことになるかもしれないので、各関係機関が共通認識を持つために情報を共有しておくことが大切です。最も適した立場の方から、支援者に対してはたらきかけて、関係づくりをしていくと支援がしやすいので、意識をしていただくと良いです。
どこと連携すればいいか見当もつかないという場合は、自治体の中で聞きやすい人を日頃から知っておき、何かあれば行き、顔をつないでおくような、顔が見える関係づくりも大事です。
綾瀬市において、子育てに関する相談の全般的な窓口は健康づくり推進課です。
どこに話していいか分からないという場合もまずは健康づくり推進課にご連絡ををいただければ、適切な窓口を紹介します。他の自治体でも一本化された窓口があると思うので、確認をしていただくと良いと思います。
連携をとりやすくするためには、日ごろからの支援者の何気ない情報交換が必要です。
このまま放っておくとちょっと心配、というような「気づき」がとても大切なので、寄り添い、見守っていただけると良いと思います。
電話 045-210-4690
このページの所管所属は福祉子どもみらい局 子どもみらい部次世代育成課です。