更新日:2024年4月4日
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淡水魚類図鑑
レッドリスト | 県カテゴリ:野生絶滅(飼育・栽培下でのみ存続している種) |
国カテゴリー:絶滅危惧I(ローマ数字の1)A類 |
コイ目コイ科
分布 | 明治時代の後半、東京都小石川(現在の東京都文京区)の東京帝国大学付属植物園の池で発見され、新種として記載されました。 日本固有で、分布は関東地方に限られています。 関東地方に広く分布していましたが、都市化に伴う生息地の環境破壊によって激減してしまい、現在の生息地は千葉県と栃木県のごく限られた水域だけになってしまいました。 |
形態 | 体長5~6cmで、雄のほうが大きくなります。婚姻色は、雄の尻びれの先が黒くなるのが特徴で、吻部に追い星が出ます。ヒゲは2本で側線は不完全です。 |
生態 | 雑食性の小魚で、春にドブガイやマツカサガイ等の淡水産二枚貝の鰓の中に卵を産みつけます。産卵前にになると雌は産卵管が伸びてきます。卵は5日程でふ化しますが、ふ化後約20日間(水温20度)は貝をゆりかごとして過ごします。貝から泳ぎ出した稚魚は、プランクトン等を食べて成長し1年間で成熟します。 自然水域での寿命は約2年ですが、飼育していると3~5年生存する個体も少なくありません。全長7cm程度に成長します。 |
備考 | 1974年、文化財保護法(文化庁)により国の天然記念物に指定されました。1994年には種の保存法(絶滅のおそれのあ野生動植物の種の保存に関する法律、環境省)により国内希少野生動植物種に指定され、この2つの法律により捕獲や譲渡、生息地の改変などが厳しく制限されています。 神奈川県では横浜市の権田池を最後に自然水域から姿を消してしまいました。そのため県RDでは「野生絶滅」のカテゴリーに指定されています。幸い、権田池から救出されたミヤコタナゴは、現在の内水面試験場の前身である淡水魚増殖試験場で保護されました。そして、地道な増殖研究の結果、二枚貝を使用しない人工授精による増殖手法の開発に成功し、毎年、千尾以上の稚魚を生産し、継代飼育が行われています。 現在は生息地復元のための研究を展開し、場内のビオトープ「生態試験池」において、ドブガイやカワシンジュガイを用いた繁殖研究や間伐材魚礁を活用した生態研究を行っています。5~7月に来場いただくと、婚姻色が出た美しいミヤコタナゴが二枚貝の周辺で産卵行動を行う姿を見ることができるかも知れません。 また、横浜市内のため池(非公開)でも復元研究に取り組んでおり、毎年、大量の稚魚が浮上しており、さらに、産卵母貝であるドブガイの繁殖も確認されています。 |
産卵管を伸ばした雌成魚 | 婚姻色の出たミヤコタナゴ |
関連リンク
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