生涯学習コラム
「紅葉坂だより」
「生涯学習」の多様性は、人の数だけ学びがあることを示しています。学習相談員もまた、さまざまな分野にわたって関心を抱きながら日々実践しています。この学びはどこにつながるのか、地域の中でどう活かせるのか、人とどうつながるのかなど、その方向性やあり方にも興味を抱いています。
本コラムでは、さまざまな観点から幅広い生涯学習を紹介しています。
生涯学習とボランティア活動
だいぶ前になりますが、生涯学習とボランティア活動との関連について、国の生涯学習審議会が三つの視点を示しました。(平成4年7月)
①ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現につながる生涯学習となる。
②ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための学習として生涯学習があり、学習の成果を生かし、深める実践としてボランティア活動がある。
③人々の生涯学習を支援するボランティア活動によって、生涯学習の振興が一層図られる。
これらの視点から、生涯学習とボランティア活動との相互関係が、さらに、学びの成果を社会に活かす取組みとしてのボランティア活動の位置付けが見えてきます。
とはいえ、ボランティア活動と一口に言っても活動分野は様々、気軽に参加できるものから、ある程度のスキルを必要とするものまで、多岐にわたっています。ご存知のように、福祉関連や子ども支援、自然環境保全、災害支援、社会教育施設のイベントサポートまで、分類しきれないほどの多種多様なボランティアがあります。
生涯学習もまた、多種多様で、人の数だけ学びがあるといえます。ノルマ不要、気遣いなし、無理強いなしの楽しい時間が拡がる世界、それが「生涯楽習」とも言われる所以です。自発的意思に基づいて取組むという点でも、生涯学習とボランティア活動には相通ずるものがあります。
こうした両者が結びついた時、思いもかけない「化学反応」を起こすことがあります。
趣味の歴史好きが昂じて郷土史の学びを深め、地域のガイドボランティアとして活動、さらに地域の活動支援センターが主催する歴史講座の講師として地域貢献を目指しているという方がいらっしゃいます。また、市街地の農園シェアでの野菜作りをきっかけに、農業や林業、環境問題に関心を持ち、現在は森林保全ボランティアとして活動しながら、炭焼きにも興味を抱いている方、防災士の資格を活かして、地域や近隣の小学校で防災教育のボランティア・アドバイザーとして活動している方など、生涯学習とボランティアの多様な組合せがモチベーションを引き上げ、相乗効果により年齢を問わず達成感をもたらしているように見えます。
人生100歳時代を迎え、人生後半の設計の必要性が語られ、その中で生涯学習の役割が改めてクローズアップされています。健康で充実した後半生のために、生涯学習をいかに活用し、いかに社会に貢献するかなどが話題ともなっています。自分なりの意欲的な学びへの取組みが、充実した日々を生み出してくれるからです。
生涯学習もボランティアも、一歩踏み出すと、新しい扉が次々と現れてくるはずです。先ずは初めの一歩、ひとつ目の扉を開けてみてはいかがでしょうか。