更新日:2024年4月19日

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火起こし

神奈川県青少年指導者養成協議会 自然体験活動 虎の巻

野外炊事には火が欠かせません。活動の目的にもよりますが、マッチやライター、ガスバーナーなどの便利な火起こし道具を使わずに、敢えて摩擦によって自分の手で火を起こすのも、子どもたちにとっては貴重な体験となります。

その一つの方法として、仲間と協力して火を起こす「ヒモギリ式火起こし」はいかがでしょうか。時間はかかるかもしれませんが、火の貴重さを知るとともに、協力する喜びや達成感が得られます。そして、みんなで苦労して起こした火で作った料理の美味しさは、また格別です。

火起こしや野外炊事の際の服装の注意

  • 刃物や薪によるけが、火による火傷を防ぐため、長そでと長ズボンを着用します。
  • ポリエステルやナイロンなどの化学繊維のものは、火の粉や熱で溶けてしまい大変危険なため着用せず、できれば綿素材のものを着用します。
  • 軍手も化学繊維のものは使用しないようにします。また、滑り止めのゴム付きの軍手も、溶けると危険なため野外炊事には適しません。

ヒモギリ式火起こしに必要な道具

火起こしセット

ヒモギリ式火起こしに必要な道具の一例と、その作り方を紹介します。(単位はcm)

  • 下敷き用の板 60(長さ)×15(幅)3(厚さ)…スギでよいが、堅い素材でもよい
  • 火切り板 60(長さ)×10(幅)×1.5(厚さ)…スギがよい
  • 火切り棒 40(長さ)×2(幅)×2(厚さ)…スギがよい
  • ハンドピース 32(長さ)×4.5(幅)×4.5(厚さ)…カシ等堅い木材
  • ヒモ 350(長さ)×1.2~1.5(太さ)…綿素材のものがよい
  • 瓶飲料の王冠

ヒモギリ式火起こしセットの作り方詳細(PDF:266KB)

3~6人で行うヒモギリ式火起こしの方法

  1. 下敷きの上に火切り板を置く。ヒモを引く人の姿勢が辛ければ、安定すハンドピースの持ち方る台の上に下敷きを置いてもよい。その場合は、台の上の人が落ちないように留意する。
  2. 火切り棒にヒモを2周巻き付け、火切り板のくぼみに棒の先端をあてる。ハンドピースを持つ人のすねにヒモが当たらないように、足とは反対側からヒモを巻き付ける。
  3. 1人が両足で火切り板を踏み押さえながらハンドピースの両側を持ち、両ひざの内側あたりでハンドピースを挟みながら火切り棒を強く上から押さえる。その際、押さえが不十分だと火切り棒が外れて危険。台の上で火起こしを行う場合などは、火切り棒を押さえる人の腰のあたりを他の人が支えると、火切り棒を押さえる人の姿勢が安定する。
  4. 別の2人でヒモの両端を持って、ヒモをたるませないように長さいっぱいまで引き合う。小学生であれば、両端を2人ずつで持ってもよい。ヒモが上がっていかないように、水平に引き合うことを意識する。最初はゆっくり大きく引き合って、茶色い木くずが溝にたまり、煙が上がってきたらペースを上げて引き合う。黒い木くずの中から煙が出てきたら火種ができている。
  5. ロープを引くのを静かにやめて、火切り板をはずす。(急に止めると火切り棒が飛んで危険!!)

火種から火を大きくする

木くずからできた火種は消えやすいため、火口(ほくち。火種から着火麻ヒモの火口させる、燃えやすいもの)に着火させるとよい。薪に火をつけるために、「火種→もぐさ→ほぐした麻ヒモ→新聞紙→薪」と順に火を移す方法がある。火起こしの際に手が空いている人がいれば、麻ヒモ(10センチメートルくらいの長さに切ったものを15本程度)を鳥の巣のようにほぐして、火口を作っておく。火種ができたら

  1. 火種を下敷きの上に落とし、その上に静かにもぐさを乗せる。火種が火種が飛ばないように、手でカバー飛ばないように軍手をつけた手で火種の後ろを覆い、優しく息をふきかけてもぐさに火をつける。もぐさに火がつけば火種よりも消えにくくなる。
  2. 1枚の新聞紙を真ん中で3回折り、短い一辺を軽く丸めてちりとりの形を作る。その上にほぐした麻ヒモを乗せておく。火がついたもぐさを麻ヒモの上に乗せ、息を吹きかけて麻ヒモに火を移す。強く長く息を吹きかけるのがコツ。煙を吸わないように、息を吸うときは横を向く。横を向いて息を吸う
  3. 麻ヒモに火が移ったら手早く新聞紙と麻ヒモを薪の下に入れ、薪の下の新聞紙に火をつける。

なぜ、「ヒモギリ式」で火をおこすの?

ただ単に火起こしをするのではなく、協力する喜びや達成感が得られる活動として、また、一人だけの力ではなく、複数人で行うことによって、協調性や積極性を育むことができる活動として、今回の方法を紹介しました。

また、キリモミ式発火法などは、子どもの力では体力的に難しいですが、ヒモギリ式は比較的簡単に火を起こせます。

他にどんな発火法があるの?

ヒモギリ式発火法の他にも、たくさんのメタルマッチ発火法があります。ここでは簡単に紹介しますが、その歴史や技術などについても調べてみると奥が深いです。

原始的な発火法として、縄文時代や弥生時代の日本では、主に火切り棒を直接手でこするキリモミ式の発火法が用いられたようです。他にはユミギリ式、ヒモギリ式(イヌイット等の北方先住民族)などの発火法や、横木を上下することで火をおこすマイギリ式発火法がありますが、マイギリ式は、江戸時代のなかば過ぎに登場したと言われている、比較的新しい発火法です。その他、ヒミゾ式、ノコギリ式などがあります。

化学変化を利用した発火法の1つに、メタルマッチ(ファイアスターター)があります。湿気のある環境でも簡単に着火でき、また長く使えることから非常用やサバイバル用としてよく使われています。備えあれば憂いなし、1つ用意しておけば、災害時などに役立つかもしれません。

 

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