更新日:2024年2月20日
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「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
材料 | 漬け込み | 仕上げ | 農産物の上手な利用法の表紙 |
作り方のアドバイス |
桜の花なら何でも利用できますが、一重咲きよりも八重咲きの方が豪華です。神奈川県では濃いピンクの八重花をつける「関山(カンザン)」と淡いピンクの八重花をつける「普賢象(フゲンゾウ)」が用いられています。
普賢象
摘み取る花は2~3輪のもので、1輪が7~8分咲き、他の2輪は3分~蕾となったものを選び、花柄の付け根から摘み取って下さい。満開の花を摘み取るのはたやすいのですが、3輪満開のもので作ると桜湯で利用すると茶碗の中でプワンと開いてデリカシーに欠けること著しいものがあります。摘み取るときに最後の利用方法を考えて摘み取って下さい。でも満開の花であっても、開花したばかりの花弁がしっかり付いているものは丸まったまま、あるいは刻んで利用する調理加工、桜ご飯やパン、菓子などに利用する場合は問題がありません。摘み取ったものは無駄なく利用しましょう。
桜の花は摘み取ったら速攻で漬けなければなりません。摘み取って、袋に入れて時間が経つと花弁が散りやすくなます。ひどいときには花弁全部が散ってしまいます。特に花を摘み取り、袋にギュギュッと詰められたままだと呼吸熱が溜まり、蒸れてしまいます。
桜の花には小さな虫がついていることもあります。花を摘み取るときにはできるだけ、虫に注意して下さい。
桜の花摘み取った花を直ぐに漬け込むことが多く、多くの農家は桜の花を洗うことはしていません。でも、桜の花は土ホコリがついていたり、小さな虫がついていることもあります。これらを水で洗い落として下さい。桜の花は水で洗ったくらいでは花弁が落ちるようなことはありません。もしも水で洗ったときに花弁がとれてしまうようなら、花が開いてから時間が長く経過したもので、原料としてふさわしいものではありません。 たっぷりの水に花を入れ、やさしく扱って下さい。水でサッと洗ったなら、ザルにあげて水をきって下さい。ザルにあげて水を切っただけでは100gの花でも50gくらいの水をかかえています。この花を乾いたタオルに包み、グルグル振り回すと水がよくきれます。グルグル振り回すと水が10g以下になります。
花が大量ならばバスケット型の遠心分離器があれば速攻で処理ができます。一般のでは遠心分離器などありませんが、家庭用洗濯機の脱水槽が同じ機能を持っていますので、これを活用すると良いでしょう。
白梅酢は梅の塩漬けを作ったときに得られるものです。塩18%で漬けた梅漬けの白梅酢は保存性があります。ガラスビンに入れて保存しておけば色が濃くなったり、粘性が増してきますが数年は利用できます。
桜の花をより赤くしたいとのことで、赤シソの葉で赤くした赤梅酢を使う方もいますが、桜の香りと梅の香りにシソの香りの3種混合では香りのバランスが悪くなります。香りをあわせるのは2種類としたいので、「桜の花漬」には赤梅酢は用いません。
塩は並塩、または精製塩を用います。ミネラルたっぷりの塩を用いると桜の花のピンク色がくすんでしまうことがあります。用意した塩に固まりがあるときは手で揉みほぐしたり、ストレーナーをとおして、固まりを解してから使って下さい。
塩は桜の花と交互に容器に詰めていきますが、桜の花と塩の一方が先に詰め終わってしまったら、残っているものをドサッと容器に入れてください。
桜の花を袋に入れてギュー、ギューッと押して漬け込みます。押していると花弁の間から細かいアワがブクブクと出てきます。アワを集め、ポリエチレン袋の口を少し開いては空気を抜いてください。
こうやっても桜の花弁の間には梅酢が充分にまわっていきません。漬け込んだら2~3日間、花弁の間にも梅酢がまわるように1日数回軽く揉むような手入れをしてください。異常発酵するとドブ臭い匂いがついたり、花弁の間にガスが溜まることで、花弁の内部に空間ができます。これが発生すると陰干しのした製品では分かりませんが、桜の花をお湯に入れると花弁の中にピンク色の水泡ができ、ちょっと薄気味わるい感じがします。
ポリエチレン袋に仕込み、2日~3日後にキュッと絞ると100gの桜花は87gとなり、梅酢は79gになります。キュッと絞った桜の花はペッタリと固まってしまいます。桜の花を壊さないよう、丁寧に解してください。
風通しの良いところで陰干しして下さい。陰干しは重量が80~75%になるの目安にして下さい。
陰干しした桜の花に分量の塩を均一にまぶすことも大切です。ちょっと大きめのポリエチレン袋に陰干しした桜の花と分量の塩を入れてください。
袋の空気を抜かずに袋の口をギュッとにぎりしめ、袋を振り混ぜると、塩が均一に混ざります。
桜の花が赤ければ赤いほど、漬け液(梅酢)も赤くなります。また、桜の香りが強烈についています。桜の花弁、ガク(萼)などが入っていますので、ガーゼか不織布などで濾してから保存容器に入れ、冷暗所で保存し、調理加工に利用して下さい。
ダイコンやカブのスライスに、この桜の香りのついた赤い漬け液をちょっと振り込んで揉むと香り高い揉み漬けが楽しめます。
「桜の花漬」を温かい所や明るい所で長く保存すると色や香りが変化します、冷暗所の保存に心がけて下さい。冷蔵庫に入れるのが最良です。
保存容器は量が少なければ小さなポリエチレン袋、プラスチック容器、ガラスビンなどが手軽です。
保存するときは作った年月日、材料、作った条件などを書いておきましょう。
「桜の花漬」はお祝事の桜湯として多く用いられていますが、パン、菓子、ゼリーなどにも利用されています。
きざんだ「桜の花漬」を暖かいご飯に和えるだけの桜御飯は簡単でありながら、風情も楽しめます。また、梅酢に含まれる酸が微生物の繁殖を抑えるため、炊いただけの白いご飯より保存性が良くなります。
また、焼酎のお湯割りに用いると、桜の色香が楽しめます。お祝事の乾杯にもご利用下さい。
材料 | 漬け込み | 仕上げ | 農産物の上手な利用法の表紙 |
生産環境部(品質機能研究課)
電話 0463-58-0333 内線344から345
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