更新日:2024年12月16日

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三浦初声高等学校

神奈川県立三浦初声高等学校の活動内容を紹介するページです。

5つの就業スタイルから選ぶ長期実習【神奈川県立三浦初声高等学校】

1 はじめに

 本校の都市農業科は、スクール・ポリシー「自ら学ぶ力を育て、社会で活躍できる人を創る」のもと、地域の産業を支える人材育成を目指しています。

 2年次必修科目「プロジェクト実践」と3年次必修科目「課題研究」では、最長2年にわたる長期の学校内外での実習を通して、即戦力になる人材を育ててきました。

 その就業スタイルは5つあり、生徒の状況や将来設計などニーズに合わせて、以下のように選択できるようになっています。

就業スタイル 実習先
依託実習 将来設計に沿った多彩な依託先(農園、ペットショップ、保育園など)
ホームプロジェクト 自宅が経営する農業など
パイロットプロジェクト 横浜市内で企業、大学、専門高校と連携した実習や商品開発など
産農人育成プロジェクト 横須賀内の飲食店・農家での実習や商品開発など
スクールプロジェクト 自校の畑での試験栽培など

 2年次では、まず校内での栽培管理など依託実習に出るための準備を整えます。実習先が決まったら、そこで実習を行いながら、3年次になると生徒が自分で課題を考えて、それを解決するための計画を立て、実践と達成度を評価する課題研究が始まります。

 その過程では、細かな記録を取って調査を行い、調査結果を分析してまとめ、学校内での「計画発表、中間発表、成果発表」に臨みます。こうした機会を通して、期日までに資料を作成することや、人前でプレゼンテーションをすること等に慣れ、苦労しながらも社会へ出る力が身に付いていきます。

課題研究_成果発表の様子

2 就業スタイルの多様化は時代のニーズ

 かつては自宅が農業を営んでいる生徒が多く、ホームプロジェクトに参加するスタイルが主流でしたが、現在では反対に、非農家の家庭の生徒が大部分となりました。それにともなって、依託先のニーズも多様化してきました。

 また、農業の6次産業化が叫ばれ、生産だけでなく加工や販売までを一貫して行う経営改革が加速するなかで、農産物の加工や販売をテーマにしたプロジェクトが、「産官学」や「農工商の専門高校と企業・大学」の協働で企画されるようになり、こうした活動に参加する形での依託実習が活発化しています。それが、パイロットプロジェクトや産農人育成プロジェクトです。売り方を考えた加工品の開発や売るところまでを考えて作付けや栽培を行う、といったようなマーケットセンスを持った担い手になれるよう実地で体験的に学んでいます。

 こうした依託実習は、三浦・横須賀・横浜など「地域との協働」で行われており、地域のあたたかなご理解と支援とで成立しており、これが本校の伝統的な魅力です。また、この科目は県内では本校の取組が唯一の実践であり、文部科学省からも表彰されました。

3 依託実習の様子

【依託実習】
 学校外で行う依託実習です。三浦・横須賀地域の牧場、バラ園、造園業、生花店、動物病院、ペットショップ、幼稚園・保育園、観光施設や観光農園、老人ホームなど、将来設計に沿った多様な受け入れ先で、プロジェクト実践・課題研究に取り組みます。

横浜イングリッシュガーデンにて_バラの管理作業

【ホームプロジェクト】
 自宅農場で、一定面積の圃場を実験栽培に使えることを条件に、そこで比較栽培などの実験的な栽培手法を学び、将来、自営するときの経営に役立つプロジェクト実践・課題研究に取り組みます。

自宅農場にて_定植作業

【パイロットプロジェクト】
 企業や農業生産者、専門高校(農・工・商業高校)と連携しながら、プロジェクト実践・課題研究に取り組みます。

 将来的な展望として、農業高校が主力になって、畑で野菜を育て加工し、工業高校がそのプロセスで機械化やデザイン等を担当し、商業高校が主力になってどう売るかを考えていくといったような協働を目標としています。

東京牧場株式会社フードラボにて_ローストポークを商品開発

【産農人育成プロジェクト】
 横須賀商工会議所の声掛けで、横須賀市内の飲食店やそこへ野菜を納める農家らの協力を得て、栽培実習から加工、商品開発、売り方まで、多彩な実習内容を体験する実学的な学びを行います。

 農業の6次産業化を意識したマーケティングセンスあふれる「産業人としての農業人」を目指すことを目的に、「産農人」という造語が特徴的なキーワードとなっています。

 横須賀商工会議所の「産農人育成プロジェクト」に参加する形で、プロジェクト実践・課題研究に取り組みます。

鈴也農園にて_カボチャの整枝作業横須賀セントラルキッチンにて_商品開発

【スクールプロジェクト】
 学校内で行う実習です。学校の畑を使い、一定面積を自分で管理し、栽培方法を学びながら、課題を見つけ、プロジェクト実践・課題研究に取り組みます。新しい品種やその栽培条件を変えて行う比較試験、新しい栽培方法を試す実験栽培など、一人一人がそれぞれの課題に取り組みます。

学校の畑にて_ピーマンの収穫・調査

4 おわりに

 生徒は依託先で、保護者でも先生でもない大人たちと関わり、みるみるたくましく成長していきます。自分が設定した研究課題に対して、より実践的なアドバイスをもらえることもあります。もちろん上手くいくことばかりではありませんが、そうした困難な状況を抱えつつも、依託先ではとにかく体を動かし実習を行います。勤労の厳しさや大切さを肌で感じ、その中で視野を広げ、多角的に物事を考えられる力がついていきます。

 依託実習は、生徒の多くが豊かな成長を遂げる大変特色ある学びの場となっています。

 

問合せ先

神奈川県立三浦初声高等学校
電話:046-889-1771
(掲載内容は掲載日現在のものです。最新の情報は各県立学校のホームページでご確認ください。)

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