インタビュー
県内で広がる生涯学習についてお伝えします。
地域に根ざした取り組みなども生涯学習の一つです。
学生による学習支援団体
minna no ie
川崎市立看護大学の構内
始まりは学習支援ボランティアから
minna no ieの発足のきっかけと経緯を教えてください
飯田(大3):私は現在大学3年生なのですが、1年生の頃から別の団体でも学習支援をボランティアでやっていて、中心メンバーとして運営などに携わっています。そのような活動を自分の大学でもできないかと思い、友人に「そういう団体を立ち上げたいんだけど、協力してくれない?」と声をかけて、最初は4人のメンバーで動き始めました。立ち上げ当初は活動場所の確保が難しく、社会教育施設に行って相談したりもしましたが、施設を借りるのにはお金がかかってしまうなどの問題もあったので、大学の学部長に「任意団体として大学の施設内を借りることはできないか」と相談をしました。そこで学部長から「サークルにしたら良いのでは?」と助言をいただき、4人のメンバーで検討をしました。その結果、サークルの方が金銭面での援助を受けることができたり、学内の施設を自由に使えるということで、令和6年4月にサークルとしてminna no ieを立ち上げました。
「親でもない友達でもない先生でもない、第4の存在になりたい」
なぜminna no ieのメンバーになりたいと思ったのか教えてください
松田(大1):私は入学当初のサークル紹介の際、先輩からminna no ieの活動について話を聞き、とても興味を持ちました。私自身、将来は子どもの医療に関わる仕事をしたいと思っているので、大学生のうちから子どもと関わる活動がしたいと考えていました。
唐沢(大1):私は入学後、友人と一緒にサークルの紹介を受けて、とても魅力を感じました。子どもと関われるのは看護大学ならではだと思います。また、川崎市の地域の子どもたちとも関われるのは貴重な機会だと思い、このサークルに入りました。
岡本(大2):私は養護教諭を目指しているので、子どもと関わる体験をしたいと思い、川崎市の寺子屋事業について調べたことがあるのですが、養成講座などへの参加の日程調整がつかず、断念してしまいました。その時にポスターやSNSの広報を見て、本学でも子どもと関わることのできる団体があることを知り、このサークルに入りました。
飯田(大3):「親でもない友達でもない先生でもない、第4の存在になりたい」。このモットーは団体立ち上げの際に決めたものですが、子どもたちにとって色々な人とつながりを持つことは大切だと思っています。私自身はもともと別のボランティア団体に所属していて、学生に限らず、社会人の方も参加しています。そこで色々な年齢の人とのつながりができ、親や友達、先生以外にも相談できる人がいて、とても視野が広がった経験があります。そのような存在が子どもたちにもあるといいなと思っています。
minna no ieの皆さん
子どもたちが足を運びやすい環境へ
活動を始めてみて、大変なことについて教えてください
飯田(大3):サークルが立ち上がってまだ間もないこともあり、イベントに来てくれる子どもたちが少ないことです。小学生や中学生の子どもたちが、大学に入って来ることはハードルが高いのかなと感じています。現在、XやInstagramなどのSNSを広報のメインとしていますが、さらに広報の幅を広げながら、より多くの子どもたちが足を運びやすい環境を作っていきたいと考えています。
参加した子どもたちの反応
これまでの活動の様子を教えてください
松田(大1):10月はイベントではなく通常の活動を行いました。サークルのメンバーが自宅からおもちゃや折り紙などを持ち寄り、参加した子どもたちと人狼ゲームやトランプなどの遊びをしたり、お話をしたりしました。「また来たい!」と言ってくれる子どももいて、私たちもとても嬉しく思いました。
飯田(大3):学習支援と居場所づくりをテーマにした団体ですが、来てくれた子どもたちの要望に応じて活動をしています。こちらから「今日は何したい?」と聞くと、自宅からおもちゃを持って来た子どもが「これをみんなでやりたい!」と言ってくれて、「じゃあみんなでやろうか!?」となり、みんなで遊んだりしました。
10月の活動の様子
多くの“つながり”ができた
活動をしていて良かったと思うことややりがいなどを教えてください
飯田(大3):地域の施設に広報のお願いをしに行くことが多く、川崎市の子ども文化センターのご協力をいただくこともあり、看護体験イベントの募集もお手伝いいただきました。また、川崎市内で『絵本カフェ』を運営されている方からお声がけいただき、共催イベントを開催することになっています。そうした他の施設の方や地域の方とつながることができたのは良かったと思います。
松田(大1):私がこのサークルに入ったきっかけは、高校生時代にあまりできなかったボランティア活動を大学でやってみたいと興味を持ったことでした。先輩たちがすでに作り上げていた団体でしたが、運営の立場に携わらせていただいて、地域の方との連携や問合せの対応など、サークルの中でも運営に携わらないとわからないことが多く、大変ではありますが、活動の形を知ることができたのはすごく良かったです。
唐沢(大1):私は運営に携わるのは初めてなのですが、先輩方に教えてもらえることがとても勉強になるし、活動に向けて何が必要なのかを考えるのもすごく良い機会だと思っています。
岡本(大2):私はこのサークルに入って間もないのですが、将来の進路として養護教諭を目指していて、子どもと関わる活動をしてみたいと思っていたので、このサークルでの活動はすごく良い機会となっています。私も小さい頃は親が忙しく、児童館や学童に行っていたことがあります。小さい頃に独りぼっちにならずに、誰かと一緒にいる時間があるのはとても大切なことだと、10月のイベントの際に強く感じました。このサークルに入らなかったら気付けなかったことだと思います。
minna no ieのこれから
これからの活動の展望について教えてください
飯田(大3):私たちが立ち上げた団体が長く続いていくといいなと思っています。新たに入学してくる新入生たちへの勧誘を引き続き頑張り、一緒にやっていきたいと思ってくれる学生が増えて、団体が長く存続してくれたら嬉しいです。また、卒業してからも、OG・OBとして、同じ分野で活動する仲間として、私たち自身の居場所としても長く続くと良いなと思っています。
学生が考える『生涯学習』
あなたにとっての生涯学習とは何か教えてください
飯田(大3):私たち自身は学生であり、現在学習している立場です。私個人の考えですが、大学や教育機関を卒業した後、仕事以外のプライベートの時間で学習していくというイメージがあります。そのため、私たちのような学生などはあまりなじみがないものに感じます。
岡本(大2):私たちは学問に励んでいますが、学問だけでなく、人として成長するために知っておくべきことなどを学び、年齢を重ねても『自分を更新し続けていくこと』なのかなと思います。
唐沢(大1):人生を通して、学問的なことだけでなく、『自分が好きなことを学んでいくこと』かなと思います。
松田(大1):人として、今だけでなく、卒業してからも仕事をしながら学習して、仕事を退職してからも『一生を通して学び続ける』というイメージがあります。大学での学びに限らず、このサークル活動も生涯学習の一環だなと感じていて、『多様な形で学習していく』のも大切だと思っています。
最後に、一言メッセージをお願いします
飯田(大3):私のモットーは『楽しむこと』ですので、何事も楽しむことが大切かなと思います。
岡本(大2):堅苦しいことや難しいことを考えず、『自分が好きなことや興味があることを突き詰めていくこと』がまず第一歩だと思います。その気持ちを大切にして欲しいです。私自身も最近は美容に興味を持っていて、介護メイクセラピスト(メイクケアセラピー)の資格取得を目指して、勉強しています。
唐沢(大1):好きなことがあると自分の生きる原動力になるので、「好きなことを1つでも見つけると楽しいよ」ということを伝えたいです。私自身は星を見るのが好きで、地方だと良く見えるので、将来は地方に住みたいと思っています。
松田(大1):私も『楽しく』ということが一番だと思っています。また、『やりたいことをやる・行動に移す』ことも大切だと思いました。私自身、高校生の頃に自分から動くことができず、ボランティア活動をあまりしたことがありませんでした。このサークルに入ったのは自分の決断ですが、現在は周りの方に支えられながら活動しています。自分から「やろう!」と思ったら動くことが大切だなと思います。
高校生:私も『やりたいことをやる!』という気持ちを大切に、このサークルに参加しています。自分自身でこのサークルに参加しようとしたおかげで、このような素敵な先輩方と出会えることができました。これも生涯学習なのかなと思います。周りの素敵な方との出会いや新たな環境に身を置くことも、『人とのつながりを深める』という生涯学習になると思います。ぜひ、周りの人との関わりを作るためにも、自分がやりたいことをやっていってほしいと思います。
取材のため伺った川崎市立看護大学は、付近には閑静な住宅街が広がっており、とても落ち着いた環境で学問に励むことが出来る大学だと感じました。多くの学生が看護の道に進むことを目指しており、高校生のうちから大学の見学や体験に訪れるなど、熱心な学生が非常に多いという印象を持ちました。
minna no ieのメンバーは自身の勉学に励むだけでなく、地域の子どもたちのために学習支援や子どもの居場所づくりを行っており、「社会に貢献したい」という強い気持ちには感服しました。
今回の取材を通して、学生の活動の様子や生涯学習に対する考え方などを知ることができ、私自身も「まだまだ学び続けなくては!」と考えさせられる機会となりました。minna no ieの皆様、ご協力いただきありがとうございました。
なお、minna no ieは、多くの子どもたちが5年後・10年後に大人になったとき、「大変なこともあったけど、幸せな子ども時代だったな」と思えるような未来をつくる活動を目指しています。参加希望の方は下記のプロフィール欄からご確認ください。
また、メンバーの募集も行っています。川崎市立看護大学の学生に限らず、他大学の学生や高校生もメンバーとして加入することができます。少しでも興味のある方は下記のプロフィール欄からご確認ください。
2025/02/12
プロフィール
minna no ie
小中学生を対象とした学習のサポートや居場所づくりの活動を行っています。高校生や大学生が宿題やテスト勉強のお手伝いをします!ボードゲームやカードゲームをして遊んだり、おしゃべりをして過ごすこともできます。是非ご参加ください!
活動の様子を知りたい方はコチラ!
団体紹介ページURL:https://kawasaki.genki365.net/group_1327/
川崎市立看護大学 インカレサークル【minna no ie】X:https://x.com/minnano_ie_234
川崎市立看護大学 インカレサークル【minna no ie】Instagram:@ minnano.ie2023.4
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