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更新日:2024年6月27日

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県民論議の成果「かながわの教育ビジョンに関する提言」

「かながわ教育ビジョン」の策定に向けた県民論議の成果としてまとめられた「かながわの教育ビジョンに関する提言」について紹介します。

基本的な考え方

「かながわ教育ビジョン」の策定段階における県民の皆様との論議の成果は、かながわ人づくりフォーラム運営推進委員会によって、「かながわの教育ビジョンに関する提言」として取りまとめられました。

提言の内容

提言にあたって

提言書(平成18年)かながわ人づくりフォーラム運営推進委員会は、平成17年11月5日の「第1回かながわ人づくりフォーラム」で、神奈川県教育委員会がアピールした「かながわ人づくり宣言」を受けて、これからのかながわの教育に関する総合的な指針となるビジョンづくりに向けて、県民の皆さまとの教育論議を進めてまいりました。

実際の教育論議は、フォーラムで提起された課題に基づき、「少子化時代に対応した家庭教育を支える子育て環境づくり」、「学ぶ楽しさやわかる喜びが実感できる学校づくり」、そして「生涯を通じた自分づくりを応援する環境づくり」という3つのワークショップの場を設定し、継続的に展開してまいりました。また、体験を通じて得られたものを教育論議に活かすため、演劇体験、海での自然体験、親子体操といった教育イベントも併せて開催し、延べ約1,700名にのぼる県民の皆さまに参加いただくことができました。この間、インターネットを活用した「電子会議室」も開設し、広く県民の皆さまからの御意見を聴取する機会も工夫させていただきました。

この度の「かながわの教育ビジョンに関する提言」は、このような県民の皆さまとの論議の成果を受け、運営推進委員会として協議した内容を整理したものです。神奈川県教育委員会では、これから教育ビジョンの策定を進めていくことになると思いますが、本提言を、県民の皆さまが期待するかながわの教育のあり方として受け止め、その反映に努めていただければ幸いです。 今後策定される、新たな教育ビジョンに基づいて、あらゆる県民の皆さまが、次代を担う子どもたちの教育や、生涯にわたる自分づくりにかかわり、一人ひとりの個性を伸ばし、心身ともに健やかに育てる教育が実践されることを期待してやみません。

最後に、この場をお借りして、本提言の作成に向けて、御理解と御協力を賜りました多くの県民・関係者の皆さまに、心より御礼を申し上げます。

平成18年8月

かながわ人づくりフォーラム運営推進委員会委員長 高木展郎

提言がめざす方向

私たちは、今回の県民論議を通じて、参加者の皆さまが最も必要と感じていることを次のテーマで表しました。

地域・家庭・学校
つむぐ おりなす かながわの人づくり

○育てる思いを重ね合う ○持ち味や役割が響き合う ○学び合う、学び続ける

これは、地域、家庭、学校が協働し、それぞれの特徴や役割をいかして、これからのかながわの人づくりを、共に考え、実行していこうという願いを込めたものです。「『つむぐ』とは、繊維を引き出して、よって糸にする。」「『おりなす』とは、糸を織って、美しい模様を織り上げる。」という意味で、未来を担う子どもたち一人ひとりの、それぞれの個性やよさをいかしつつ、まわりの大人たちが様々にかかわり合いながら大切に育てていくさまを表すとともに、子どもたち自身や大人たちも、そこから互いに学び合い、さらに生涯を通じて学び続けることで成長を遂げていく大切さ、すばらしさを表現したものです。

これまでは、教育というと、その多くを学校が担ってきました。しかし、人の教育という営みは、本来、生涯にわたって様々な場面で行われるものであり、学校のみですべてを行うことはできません。また一方で、学校は、地域の中にあり、家庭とも直接的な関係をもっている存在です。

そこで、地域ができること、家庭ができること、学校ができること、それぞれの役割を明確にした上で、補完し合いながら協働し、子どもを育てていくことが重要となります。その際、それぞれの立場や役割の違いを自覚しつつも、子どもを育てるという共通の方向性、ビジョンをもつことが必要です。

人は一人では生きていけません。まわりの様々な人とかかわりながら、影響を受けたり、与えたりしながら成長していきます。次代を担う子どもたちに対しても、すべての人々がこのような自覚と責任をもち、かかわっていくことが大切です。そうした行動が、大人自身の学びにもつながり、今を生きていることを実感することになるのです。

このような思いを、地域、家庭、学校というつながりの中で、重ね合い、響き合い、学び合うことで、実現していきたいと考えています。

なお、サブテーマでは「合う」という表現を用いています。双方向性を有する、このような学びの力が発揮されるようになると、学校教育にも新たな学びが加わり、これまでの内容を再構成していくことになります。人づくりを通じた、このような協働が進めば、学校だけで果たせなかった新たな教育の地平が広がっていくことになると確信しています。

提言(3つの柱・8つの視点・24の提言)

地域に根ざした新たな教育コミュニティづくり

視点1 新たな教育コミュニティづくり
  • 提言1 地域の人々が相互にかかわれる場づくりを進める
  • 提言2 地域・家庭・学校をつなぐ人材を育成する
視点2 生涯を通じた自分づくりの応援
  • 提言3 多様な学習ニーズに対応できる場や機会をつくり、情報を提供する
  • 提言4 子どもの時から生きることや働くことの大切さを考え、実感できる環境づくり
  • 提言5 一人ひとりが健康・体力を増進させ、生活の質を高める
視点3 かながわの文化芸術・スポーツの振興
  • 提言6 かながわの文化芸術を継承・発展させ、生活に根付かせる
  • 提言7 生活の中で身近に運動やスポーツができる場や機会づくりを進める

みんなで子育て・家庭教育を支える社会づくり

視点4 子どもの心とからだを育てる家庭教育
  • 提言8 子どもの発達に応じた親や家庭教育のあり方を考える
  • 提言9 他者とかかわる楽しさや思いやる心を育てる体験を大切にする
  • 提言10 家族や家庭を大切にする心や態度を育成する
視点5 少子化時代の子育て・家庭教育への支援
  • 提言11 子育て・家庭教育を支えるコミュニティづくりを進める
  • 提言12 幼稚園や保育所、学校における子育て支援を充実する
  • 提言13 企業や社会が子育ての理解を深め、行動する

子どもが成長する場としての学校づくり

視点6 学ぶ楽しさやわかる喜びが実感できる学校教育
  • 提言14 心を育て、たくましく生きる力を育てる教育を推進する
  • 提言15 学ぶ大切さを理解し、意欲をもってのぞめる教育活動を進める
  • 提言16 基礎・基本をしっかり身に付ける授業づくりに取り組む
視点7 協働と信頼に根ざした学校運営
  • 提言17 学校の実態に即した創意工夫のある学校づくりを進める
  • 提言18 多様な教育的ニーズにこたえ、必要な支援を行える環境を整える
  • 提言19 学校を保護者や地域に開き、情報公開して協力を求める
  • 提言20 学校評価をいかした効果的な学校経営を行う
視点8 人づくりを担う教職員の確保と育成
  • 提言21 豊かな人間性と専門性を身に付けた教職員の養成や確保を図る
  • 提言22 授業研究をいかした新たな校内研修づくりを進める
  • 提言23 得意分野をもった個性豊かで高い実践的指導力のある教職員を育成する
  • 提言24 教師の活動実践や研修成果等をいかした人事等のシステムづくりを進める

あとがき

そもそも「人づくり」とはどういうことなのでしょうか。家や道具などのモノづくりとはどうも意味が違うようです。モノづくりは、材料に加工を施し、これを組み立てるなどして、予定された形に仕立てることを言うのでしょうが、人づくりはそうでありません。人は生まれてから地域・家庭・学校などで生活し、すでに「在る」存在ですから、これをモノづくりのように「つくる」ことはできないのです。ただ、変化の激しいこれからの時代や社会を生きていくためには、絶えず自らを磨き、バージョンアップしていくことは必要になります。これは自分づくりと言ってよいでしょう。この自分づくりを支援することこそが「人づくり」なのです。そこで、県民の皆さまの自分づくりをどのような視点と方法で支援することができるのかを示したのが、この「かながわの教育ビジョンに関する提言」です。

これまで、教育というと学校を中心にして考える傾向がありましたが、人は様々な場で自分づくりに努めている実態を考えれば、当然、家庭や地域の役割も注目されなければなりません。そこで、これからのかながわにおいては、地域・家庭・学校が力を合わせて協働して、子どもから高齢者まであらゆる世代が教育や学習を通して自分づくりを進めることができる環境整備が大切な課題になります。そのためには、身近な地域に学び合いのコミュニティを創り、これらのネットワーク化を進めながら、かながわらしい教育システムづくりが期待されるわけです。

本提言を契機に、かながわの教育ビジョンづくりに向けて、さらなる県民論議が活発に展開され、よりよい教育をめざしたチャレンジとアクションにつながれば幸いです。 

かながわ人づくりフォーラム運営推進委員会 副委員長 佐藤 晴雄

提言書のダウンロード

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